2022年度神奈川公立入試「社会」全問解説

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、2022年度(令和4年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。ただの解説だけでなく、同時に確認しておくべき知識も紹介しているので、受験生および同業の先生方は参考にしてください。

関連記事①「2023年度全問解説」

関連記事②「2024年度全問解説」

問題全体の形式と難易度

まず全体としては大問7つの計32問の構成で、この年から記述形式の問題がなくなり、すべて記号選択形式になりました。ただし、前年よりは難易度が上がっています。それでも正答率30%を切る問題は1問もなく、合格者平均が62.4点と高めです。

問題ごとの解説□1

(ア)について。大前提としてこういった世界地図が出題されたら、以下のように赤道と本初子午線と日付変更線を書き込みましょう。なので、まずは空欄の「あ」は緯度と経度が0度とあるので、これは赤道と本初子午線が交わるところですので、p ですね。次に 「い」はいわゆる対せき点(地球の中心を通った反対側の地点)を問う問題です。まずは問題文に緯線と経線がそれぞれ30度ずつ引かれているとあるので、s と q が交わるところが南緯30度・東経30度であることを読み取ります。その対せき点なので、緯度に関しては数字は同じなので北緯30度、経度は数字が合わせて180になるようにするので西経150度です。なので答えは2です。

(イ)について。都市Aはパリなのでフランスの産業について問う問題です。なのでここはEU内での国際分業について述べている2が答えです。1は「経済特区」とあるので中国、3は「サンベルト」の中の「シリコンバレー」のことなのでアメリカ、4は鉱産資源名(特にボーキサイト!)からオーストラリアです。

(ウ)について。これは資料の読み取りで、Xは各国の2017年の水力・風力・太陽光・地熱の割合の合計は、日本=11.3%、ブラジル=70.2%、フランス=15.9となり日本が一番低いので誤りです。Yは2011年の東日本大震災のときの福島原発事故によって、日本は原子力発電所をほとんど停止したので正しいです。なので3が答えです。また、各国のメインの発電方法に関しては以下を覚えておきましょう。

(エ)について。コーヒー豆・米・小麦の産出国の上位5カ国は以下です。

これを踏まえると、コーヒー豆の生産量の割合を表しているのは4だと分かります。ちなみにアジアの割合が高い1が米、ヨーロッパの割合が高い3が小麦、消去法で2がバナナとなります。バナナの上位5か国にアフリカ州はありませんが、バナナは熱帯地域で栽培されるのでアフリカ州でも多く生産されています。

(オ)について。都市Dは赤道付近なので年間を通して気温が安定していると考えられるので、その時点で1または2ですが、アンデス山脈に位置するため気温が10~15℃程度で安定していると考えられるので1が答えです。また、南半球の低緯度地域なので気温の折れ線グラフが微妙にV字型になっているところにも注目しましょう。ちなみに2は北半球の低緯度地域で熱帯に位置する都市(恐らく東南アジアのどこか)の雨温図、3は気温の折れ線グラフの形と夏に降水量が少ないことに注目して南半球の温帯で地中海性気候の都市(恐らく南アフリカ共和国のケープタウン)の雨温図、4は年間を通して降水量が少ないので乾燥帯の都市の雨温図です。

上位校を目指すのであれば、ここのノーミスで終わらせたいところ。(オ)は赤道の位置にだけ注目してしまい、2を選んでしまった受験生が多いようで□1の中では唯一正答率が50%を下回っています。また、(エ)のような農作物や鉱産資源の生産量ランキングは出来る限り多く覚えておきましょう。

 

問題ごとの解説□2

(ア)について。まずは第1次産業に含まれるの林業なのでZ。ちなみに産業については第1次産業は農業・漁業・林業などの自然から富を得る産業、第2次産業は建設業・製造業・鉱工業などの第1次産業で得た富を加工する産業、第3次産業はサービス業・金融業・商業などの第1次産業と第2次産業以外の産業です。次に資料の読み取りは、aは「第2次産業の就業者数」なので単純な割合ではなく、就業者数全体を踏まえて計算することが必要です。第2次産業割合だけなら富山県が最も高いですが、就業者数を踏まえて計算すると愛知県が最も第2次産業の就業者数が多くなります。なので消去法でbは正しいと判断できるので6が答えです。bは中部地方全体の就業者数の合計が1137.8万人となり、その県も第3次産業の割合が6割を超えているので、単純計算で1137.8万×0.6=682.68万人となるので正しいと分かります。

(イ)について。これは他県の入試でもよく見られる問題です。前提の知識として、長野は標高が高く涼しい気候を利用して、暑さに弱いレタスを夏の時期に生産することができ、他の地域と出荷時期をずらすことができます(=抑制栽培)。またこういった標高の高い地域で栽培されるレタスやキャベツは高原野菜と言います。今回は「適切でないもの」を選ぶので、答え2です。資料3から、長野からの出荷量が多くなっている6~9月は他の産地からの出荷量は減っています。

(ウ)について。1は2015年のすべての州からの外国人観光客数を足すと99350人で✕。2は2015~2016年にかけての北アメリカ、2018~2019年にかけてのヨーロッパ、2016~2017年にかけてのオセアニアは増加していないので×。3はアジアとオセアニアそれぞれの割合の増加を比べると、アジアは(67,113-33,499)÷33,499×100=約100%で、オセアニアは(170,739ー53,517)÷53,517×100=約219%でオセアニアの方が高いので〇。4はヨーロッパが明らかに2倍以上になっていないので×。3は計算が面倒くさいので、まずは1と2と4を先に考えるべき。

(エ)について。縮尺25000分の1の地形図の読み取りで、1は白馬大橋の西側にはある地図記号は針葉樹と広葉樹なので✕。2は町・村役場から見て消防署は北東なので✕。3は地点Pは西側に標高905mを示す数字があり、そこからの等高線(縮尺25000分の1の場合は1本あたりの標高の差は10m)の本数的におよそ標高750mなので✕。4は縮尺25000分の1の地形図の場合は4cmで1kmを表すので、8cmだと2kmで〇となるので答えは4です。

大問全体だと(イ)~(エ)は正答率が高く、志望校のレベルに関係なく落とせない問題です。(ア)のように「割合」が問われているのか、それとも「数」が問われているのかを設問から確実に読み取りましょう。

 

問題ごとの解説□3

(ア)について。「あ」は聖武天皇が奈良時代に行った仏教を重んじた政治のことで、直後に大仏とあるので東大寺となる。「い」は室町時代の加賀の一向一揆(1488年)のことで、一向宗とは浄土真宗のことなので、答えは4です。

(イ)について。平安時代~室町時代にかけての出来事の並び替えで、Ⅰはフビライ(=ハン)や北条時宗とあるので鎌倉時代の後半(元寇は1274年と1281年)、Ⅱは日明貿易(=勘合貿易)とあるので室町時代の前半(足利義満の時代で1400年ごろ)、Ⅲは平清盛とあるので平安時代の末期(平清盛が太政大臣になったのが1167年)でⅢ→Ⅰ→Ⅱとなり答えは5です。

(ウ)について。線①は古墳時代に渡来人が日本に仏教を伝えたことなので、古墳時代(538年または552年)以降の内容を選ぶ。1は稲作が伝来して広まったので弥生時代、2は大宰府は白村江の戦い(663)の直後なので飛鳥時代、3は邪馬台国の卑弥呼なので弥生時代、4は前方後円墳とあるので古墳時代(5世紀中ごろ)。なので答えは2です。

(エ)について。線②に「宗門改」とあるので、これは江戸時代の確立期の鎖国を始めたころの政策。1はオランダ商館が出島に移されたことで鎖国が完成した(1641年)、2はレザノフが来航したのは江戸時代の改革期(1804年)、3はポルトガルとの貿易(=南蛮貿易)が始まったのは16世紀半ばからなので主に安土桃山時代、4は田沼意次なので江戸時代の改革期(18世紀後半)。なので答えは1です。

(オ)について。資料に一遍とあるので鎌倉時代のものとわかる。設問にある「中世」とは鎌倉~室町時代を指す言葉。Xは調(特産物)や庸(布)を都に運んで収めたのは奈良~平安時代。Yは定期市とあるので鎌倉~室町時代。Zは諸般とあるので江戸時代。なのでYを選ぶ。次にaは臨済宗(栄西)や曹洞宗(道元)などの禅宗を幕府が保護したのは鎌倉時代。bは兵農分離とあり、豊臣秀吉による太閤検地のことなので安土桃山時代。なのでaを選び、答えは3です。

大問3は上手くキーワードを拾っていき、確実に時代判別をして解けば難しくありません。

 

問題ごとの解説□4

(ア)について。資料は日清戦争当時の風刺画で、このころ(19世紀後半)は産業革命が起こった欧米諸国を中心に資源や製品の市場を求めて植民地の獲得を目指した帝国主義が広まっていたので、1が答えです。ちなみに2のファシズムは第二次世界大戦時にドイツやイタリアで広がった軍部中心の独裁主義体制、3の民族自決は第一次世界大戦後にアメリカのウィルソン大統領が提唱した考え、4の冷戦は戦後にアメリカ中心の資本主義陣営とソ連中心の社会主義陣営による直接戦火を交えない戦争、5のルネサンスは14~16世紀にかけてヨーロッパで起こった文化運動、6の尊王攘夷は幕末の日本でおこった天皇を立てて、外国勢力を追い払おうとした考え。

(イ)について。資料は朝鮮を巡る日本と清の対立(日清戦争の直前)を表しているのでaとdが正しいと分かるので、答えは2です。

(ウ)について。Ⅰは真珠湾攻撃直後なので1941年、Ⅱはアジア・アフリカ会議なので1955年、Ⅲはベトナム戦争なので1960年代で、Ⅰ→Ⅱ→Ⅲとなるので答えは1です。

(エ)について。19世紀半ば~後半は明治時代なので、明治時代の日本と欧米諸国の関係についての選択肢を選ぶ。1は当時日本には日米修好通商条約(1858年)の内容で関税自主権がなかったので×。2は日本で成人男性による普通選挙が実現したのは1925年の普通選挙法なので✕。3は第一次世界大戦とそれに伴う大戦景気のことで1914~1918年にかけてなので✕。4は明治時代後半の不平等条約の改正に関する動きなので、4が答えとなります。

(オ)について。まずはそれぞれの期間を明確にする。「イギリスが、香港を植民地とし…」はアヘン戦争(1840年)のあとの南京条約(1842年)、「日本で自由民権運動が活発になった」のは民撰議院設立の建白書が提出された1874年以降、「ロシアで革命がおこった」のは1917年、「サンフランシスコで、講和会議が開かれた」のは1951年、「ドイツのベルリンを分断していた壁が取り払われた」のは1989年。これを踏まえて、1のはじめての衆議院議員選挙は1890年なので✕。2の治安維持法制定は1925年なので✕。3の農地改革はGHQによる民主化政策(1945~)なので〇。4の自衛隊がはじめてPKOでカンボジアに派遣されたのは1992年なので✕。

ここはまずは年代暗記を徹底しましょう。また用語の意味だけでなく、それに関連する出来事や時期、そして資料に関しても教科書に載っているものはおさえておきましょう。

 

