こんにちは、文系担当の上村です。
今回は、先日行われた2023年度(令和5年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。
問題全体の形式と難易度
まず全体としては大問7つの計33問の構成で、昨年同様すべて記号選択形式でした。ただし、複数の空所の穴埋めが完答で初めて得点になるものが多いため、33問のうち選択肢が8つある問題が7問、6つある問題が7問となっています。ですので、他県の一般的な入試問題に比べると選択問題でありながら、問題によっては正答率がとても低くなるものもあるでしょう。
ちなみにほぼ同様の形式で出題された昨年では、最も正答率が低い問題が歴史の□4の(ウ)で、39.2%でしたが、今年はそれ以上に正答率が低い問題もありそうです。
実際にフォルテの生徒の自己採点の様子を見ていると、昨年度の合格者平均が62.4点に対して5点近く下がって57~58点くらいになるのではないかと思います。
※追記:後日、教育委員会から発表されたデータによると、合格者平均は58.4点でした!
問題ごとの解説□1
(ア)について。農作物の生産量ランキングに関する問題です。まずオリーブといえば、ヨーロッパの地中海式農業を頭に浮かべて、ヨーロッパの地中海沿岸のスペインやイタリアがランクインしているYを選びます。次にとうもろこしは、世界一の生産量を誇るのがアメリカというのは覚えておくべき知識ですが、万が一それがわからなければブラジルでのバイオ燃料(バイオエタノール)で さとうきび や とうもろこし が原料として用いられているという知識をヒントにしてXを選びます。また綿花に関しては栽培が盛んな具体的な場所として1位のインドのデカン高原は覚えておくべきで、2位の中国の印象はなかったかもしれませんが、3位のアメリカは南東部でかつて黒人の奴隷による綿花栽培がさかんであったという歴史的な背景も含めて覚えておいてほしいレベルのものなので、そう考えるとZを選べます。なので正解3です。
(イ)について。この手の問題はまず地図中に「赤道」「本初子午線」「日付変更線」を確実に書き込めるようにしましょう。また、問題文に緯線や経線が何度ごとに引かれているのかが書かれているので、そこも正確に把握しましょう。すると、Pの線は赤道から2本分南にあり、今回緯線は45度ごとに引かれているから南緯90度とわかります。また、Qが日付変更線で、日付変更線を東から西にまたいでいるので日付を遅らせます(1日戻します)。なので正解は6です。
(ウ)について。ここはAの国がニュージーランドなので、その先住民であるマオリを選びます。また、以下は覚えておきましょう。なので正解は5です。
(エ)について。Bの国はブラジルです。南アメリカ州はブラジルだけが元々ポルトガルの植民地だったのでポルトガル語を公用語としており、その他の国々は元々スペインの植民地だったのでスペイン語を公用語としています。このようにスペインやポルトガルが世界の中心だったのは大航海時代(15世紀~16世紀=日本の室町時代後半~安土桃山時代)の話です。なので正解は1です。
(オ)について。まずは設問の「適切でないもの」を選ぶというのに注意。あとは、この手の読み取り問題では注目すべき部分が「量や金額自体の数字」なのか「割合」なのかを正確に判断することが必要です。4が正解ですが、これは「工業製品」がどの品目を指すのかを判断する必要があります。エチオピアでは「衣類」で5.5%、ザンビアは「セメント」「機械類」で3.1%、ボツワナは「機械類」「ソーダ灰」で4.3%(ちなみに「ソーダ灰」とは高純度の炭酸ナトリウムのことです)、南アフリカ共和国は「自動車」「機械類」で17.4%です。なので正解は4です。
ここはどれも正答率が高いでしょう。世界地図に関しては、どのような地図が出題されても、見慣れているであろうメルカトル図法でいうとどの部分なのか?という置き換えが出来るようにしましょう。そのために、(繰り返しになりますが)ヒントとなる「赤道」「日付変更線」「本初子午線」を正確に書き込めるようにしましょう。教科書に載っている農作物や鉱産資源の生産量に関する上位国をしっかり押さえておきましょう。
問題ごとの解説□2
