人生を豊かにする芸術作品⑯『地面師たち』

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

このシリーズでは、全小中学生にオススメの映画や小説などを紹介していきます。このシリーズで紹介するのは、私の考える「良い芸術作品」です。

ここでいう「良い芸術作品」とは、その作品に触れることで私たちが「何かしら成長できる」「何かを考えるきっかけを得られる」「何かしらを学べる」「モチベーションが高まる」作品を指しています。

優れた芸術作品(小説でも音楽でも絵画…etc)に触れることで私たちの人生は豊かになります。ここで紹介する良い芸術作品に触れることで少しでも子どもたちの人生が豊かになってくれればと思っています。

 

第十六弾となる今回は、7月末の配信から話題沸騰のドラマ『地面師たち』を紹介します。このドラマ、メチャクチャ面白いです!私自身は、配信開始からはかなり遅れて視聴したのですが、あまりの面白さに1日で全話一気見してしまいました

<参考記事>
第一弾:映画『ドリーム』(ココをクリック)
第二弾:映画『ズートピア』(ココをクリック)
第三弾:映画『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』(ココをクリック)
第四弾:映画『トイ・ストーリー4』(ココをクリック)
第五弾:映画『Us(アス)』(ココをクリック)
第六弾:映画『アルプススタンドのはしの方』(ココをクリック)
第七弾:映画『ミッション:8ミニッツ』(ココをクリック)
第八弾:映画『gifte/ギフテッド』(ココをクリック)
第九弾:映画『あの夏のルカ』(ココをクリック)
第十弾:映画『フリー・ガイ』(ココをクリック)
第十一弾:映画『ドラえもん のび太とアニマル惑星』(ココをクリック)
第十二弾:映画『ロスバンド』(ココをクリック)
第十三弾:映画『線は、僕を描く』(ココをクリック)
第十四弾:映画『さかなのこ』(ココをクリック)
第十五弾:映画『ルックバック』(ココをクリック)

 

ドラマ『地面師たち』とは?

ドラマ『地面師たち』は、大手動画配信サイトNetflixによるオリジナル作品で、2017年に実際に起きた詐欺事件を基にした小説『地面師たち』(新庄耕)を原作とし、7話構成でドラマ化した作品です。

「地面師」とは、他人の土地の所有者になりすまして不動産会社に土地を売ると言い、偽造書類を使って多額の金をだまし取る不動産詐を行う集団です。地面師グループは、リーダー、交渉役、情報屋、法律担当、偽造書類作成者、なりすましキャスティング担当などによって構成されており、それぞれに緻密かつ高度な犯罪テクニックが必要とされます。

監督は映画『モテキ』『バクマン。』やドラマ『エルピス』などを手掛けた大根仁監督。主演は豊川悦司、綾野剛、北村一輝、小池栄子、ピエール瀧、山本耕史などです。

 

小説『地面師たち』の元となった事件とは?

このドラマの原作である小説『地面師たち』は実在の事件を基としています。

それは2017年に大手ハウスメーカーの積水ハウスが地面師詐欺に遭い、55億5千万円をだまし取られたという事件です。これは東京の五反田駅近くに「海喜館」という旅館があり、そこはかねてから不動産業界に注目されている土地でした。この土地に目を付けた地面師たちが、積水ハウスに対して売却の話を持ち掛け、積水ハウス側がまんまと騙されてしまったのです。

大手の会社が50億円を超える大きな被害の詐欺に遭ったということで、当時はメディアで多く報道されていたようですが、なぜか私自身はこの報道の記憶が全くありませんでした。

 

ドラマ『地面師たち』の魅力①

まずこのドラマの大きな魅力の1つは映画ジャンルで言う「ケイパーもの」として面白さです。「ケイパーもの」とは、チームで大金や宝物を強奪するというジャンルで、有名どころだと「オーシャンズ11」のシリーズが挙げられます。またチームで難易度の高い作戦に挑むという点では、トム・クルーズ主演のミッション・インポッシブルシリーズに近い部分もあります。

今回は、不動産業者を騙して多額の金を手に入れるために、「不動産業者が欲しがる土地を探す」、「地主になりすます人物を見つけて、演技指導をする」「必要書類を作成する」「不動産業者との面接で契約をする」ということが必要です。

それぞれを担当するメンバーがいて、それぞれがプロの詐欺師として仕事をこなしている姿は、見ていて全く飽きません。そして、犯罪行為という本来は悪いはずのことをしていると分かっているのに、見ている我々はいつの間にか彼らに感情移入してしまい、ちゃんと成功するかをハラハラしながら見ることになります。

 

ドラマ『地面師たち』の魅力②

2つ目の魅力は各キャラクターと俳優さんたちです。

地面師グループのリーダー・ハリソン山中を演じる豊川悦司は、独特の怖さを持っていて、普段から誰に対しても落ち着いた様子で敬語を使って話すのですが、それが逆に恐さを増長させています。

地面師グループの交渉役・辻本拓海を演じる綾野剛は、実は悲惨な過去を持っている人物で、その陰の部分が仕事ぶりや話し方から伝わってきます。

地面師グループの情報屋・竹下を演じる北村一輝は、グループ内で担っている役割から恐らく能力自体はとても高いのだけれど、完全にネジが外れてしまった薬物依存者を怪演しています。