問題ごとの解説□5

(ア)について。「あ」は直後に無形文化財とあるので、世界遺産の登録・管理などを行うUNESCOを選ぶ。UNICEFは世界児童基金で恵まれない子供たちの支援をする機関、WHOは世界保健機関で感染症対策などを行う機関、IAEAは国際原子力機関で原子力の平和的利用をすすめる機関。「い」は米の生産量がなどが下がった時のために行っているのが米の備蓄なので、生産量が下がるということは需要量に対して供給量が減ることなので空欄の後ろにつながるように「需要量が供給量を」を選ぶので、答えは1です。

(イ)について。1はクレジットカードは後払いのシステムなので✕。2は紙幣(日本銀行券)を発行する権限を持っているのは日本銀行なので✕。ちなみに日本銀行の役割は「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」の3つです。3は円高のことで、円高の際は「日本企業にとっては輸入が有利」「日本人の海外旅行者が増える」ことを覚えておくべきなので✕。4は貨幣の役割は「価値の尺度」「価値の保存」「交換手段」の3つで、「価値の尺度」のことなので〇。なので答えは4です。為替相場の円高・円安については、以下を覚えておきましょう。

(ウ)について。 1は日本の企業の99.7%は中小企業なので✕。ちなみに従業員は約70%が中小企業、売り上げは中小企業と大企業で50%ずつくらいです。2は企業には公企業と私企業とがあり、国や地方公共団体が運営するのは公企業なので〇。3は企業同士の競争が激しくなると、価格競争になりやすく商品の価格は下がるが、逆に企業同士の競争が弱まると商品の価格は上がりやすくなる(=一部の企業が一方的に決める独占価格になりやすい)。4は労働条件の基準について定めたのは労働基準法なので✕。労働組合は、団結権・団体交渉権・団体行動権といった労働者の権利を具体的に保障した法律。

(エ)について。Xは、予算の議決は国会の仕事なので✕。Yは、不景気の時の財政政策(政府による景気調整のための政策)は公共事業への支出を増やすことや減税なので✕。Zは、累進課税は所得税などに採用されている、所得が高い人ほど税率が高くなる制度。これにより所得の再分配(=所得格差を埋めること)をするので〇。なので答えは7です。日本銀行による金融政策と政府による財政政策についての基本は以下です。

(オ)について。aは1960~1965年の輸出量はほぼ変化なしなので✕。dは1970~1975年の間に70万トンを上回っているので×。fは2000年の輸入量と輸出量の差はおよそ40万トン、2005年の輸入量と輸出量の差はおよそ80万トンで2010年の方が差が大きいので×。なので答えは5です。

全体的に易しめなので、ここも上位校を目指す生徒はノーミスで行きたいところですね。中堅校を目指す子も難易度的に(エ)以外は極力正解しておきたいですね。

 

問題ごとの解説□6

(ア)について。臓器提供意思表示カードは自己決定権に関するものなのでbを選ぶ。また資料2の□1の内容からdを選ぶ。なので答えは4です。cに関しては、資料3から本人が拒否を意思表示していた場合でも臓器を提供できるとは書いていないので×。

(イ)について。憲法改正の発議は、国会で各議員の総議員の3分の2以上の賛成が必要。さらにそのあとの有権者による国民投票では、有効投票の過半数で改正となる。なので答えは8です。また、国会と内閣の仕事は以下を覚えておきましょう。

(ウ)について。1は犯罪行為について検察が警察と協力するのは刑事裁判なので✕。2は「国政における行政の長」とは国務大臣のことで、これは内閣総理大臣が任命するので×。3は国会による弾劾裁判のことなので〇。このほか、裁判官が辞めさせられるのは国民による最高裁判所裁判官の国民審査のみである。4は、被選挙権については参議院議員選挙と知事選挙が30歳以上で、その他の選挙は25歳以上なので✕。

(エ)について。1は「加盟国数÷非常任理事国数」で計算すると、西ヨーロッパ・その他が15を上回っていないので×。2は第二次世界大戦における枢軸国側とは日本・ドイツ・イタリアの3か国。それに対して「常任理事国」はアメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリスなので〇。3は「常任理事国」の1か国でも反対すると決定できないのが拒否権なので✕。4は「常任理事国」は5か国、「非常任理事国」は10か国で計15か国。それに対して加盟国数の合計は193か国で1割を上回っていないので×。

ここも基本的な知識と資料の読み取りのみなので正答率もすべて50%以上となっています。(イ)は選択肢の数が多い分、□6の中でも最も正答率が低くなっていますので中堅校を目指す子はここが取れるかどうかで周りと差がつくでしょう。(エ)の安全保障理事会やその拒否権に関する問題は頻出問題なので必ず知識としておさえておきましょう。

 

問題ごとの解説□7

(ア)について。「あ」はスエズ運河が結んでいる海の名前なので、世界地図の中で略地図1がどの部分に当たるのかを確認し、地中海と判断します。また、航路に関しては日本との間で考えるとアフリカ南端を回る方が自然です。なので答えは3です。また、ヨーロッパ周辺の海や世界の運河については以下を確認しておきましょう。

(イ)について。ここはキーワードを拾っていっての年代判別で解きます。Ⅰは第四次中東戦争とあるので石油危機(オイルショック)を思い浮かべて1973年。Ⅱは第一次世界大戦なので1914~1918年。Ⅲは岩倉使節団とあるので派遣されたのが1871年(帰国したのは1873年)。なのでⅢ→Ⅱ→Ⅰとなるので、4が正解です。

(ウ)について。まず a は2010年に対する2019年の割合なので、(2019の数値÷2010の数値)×100で計算し、アフリカはおよそ27.4%、東南アジアは約74.6%となるので東南アジアの方が大きいので×。ただし、ここはわざわざ計算せずとも数字だけを見て東南アジアの方が明らかに大きいと判断したいところ。b は要は2010~2012年の3年間で東南アジアの数値が世界計の半分を上回っているかどうかを見ればよいので、ここは明らかにどの年も下回っていると分かるから✕。c は b と同じような見方で2013年~2019年の7年間でソマリア周辺地域の数値が世界計の10分の1未満になっているかを見ればよいので、ここは明らかにどの年も下回っているので〇。d は2011年から2012年にかけてソマリア周辺地域の数値は237→75で減少値が165であるのに対して、世界計は439→297で減少値が142となり、世界計よりもソマリア周辺地域の方が減少値が大きいので〇。よって5が正解です。ちなみに e は2015年から2016年にかけてのマラッカ・シンガポール海峡をのぞく東南アジアの数値は133→66で減少値は67であるのに対して、世界計は246→191で減少値が55となり、世界計の方が減少値が大きいため✕です。

(エ)について。これは一問一答的な問題で、世界的な流れとしてかつては「他国からの攻撃や侵略を防ぎ、国家の独立を守ろうとする考え(=国家の安全保障)」が主流でしたが、近年では「一人ひとりの人権や生活を守ろうとする考え(=人間の安全保障)」の考えが広がっています。なので正解は1です。ちなみに2の「公共の福祉」は社会全体の幸福のことで、これによって一部の人権は制限されます。3の「法の下の平等」は日本国憲法の第14条に規定されている平等権に関する文言です。4の「循環型社会」は3R(リサイクル、リユース、リデュース)を徹底する社会のことです。

ここでも大問全体として正答率がすべて50%を超えており、上位校を目指す子はノーミスで行きたいところ。中堅校を目指す子は、(ウ)の資料の読み取りで多少手こずるかもしれませんが、その他は確実に取っておきたいですね。

 

最後に

2023年度(令和5年度)や2024年度(令和6年度)に比べると、難易度が低いので比較的高い点数が取れた子が多いのではないでしょうか?県の教育委員会の発表によると、91点~100点を取っている受験生の割合が全体の15.4%なので、トップ校および偏差値高めの2番手(市立金沢や横浜平沼などの高校)志望の子は9割を確実に取っておきたいですね。ちなみにこの年のフォルテ生の平均は80.4点でした。

今回は以上です。ではまた!

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5期生ストーリー④

こんにちは。フォルテの理系講師の佐々木です。

今回は5期生の一人ひとりにフォーカスして、主に我々目線からの志望校合格までの話を書いていく第4弾となります。

※第1弾はこちらです。

※第2弾はこちらです。

※第3弾はこちらです。

 

小6の終わり頃に入塾

今回紹介する男の子は、姉の友達がフォルテに通っていて、そこでフォルテの評判を聞いて体験→入塾となりました。それが小6の3月でした。

彼が来て初めの頃の印象は、野球をやっていて礼儀正しく、やるべきことはそつなくこなすタイプである反面、国語の長い文章の読解や数学の難易度の高い問題をじっくり考えて解くのがやや苦手な印象がありました。特に国語の文章読解力に関しては最後まで苦労することになりました。

 

抜群の安定感を誇る理社

彼が中1の夏頃に受けた模試の結果は、5科目総合で50台中盤くらいでした。内訳は理社が偏差値60を超えている反面、国語は偏差値50にも届いていない状態でした。ただ、少しずつ努力を重ね、中2の終わり頃には英語も60台にのせて社会は偏差値70近くまできていました。ただ、国語と数学が偏差値50台(それでも国語は1年時と比べるとだいぶUP)だったため、5科目総合偏差値で60を少し超えるくらいでした。

ちなみに2年次に彼が模試の際に志望校にしていたのは柏陽、緑ヶ丘、市立金沢でした。個人的にはこのままいけば市立金沢は何とかなりそうだけど、柏陽や緑ヶ丘は中3で内申も偏差値も相当伸ばさないと厳しいなと感じていました。

 

驚愕の志望校変更

彼が志望校に対して意識するようになったのは中3の夏頃で、柏陽か緑ヶ丘に行きたいとのことでした。ただ、具体的にこの学校に必ず合格したいというよりは、このレベルの学校に受かりたいなという漠然としたものでした。

そして、中3の内申を大きく左右する11月のテストが近づいて来たある日、私は彼に話しかけました。

私「最近かなり気合入ってるね!」

彼「志望校を翠嵐にしようと思って頑張っています。」

私「えっ???」

彼「10月に翠嵐の説明会にいき、みんなで切磋琢磨できる環境にひかれました。」

とのことでした。内申、5科目の偏差値、特色検査の偏差値のどれをとっても相当厳しい状況であることは分かり切っていました。ただ、目標を定めて必死に頑張っている姿を見ると応援したい気持ちになり、「まずは内申と12月、1月の全県模試で頑張って、届きそうだったら翠嵐目指して頑張ろう!」と言いました。最終的には定期テストや提出物等を頑張りにより、中3の内申は中2の学年末から4上がりました。ただ、それでも翠嵐や柏陽の内申の合格基準までは5~7くらい足りない状況でした。そして、最後の全県模試である1月の模試で理社はキッチリ偏差値70台をキープ(特に社会は一番安定していて70台後半が常にとれている状況)し、やや不安だった数学も偏差値68と好成績だったのですが、1番の懸念材料である国語が振るわず、5科目総合偏差値で70は突破しましたが、翠嵐を受けるには相当厳しい状況でした。そして、一度は翠嵐高校を志望校として出したものの、最終的には本人と保護者の方が様々な状況を考慮したうえで志願変更をして柏陽に決定しました。ただ柏陽に関しては偏差値的には合格基準偏差値には届いたものの、内申や特色検査の偏差値で下回っていたため、個人的な体感としては合格確率は4割~5割くらいだと感じていました。それでも彼は入試までの残り数週間で少しでも合格確率を上げるために、平日も休日も関係なく毎日フォルテに来て、ひたすら授業と自習にのめりこんでいました。もちろん、フォルテの5期生の中でも塾の滞在時間はトップでした。