(ア)について。ここでも「適切でないもの」を選ぶので注意。地形図の読み取りで、答えは3ですが、今回は地形図の下に「2万5千分の1」という縮尺が載っているので、計算すると「2cm×25000=50000cm」となり、単位を変換すると「500m」ですね。1については、このような鍵穴のような形の古墳を前方後円墳と言います。2については、古墳の中に44という数字があるのが分かります。4は「∴」という地図記号と共にいくつかの古墳名が周りにあります。
(イ)について。まずXは、以下のように65歳以上部分に書き込みをすることで、パッと見で2022年の方が割合が高いとわかるので×。次にYも同様に、該当する部分を書き込んで囲むと2012年の15~24歳の方が割合が高いとわかるので×。なので正解は4です。
(ウ)について。今回は「適するもの」を選びます。答えは4です。資料3に注目し、人口密度は「人口÷面積」で求めるので、各区を計算すると「北区」が最も数字が大きくなります。そして、資料4で北区を確認すると地下鉄御堂筋線が通っていることが分かります。1は、人口が12万人未満の区は「中区」と「東区」と「美原区」の3つですが、そのいずれの区もJR阪和線は通っていません。2は、面積が20km²の区は「中区」と「東区」と「北区」と「美原区」で、そのうち「東区」と「中区」は1つの路線しか通っていなく、「美原区」には1つも路線が通っていない。3は、面積が最も小さい区は、「東区」で南海高野線と泉北高速線が通っている。
(エ)について。今回は問われているのが連雲港市(中国)で、温帯の温暖湿潤気候なので、「四季の変化がある」「季節風の影響で夏に降水量が多い」ことが基本。その時点で、1を選べます。ちなみに他は、4が「一年中気温が高く」「APEC首脳会議が開催」からダナン市(ベトナム)、2は「気温は7~8月が低く1~2月に高い」とあるので南半球と判断してウェリントン市(ニュージーランド)、3は「夏に極端に雨が少なく乾燥しており」から地中海性気候のバークレー市(アメリカ合衆国)とわかる。
ここでもそこまで難しい問題はないため、それぞれ正答率は高いでしょう。資料の読み取り問題は、地図同様に直目すべき部分に書き込みをして、視覚で判断できるようにすると時短や正答率アップにつながるでしょう。
問題ごとの解説□3
まずここでは、旧石器時代~江戸時代までのことがらの時代判別ができるようにしておくのが大切です。最初の表には以下のような書き込みができると良いですね。
(ア)について。[ あ ]は「農地を増やすため」とあるので墾田永年私財法が入ると判断できます。班田収授法は「6歳以上の男女に口分田を与えること」を定めた法令です。[ い ]は「荘園や公領ごとに」なので地頭が入ります。守護は地頭と同じ時期に「国ごとに」おかれました。[ う ]は太閤検地の内容なので石高(米の収穫量)が入ります。地価は、明治維新の地租改正(1873年)のときに用いられる語句ですね。なので正解は6です。
(イ)について。Aの期間は「奈良時代半ば~平安時代の最後」の内容なので、3を選びます。1は「日蓮」とあるので鎌倉時代、2は「雪舟」とあるので室町時代、4は「最初の仏教文化」とあるので飛鳥時代。
(ウ)について。ここでも各選択肢のキーワードを拾っていって時代判別すればいいだけです。Ⅰは「フランシスコ=ザビエルが、日本にキリスト教と伝えた」とあるので1549年(室町時代末期)、Ⅱは「元軍」とあるので鎌倉時代、Ⅲは「足利義満」とあるので14世紀末(室町時代前半)となります。なので、Ⅱ→Ⅲ→Ⅰで4が正解です。
(エ)について。まずは資料は真ん中の写真が銅鐸で、左のイラストは臼(うす)と杵(きね)で米を付いている様子で、右のイラストは収穫した稲を保管した高床倉庫です。なので、稲作が伝わった弥生時代の内容を選ぶので2とわかります。1は「打製石器」とあるので旧石器時代、3は「海面が上昇し」は氷河時代の終わりを指しているので縄文時代。4は「渡来人」とあるので古墳時代。
(オ)について。まずはグラフが「百姓一揆の発生件数」なのですぐにXは選べます。Yは、1792年にロシア人使節・ラクスマンが根室に来航して以降の話なのでグラフ中の年代としては間違えではないですが、内容的に関係ないです。またa~dに関してはそれぞれの時期を年代で覚えているかどうかなので、ちょっと難易度が高いかもしれません。aは松平定信の政策なので老中在任期間が1787年~1793年なので〇です。bは日本人の海外渡航の禁止は鎖国政策の1つで1635年ですから×です。cは田沼意次の政策なので老中在任期間は1760年~1786年ですから×です。dは日米和親条約の内容なので1854年なので×です。なので答えは1です。ちなみにYに関連して、外国船の接近関連は以下を覚えておきましょう。