地面師グループの法律担当・後藤を演じるピエール瀧は、胡散臭い関西弁を話す、口達者な the オヤジといった役柄で、完全にはまり役です。ピエール瀧以外の俳優が演じているのはもはや想像できません。

地面師グループのキャスティング担当・麗子を演じる小池栄子は、年上の男性に対してもガンガン暴言(?)を吐いているような勝気な女性である一方で、他者への慈悲を見せる場面もあるキャラクターでこれも小池栄子以外はなかなか想像できません。

地面師グループのニンベン師(書類偽造などを担当する人)・永井を演じる染谷将太は、ミッションインポッシブルシリーズに出てくるベンジーのような存在で、いわゆるゲームやネットに精通するオタク役で、その風貌や言葉の軽さがいい感じです。

他にも、今回メインで騙される側である大手ハウスメーカー・石洋ハウスの営業部長・青柳を演じる山本耕史の振り切った感じや、第1話で騙されるマイクホームズの社長・真木を演じる駿河太郎のイケイケ社長ぶりも、後々に彼らが被害者となるときに見ている我々の心が痛まないように、ちゃんといけ好かない人物となっていて最高です。

また、メインキャラクター以外にもクセが強い俳優が脇を固めており、それぞれが素晴らしい存在感を示しています。

 

ドラマ『地面師たち』の魅力③

3つ目は、真似したくなるセリフがたくさんあることです。特に独特の言い回しをするハリソン山中はその手のセリフが多いです。

私が一番好きなのは6話で登場する、

最もフィジカルで、最もプリミティブで、そして最もフェティッシュなやり方でいかせていただきます。

です。また、これに対して言われた側の人物が、

何言ってるのかわからねえ。

と、ストレートすぎる返しをするのも最高です。

 

ドラマ『地面師たち』の魅力④

最後に紹介するのはサウンドトラックです。今回、このドラマの音楽を担当したのが石野卓球です。石野卓球は、この作品にも出演しているピエール瀧と電気グルーヴという音楽ユニットを組んでいる人で、日本のテクノミュージックの大御所です。

この石野卓球による4つ打ちの音楽が、ドラマの雰囲気とばっちりとハマっています。今、この文章もメインテーマを聴きながら書いています。

ということで、今回はドラマ『地面師たち』を紹介しました。Netflixに加入していないと見られないですが、正直この作品を見るためだけに1カ月だけ(広告付きだと月額790円)加入する価値はあると思います。

今回は以上です。ではまた!

 

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人生を豊かにする芸術作品⑮『ルックバック』

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

このシリーズでは、全小中学生にオススメの映画や小説などを紹介していきます。このシリーズで紹介するのは、私の考える「良い芸術作品」です。

ここでいう「良い芸術作品」とは、その作品に触れることで私たちが「何かしら成長できる」「何かを考えるきっかけを得られる」「何かしらを学べる」「モチベーションが高まる」作品を指しています。

優れた芸術作品(小説でも音楽でも絵画…etc)に触れることで私たちの人生は豊かになります。ここで紹介する良い芸術作品に触れることで少しでも子どもたちの人生が豊かになってくれればと思っています。

 

第十五弾となる今回は、映画『ルックバック』(2024年)です。

<参考記事>
第一弾:映画『ドリーム』(ココをクリック)
第二弾:映画『ズートピア』(ココをクリック)
第三弾:映画『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』(ココをクリック)
第四弾:映画『トイ・ストーリー4』(ココをクリック)
第五弾:映画『Us(アス)』(ココをクリック)
第六弾:映画『アルプススタンドのはしの方』(ココをクリック)
第七弾:映画『ミッション:8ミニッツ』(ココをクリック)
第八弾:映画『gifte/ギフテッド』(ココをクリック)
第九弾:映画『あの夏のルカ』(ココをクリック)
第十弾:映画『フリー・ガイ』(ココをクリック)
第十一弾:映画『ドラえもん のび太とアニマル惑星』(ココをクリック)
第十二弾:映画『ロスバンド』(ココをクリック)
第十三弾:映画『線は、僕を描く』(ココをクリック)
第十四弾:映画『さかなのこ』(ココをクリック)

映画『ルックバック』とは?

映画『ルックバック』は、『チェンソーマン』『ファイアパンチ』などの作品で有名な漫画家・藤本タツキが2021年に発表した漫画『ルックバック』を映画化した作品です。漫画は発表直後から話題となり、「このマンガがすごい!2022」オトコ編1位に輝きました。

個人的には『チェンソーマン』は全く読んだことがなく、少年ジャンプ+というウェブサイト上で発表されたこの漫画版の『ルックバック』が初めて読んだ藤本タツキ作品でした。

原作漫画をかなり忠実に映画化された今作は、上映時間58分と中編作品ながらもその中にものすごく濃密な物語や描写が練り込まれています。これは、最高の青春映画であり、最高の仕事映画となっていて、学生から社会人まで老若男女に刺さる傑作だと思います

 