 

完璧な解き直し

今振り返ると、中学1,2年の頃の彼は、分からない問題は解説をさほど読み込むこともなく質問に来ることが何度かありました。その際には必ず「解説をしっかり読んだ?」と聞きましたが、「読んだけど分かりませんでした。」とのことでした。

私個人の感覚としては、ある程度の計算力と、それぞれの単元で良く出る典型的な問題をきっちり解けるようにすれば、偏差値60台前半か中盤までは到達すると考えています。ただ、偏差値60台後半から70を超えるようになるには、自分の頭でしっかり考えて、分からない問題に関しては解説を丁寧に読み込んで理解する力が必要となります。そのため、ある程度数学のレベルが上がってきても、分からない問題が出てきた時になぜその答えになるのかをきちんと考えようとしないと、ある一定のラインで数学の伸びは頭打ちとなります。

ただ、彼の良いところはとても素直で言われたことを貪欲に吸収しようとするところです。そのため、こちらが辛抱強くアドバイスし続けた結果、中3になる頃には難しい問題の解説もしっかり読みこんで理解出来るようになり、中3の5月の全県模試で数学の偏差値も60台中盤まで上がってきました。特に意識が高くなってきたと感じたのが、解き直し専用のノートを活用し始めたことです。授業や宿題、模試などで間違えた問題を全てそのノートに書き記していました。こういったノートを作る生徒は他にももちろんいますが、特筆すべきはそのノートに書いた問題は全て出来るようにしていたことです。例えば神奈川県の公立入試の数学で、正答率が数%と極端に低い図形の問題に対しても、数日後や数週間後にその問題の類題を出すと完璧に解けるように仕上げてきていました。その時に、「良くこの問題解けたね!」と言うと、「この問題は難しかったので5~6回は解き直して出来るようにしました!」との答えが返ってきました。これこそ伸びる生徒の典型だと思います。こういった生徒の成長した姿を見られる塾講師という職業は控えめに言って最高です!

 

入試の各科目の手ごたえ

入試当日の各科目の彼の感想を聞くと、

英語⇒出来なかったから切り替えて次の科目に臨もう。

国語⇒ある程度とれた感触がある。

数学⇒簡単だと思った。

理科⇒難しかった。

社会⇒難しかったけど、自分ができなければ周りも出来ないと思った。

特色⇒難しかったが、これが終われば受験から解放されると思い、楽しんで解けた。

という感想でした。実際には難しいと言っていた社会は9割を超えていて、英語、数学、理科も8割以上とれていました。国語はもう少し欲しいところでしたが、想定の範囲内でした。翌日行われた特色検査も高得点とはいかないまでも、取るべきところからしっかり取って、及第点と言ったところでした。

今年の入試は昨年より難化した科目が多く、本人としては思った通りの点数には届かなかったため、自己採点後は落ちたと思っていたとのことでした。そして、運命の合格発表当日、「合格の二文字を見た瞬間、脳汁ドバドバで、つらい時期を乗り越えてきて本当に良かった」と話してくれました。また、合格した瞬間の両親の様子を聞くと「母は合格を聞いて安心していて、父は自分よりも嬉しそうだった」とのことでした。

 

最後に

今年もフォルテ生は皆頑張ってくれました。もちろん5期生ストーリーで紹介した4人以外も、みなしっかりと努力を継続し、成長を遂げてくれました。

彼に関して言うと、中3の夏前までの様子では柏陽高校の合格はかなり厳しい状況でした。ただ、努力を重ね、着実に力を付けていくことで、模試でも合格圏内の判定を出すことが出来るようになりました。特に解き直しの精度は過去のフォルテ生を含めてもトップクラスでした。

入試後に、勉強していく上で何が一番重要だと思うかを彼に聞いたところ、「解き直しが一番重要で、答えを覚えるのではなく、理屈や根拠をしっかりと覚えることが大事」だと語ってくれました。まさにその通りだと思います。

また、お子様が受験勉強を始めてから合格されるまでの間に何か印象的なエピソードがあるかをお聞きしたところ、「ある時期から、勉強以外の欲望となるもの(スマホ等)を自分から話すようになった」とのことでした。保護者の方々の前で受験体験記を本人に話してもらったときにも、「夏に必要最低限のアプリ(連絡ツールなど)以外はすべてアンインストールした」と話しており、それを聞いていた保護者の方々も大いに感銘を受けていました。これは頭では分かっていてもなかなかできることではありません。やはり高校受験という大きな壁を乗り越えるには、自分にとって時間が奪われるものをいかに制御できるかがとても重要だと思います。

最後に彼に聞きました。

Q.『フォルテとはあなたにとってどんな場所?』

A.『家と同じくらい安心できる場所。』

改めて合格おめでとう!

今回は以上です。ではまた!

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令和7年度(2025年度)の神奈川県公立高校選考基準について

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、現中3生の公立高校の入試制度の変更に関する話です。

 

2024年度からの入試制度

現高1生の入試(2024年度入試)から、神奈川県の公立高校の入試制度は大きく変わりました。主な変更点は以下です。

①全校一律での面接廃止
→一部の高校のみ特色検査として面接を実施。
(近隣の高校では、舞岡高校上矢部高校横浜商業[国際]商工)のみ

②2次選考に調査書の「主体的に取り組む態度」を採用
→これにより、入試当日の学力検査の点数だけでは合格が難しくなりました。

③出願・受験料の入金・合格発表がウェブに移行
→初年度ということで様々なトラブルが発生しました。ただ、その反省を活かして2025年度は様々なシステム改善がされるでしょう。

※2024年度についてはこちらをご参考ください。

 

内申と学力(と特色検査)のそれぞれの比率【1次選考】

そして先日、神奈川県の教育員会から令和7年度入試における、各高校の選考基準が発表されました(正式な資料はこちら)。主な高校と近隣の高校の一覧は以下です。ほとんどの高校は2024年度の比率を継続する形になっています。

※各高校は、以下の基準で定員の9割を選考します(これを1次選考と言います)。

【内申3(300点分):学力7(700点分)】

横浜翠嵐【特色3(300点分)】
柏陽【特色2(200点分)】
横須賀【特色1(100点分)】
横浜サイエンスフロンティア【特色2(200点分)】
神奈川総合[個性]
市立金沢
市立桜丘
大船

→この場合、内申1ポイントは学力検査の1.59点分に相当します。

 

【内申4(400点分):学力6(600点分)】

湘南【特色2(200点分)】
横浜緑ケ丘【特色2(200点分)】
希望ヶ丘【特色1(100点分)】
神奈川総合[国際]【特色2(200点分)】
横浜国際【特色1(100点分)】

追浜
横須賀大津
横浜栄
横浜氷取沢
横浜清陵
市立南
七里ガ浜

→この場合、内申1ポイントは学力検査の2.47点分に相当します。

 

【内申5(500点分):学力5(500点分)】

光陵【特色1(100点分)】
横浜平沼【特色1(100点分)】
戸塚
港北
みなと総合
岸根
横浜商業[商業]
横浜商業[国際]【面接2(200点分)】
NEW!横浜商業[スポーツ]【特色5(500点分)】
舞岡【面接3(300点分)】
横浜立野
横浜南陵
横須賀総合
金沢総合
逗子葉山

→この場合、内申1ポイントは学力検査の3.7点分に相当します。

ここで注目なのは、同じくらいの偏差値帯の高校でも、選考基準の比率が大きく異なっていることです。例えば、横須賀高校と光陵高校はどちらも偏差値が65前後(伸学工房のデータより)でともに特色検査を実施している高校ですが、上記の通り横須賀高校は【内申3:学力7:特色1】で、光陵高校は【内申5:学力5:特色1】と比率が全く異なります。

受験生が自分の受ける高校を決めるポイントとしては、各高校を見学したときの印象や高校でやりたいこと(勉強や部活動などなど)や制服などが真っ先に思い浮かぶでしょう。しかし、実際の合否を考えると、今回ご紹介したような各高校の選考基準も無視できません。

上述の横須賀高校と光陵高校であれば、(高いレベルの中で)内申点にはそこまで自信がないけど入試の点数には自信があるようなタイプの子は横須賀高校、逆に内申点には自信があるけど入試の点数にはそこまで自信がないようなタイプの子は光陵高校をそれぞれ受けた方が、自分の長所を生かすことができるため、その分合格する確率が上がるでしょう。

また、2025年度から横浜商業(スポーツマネジメント科)の比率が変更になっています。2024年度は【内申4:学力6:特色3】だったのが、【内申5:学力5:特色5(!)】となっています。ここまで極端な比率になると、模試での合格判定は少し当てにならないかもしれません(特色の実技が合否に大きく影響するため)

このほか、細かい変更点で横浜氷取沢高校は2024年度までは内申の英語の数字を重点化して2倍でカウントしていましたが、それが2025年度からはなくなりました

このように各高校の選考基準は、受験校選びの1つとして参考にしてほしい大切な要素の1つなのです。

 

内申と学力(と特色検査)のそれぞれの比率【2次選考】

各高校は、まず1次選考の基準で受験生を順位付けして募集定員の9割分の人数を合格者として選びます。そのあと、残りの受験生を2次選考の基準で再度順位付けして募集定員の1割を合格者として選びます。ちなみに合格者には、自分の合格が1次選考での合格なのか、2次選考での合格なのかは知らされません。

以前までは、入試当日の学力検査の点数と当時行われていた面接の点数で2次選考が行われていました。それが前述のとおり、2024年度からは調査書の「主体的に学習に取り組む態度」も2次選考の対象になりました。

2025年度の入試の2次選考における比率で、最も多いのが【学力8(800点分):主体的2(200点分)】です。次いで、【学力7(700点分):主体的3(300点分)】の比率が高くなっています

こう見ると、学力検査でほとんど合否が決まるかのように思いますが、調査書の「主体的に取り組む態度」は中3の9教科のみが対象なので、1教科あたりの影響力は非常に大きいです。なので、意識として大切なのは「主体的に取り組む態度」は絶対にA〇またはAを取ることです。特に偏差値の高く競争率の高いは9教科の「主体的に取り組む態度」の中にA〇またはAの子ばかり受けるでしょうから、1つでもBなどの評価があればそれが大きなマイナスになってしまいます。日々の積み重ねを大切にしましょう!

今回は以上です。それではまた!