ここではほとんどが時代判別と基本的な知識で正解できるのですが、(オ)は江戸時代の中での判別となるので正答率が最も低くなるでしょう。
問題ごとの解説□4
ここでは何と言っても幕末以降の出来事の年代暗記が点数を取るカギです。ですから、表に以下のような書き込みができると良いですね。
(ア)について。これは下関条約の内容なので、この条約では遼東半島・台湾・澎湖諸島などが日本の領土になりましたので、[ あ ]は台湾とわかります。また、ワシントン会議の内容は国ごとに海軍の主力艦の保有数を宣言することだったので[ い ]は「海軍の軍備を制限する」とわかり4を選びます。また、年代暗記をしていればワシントン会議は1921年、国際連盟発足は1920年となるので間違えることはありません。
(イ)について。ここでは、「樺太が日本の領土ではなく、千島列島が日本の領土になっている」ことを読み取りましょう。このようなロシアとの国境に関しては日露和親条約(1854年)と樺太・千島交換条約(1875年)が関連して、日露和親条約では「樺太が日本領、千島列島がロシア領」となりましたが、樺太・千島交換条約では「樺太がロシア領、千島列島が日本領」となりました。なので、Yの樺太・千島交換条約の方だとわかります。また、a~cに関しては、aがシベリア出兵(1918年)、bが北海道の開拓のことで明治初期(1868年~1870年代前半)、cは太平洋戦争の最後(1945年8月)なのでbとわかり、答えは5になります。
(ウ)について。資料1中の第1条に注目して2を選びましょう。表の内容からこれがサンフランシスコ平和条約(1951年)とわかっていれば、1は日中共同声明(1972年)、3は小笠原諸島返還(1968年)、4は日ソ共同宣言→日本が国連加盟(1956年)と判断できるので消去法でもいけます。
(エ)について。まず自衛隊の結成は1954年です(1950年警察予備隊→1952年保安隊→1954年自衛隊)。そしてこのころの日本経済は、1950年に起こった朝鮮戦争による特需で1955年~1973年の高度経済成長へとつながります。ですから1とわかります。2は第一次世界大戦中(1914~1918年)の大戦景気、3は第四次中東戦争→石油危機(1973年)、4は世界恐慌の影響(1929年~)となるのでいずれも時期が違います。
(オ)は、1は大正デモクラシーのころで大正時代は1912~1925年、2は犬養毅首相が暗殺された五・一五事件で1932年、3は国家総動員法で1938年、4は戦後初の衆議院選挙で1946年なので、時期が一致しているのは3となります。
□4こそ用語やその内容、前後関係、そして年代暗記ができていないとポロポロと落としてしまう問題ばかりなので、差が出やすい大問と言えるでしょう。おそらく(ア)と(エ)が比較的正答率が低いでしょう。
問題ごとの解説□5
ここでは、公民の経済分野の基本知識と資料の読み取りがメインです。ただし、資料の読み取り問題では選択肢の内容を理解できるかどうかが大きなポイントになりそうです。
(ア)について。これは一定数の受検者がいかにも引っかかりそうな良い問題ですね。ただ、為替相場について知識があれば2020年が円高になっているとわかるので3とすぐにわかります。それ以外だと見た目の数値ですぐわかるのは1ですが、これは明らかに誤りとわかります。2と4はそれぞれ割合なので計算が必要です。ただし、何もそこまで厳密な計算をする必要はありません。2であれば、「労働力人口」に対して「第2次産業の就業者数」が約何分の1かをざっくり計算すると、1964年が約3分の1くらい(=33%前後)で、2020年が約4分の1~5分の1くらい(=20~25%前後)となります。4であれば、「テレビ1台の価格」自体の値段はそこまで大きく変わっていませんが、「世帯の収入」が約10倍に増えているので、その分テレビの価格の占める割合は下がっているとひっ算などを書いて計算するまでもなくわかります。こういったざっくりとした計算の感覚があるかないかは、この手の問題を解く上で大きい差になります。