映画『ルックバック』のあらすじ

学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートから絶賛され、自分の画力に絶対の自信を持つ藤野だったが、ある日の学年新聞に初めて掲載された不登校の同級生・京本の4コマ漫画を目にし、その画力の高さに驚愕する。以来、脇目も振らず、ひたすら漫画を描き続けた藤野だったが、一向に縮まらない京本との画力差に打ちひしがれ、漫画を描くことを諦めてしまう。

しかし、小学校卒業の日、教師に頼まれて京本に卒業証書を届けに行った藤野は、そこで初めて対面した京本から「ずっとファンだった」と告げられる。

漫画を描くことを諦めるきっかけとなった京本と、今度は一緒に漫画を描き始めた藤野。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思いだった。しかしある日、すべてを打ち砕く事件が起きる…。

 

映画『ルックバック』の見どころ

努力の描写

藤野は、自身が4コマ漫画を連載していた学年新聞で初めて京本の絵を見て衝撃を受けます。写実的に描かれたその絵は、自分よりも圧倒的に上手いものでした。それまでは身の回りの人々から口々に「絵が上手い」とチヤホヤされて、自分の画力に自信があった藤野としては到底受け入れられない事実です。学校からの帰り道、

4年生で自分より絵ウマいやつがいるなんて、絶っっ対に許せない!

と思い、その「怒り」が藤野の闘争心に火を付けます。

そこから、藤野は本格的に絵が上手くなるために、自分で色々と調べ、教則本やスケッチブックを買い、狂ったように絵を描きまくります。家にいるときは部屋にこもって描きまくり、学校でも友人との会話そっちのけで描きまくります。

机には次第に教則本が増えていき、描き終えたスケッチブックもどんどん積み重なっていきます。また外の風景で季節が移り変わり、そこから藤野は約2年間ひたすら絵を描き続けたことがわかります。そんな藤野は、家族や周りの友人から「いつまでマンガ描いてるの?」「中学で絵を描いていたら、オタクだと思われちゃうよ?」などと言われてしまいます。それでも藤野は描き続けます。すべてはあの時の「怒り」から始まり、「京本に負けたくない」という一心でした。

こういった主人公の努力の描写が個人的に大好きです。冒険やバトルがテーマの作品における修行のシーンも同じで、こういった描写があることで、そのあとに主人公が良い成果や結果を手に入れたときに、見ている私たちが感じる感情の波は確実に大きくなります

また藤野のように「怒り」や「悔しさ」が何かを頑張る原動力になるというのも共感できます。私自身も、今の仕事を頑張るモチベーションの1つに前職(大手塾勤務)時代に抱えていた怒りや悔しい思いを晴らしたいというのがあります。特にフォルテ立ち上げ当時はその思いは強かったです。

また、私の尊敬するお笑い芸人・山里亮太(南海キャンディーズ)さんも著書の中やインタビューなどで「妬み嫉みはガソリンです」と述べています。

 

尊敬する相手に認められる喜び

6年生の途中、自分自身は着実に成長しているものの、一向に京本との画力の差が埋まらないことで、すっかり漫画への熱が冷めてしまい、絵を描くことをやめてしまった藤野。そこからは家族と一緒にテレビを見たり、姉の通う空手教室に通ったり、友達と遊んだりと、絵を描いていたときにはできなかったことをやって充実した小学校生活を送ります。

そして、卒業式の日。職員室に呼ばれた藤野は担任の先生から、京本の家に卒業証書を届けるように頼まれます。嫌々ながらも教えてもらった住所をたよりに京本の家に着き、インターホンを押します。しかし中からの反応はありません。ただし、玄関のドアが開いていたので、中に入って玄関口に卒業証書を置いて帰ろうとした瞬間、奥の部屋から何やら物音がします。「なんだいるんじゃん」と思い、靴を脱いで家に上がり、廊下を歩いて進み、物音がした部屋の前まで来ます。すると、そこには何十冊ものスケッチブックの山がありました。目の前の部屋の中にいるのは京本に違いありません。つまり、京本の小学生離れした圧倒的な画力は決して才能ではなく、途方もない努力の積み重ねの結果だったのです

そこでスケッチブックの山の上に、白紙の4コマ漫画用の紙を見つけ、その場でささっと漫画を描くことにする藤野。完成した漫画を手に持っていると、それがふと手からこぼれ落ちて、目の前のドアと床の隙間から部屋の中に入ってしまいました。思ってもいない結果に、慌てて藤野はその場を離れ、京本の家を出ます。すると、すぐに家のドアが開き、はんてんを着た女の子が飛び出してきます。その女の子は開口一番、「藤野先生!」と発します。不登校でずっと部屋に閉じこもっていた京本は、実は学年新聞に連載していた藤野の漫画の大ファンだったのです。そんな京本からすると、急にドアの隙間から4コマ漫画が入ってきて、しかもそれが自分が憧れる「漫画家」である藤野の作風だったので、いてもたってもいられずに部屋を飛び出してきたのでした。自分よりもはるかに画力が上で尊敬していた京本から自分の漫画が認められて、さらに自分のことを「漫画の天才」だと言ってくれたことで、藤野は漫画への熱を取り戻します。