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5期生ストーリー③

こんにちは。フォルテの理系講師の佐々木です。

今回は5期生の一人ひとりにフォーカスして、主に我々目線からの志望校合格までの話を書いていく第3弾となります。

※第1弾はこちらです。

※第2弾はこちらです。

 

入塾時からまじめにコツコツ

今回紹介する女の子は、小6の秋頃にフォルテに入塾した生徒です。入塾した理由は友人に誘われたことと、そしてそれまで通っていた個別指導塾にあまり満足していなかったからとのことでした。

入塾時のフォルテの印象を聞くと、周りの内部生の計算の速さに驚いたとのことでした。ただ、入塾当初からコツコツと努力をし、各月の月末に行っている小学生の確認テストでは一緒に入塾した友人と共に常に良い成績を収めていました。この友人はこちらの子で、模試でも同じくらいの実力で、最後までよきライバルとして共に切磋琢磨しながら成長し続けていきました。

 

弱点をつぶし、苦手科目をつくらない工夫

入塾当初からコツコツと努力をし、中1の冬頃の全県模試ですでに5科目総合偏差値が60に達していました。ですので、この調子で努力を継続していけば特色検査のある学校にも十分に受かる力がついてくると感じていました。そしてその予想通り、学年が上がるにつれて偏差値も伸び、中2の冬頃には偏差値が65まで伸びました

しかも彼女の強みは苦手科目がないオールラウンダーであることです。ちなみに、最初から苦手科目がなかったわけではありません。彼女は模試の度に出来ない単元があったら、それを早めにつぶして次の模試に臨みということを愚直に繰り返していきました。その結果、苦手になる前にその要素を排除していったため常に安定して好成績をとることができていました。具体的には、『数学の二次関数の単元が弱いので、何をやったら良いか教えてください』とか『理科の天体が模試でとれていないので、天体の単元のプリントを下さい』といった具合です。しかもその際に『数学のテキストの〇ページから〇ページまでをやってごらん』とか『この天体のプリント5枚を1週間以内に全部終わらせよう』と言った指示をするとだいたい2~3日で全て終わらせて、『先生、全部終わりました!』とやり終えた課題を笑顔で見せに来てくれました。このような地道な努力の甲斐があり、中3での全県模試の偏差値は67~69という常に高い状態をキープし、最後の1月の全県模試で偏差値70に到達しました

また、学校の定期テストでも同じような努力を積み重ね、中1の終わりで4と5が半分くらいずつあり、中2・中3ではオール5に近い成績を収め、最終的に内申の合計が130を超える(内申の最大は135)結果となりました。内申に関してどのように高内申を勝ちとったのかを彼女に聞いたところ、定期テストに関しては塾の宿題をちゃんとやっていればきちんととれるので、宿題を頑張ったとのことでした。ここで大事なのは、宿題の精度です。ただ単純に宿題を終わらせるのではなく、間違えた問題はしっかり解き直しをして出来るようにすることが大事です。また、提出物は社会の振り返りとかが大変だったが、他の人よりもやる量を増やしてやる気をアピールした、とのことでした。学校の提出物でも、ただ期限内にやって出すだけでは良い評価は得られません。先生から見て、『この子は凄い頑張ってるなあ。』と思われるようなアピールをすることが大事です。このようなプラスアルファのアピールがしっかり出来ている生徒は『主体的に学習に取り組む態度』で高評価を得られやすいです。

 

悩みに悩んだ志望校

中2の頃の模試時の彼女の志望校は、桜丘高校(全県模試偏差値59)や横浜栄高校(全県模試偏差値54)でした。ただ、その後順調に成績が上がっていったため、中3に上がる頃には希望ヶ丘高校(全県模試偏差値65)も志望校に加えるようになりました。そして中3の9月頃には希望ヶ丘高校と桜丘高校の2つに絞り、そこから冬頃まではかなり悩んでいるようでした。ただ、12月上旬に受けた模試を返却するころには桜丘高校に傾いていました

そこで、こちらからも志望校に関してアドバイスをしました。基本的にはフォルテでは無理に志望校を上げるようなことはしません。ただ、彼女の内申と模試の偏差値を考えると、希望ヶ丘高校も十分受かる成績だったため、先の大学受験のことも考えて希望ヶ丘高校を勧めました。その後悩みつつも、冬期講習中には本人が希望ヶ丘高校を受験校にすることを決めていました

ただ、入試前の最後の全県模試(1月)のあと、フォルテの授業内に行った神奈川県の公立入試の追検査の理科や神奈川プレ模試での理科の不調などで再び志望校に迷いが生じたようです。悩んだ末に彼女が覚悟を決めて希望ヶ丘高校に最終決定したのは、中学校に志望校を書いて提出する日の朝でした。

この12月から1月にかけては、それまで以上に保護者の方とも色々とやりとりをしました。彼女自身があまり塾での話を自分から家で話すタイプではないので、保護者の方は家庭での彼女の様子からそこまで根詰めて勉強している様子を感じていないようでした。ただ、彼女は11月ごろから秋からにギアを入れ変えて頑張っていました。授業がない日も自習に来る日が増え、また授業がある日も早く来て自習をしたり、授業後に残って自習をすることも多くなりました。そもそも彼女については、中3になる前の段階から「スマホを使う時間が長い」という相談は受けていました。中3になってからも同様の相談(というか嘆き?)もありました。なので、フォルテにいる時間以外はそこまで勉強時間は撮っていないだろうということは想像できていました(それでも宿題をやってこないなどは一度もありませんでした)。

そこで、こちらからは塾での最近の頑張りや現状での成績から合格の可能性がどれほどあるかを過去のデータを用いて細かく伝えました。その上で「本人の意思を尊重する」という方針に落ち着きました。ただ、入試の約1カ月前のやりとりで保護者の方からのLINEの中で気になる一文がありました。

〇〇(生徒名)は、とんでもない事を起こすタイプなので、心配は残りますが、悔いの残らないような選択ができるように応援していきたいと思います。

我々からすると、内申的にも模試の成績的にもかなり合格可能性が高い判定が続いていましたし、こちらから見るとメンタルが弱いタイプにも思えなったので、これは保護者の方の杞憂ではないかと高をくくっていました。しかし・・・。

 

本番当日→自己採点での衝撃

彼女は極度の緊張で本番を迎えます。そして、最初の教科の英語。過去問や模試では8割~9割をコンスタントに取っていましたが、緊張感からか力が発揮できませんでした。そこから焦りもあり、5教科のうち実に3教科で明らかに今までのような手ごたえを感じることができませんでした

その日の夕方、フォルテに来てもらって自己採点を行いました。他の生徒たちが続々と点数を記入して見せに来る中、彼女はなかなか見せに来ず、こちらから声をかけても点数を隠してかたくなに見せようとしませんでした。もちろんその段階で思った点数がとれなかったことは容易に想像出来ました。だいぶ遅れて見せに来た時の点数は5科目合計で普段の彼女の実力よりも30点くらい低い点数でした

ただ、内申でのアドバンテージや翌日に控えている特色検査の結果次第で合格を勝ちとれる可能性はあったので、励ましつつ翌日の特色検査で実力を出し切るよう伝えました。また、それでも心配だったので、保護者の方に電話しました。すると、彼女はやはり入試の点数については家族に何も言わずに自室にずっとこもっていました。家族からしてもとても声をかけられる様子ではないとのことでしたので、「明日出かける前で構いませんので、諦めるような状況ではないから最後まで希望を捨てずに前向きに頑張るようにお伝えください。」と言い、電話を切りました。

まさに保護者の方の言う、「とんでもない事を起こすタイプなので」というのが現実のものとなってしまいました。保護者の方の子どもへの理解度の深さに感心するとともに、我々の理解度の浅さを痛感しました

 

運命の合格発表

そして、合格発表当日を迎えます。ここまで彼女の心境としては、「(公立に)落ちたと思っていたから、私立でどこの部活に入ろうか考えていて、母も、私立の制服をつくりに行こうとしていた。」とのことでした。

そして、結果を自分で見るのが怖かったので、母の携帯電話で見てもらいました。すると、母が画面を見ながら嬉しそうな顔をしていたので合格したんだと悟りました。この段階で彼女自身は、自分が合格した嬉しさよりも本当に受かったのか?という驚きの感情の方が勝っていました。そして電話で我々に合格を報告してくれました。

受験時に注意してもらいたいことは、たとえ自分ではダメだと思っても最後まで希望を捨てずに全力でやり抜くことです。午前中の英国数で失敗しても午後の理社で巻き返せば十分可能性はありますし、5教科終了して自己採点の結果が低かったとしても、その年の入試の難易度や他の受験生の状況次第で大きく変わるからです。特に特色検査のある学校は、翌日の徳直検査でも逆転できる可能性があるのでなおさらです。別に1番にならなくても合格最低点に届いてさえいれば、同じ合格になります。

 

最後に

彼女に限らず、5期生のみんなは本当に頑張ってくれました。5期生全体としては内申や偏差値に余裕がある生徒と、内申や偏差値に余裕がなく本番の点数次第の生徒が半々くらいでした。その中でも彼女は前者の方に入っていたのですが、入試本番では何が起こるか分かりません。彼女の場合は入試では思うような点数がとれなかったものの、しっかりとした実力があったからこそ崩れた中でも合格に滑り込む点数が取れたのだと思います。そして何より3年間頑張って積み上げてきた内申がかなり効いていました。やはり内申がしっかりとれているかどうかは本当に大きいと改めて感じました

また、お子様をサポートする上で、保護者の方が意識されたことをお聞きしたところ、「睡眠不足にならないように早く寝るように声をかける事と、風邪を引いたり免疫力が低下したりしないよう食事面にも気を配るようにした」とのことでした。やはりご家族の支えがあってこその合格だとしみじみと感じ入ってしまいました。

 

最後に彼女の聞きました。

Q.「フォルテとはあなたにとってどんな場所?」

A.「仲間と高め合える場所。」

改めて合格おめでとう!