(イ)について。Xは、表を見ると「1世帯当たりの人員」が減っているので、その分単独世帯が増加したことが予想できるので〇。Yは、2020年の「平均週間就業時間」は39.6時間ですが、労働基準法での上限は40時間なので×。
(ウ)について。ここは日本銀行による金融政策と政府による財政政策、そして価格についての知識が問われるシンプルな問題でした。金融政策と財政政策についての基本は以下です。
このため、1が正解で、2が誤りとすぐわかります。またインフレーションは「継続的に物価が上がること」で、デフレーションは「継続的に物価が下がり続けること」なので、3は希少性が高くなると価格は上がるはずなので誤りです。4は、水道代や電気代のような国や地方公共団体が認可・決定する価格は「公共料金」といいます。この他、需要量や供給量のバランスで決まる価格は「均衡価格」、少数の企業が一方的に決める価格は「独占価格」といいます。
(エ)について。ここは株式会社と金融に関する知識を問う問題です。まず金融は「直接金融」と「間接金融」に分かれます。株式会社が株式を発行し、投資家が証券取引所でそれを購入することを「直接金融」といい、銀行や信用金庫などの金融機関を介したお金のやり取りを「間接金融」と言います。なので[ あ ]と[ い ]は「直接金融」と「証券取引所」とわかります。あとは、株式会社での株主の権利と責任で、「株主総会への出席や利益の一部を配当として受け取る」権利がある一方で、「出資額を失う以上の責任を負う必要はない」ので4が正解とわかります。
(オ)について。Xは、給付額の合計が圧倒的に増えているので、年金の給付を受ける人の数は増えていると思われるので×。Yは、「国民所得に占める給付額の割合」は「給付額」÷「国民所得」×100で求めて、1965年が約6%なのに対して2019年は約30%と高くなっているので、財政上の役割は増していると考えられるので×。Zは、まず前提として「社会保障の負担額」のうちの「公費」に当たる部分が「社会保障の財源に占める税金の割合」であるということがわかるかですが、正直中学生には難しいと思います。ただ、それがわかると1965年が約32%に対して、2019年は約39%と高くなっているので〇。なので7が正解です。
ここはやはり(オ)の正答率が低いのではないかと思います。
問題ごとの解説□6
ここでは、公民の政治分野と国際関連の知識を問うのがメインです。
(ア)について。問3同様に時代判別で一発です。Ⅰは「観阿弥・世阿弥」「能楽」とあるので室町時代、Ⅱは「歌舞伎」「近松門左衛門」とあるので江戸時代、Ⅲは「千利休」とあるので安土桃山時代でⅠ→Ⅲ→Ⅱで2が正解とわかります。
(イ)について。大意としては「1人の人物や1つの機関に権力が集中すると自由がない」とのことで三権分立とわかるので4が正解とわかる。
(ウ)について。公共の福祉による人権の制限の例として最も挙げられやすいのは経済活動の自由についてです。これは、一部の職業に資格が必要なことで職業選択自由が制限されたり、感染症による入院や隔離の措置で居住・移転の自由が制限されたり、地域の条例によって財産権が制限されたりします。なので今回は3が正解とわかります。他にも、他人への人権侵害やプライバシー侵害によって表現の自由が制限されたり、公務員が労働基本権の一部が制限されたりというのもあります。
(エ)について。ここでは選択肢のつくりから、「aとb」「cとd」「eとf」のそれぞれでどちらかが合っているので、明らかな誤りの選択肢を見つけることで消去法でも解けます。また表1では、議員数・解散の有無・被選挙権から議院Aが衆議院、議院Bが参議院とわかります。そのため、aが誤りでbが正しいとわかります。衆議院の任期は4年で、さらに4年経つ前に解散によって総選挙が行われる場合もあります。またcは比例代表制のことを言っているので、衆議院・参議院の両方で採用されてるのでcは正しいとわかります。dは「選挙権」は選挙に要評する権利、「被選挙権」が選挙に立候補する権利なので誤っているとわかります。表2では、「連立政権」は複数の政党が与党として協力して政権を担当すること、「法律案の再可決」が衆議院の3分の2以上の賛成によって可能であることを考えるとeが正しく、fが誤っているとわかります。なので答えは5です。