そこからの帰り道。最初はうつむき加減に歩いていた藤野でしたのが、いつの間にか背筋が伸び視線は前を向き、ついには足取りがスキップになり、踊るようにしてあぜ道を進むのでした。それは尊敬していた京本に自分の漫画が認められていたこと知り、その喜びがだんだんとこみ上げてきて、ついには爆発した藤野を描写した、今作でも最高のシーンの1つです

 

青春映画として『ルックバック』

中学生になって漫画の共作を始めた藤野と京本。ストーリーやメインのビジュアルを藤野が担当し、京本は背景を担当します。そこから1年を要して完成させた初作品『メタルパレード』を、二人は藤野キョウ名義で出版社に持ち込みます。それは編集者からも絶賛され、『メタルパレード』は週刊漫画誌の漫画賞で準入選(賞金100万円!)を果たします。

その賞金の一部を銀行口座から下ろしてきた藤野は京本を誘って、二人で街に繰り出します。そこで、スイーツを食べたり、映画を見たり、本屋にいったり、二人は1日中遊びます。それまでずっと不登校で家に引きこもっていた京本にとっては、こういった「外の世界」で中学生らしく遊んだ経験は全くありませんでした。しかし、藤野に引っ張られることで自分の知らなかった世界を知れたこと、知らなかった楽しさに出会えたのです。そこで京本は自分に部屋から出るきっかけをくれた藤野に感謝します。

そこから二人は高校卒業までに7本の読み切り作品を発表します。この読み切り作品を作る過程がまた素敵です。二人が実際に海にいったり、公園でセミを観察したり、二人の思い出がそのまま作品の着想元になっているのです。つまり、二人が中学から高校にかけて共作した読み切り作品は二人にとって青春そのものなのです。この瑞々しい二人の青春パートを見ているだけでも涙が出てきます。

 

原作に忠実な映画化

今作は、かなり原作漫画に忠実な形で作られています。ただ、それだけでなく原作では表現しきれなかった部分を映像化することや新たなシーンを加えることで、原作漫画の世界観をさらに解像度高く味わうことができるようになっています。

 

エモーションを高める音楽

今作は、音楽を haruka nakamura が担当しており、印象的なピアノ音楽が各シーンで流れ、原作で感じたエモーションを何倍にも高めることに成功しています。

 

映画『ルックバック』後半ネタバレ&感想

ネタバレ有の後半の展開

二人は高校3年生のときに出版社から、高校卒業後に週刊漫画誌で連載を持たないかと誘われます。喫茶店でその話を聞き、大喜びの藤野の一方で、どこか表情の冴えない京本。その帰り道、京本は高校卒業後に美術大学に進学したいという思いを藤野に打ち明けます。最初は反対していた藤野ですが、京本の「もっと絵が上手くなりたい」というまっすぐな気持ちに何も言えなくなってしまいました。ここで二人は別々の道を歩むことになります。

京本とのコンビを解消した藤野でしたが、藤野キョウというペンネームは変えずに週刊漫画誌で連載を持ちます。初めての連載作品『シャークキック』は、最初こそ人気が低迷していましたが、巻を重ねるごとにだんだんと人気が出てきて、アニメ化も決定しました。しかし、藤野は問題を抱えていました。それはアシスタントが自分の思う通りに描いてくれないことでした。漫画家にとって、背景などを描くアシスタントは不可欠な存在です。編集部の人にも色々と相談して何とか連載を続けている状況でした。

そんなとき、偶然つけていたテレビからあるニュースが流れてきます。それは「山形県の美術大学に不審者が侵入して学生らを切りつけた」というものでした。そこは紛れもなく京本が進学した大学でした。胸騒ぎがした藤野は京本に電話を掛けますが、京本は電話に出ません。そこに母親からの着信。そこで母親から告げられた話は藤野が一番聞きたくない事実でした。テレビニュースで流れていた事件で亡くなった被害者の一人が京本だったのです。

※この事件の描写自体は2019年の京都アニメーション放火事件を意識したものだと思います。

ここで藤野は京本とのある会話を思い出します。それはとある雪の日。二人は将来について語り合います。

もしウチらが漫画を連載できたらさ、すっごい超作画でやりたいよね

と言う藤野に対して、

私は描くのが遅いからなぁ。もっと早く描けたらいいんだけど…。

と京本は不安を口にします。それに対して藤野は、

んなの楽勝でしょ。画力が上がればスピードも速くなるんだよ!

と伝えます。そこで京本は、

じゃあ、もっと絵上手くなるね!藤野ちゃんみたいに。

と言います。

つまり、京本が美術大学に進学したい理由として挙げていた「もっと絵が上手くなりたい」というのは、「藤野の描きたい漫画のアシスタントになれるような実力をつけたい」ということだったのです

連載中の「シャークキック」も休載し、藤野は通夜のために京本の家を訪れます。久々に京本の部屋の前に来ると、部屋の前には以前と変わらずスケッチブックの山があり、その一番上には「シャークキック」が連載している週刊漫画誌がありました。そっと手に取り、何気なくペラペラとめくっていくと、その途中でしおりのようにある細長い紙が挟まっていました。よくよく見ると、それは小学校の卒業式の日に藤野が描いた4コマ漫画でした。そこで藤野は、元はといえばこの4コマがきっかけで京本は部屋から出るようになった。この4コマ漫画さえなければ、京本は部屋から出ることもなかったし、理不尽に殺されることもなかったと思い、自分がこの4コマ漫画を描かなかった世界線を想像します。