 

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

5期生ストーリー②

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

ここでは、5期生の一人ひとりにフォーカスして、我々から見た様子や印象に加えて、本人の談話に基づいて志望校合格までの話を書いていきます。今回が第2弾です。

※第1弾はこちらです。

 

今回紹介する女の子について

今回紹介する女の子は、一言でいうと「とても要領が良くて、負けず嫌いな子」という印象です。フォルテに入塾する前から学校の成績はオール5に近く、内申をとるコツについて聞いてみても「授業を真面目に聞いていれば、普通に理解できるので。」というような子です。そして入試で最も重要な中3の12月の内申では見事オール5(9教科で45)を獲得しました。

ただ、ある程度の要領の良さはあったにしろ、中学校の成績で技能科目も含めてすべて5を取るのは決して簡単なことではありません。そこには彼女なりの工夫や努力があったであろうし、その片鱗はフォルテでの様子を見ていても十分感じられました。

 

中3の春に入塾

彼女が入塾したのは中3の春でした。元々本人は塾に通うつもりはなかったようですが、保護者の方から「レベルの高い高校を目指すのであれば塾に入った方が良いのでは?」というアドバイスがあり、またフォルテに通っている同じ部活の親友(こちらで記事で紹介した子)が先取りの勉強をしている姿に少しを焦りを感じてもいました。

ただ、それでも当初の入塾意思はそれほど高くなく、事前面談の際にも入試対策講座や合宿などのオプション講座のみの参加にしようかと迷っている様子でした。そこでとりあえず体験に参加してもらい、そこでじっくり考えてもらうように伝えました。このようにフォルテでは、本人意思の低い子に対してこちらから入塾を強く勧めることはありません。というのも、特にフォルテに通う中学生はみんなメチャクチャ頑張る子たちばかりなので、そこにやる気の低い子が入ったところでついていけないと思うからです。そんなの本人が苦しいだけです。

そして、2週間の体験後に本人が入塾を希望したため、こちらも一緒に頑張ろうと伝え、歓迎しました。そして、先に紹介した親友の存在は彼女にとって大きく、実際に二人はお互いを尊敬しあっていて、まさに理想的なライバル関係といった感じでした。

 

志望校が決まるまでと受験生としての自覚

彼女が志望校を決める上で最も重視したことは「校風が自由であること」でした。神奈川県の公立高校は、偏差値が高い高校ほど案外校則が緩かったり、生徒主体で行事ごとを進めたりするので、校風が自由な場合が多いです。

その中で彼女が気に入ったのが希望ヶ丘高校でした。立地的には電車の乗り換えも必要で、決して通いやすい距離・場所ではありませんでしたが、中3の夏に行われた説明会に参加し、他に比べて自分が求める自由さがあることや自分の実力的にも十分合格が狙えるレベルの高校であることから決めました。

そして、この夏は彼女が受験生として、初めて本気度を感じたタイミングでした。というのも夏期講習中、フォルテでは中3生は午後1時から授業開始でしたが、彼女は毎日朝の9時から自習に来ていました。これによって理社の復習が大幅に進み、8月の全県模試ではその成果が顕著に表れていました

彼女自身、「もしかしたらこの夏が一番頑張った時期かもしれない」と言っていました。そして、その頑張りが成果として出たことが彼女にとって大きかったことでしょう。秋から冬にかけても精神的に追い込まれることはなかったと言います。ただ、疲れたときやちょっとキツイと思った時は大好きなスイーツを食べて息抜きしていたようです。

 

入塾後の急成長

入塾前から学校の成績が抜群だっただけあって、入塾直後に受けた全県模試でも英語と数学は偏差値60を優に超えていました。一方、中1・2の内容がメインの出題範囲である理社は偏差値50台と大きな課題で、5教科総合では偏差値61でした(全県模試のデータによると、2023年度入試で希望ヶ丘高校に合格した子の平均偏差値は65.2)。ちなみに彼女に限らず、中3まで塾に通っていない子で中1・2の理社内容がしっかり定着しているという子は私の経験上ほぼいません。

そこから持ち前の要領の良さとまっすぐな努力でメキメキと伸びていきいます。入試前最後の全県模試(1月号)では、苦手だった理社で社会は偏差値75(!)、理科は偏差値69まで上がりました。そして、5教科総合での偏差値も自己最高の69を記録しました

学校の成績からもわかる通り、入塾前から勉強に対する姿勢や知識の土台がある程度できていた彼女だからこそ短期間でここまで実力が伸びたのでしょう。実際に彼女も、フォルテに入塾してから「学力がめっちゃ上がった。勉強量が増え、その質も良くなった。」と言っていました。

そんな彼女が受験勉強で最もやっておいて良かったことは、社会の「歴史の年代暗記」でした。初めて受けた5月の全県模試から最後の1月の全県模試にかけて、社会の偏差値を20上げた彼女が言うのだから間違いないですね!

 

入試当日から発表日までの期間

このように学力的には万全の状態で2月14日、入試当日を迎えました。5時半に起床し、余裕を持って高校に向かいました。彼女が入試会場に持っていったのは、フォルテで配布している年代暗記シート、理科の授業用プリント(理系講師・佐々木のオリジナル)、理社の全国入試用のノート、御守りでした。

最初は緊張していませんでしたが、試験が始まるとふわふわした感覚であまり内容が頭に入ってきませんでした。最初の英語は、彼女にとって得意科目だったのですが、いつもの感覚とは明らかに違っていました。今考えると、今年の入試は英語の大きく難化した影響なのかなとも思いますが、そのあとの国語・数学・理科・社会もそこまで手ごたえを感じないまま終わってしまいました

家に帰りついた瞬間、あまりの出来なさに倒れ込んでしまい、その場で号泣してしまいました。家で娘の帰りを待っていたお母さんは、娘を気遣って「大丈夫だよ。もしダメでも私立に行けばいいじゃん。」と励ましてくれました。その背景には、彼女自身が併願の私立に関しても気に入っていたのもありました。

夕方になって、フォルテで自己採点をした際には、本人が思った以上に点数が取れていたようで、そこでは多少明るい表情が見えました。内申点のアドバンテージに加えて、学力検査でもある程度点数が取れていたことから、そこまで気負うことなく特色検査に臨むことができました。特色検査が終わった日は、保護者の方が本人のリクエストに応じて はま寿司 に連れて行ってくれました。

 

合格発表当日

特色検査が終わってからの約2週間はダラダラと過ごしていました。というのも、前述の通り本人は併願の私立も大変気に入っていたので、そこまで「公立に不合格だったらどうしよう。」という悲壮感はありませんでした。

それでも発表前日には合格発表のことを夢に見たようです。しかも夢の中では、合否を確認したところ、結果はなんと不合格でした。しかし、それは「見ているサイトが間違っていた」というオチでした。

そして、ついに合格発表当日を迎えます。いつもよりも遅めの8時に起きて、合格発表の9時に確認しようとしました。しかし、いくらサイトにアクセスしても合否の確認ができません。15分くらい経って、アクセスしていたサイトが間違えていたことに気づきます(奇しくも前日の夢と同じ展開に…笑)。そこで、正しいサイトで確認したところ、無事「合格」と出てきました。彼女の頑張りを間近で見ていたお母さんは思わず泣きながら抱き着いたとのことでした。

そして、高校に入学書類を取りにいき、門をくぐった後の坂を上っている最中に、「ああ、この坂を毎日登るんだな」と合格した実感が湧きました

 

最後に

彼女がフォルテに通ったのは1年弱でしたが、元々学校で仲が良かった友人がフォルテに数人いたこともあって、最後にはあたかも2~3年くらい通っているんじゃないかというくらい馴染んでいました。また、彼女が加入したことでフォルテ5期生の中での競争が一層激しくなりました。

また、保護者の方とも頻繁にLINEでやり取りをして、こちらからは「授業のときの彼女の様子」「模試の結果のフィードバック」「併願の私立のおすすめのランキング」「入試制度について」「入試問題の難易度について」などを適宜お伝えしました。一方、フォルテでは見せないちょっと弱気な様子も家では見せていたようで、それを共有してこちらから励ましの声をかけるようにしました。合格後のアンケートでは、そういったLINEでの言葉に母娘ともに励まされたと言っていただきました

合格後に改めて「受験勉強を通して何を一番学んだ?」と聞くと、「今まで飽き性で、何も続かなかったが、自分が努力できる人間だと気づいた。プライドが高いので、絶対に合格したいという思いで頑張った。」と話していました。私が彼女について最も感心したのは、自習中の態度でした。夏期講習や冬期講習の際に朝の9時くらいにやって来て、午前中はずっと自習をして、お昼ご飯を挟んで、午後から授業を夕方まで受けるというルーティーンでした。その午前中の自習の集中具合は5期生の中でもナンバーワンだったと思います。

また、高校で何を頑張りたい?」と聞くと、「勉強を頑張って良い成績を取りたい。部活はバスケ部か弓道部に入りたい。」とキラキラした表情で言っていました。彼女は、中3になってからは大きなケガをしてしまい、満足に部活に取り組むことができませんでした。そういった背景もあって、彼女には勉強はもちろんですが、部活動にも精一杯取り組んでほしいと思います。

 

最後に彼女の聞きました。

Q.「フォルテとはあなたにとってどんな場所?」

A.「集中できるし、良い友達も先生もいる最高の場所。」

改めて合格おめでとう!

 

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

5期生ストーリー①

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

ここでは、5期生の一人ひとりにフォーカスして、我々から見た様子や印象に加えて、本人の談話に基づいて志望校合格までの話を書いていきます。

 

今回紹介する女の子について

今回紹介する女の子は、一言でいうと「何事にも前向きに全力で頑張る子」という印象です。宿題や課題などやるべきことは誰よりもきっちりとやってくる子で、こちらから基本的な勉強に対する姿勢や態度を注意したことは一度もありませんでした。こちらが課す長期課題に関しても、どこかのタイミングでがっと一気にやるのではなく、コツコツと進めることができる子で、こういった勉強の仕方ができるのは一つの素晴らしい才能・能力だと思います。そして受験勉強においてもモチベーションに大きな波がなく一定のリズムで淡々とやるべきことをこなしていき、着実に力を付けていった感じでした。

また彼女には遊び心がありました。解き直しのノートや宿題プリントの端っこなどに時折オリジナルキャラクターが描いてあって、ポイントがそのキャラクターのセリフになっていたりします。それを見て我々はいつも和んでいました。彼女に限らず、こういった遊び心のある子は勉強をする中でも楽しみや面白さを見つけるのが上手くて、受験期になっても精神的に追い込まれるというのが少ないように思えます。実際に合格発表当日に本人に話を聞いたところ、受験勉強で辛かったと思う時期は特になかったと言っていました。

 

小6の秋にフォルテに入塾

彼女がフォルテに入塾したのは小6の秋でした。彼女には3つ上に姉がいて、そこでの経験から保護者の方がそろそろ通塾させた方が良いかなと考え始めていたころでした。そこで、姉の友人がフォルテに通っていたこともあり、同じタイミングで塾を探していた友人と一緒に入塾しました。この二人は入塾時から実力的にも近く、結局最後まで模試の点数を競い合うライバルでもありました。

また、彼女は普段からよく笑う子で、彼女がいると自然と教室が明るくなりました。彼女自身が相手の性別や学校に関係なく誰とでも仲良くなれるタイプの子なので、フォルテのように和気あいあいとしながらも、仲間と切磋琢磨しながら成長できる塾は彼女にとても合っていたようです。

実は彼女が中学生に上がってから、保護者の方とのやり取りの中で「家では全然自分から話をしないので、フォルテで先生たちに色々と自分から話をしているのが信じられない」という旨を何度か聞きました。家庭ではいわゆる反抗期だったようですが、フォルテではそういった様子はなく我々に対して反抗的な態度をとったことは一度もありませんでした。

 

中1から中3かけて順調に伸びていく成績

中学生になると彼女はバスケ部に入ります。元々、小学校のときから地元のミニバスチームを入っており、そのころからの気の知れた友人(この子ものちにフォルテ生になります)と一緒に部活動に励みました。2年生のときには県大会にも出場しました。

その一方で、勉強面は持ち前の積極性で中1のころから高内申(9教科で40以上)を獲得することができました。ただし、最初に音楽で3がついてしまったのはショックだったようで、それからはテストも実技も全力で頑張ったら、その頑張る姿を評価されて学年末では5をとることができました。そして、中2学年末と中3の12月の内申は全教科オール5を獲得しました(中2と中3の両方でオール5はフォルテ生初の快挙)!