(オ)について。まず基本知識として「京都議定書(1997年)」は先進国に対して温室効果ガス排出量の削減目標を定めたもので、「パリ協定」はすべての国に対して温室効果ガス排出量の削減目標を定めたものであるということです。あとは、温室効果ガスの排出量について現在は中国が1位ですが、中国が世界1位になったのは2000年代なので、1997年当時の排出量1位はアメリカでした。ですので、答えは1です。
ここでは、正答率で言うと(ア)~(ウ)は高く、(エ)と(オ)が比較的低くなるでしょう。
問題ごとの解説□7
(ア)について。[ あ ]は温暖な水辺に見られる常緑広葉樹なので、マングローブとなります。バナナは熱帯地域で栽培され、世界の生産量ベスト3はインド、中国、フィリピンです。なつめやし は乾燥帯地域の植物です。ちなみに一般的にヤシの木とされるココヤシや、パーム油の原料であるアブラヤシは熱帯地域の植物なのでここは区別できるようにしましょう。またサンゴ礁に関しては、沖縄のような温暖な海辺にありますが、これは植物ではありません。また、[ い ]は沖縄が日本で最も台風が襲来する地域であるという知識からすぐわかるでしょう。なので答えは6です。
(イ)について。ここでは第二次世界大戦中の沖縄での様子について問われているので、沖縄では日本で唯一地上戦が行われたので2が正解です。1は、原爆が投下されたのは広島と長崎なので×。3は、終戦時に満州などにいた日本人の話なので×。4は、潜水艦が新兵器として用いられたのは第一次世界大戦のことです。
(ウ)について。線②の内容から、琉球王国が室町時代に行っていた中継貿易の内容とわかるので2が正解とわかります。ちなみに1は日明貿易が行われていたころの明のこと、3は1600年ごろのイギリスやオランダのこと、4の朱印船貿易は17世紀初頭~鎖国が行われるまで(江戸時代の確立期)です。
(エ)について。まず資料3は内容的に日米安全保障条約(1951年)であることをおさえます。それを踏まえてaとbを読むと、aが1945年以降の冷戦の話なので正しいとわかります。ちなみにbについては、領事裁判権の撤廃が日英通商航海条約(1894年)、関税自主権の回復が日米通商航海条約(1911年)です。次にcについて資料4を見ながらいくと、資料中で東アジアの国としては中国、日本、韓国の3カ国があり、その中では中国が最も防衛費が高いので×。dは、資料4から国内総生産額が最も低い国を求める問題です。割合の計算ですが、1つ1つ計算はせずに「防衛費が少なく、国内総生産額に対する割合が高い」国を考えます。そうするとサウジアラビアとわかるので×。またこういった感覚がない場合は、計算を必要とする選択肢はあとに回すというのも解く時間に余裕がない子にとっては有効です。eは、まず核保有国として国際連盟の安全保障理事会での常任理事国(アメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリス)を頭に浮かべます。その上で資料5では中心から500kmごとに円が描かれているので、一番外側が中心から2000kmとなります。そうなると明らかに中国の領土が入っているのでeは正しいとわかります。なので正解は3です。
まとめ
今年も地理は難易度が低いので、上位の子たちはほぼノーミスでいけてほしいですね。また、歴史は時代判別と年代暗記(本当に大事!)で取れる問題を確実にとることが大事です。フォルテ生でもこの部分が強い子が社会で崩れることはまずありませんでした(逆に入試直前でもこの辺が甘いとまず高得点は取れません)。このことは中2にも口酸っぱく言い続けています。
そして資料の読み取りは判別のポイントとなるキーワードや内容を正確に読み取って、知識と結び付けて解く必要があります。また資料を読み取る際には注目すべき部分に〇をつけたり、線を引いたりする工夫ができると良いですね。
また、地理と歴史の資料の読み取りは選択肢の文自体が長いので、英語や国語同様に文字数の多さに対する耐性が求められます。なので普段からこういった文字数の多い入試問題に触れておくのが良いと思います。理科に関しても同じようなことが言えます。
今回は以上です。ではまた!
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