その世界線では、美術大学で不審者に襲われる寸前の京本を、偶然通りかかった空手少女・藤野が助け出します。そこで京本は自分を助けてくれたのが、以前自分が学年新聞で大ファンだった「藤野先生」だと知ります。ちょうどそのとき漫画を再び描き始めたという「藤野先生」と京本は、この偶然の出会いによって、そこから二人は漫画家とアシスタントの関係になるように描かれます。

そんな想像をする中、京本の部屋の中から、ドアと床の隙間からある細長い紙が出てきます。それは京本が描いた4コマ漫画でした。それに導かれるように藤野は京本の部屋に入ります。そこには「シャークキック」のポスターが貼られ、単行本も同じ巻が何冊も並び、机の上には読者アンケート用のはがきもありました。そこで藤野は、京本は美術大学進学後も自分の漫画の大ファンであったことに気づきます。しかも、まだ人気がなかった連載当初の単行本が何冊も並んでいたのは、京本がわざわざ何冊も買って藤野キョウを支えていたということでしょう。

そこで二人の過去の会話が思い出されます。

漫画ってさあ、私描くのまったく好きじゃないんだよね。楽しくないし、メンドくさいだけだし、超地味だし。一日中ず~っと描いてても全然完成しないんだよ?読むだけにしといたほうがいいよね、描くもんじゃないよ。

そう言う藤野に京本が聞き返します。

じゃあ、藤野ちゃんはなんで描いてるの?

それに対して、セリフでの答えはないのですが、藤野の頭に浮かぶのは、自分の漫画を読んで誰よりも興奮したり、喜んだりしてくれる京本の姿なのでした

そんなことを思い出した藤野は、再び漫画を描き始めます。京本が大好きだった自分の漫画を。

 

仕事映画として『ルックバック』

この最後のシーンは、原作漫画の通りなのですが、映像で改めて見ると個人的にかなりグッと来ました。「なぜ藤野は漫画を描くのか?」「それは一番のファンである京本の喜ぶ顔が見たいから。」という結論です。これ以外にも小学生のころに藤野がなぜ学年新聞に漫画を描き続けていたのかというと、それを読んで楽しんでくれる同級生たちのためだったのでしょう。

この映画を見て、私はハッとしました。これは漫画家に限らず多くの仕事に従事する人に共通するモチベーションや原動力の本質なのではないかと思ったわけです。つまり、多くの人々がキツいことや大変なことがあるの中でも自分の仕事を頑張る理由って「ファン(=客)の喜ぶ顔が見たいから」じゃないのかな、と。

ということで、私はこの映画を見ることで仕事へのモチベーションが大いに上がりました。

 

タイトルの『ルックバック』の3つの意味

タイトルの『ルックバック(=look back)』には、3つ意味合いがあると思います。

まず1つ目はストレートに訳すと「(過去を)振り返る」という意味ですので、理不尽な出来事が起きたことで、「もしもあの時…」のようにパラレルワールド的に過去を振り返るという物語の後半の展開を表しています。原作漫画もそうですが、「現実の救いようのない出来事を創造力・創作で乗り越えることができるのか」という展開になります。これは、同じようなテーマの映画のポスターがいくつも主人公の部屋に貼ってあることからもわかります。また、このテーマについては、原作者の藤本タツキさん自身が美術大学在籍時に東日本大震災を経験したことが大きいそうです。

次に2つ目は「背中を見る」という意味です。原作でも映画でも「背中」や「後ろ姿」がかなり強調されています。もちろんメインとしては、藤野と京本の二人の関係です。漫画のストーリーを考える才能のある藤野の背中を見る京本、圧倒的な画力を持つ京本の背中を見る藤野。まさにお互いをリスペクトし合い、切磋琢磨し合う関係の絶妙な二人を象徴する言葉です。

最後に3つ目は「背景を見る」ということです。物語内では京本は漫画の背景を担当しています。主人公の藤野は、原作者である藤本タツキさんを投影したキャラクターだと思います。そこで、自分(作者)を支える存在が背景を描くアシスタントです。なので、恐らく背景担当のアシスタントやスタッフへの感謝やそういった方々の仕事にスポットライトを当てたかったのではないかと思います。

また、原作漫画からイギリスのロックバンドの oasis の名曲「Don’t look back in anger.」の文字を何気なく入れ込むなどの遊び心もあります。この曲自体もこの作品のテーマに大きく影響を与えているのでしょう。

ということで、映画『ルックバック』を是非ご覧ください!

今回は以上です。ではまた!