また最初に受けた模擬試験(中1の7月の育伸模試)では5教科総合で偏差値60でした。それから着実に力を付けていき、中3で受験した全県模試はすべて5教科総合で偏差値65~70でした。偏差値アップの単純な数字だけで見れば、彼女よりも伸びた子は多くいますが、彼女ほど5教科総合の偏差値が安定した子はいませんでした。こういった波の小ささは、普段の頑張りによって身についた確かな実力あってのものでしょう。

そんな彼女が受験勉強で最もやっておいて良かったことは、社会の「歴史の年代暗記」でした。「年代暗記をすることで解ける問題が増えて、歴史の問題を解くのが楽しくなる」と言っていました。

 

中3の夏から彼女の支えになったもの

既述の通り、中学に上がってからというのも家庭では反抗期でした。実際に保護者の方や姉は彼女の扱いに相当気を遣っていたと思います。そんな少しギクシャクした空気があった中、彼女のたっての希望で中3の夏から犬(トイ・プードル)を飼い始めます

「がんも」と名付けられたその子は、彼女や家族にとっての癒しをもたらす存在になっただけでなく、「がんも」を中心にして家族の仲がとても良くなったそうです。家庭内の雰囲気が良いというのは受験生にとって非常に良い環境です。

「がんも」を飼い始めたことによって彼女の中でフォルテと家での生活にメリハリができ、それが彼女にとって相当プラスに働いたようです。

また保護者の方のサポートもありました。お母さんはビタミンを多くとれるように工夫したり、彼女の好きなおかずをお弁当によく入れてくれました。また、フォルテから帰った後によくお茶漬けを作ってくれたのも嬉しかったと言っていました。

 

志望校が決まるまで

彼女は本当にマイペースで、中3の夏までこれといって行きたい高校というのがありませんでした。ただ、中2のときの話では漠然と「頭のいい学校に行きたい」と言っていました(笑)。

そんな中、中3の夏から本格的に高校見学に行きます。その時点での自分の内申点や模試の偏差値から考えて、横浜緑ケ丘高校、光陵高校、希望ヶ丘高校、横須賀高校、市立金沢高校を見学しました。その中で、校舎の広さや学校の雰囲気的に自分に一番刺さったのが市立金沢高校でした。夏に初めて見学に行ってから9月にはもう志望校を市立金沢高校に決めていました。そこから一度もブレずに入試の日を迎えます。

 

入試当日から発表日までの期間

ついに2月14日、入試当日を迎えました。かつてフォルテの先輩が入試後のアドバイスで語っていたことを覚えていた彼女は、朝の寒い中で手先をホッカイロで温めておきました。

彼女にとって最初の英語は得意科目の1つ。しかし、極度の緊張からか長文の内容が全く頭に入ってこず力を出し切ることができませんでした(今年の英語が難化したことも当然あったでしょう)。それでも内申点のアドバンテージがあったため、下手にパニックになることなく次の国語のときには落ち着いていました。このように志望校に対して内申点に余裕がある子は、それ自体が本番での安心材料になります。ですから、フォルテ生に口酸っぱく内申の重要性を説いています。

彼女は当日、自分が今までの模試や全国入試の過去問で間違えた問題や知識などをまとめた理社ノートを持参しました。休み時間中はそのノートを見返して、最後まで1点でも高い点数が取れるように備えました。受験生ならずとも、こういったノートの作成はとても良い取り組みです。

入試後、夕方にフォルテで自己採点をしました。自己採点の段階で多くの子が思ったような点数が取れず不安になったり、落胆したりする中、彼女は5教科総合では自分が思った以上の点数が取れていました。市立金沢高校は特色検査の実施がないため、この日で彼女の入試は終わりました。

それから合格発表までは約2週間あります。入試翌日、中学校では入試問題の難化を受けて「ヤバイ!ヤバイ!」という声ばかりだったようです。彼女自身は自己採点の点数もあって、そこまでの不安や緊張はなかったようですが、それでも発表の3日くらい前からは少しずつ不安や緊張感が出てきました。そして発表日の前日には合格発表の夢も見たようです。

 

合格発表当日

ついに合格発表当日を迎えます。この日は7時半ごろに起きて、朝ご飯を食べたりしているうちに気が付けば8時半ごろ。発表の9時が近づくにつれて緊張が高まってきます。家族はみんな家にいて、9時になりお母さんのスマホで合否を確認します。

一緒に確認したお母さんは嬉しさのあまり泣いていたそうです。そのあと、彼女は誰よりも早くフォルテに来てくれて、我々とも喜びを分かち合いました。ちなみにその日の夕飯は、彼女のリクエストでお好み焼きとケーキだったそうです。

 

最後に

彼女はかれこれ3年以上フォルテに通ってくれました。彼女の何事にも前向きに頑張る姿を見ていると、こちらも自然と彼女のことを応援したくなりました。また彼女の勉強に対する姿勢や課題に取り組むマインドは後輩にとっても参考になることばかりでしたので、後輩たちに良い例として伝えていきたいと思います。

合格後に改めて「受験勉強を通して何を一番学んだ?」と聞くと、「市立金沢高校に行きたいと強く思ったので、最後まで頑張ることができた。目標のために頑張って、それを達成する経験ができた。」と話していました。確かに学校の成績にしろ、模試の成績にしろ、自分の頑張りが何かしらの形で成果として表れることはとても良い経験になったと思います。

また、高校で何を頑張りたい?」と聞くと、「勉強でトップを目指したい。部活動も新しいことに挑戦したい。」と力強く言っていました。高校生活は「今しかできないこと」ばかりです。特に市立金沢高校は、勉強も部活も学校行事もどれも全力で頑張る子が多い高校なので、彼女にはピッタリでしょう。彼女が素晴らしい高校生活を送ってくれることを心から願っています。

 

最後に彼女の聞きました。

Q.「フォルテとはあなたにとってどんな場所?」

A.「みんなと楽しみながら学べるところ。」

改めて合格おめでとう!

 

今回は以上です。ではまた!

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2024年度神奈川公立入試「社会」全問解説

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、先日行われた2024年度(令和5年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。

関連記事①「2023年度全問解説」

関連記事②「2022年度全問解説」

問題全体の形式と難易度

まず全体としては大問7つの計34問(昨年度よりも1問増加)の構成で、昨年同様すべて記号選択形式でした。ただし、複数の空所の穴埋めが完答で初めて得点になるものが多いため、34問のうち選択肢が9つある問題が1問、8つある問題が6問、6つある問題が8問となっています。ですので、他県の一般的な入試問題に比べると選択問題でありながら、問題によっては正答率がとても低くなるものもあるでしょう。

ちなみにほぼ同様の形式で出題された昨年土では、最も正答率が低い問題が公民の□6の(オ)で30.2%(一昨年度は歴史の□4の(ウ)で、39.2%)でしたが、今年はさらにそれよりも正答率が低い問題もありそうです。

私の全体的な印象としては、知識で解ける問題が多くなった一方で、細かい知識まで問う問題が複数あるので、昨年度以上に9割以上を取るのが難しいかなというところ。ちなみに昨年度の入試では91~100点を取れている受験生は全体の9.5%(うち100点が1%)でした。

実際にフォルテの生徒の自己採点の様子を見ていると、昨年度の合格者平均が58.4点に対して5点近く下がって53~55点くらいになるのではないかと思います。

※後日発表された平均点は54.8点でした!

 

問題ごとの解説□1

(ア)について。日本の気候や日本の周りについての出題です。(あ)は季節風に関してで、「夏が南東の季節風」で「冬が北西の季節風」であることをふまえて Q を選びます。(い)は日本の周りの海に関しては大陸棚(→日本の周りの水深200mくらいの浅瀬)と海溝(→海底のプレートが沈み込んで水深が深いところ)の知識から 海溝 を選びます。(う)は日本の東側に広がっている海洋なので 太平洋 です。なので答えは5です。

(イ)について。まず、設問に注目して緯線と経線が5度ずつ引かれていることを確認しましょう。そして、以下のように書き込みをします。このように常に赤道や日付変更線(に加えてもちろん本初子午線も!)は世界地図の中で線を引く癖をつけましょう。そこで、灰色に塗られている範囲が 北緯30度~南緯15度 であることを読み取ります。そして、日本の標準時子午線が東経135度で、国A(=カンボジア)の経線が東経105度なのでその差は30度分。そこで時差を求めると、30度÷15=2時間です。なので答えは2です。

(ウ)について。東南アジアの宗教について、東南アジアは国によって主に信仰されている宗教が大きく異なるので注意が必要です。今回は国B(=フィリピン)なのでキリスト教です。なので答えは3です。ちなみに1は仏教、2はイスラム教、4はヒンドゥー教についてです。東南アジアの国の分布と宗教は以下を確認しましょう。

(エ)について。これは地図上から赤道付近の島々なので1を選びましょう。2の「フィヨルド」と言えばヨーロッパのスカンディナビア半島。3の「永久凍土」は高緯度の寒帯(亜寒帯)地域。4の「梅雨」は日本の太平洋側のこと。

(オ)について。まずはオセアニア州とアジア州の結びつきについてなので、貿易に関するYを選びます。次に同じくアジア州を含む太平洋沿いの国々で年に1度開かれているAPEC(アジア太平洋経済協力)についての a を選びます。なので答えは4です。白豪主義はかつてオーストラリアで行われていた「ヨーロッパ系以外の移民を制限する政策」です。また、先住民などに関しては以下を覚えておきましょう。

 

問題ごとの解説□2

(ア)について。雨温図の問題で、つくば市と富山市と高松市を判別する問題。富山市は日本海側なので冬の降水量が多いQ、高松市(香川県)は瀬戸内の気候で年間を通して降水量が少ないのでP、つくば市は消去法でRと判断します。なので答えは6です。

(イ)について。レポートの中の「火山灰が堆積してできた赤土」に注目して関東ロームと判断します。なので答えは3です。ちなみに、シラス台地は九州南部に広がる火山灰が降り積もった台地、フォッサマグナは日本列島を東西に分ける地溝帯、カルデラは火山の噴火でできたくぼんだ地形です。

(ウ)について。神奈川の入試で地形図の断面図の出題は久々ですね。断面図の問題の鉄則としては、まずは「両端の高さに注目する」ことです。そして、等高線をヒントに考えると今回はXとYがほぼ同じ標高であることがわかるので、1か2に絞ります。次のポイントは「間の地形に注目する」ことです。そうすると、等高線から山が2つあることがわかるので1が答えだとわかります。

(エ)について。そもそも昼夜間人口比率というのは【昼間人口÷夜間人口×100】で求められます。そう考えると、この比率が高まるということは、「夜間人口に対して昼間人口の方が増えている」ということです。なのでXは反対のことを言っているので誤りです。また、つくば市の人口を考えると、夜間人口がそれに限りなく近いので、夜間人口の推移を読み取ります。すると、年々増加し続けているのでYも誤りです。なので4が正解です。

(オ)について。ここでは1~4の選択肢に目を通すと2の選択肢が割合の計算を必要とするので、正誤を判断するのに手間がかかるとわかります。こういった面倒な計算を必要とする選択肢は後に回して、他にすぐに判断できる選択肢から見ていくのが良いでしょう。すると、今回の表中の国は全部北半球なので1は×。表中でのEU加盟国はドイツとフランスとイタリアで、その合計は271,124で、日本を上回っているので3は×。第二次世界大戦中に日本が同盟を結んだ国はドイツとイタリアで、この2カ国は表中に含まれているので4も×。ということで消去法で2が正解とわかります。