 

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

5期生ストーリー④

こんにちは。フォルテの理系講師の佐々木です。

今回は5期生の一人ひとりにフォーカスして、主に我々目線からの志望校合格までの話を書いていく第4弾となります。

※第1弾はこちらです。

※第2弾はこちらです。

※第3弾はこちらです。

 

小6の終わり頃に入塾

今回紹介する男の子は、姉の友達がフォルテに通っていて、そこでフォルテの評判を聞いて体験→入塾となりました。それが小6の3月でした。

彼が来て初めの頃の印象は、野球をやっていて礼儀正しく、やるべきことはそつなくこなすタイプである反面、国語の長い文章の読解や数学の難易度の高い問題をじっくり考えて解くのがやや苦手な印象がありました。特に国語の文章読解力に関しては最後まで苦労することになりました。

 

抜群の安定感を誇る理社

彼が中1の夏頃に受けた模試の結果は、5科目総合で50台中盤くらいでした。内訳は理社が偏差値60を超えている反面、国語は偏差値50にも届いていない状態でした。ただ、少しずつ努力を重ね、中2の終わり頃には英語も60台にのせて社会は偏差値70近くまできていました。ただ、国語と数学が偏差値50台(それでも国語は1年時と比べるとだいぶUP)だったため、5科目総合偏差値で60を少し超えるくらいでした。

ちなみに2年次に彼が模試の際に志望校にしていたのは柏陽、緑ヶ丘、市立金沢でした。個人的にはこのままいけば市立金沢は何とかなりそうだけど、柏陽や緑ヶ丘は中3で内申も偏差値も相当伸ばさないと厳しいなと感じていました。

 

驚愕の志望校変更

彼が志望校に対して意識するようになったのは中3の夏頃で、柏陽か緑ヶ丘に行きたいとのことでした。ただ、具体的にこの学校に必ず合格したいというよりは、このレベルの学校に受かりたいなという漠然としたものでした。

そして、中3の内申を大きく左右する11月のテストが近づいて来たある日、私は彼に話しかけました。

私「最近かなり気合入ってるね!」

彼「志望校を翠嵐にしようと思って頑張っています。」

私「えっ???」

彼「10月に翠嵐の説明会にいき、みんなで切磋琢磨できる環境にひかれました。」

とのことでした。内申、5科目の偏差値、特色検査の偏差値のどれをとっても相当厳しい状況であることは分かり切っていました。ただ、目標を定めて必死に頑張っている姿を見ると応援したい気持ちになり、「まずは内申と12月、1月の全県模試で頑張って、届きそうだったら翠嵐目指して頑張ろう!」と言いました。最終的には定期テストや提出物等を頑張りにより、中3の内申は中2の学年末から4上がりました。ただ、それでも翠嵐や柏陽の内申の合格基準までは5~7くらい足りない状況でした。そして、最後の全県模試である1月の模試で理社はキッチリ偏差値70台をキープ(特に社会は一番安定していて70台後半が常にとれている状況)し、やや不安だった数学も偏差値68と好成績だったのですが、1番の懸念材料である国語が振るわず、5科目総合偏差値で70は突破しましたが、翠嵐を受けるには相当厳しい状況でした。そして、一度は翠嵐高校を志望校として出したものの、最終的には本人と保護者の方が様々な状況を考慮したうえで志願変更をして柏陽に決定しました。ただ柏陽に関しては偏差値的には合格基準偏差値には届いたものの、内申や特色検査の偏差値で下回っていたため、個人的な体感としては合格確率は4割~5割くらいだと感じていました。それでも彼は入試までの残り数週間で少しでも合格確率を上げるために、平日も休日も関係なく毎日フォルテに来て、ひたすら授業と自習にのめりこんでいました。もちろん、フォルテの5期生の中でも塾の滞在時間はトップでした。

 

完璧な解き直し

今振り返ると、中学1,2年の頃の彼は、分からない問題は解説をさほど読み込むこともなく質問に来ることが何度かありました。その際には必ず「解説をしっかり読んだ?」と聞きましたが、「読んだけど分かりませんでした。」とのことでした。

私個人の感覚としては、ある程度の計算力と、それぞれの単元で良く出る典型的な問題をきっちり解けるようにすれば、偏差値60台前半か中盤までは到達すると考えています。ただ、偏差値60台後半から70を超えるようになるには、自分の頭でしっかり考えて、分からない問題に関しては解説を丁寧に読み込んで理解する力が必要となります。そのため、ある程度数学のレベルが上がってきても、分からない問題が出てきた時になぜその答えになるのかをきちんと考えようとしないと、ある一定のラインで数学の伸びは頭打ちとなります。

ただ、彼の良いところはとても素直で言われたことを貪欲に吸収しようとするところです。そのため、こちらが辛抱強くアドバイスし続けた結果、中3になる頃には難しい問題の解説もしっかり読みこんで理解出来るようになり、中3の5月の全県模試で数学の偏差値も60台中盤まで上がってきました。特に意識が高くなってきたと感じたのが、解き直し専用のノートを活用し始めたことです。授業や宿題、模試などで間違えた問題を全てそのノートに書き記していました。こういったノートを作る生徒は他にももちろんいますが、特筆すべきはそのノートに書いた問題は全て出来るようにしていたことです。例えば神奈川県の公立入試の数学で、正答率が数%と極端に低い図形の問題に対しても、数日後や数週間後にその問題の類題を出すと完璧に解けるように仕上げてきていました。その時に、「良くこの問題解けたね!」と言うと、「この問題は難しかったので5~6回は解き直して出来るようにしました!」との答えが返ってきました。これこそ伸びる生徒の典型だと思います。こういった生徒の成長した姿を見られる塾講師という職業は控えめに言って最高です!