 

問題ごとの解説□3

(ア)について。【あ】は「東大寺」「仏教の力で国家を守ろう」に注目して、奈良時代の聖武天皇と判断します。桓武天皇は都を平安京に移した天皇ですね。【い】は聖武天皇の頃の天平文化に関連した正倉院のことなので、「西アジアやインドから中国にもたらされ、遣唐使が持ち帰った」の方だとわかります。「唐風の文化をもとにしながらも、日本の風土や生活に合わせてつくられた」の方は、平安時代の後半に栄えた国風文化についてですね。なので答えは4です。

(イ)について。aは地形図を参考にすると荘園の南端付近は等高線になっているので×。bは地形図の地図記号に注目すると「田」が広がっていることがわかるので〇。cは、743年に定められた墾田永年私財法によって「新たに開墾された土地の所有」が認められ、それがのちに荘園と呼ばれるようになったという知識から〇。dは「地頭」は鎌倉時代に登場するキーワードなので、8世紀後半という資料の年代とは合わないので×。なので答えは3です。

(ウ)について。ここはシンプルな時代判別で、Ⅰは「鎌倉府」とあるので室町時代、Ⅱは「豊臣秀吉」となるので安土桃山時代、Ⅲは「後鳥羽上皇」とあるので鎌倉時代。なのでⅢ→Ⅰ→Ⅱとなり、答えは5です。

(エ)について。「う」は、写真2から鎌倉時代につくられた東大寺南大門の金剛力士像と判断しましょう。阿弥陀如来像は、平安時代後半に浄土信仰に基づいて建てられた平等院鳳凰堂や中尊寺金色堂に代表される阿弥陀堂に置かれたものです。「え」は同じ鎌倉時代のことなので「モンゴル帝国が建設された」を選びます。「ヨーロッパで宗教改革が始まった」のは1517年で室町時代の後半。「唐が滅亡した」のは907年で平安時代(894年に遣唐使が停止されたすぐ後と覚えておこう)。なので答えは2です。

(オ)について。17世紀は1601年~1700年なのでXを選びます。ちなみに17世紀は江戸時代前半で初代将軍・徳川家康~5代将軍・徳川綱吉までの期間というイメージを持っておきましょう。次にaの「質を落とした貨幣が大量に発行され」は江戸幕府の5代将軍・徳川綱吉の政策で17世紀後半のことなのでaが正解です。なので答えは1です。bの「士族の特権が奪われた」のは、明治維新のころなので19世紀後半です。cの「天明のききん」は老中・田沼意次の頃に起こったので18世紀後半です。

 

問題ごとの解説□4

(ア)について。「お雇い外国人」は、明治初期の殖産興業で活躍した外国人の技術者です。なので答えは3です。ただし、それを知らなくても表の右側に「岩倉使節団がアメリカ合衆国に到着した」とあるので明治初期に関連した言葉だと判断します。そこで、1は「満州事変」とあって1931年~なので昭和の前半。2は「日本政府に対して、大日本帝国憲法の改正を指示した」のは戦後のGHQのことなので1945年~で昭和の前半。4は「鎖国」とあるので江戸時代。ということで消去法でも3が選べます。

(イ)について。Xは、南満州鉄道のことで、日本は日露戦争後のポーツマス条約でその利権を得たので〇です。Yは、1915年の二十一か条の要求は日本が中国に対してドイツ領の山東半島の権益を求めたものです。当時、「い」で示された朝鮮半島は日本が統治していたので×です。Zは、「う」の島は台湾で日本は日清戦争後の下関条約で日本が得た島です。日本が第一次世界大戦後に委任されたのは南洋諸島です。南洋諸島は、サイパン島などの太平洋の赤道付近の島々です。個人的にはこの問題が今年の入試で最も正答率が低い問題なのではないかと思います。

(ウ)について。線③の時期は東京オリンピックとあるので、1964年です。つまり高度経済成長期(1955~1973年)のことです。1は、「初めて鉄道が敷設」に注目し、横浜ー新橋間に鉄道が開通されたのが1872年。2は、「テレビが一般の家庭に普及」に注目し、三種の神器や3Cといった家庭電化製品の普及が1950年代後半~1970年代なので2が正解です。3は、「義務教育の就学率が初めて90%をこえた」に注目し、明治末期の1900年頃。4は、「個人による携帯電話の保有」に注目し、それは2000年代と判断します。

(エ)について。ここでは選択肢9つということで、去年にない形式でした。ただし、冷静に判断すればそこまで難しくはありません。労働者の権利に関することなのでZのストライキを選びます。Xのレジスタンスは、第二次世界大戦中にドイツに占領されたフランスで起こった反対運動のことです。Yのリコールは、地方自治で首長や議員の解職請求のことです。次のaは日本国憲法の条文なので×。bは、日本国憲法で認められた団結権は労働組合を結成する権利なので〇です。なので8が正解です。cは、戦後間もなくの1940年代後半~50年代前半にかけて労働組合の数減少しています。ただし、これを知っている中学生はほとんどいないので、bの内容で判断しましょう。

(オ)について。ここはシンプルな年代暗記で解きます。Ⅰは「イタリアのエチオピア侵略」は1935年(1929年の世界恐慌のすぐ後と覚える)、Ⅱは「大西洋憲章」は1941年、Ⅲは「中華人民共和国建国」は1949年です。なのでⅠ→Ⅱ→Ⅲとなり、1が正解です。

 

問題ごとの解説□5

(ア)について。1は、財やサービスの代金の支払いは「家計→企業」なので×。2は、公共事業は政府が企業に仕事を発注して、その費用を支払う「政府→企業」なので〇となり、2が正解です。3は、消費税は間接税で「家計→企業」に支払われたものが、「企業→政府」に納付されるので×。4は、紙幣の発行は日本銀行の仕事なので×です。ちなみに日本銀行の役割は、「発券銀行(紙幣の発行)」「政府の銀行」「銀行の銀行」の3つです。

(イ)について。社会保障(制度)は憲法25条の生存権を具体的に保障した制度です。なので憲法25条についてのXを選びます。またその社会保障制度の財源は税金と保険料なのでaを選びます。なので1が正解です。bのような政府が整備する施設は社会資本です。ちなみに以下が社会保障制度の四本柱です。

(ウ)について。1ドル=86.55円が1ドル=132.56円になるということは、円安になるということ。なので円の価値が低くなることです。これは商品の価格と一緒で、「需要が多ければ価値が高く」なり、「需要が少なければ価値が低く」なります。なので、円の価値が低くなるのは「円の需要が少ない(=円をドルに交換する人が多い)」ときです。また、円安の際は、日本企業にとって輸出が有利になります。なので答えは7です。以下を基本として覚えておきましょう。

(エ)について。銀行を仲介とするお金のやり取りを間接金融で、銀行の利子について。基本は、【貸し付けの利子>預金の利子】でその差額が銀行の利益になるので3が正解です。

(オ)について。日本銀行の金融政策について問われているので答えは4です。ちなみにデフレーションは、不景気の際に起こりやすい「物価が下がり続ける現象」です。1~3はすべて政府が行う財政政策です。金融政策と財政政策についての基本は以下です。

 

問題ごとの解説□6

(ア)について。1は、国際連合の設立は第二次世界大戦後の1945年なので×(冷戦の終結は1991年)。2は、安全保障理事会は15カ国で構成され、アメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリスの5カ国が常任理事国、その他の10カ国は2年ごとに変わります。拒否権を持っているのは常任理事国の5カ国だけなので×。3は、PKO(国連平和維持活動)のことなので〇となり、3が正解です。4は、1968年の核拡散防止条約では安全保障理事会の5カ国以外の核兵器保有を禁止すると定められました。ちなみにそれ以降もインドやパキスタンや北朝鮮などが核実験→核兵器の保有をしています。

(イ)について。「あ」は貧困地域なので、「サハラ砂漠以南のアフリカ諸国」を選びます。「ペルシア湾岸の西アジア諸国」は原油の産出国が多いため、貧困地域とは呼べません。また、現在多く使われている化石燃料(石油や石炭)を用いると、大量の二酸化炭素を発生することから、環境への悪影響が叫ばれています。それに対して、環境にやさしい代替燃料が使われるようになっており、その例がサトウキビなどを原料にしたバイオ燃料です。なので「い」はバイオマスを選びます。なので答えは2です。

(ウ)について。Xは、各省の長である国務大臣は、内閣総理大臣が「その過半数を国会議員から任命しなければならない」ので×。Yは、内閣の構成員(内閣総理大臣とその他の国務大臣)による会議が閣議なので〇。Zは、弾劾裁判は国会で行われる裁判を裁く裁判なので×。なので答えは6です。

(エ)について。Xについては、選挙権についてのことので〇。ただし、ここで判断できなくてもYの「法律が憲法に違反してかどうかについての国会の判断は、最高裁判所の判断に優先される」の部分が明らかに誤っているのでXが正しいと判断できる。Yの違憲立法審査権は裁判所が持つ権限で、その中でも最高裁判所の決定が優先されます。aは三権分立における内閣の仕事の1つなので〇です。なので1が正解です。bは、三審制についてですが、3回の裁判はそれぞれ別の裁判所で行うので×です。三審制については、第一審に不服の場合に第二審へ進むための手続きを「控訴」、第二審に不服の場合に第三審へ進むための手続きを「上告」というのを覚えておきましょう。

(オ)について。ここでは、事業者が「必要かつ合理的な配慮」を行うことによって、障がい者の権利の保障する、という内容なので4が正解です。

 

問題ごとの解説□7

(ア)について。ネパールとブータンということで一見難しそうだが、基本的な知識で解け、なおかつ消去法でも十分対応できる。1は、AUはアフリカ連合なのでアジアの両国には関係ないので×。2は、世界で最も面積が大きい国はロシアで、この2カ国が隣接しているのは中国なので×。3は、アルプス・ヒマラヤ造山帯に位置しているので〇。なので3が正解です。4は、乾燥帯のステップで有名なのはモンゴルなので×です。

(イ)について。日本の国際社会復帰は1951年のサンフランシスコ平和条約での話なので、Xが正しいです。Yの世界恐慌は1929年のことなので年代がまったく違います。Zは、日本は常任理事国ではないので×です。aとbに関してもサンフランシスコ平和条約のことなのでbを選びます。なので答えは2です。

(ウ)について。「あ」の前の「製品を先進国の人々が公正な価格で購入する」に注目してフェアトレードを選びましょう。なので1が正解です。2のエコツーリズムは、観光業と環境保全を両立させる考えで、北海道の知床半島(世界自然遺産)で習いましたね。3のモノカルチャー(経済)は、国の収入を特定の農作物や鉱産資源の輸出に依存している状態です。4のマイクロクレジットは、主に発展途上国の人々の起業をしたい人々に対して、少額の資金を無担保・低金利で貸し出すことです。マイクロクレジットは、他県の入試でも最近よく見かけます。

(エ)について。Xは、資料3の対インド・バングラデシュ・フィリピン・インドネシアの数値をすべて足すと7656.4で、これは世界計の42.9%にあたるので〇。Yは、「一人あたりの国民総所得」が小さい国はネパール。「贈与」は資料2によると「無償資金協力」「技術協力」の2つの項目を指しているとわかります。そして、資料4からスリランカとネパールそれぞれの合計に占めるこの2つの項目の割合を求めると、スリランカは12.6%、ネパールは49.7%なので×です。Zは、資料5によると「債務の罠」と批判されているのは港湾や鉄道などのインフラ案件なので、人材育成を目的とする技術協力とは別なので×です。なので4が正解です。

 

まとめ

今年も上位層は、地理はほぼノーミスでいけるはずなので、歴史と公民で如何に失点防ぐかが高得点へのカギです。そして、歴史で確実に点数を確保するためには時代判別と年代暗記が不可欠です。さらに、今年の入試は問4(イ)のように領土や条約の内容に関する細かい知識まで問われる問題がありました。この辺の問われ方の細かさは、どちらかというと中学校の定期テストに少し近い感じを受けました。

資料の読み取り問題は相変わらずありますが、単なる読み取りだけでなくある程度の知識を前提としたものあるので、受験生は早い段階で地理と歴史を仕上げて、夏以降で多く演習問題を通して細かい知識を身につけていきましょう。解説でも何度も登場していますが、正解に直接つながるピンポイントの知識がなくとも、ある程度の知識があれば消去法で解ける問題も多数あります。

今回は以上です。ではまた!