 

入試の各科目の手ごたえ

入試当日の各科目の彼の感想を聞くと、

英語⇒出来なかったから切り替えて次の科目に臨もう。

国語⇒ある程度とれた感触がある。

数学⇒簡単だと思った。

理科⇒難しかった。

社会⇒難しかったけど、自分ができなければ周りも出来ないと思った。

特色⇒難しかったが、これが終われば受験から解放されると思い、楽しんで解けた。

という感想でした。実際には難しいと言っていた社会は9割を超えていて、英語、数学、理科も8割以上とれていました。国語はもう少し欲しいところでしたが、想定の範囲内でした。翌日行われた特色検査も高得点とはいかないまでも、取るべきところからしっかり取って、及第点と言ったところでした。

今年の入試は昨年より難化した科目が多く、本人としては思った通りの点数には届かなかったため、自己採点後は落ちたと思っていたとのことでした。そして、運命の合格発表当日、「合格の二文字を見た瞬間、脳汁ドバドバで、つらい時期を乗り越えてきて本当に良かった」と話してくれました。また、合格した瞬間の両親の様子を聞くと「母は合格を聞いて安心していて、父は自分よりも嬉しそうだった」とのことでした。

 

最後に

今年もフォルテ生は皆頑張ってくれました。もちろん5期生ストーリーで紹介した4人以外も、みなしっかりと努力を継続し、成長を遂げてくれました。

彼に関して言うと、中3の夏前までの様子では柏陽高校の合格はかなり厳しい状況でした。ただ、努力を重ね、着実に力を付けていくことで、模試でも合格圏内の判定を出すことが出来るようになりました。特に解き直しの精度は過去のフォルテ生を含めてもトップクラスでした。

入試後に、勉強していく上で何が一番重要だと思うかを彼に聞いたところ、「解き直しが一番重要で、答えを覚えるのではなく、理屈や根拠をしっかりと覚えることが大事」だと語ってくれました。まさにその通りだと思います。

また、お子様が受験勉強を始めてから合格されるまでの間に何か印象的なエピソードがあるかをお聞きしたところ、「ある時期から、勉強以外の欲望となるもの(スマホ等)を自分から話すようになった」とのことでした。保護者の方々の前で受験体験記を本人に話してもらったときにも、「夏に必要最低限のアプリ(連絡ツールなど)以外はすべてアンインストールした」と話しており、それを聞いていた保護者の方々も大いに感銘を受けていました。これは頭では分かっていてもなかなかできることではありません。やはり高校受験という大きな壁を乗り越えるには、自分にとって時間が奪われるものをいかに制御できるかがとても重要だと思います。

最後に彼に聞きました。

Q.『フォルテとはあなたにとってどんな場所?』

A.『家と同じくらい安心できる場所。』

改めて合格おめでとう!

今回は以上です。ではまた!

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5期生ストーリー③

こんにちは。フォルテの理系講師の佐々木です。

今回は5期生の一人ひとりにフォーカスして、主に我々目線からの志望校合格までの話を書いていく第3弾となります。

※第1弾はこちらです。

※第2弾はこちらです。

 

入塾時からまじめにコツコツ

今回紹介する女の子は、小6の秋頃にフォルテに入塾した生徒です。入塾した理由は友人に誘われたことと、そしてそれまで通っていた個別指導塾にあまり満足していなかったからとのことでした。

入塾時のフォルテの印象を聞くと、周りの内部生の計算の速さに驚いたとのことでした。ただ、入塾当初からコツコツと努力をし、各月の月末に行っている小学生の確認テストでは一緒に入塾した友人と共に常に良い成績を収めていました。この友人はこちらの子で、模試でも同じくらいの実力で、最後までよきライバルとして共に切磋琢磨しながら成長し続けていきました。

 

弱点をつぶし、苦手科目をつくらない工夫

入塾当初からコツコツと努力をし、中1の冬頃の全県模試ですでに5科目総合偏差値が60に達していました。ですので、この調子で努力を継続していけば特色検査のある学校にも十分に受かる力がついてくると感じていました。そしてその予想通り、学年が上がるにつれて偏差値も伸び、中2の冬頃には偏差値が65まで伸びました

しかも彼女の強みは苦手科目がないオールラウンダーであることです。ちなみに、最初から苦手科目がなかったわけではありません。彼女は模試の度に出来ない単元があったら、それを早めにつぶして次の模試に臨みということを愚直に繰り返していきました。その結果、苦手になる前にその要素を排除していったため常に安定して好成績をとることができていました。具体的には、『数学の二次関数の単元が弱いので、何をやったら良いか教えてください』とか『理科の天体が模試でとれていないので、天体の単元のプリントを下さい』といった具合です。しかもその際に『数学のテキストの〇ページから〇ページまでをやってごらん』とか『この天体のプリント5枚を1週間以内に全部終わらせよう』と言った指示をするとだいたい2~3日で全て終わらせて、『先生、全部終わりました!』とやり終えた課題を笑顔で見せに来てくれました。このような地道な努力の甲斐があり、中3での全県模試の偏差値は67~69という常に高い状態をキープし、最後の1月の全県模試で偏差値70に到達しました