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初詣兼合格祈願に行ってきました!(2024年)

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

先日、個人的に毎年の恒例となっている、鎌倉は荏柄天神社への初詣兼合格祈願に行ってきました。

 

天満宮や天神社とは

全国各地にある「~天満宮」や「~天神社」は「学問の神様」として知られる菅原道真を祀っている神社です。

一般的に「北野天満宮(京都)」「防府天満宮(山口)」「太宰府天満宮(福岡)」の3つが日本三大天神と言われています。また、鎌倉の荏柄天神社は平安時代を起源とし、「北野天満宮(京都)」「太宰府天満宮(福岡)」と並んで三古天神社と言われます。

 

初詣兼合格祈願

例年は1月2週目に参詣していました。その際はバイクまたは車で直接現地(またはすぐ近くの駐車場)行けていたのですが、今年は1月3日に参詣したため近くの道路が通行止めだったのでちょっと遠くの駐車場に止めてそこから15分くらい歩いて荏柄天神社に到着しました。

正月3が日の最終日ということで、流石に例年以上に混雑していました。

数分並んだのち、二礼二拍手一礼で中3生の合格とフォルテ生全員の志望校合格と学力伸長を祈願します。

参拝後は今年も絵馬を書きました。

また、こちらも毎年恒例ですが、中3生一人ひとりに御守りを買いました。

公立入試(2月14日)までおよそ5週間。ここからは周りも必死に頑張るので、相対的に偏差値をのばすのは簡単ではありませんが、入試当日まで実力は伸びます。中3のフォルテ生みんなが無事に入試の日を迎えられるように我々も全力でサポートしていきます!

今回は以上です。ではまた!

 

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令和6年度の暫定倍率が発表されました。

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、現中3生に実施された進路調査に基づく各公立高校の暫定倍率が発表されました。こちら、例年のことですが暫定倍率=本番の入試倍率ではありません。こちらは10月段階での数値なので、単なる希望調査にすぎません。また、結果的に私立専願になる子も含まれています。ですので、あくまで参考程度にしてください。

教育委員会からの発表資料はこちら

 

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令和6年度(2024年度)の神奈川県公立高校選考基準について

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、現中3生からの公立高校の入試制度の変更に関する話です。

 

全校一律での面接廃止

神奈川県の公立高校入試では、およそ10年前から公立高校全校で面接試験を導入してきました。そこで、各高校では、その高校のカラーに合わせて選考対象となる入試での1000点分を【内申(中2学年末と中3後期)と学力検査(英数国理社の入試)と面接】の3つの項目にそれぞれ振り分けて選考を行ってきました

例えば、学力重視の高校であれば【内申2(200点分):学力6(600点分):面接2(200点分)】や【内申3(300点分):学力5(500点分):面接2(200点分)】、バランスを重視する高校であれば【内申4(400点分):学力4(400点分):面接2(200点分)】、内申を重視する高校であれば【内申5(500点分):学力3(300点分):面接2(200点分)】といった具合です。

これに加えて、一部の高校では特色検査と呼ばれる試験があり、それを100~200点分で選考に使用してきました。特色検査は、主に上位校が実施する「自己表現検査」と、スポーツや美術の専門学科が実施する「実技検査」です。ちなみに「自己表現検査」というと、自己PRの作文などをイメージするかもしれませんが、ほとんどの学校で採用されているものはざっくりと言うとかなり難易度の高い学力検査のことを指します。

例えば、フォルテの近隣の高校では、横浜緑ケ丘高校だと【内申3(300点分):学力5(500点分):面接2(200点分):特色2(200点分)】、光陵高校だと【内申3(300点分):学力5(500点分):面接2(200点分):特色1(100点分)】という具合です。

ただし、最近では多くの高校で面接試験による点数の差があまり付かず、面接試験自体が形骸化したものになっていました。特に偏差値55を超えるような上位校ではそれが顕著でした(例外は川和高校くらい?)。

そして、令和6年度入試(現中3生の入試)からは、全校一律での面接実施はなくなり、実施を希望する高校のみが特色検査として継続して実施できるようになりました。先日発表された各高校の選考基準によると、来年度入試で近隣の高校で面接を実施する高校は以下です。

舞岡高校、上矢部高校、横浜商業(国際)

これらの高校を受験する子は、しっかりとした面接対策が必要でしょう。

 

内申と学力(と特色検査)のそれぞれの比率

そして先日、神奈川県の教育員会から令和6年度入試における、各高校の選考基準が発表されました。主な高校と近隣の高校の一覧は以下です。

※各高校は、以下の基準で定員の9割を選考します(これを1次選考と言います)。

【内申3(300点分):学力7(700点分)】

横浜翠嵐【特色3(300点分)】
柏陽【特色2(200点分)】
横須賀【特色1(100点分)】
神奈川総合(個性)
市立金沢
市立桜丘

→この場合、内申1ポイントは学力検査の1.59点分に相当します。

 

【内申4(400点分):学力6(600点分)】

湘南【特色2(200点分)】
横浜緑ケ丘【特色2(200点分)】
希望ヶ丘【特色1(100点分)】
神奈川総合(国際)【特色2(200点分)】
横浜国際【特色1(100点分)】
追浜
横須賀大津
横浜栄
横浜氷取沢
横浜清陵
横浜商業(スポーツ)【特色3(300点分)】
市立南

→この場合、内申1ポイントは学力検査の2.47点分に相当します。

 

【内申5(500点分):学力5(500点分)】

光陵【特色1(100点分)】
横浜平沼【特色1(100点分)】
戸塚
港北
みなと総合
岸根
横浜商業(商業)
横浜商業(国際)【面接2(200点分)】
舞岡【面接3(300点分)】
横浜立野
横浜南陵
横須賀総合
金沢総合

→この場合、内申1ポイントは学力検査の3.7点分に相当します。

ここで注目なのは、同じくらいの偏差値帯の高校でも、選考基準の比率が大きく異なっていることです。例えば、横須賀高校と光陵高校はどちらも偏差値が65前後(伸学工房のデータより)でともに特色検査を実施している高校ですが、上記の通り横須賀高校は【内申3:学力7:特色1】で、光陵高校は【内申5:学力5:特色1】と比率が全く異なります。

受験生が自分の受ける高校を決めるポイントとしては、各高校を見学したときの印象や高校でやりたいこと(勉強や部活動などなど)や制服などが真っ先に思い浮かぶでしょう。しかし、実際の合否を考えると、今回ご紹介したような各高校の選考基準も無視できません。

上述の横須賀高校と光陵高校であれば、(高いレベルの中で)内申点にはそこまで自信がないけど入試の点数には自信があるようなタイプの子は横須賀高校、逆に内申点には自信があるけど入試の点数にはそこまで自信がないようなタイプの子は光陵高校をそれぞれ受けた方が、自分の長所を生かすことができるため、その分合格する確率が上がるでしょう。

このように各高校の選考基準は、受験校選びの1つとして参考にしてほしい大切な要素の1つなのです。

ちなみに伸学工房が主催している神奈川全県模試では、次回の7月模試からこの新しい比率に合わせて合格判定を出すとのことです(仕事がはやい!!)。

 

2次選考での「主体的に学習に取り組む態度」の採用

全校一律での面接廃止と同じくらい大きなインパクトのある入試制度の変更点は、各高校が定員の1割分を選考する2次選考についての部分です。

今までこの2次選考では、1次選考での合格者の9割分の選考を行った後に、残りの受験者の点数について内申点を除いた「学力検査の点数」「面接の点数」(加えて、実施校では「特色検査の点数」)のみで順位をつけ直し、そこから定員の1割分の合格者を決めていました。実際に大手模試業者から提供される受験者の合否データを見ても、他の合格者に比べて明らかに内申が低いのに合格できている子がいます。これは恐らくこの2次選考での合格者と思われます(合格通知の際に1次選考での合格なのか、2次選考での合格なのかは伝えられないので、あくまで推測ですが)。つまり、どんなに内申が低い子でも、本番の入試で高い点数を取れば、いわゆる「逆転合格」が可能だったわけです。

それが、令和6年度入試(現中3生の入試)からは従来の「学力検査の点数」「面接の点数」(加えて、実施校では「特色検査の点数」)に加えて、中3の調査書(=内申)の各教科の「主体的に学習に取り組む態度」という観点も選考対象となります。この観点が、A○またはAであれば3点、Bであれば2点、C○またはCでれば1点となります。これが9教科分なので27点満点となり、それが高校ごとに200点分~700点分に換算されます。

そうなると、この観点の評価が1点違うだけで、天と地ほどの差が生まれてしまいます。例えばこの「主体的に学習に取り組む態度」を200点分に設定している高校(この設定の高校が最も多いです!)の場合、9教科すべてがA○またはAの子は200点満点となり、一方で9教科中8教科がA○またはAで、残りの1教科がBの子は192.59点となります。このように1教科分の評価が1つ違うだけで、実際には7点分以上の差になってしまいます。高校入試での合否のボーダーラインは、倍率が高い高校であれば小数点以下での戦いにもなりますから、いかに「主体的に学習に取り組む態度」が合否に及ぼす影響が大きいかがお分かりいただけるかと思います。

ですから、結論としてはどんなに苦手教科であっても「主体的に学習に取り組む態度」については必ずA○またはAを絶対に取るという意識が大切になります。そのためには、「授業中に積極的に手を挙げたり、発言したりしてアピールする」「提出物をただ出すだけでなく、高い評価が得られるように出すこと」「小テストや単元テストでしっかりと点数を取る」などを実践していく必要があります。特に上位校を目指す場合は、ライバルの多くが内申の高い子たちでしょうから、9教科の「主体的に学習に取り組む態度」はすべてA○またはAで普通くらいのレベルでしょう。日々の積み重ねが大切ですよ!

今回は以上です。それではまた!

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