また、学校の定期テストでも同じような努力を積み重ね、中1の終わりで4と5が半分くらいずつあり、中2・中3ではオール5に近い成績を収め、最終的に内申の合計が130を超える(内申の最大は135)結果となりました。内申に関してどのように高内申を勝ちとったのかを彼女に聞いたところ、定期テストに関しては塾の宿題をちゃんとやっていればきちんととれるので、宿題を頑張ったとのことでした。ここで大事なのは、宿題の精度です。ただ単純に宿題を終わらせるのではなく、間違えた問題はしっかり解き直しをして出来るようにすることが大事です。また、提出物は社会の振り返りとかが大変だったが、他の人よりもやる量を増やしてやる気をアピールした、とのことでした。学校の提出物でも、ただ期限内にやって出すだけでは良い評価は得られません。先生から見て、『この子は凄い頑張ってるなあ。』と思われるようなアピールをすることが大事です。このようなプラスアルファのアピールがしっかり出来ている生徒は『主体的に学習に取り組む態度』で高評価を得られやすいです。

 

悩みに悩んだ志望校

中2の頃の模試時の彼女の志望校は、桜丘高校(全県模試偏差値59)や横浜栄高校(全県模試偏差値54)でした。ただ、その後順調に成績が上がっていったため、中3に上がる頃には希望ヶ丘高校(全県模試偏差値65)も志望校に加えるようになりました。そして中3の9月頃には希望ヶ丘高校と桜丘高校の2つに絞り、そこから冬頃まではかなり悩んでいるようでした。ただ、12月上旬に受けた模試を返却するころには桜丘高校に傾いていました

そこで、こちらからも志望校に関してアドバイスをしました。基本的にはフォルテでは無理に志望校を上げるようなことはしません。ただ、彼女の内申と模試の偏差値を考えると、希望ヶ丘高校も十分受かる成績だったため、先の大学受験のことも考えて希望ヶ丘高校を勧めました。その後悩みつつも、冬期講習中には本人が希望ヶ丘高校を受験校にすることを決めていました

ただ、入試前の最後の全県模試(1月)のあと、フォルテの授業内に行った神奈川県の公立入試の追検査の理科や神奈川プレ模試での理科の不調などで再び志望校に迷いが生じたようです。悩んだ末に彼女が覚悟を決めて希望ヶ丘高校に最終決定したのは、中学校に志望校を書いて提出する日の朝でした。

この12月から1月にかけては、それまで以上に保護者の方とも色々とやりとりをしました。彼女自身があまり塾での話を自分から家で話すタイプではないので、保護者の方は家庭での彼女の様子からそこまで根詰めて勉強している様子を感じていないようでした。ただ、彼女は11月ごろから秋からにギアを入れ変えて頑張っていました。授業がない日も自習に来る日が増え、また授業がある日も早く来て自習をしたり、授業後に残って自習をすることも多くなりました。そもそも彼女については、中3になる前の段階から「スマホを使う時間が長い」という相談は受けていました。中3になってからも同様の相談(というか嘆き?)もありました。なので、フォルテにいる時間以外はそこまで勉強時間は撮っていないだろうということは想像できていました(それでも宿題をやってこないなどは一度もありませんでした)。

そこで、こちらからは塾での最近の頑張りや現状での成績から合格の可能性がどれほどあるかを過去のデータを用いて細かく伝えました。その上で「本人の意思を尊重する」という方針に落ち着きました。ただ、入試の約1カ月前のやりとりで保護者の方からのLINEの中で気になる一文がありました。

〇〇(生徒名)は、とんでもない事を起こすタイプなので、心配は残りますが、悔いの残らないような選択ができるように応援していきたいと思います。

我々からすると、内申的にも模試の成績的にもかなり合格可能性が高い判定が続いていましたし、こちらから見るとメンタルが弱いタイプにも思えなったので、これは保護者の方の杞憂ではないかと高をくくっていました。しかし・・・。

 

本番当日→自己採点での衝撃

彼女は極度の緊張で本番を迎えます。そして、最初の教科の英語。過去問や模試では8割~9割をコンスタントに取っていましたが、緊張感からか力が発揮できませんでした。そこから焦りもあり、5教科のうち実に3教科で明らかに今までのような手ごたえを感じることができませんでした

その日の夕方、フォルテに来てもらって自己採点を行いました。他の生徒たちが続々と点数を記入して見せに来る中、彼女はなかなか見せに来ず、こちらから声をかけても点数を隠してかたくなに見せようとしませんでした。もちろんその段階で思った点数がとれなかったことは容易に想像出来ました。だいぶ遅れて見せに来た時の点数は5科目合計で普段の彼女の実力よりも30点くらい低い点数でした

ただ、内申でのアドバンテージや翌日に控えている特色検査の結果次第で合格を勝ちとれる可能性はあったので、励ましつつ翌日の特色検査で実力を出し切るよう伝えました。また、それでも心配だったので、保護者の方に電話しました。すると、彼女はやはり入試の点数については家族に何も言わずに自室にずっとこもっていました。家族からしてもとても声をかけられる様子ではないとのことでしたので、「明日出かける前で構いませんので、諦めるような状況ではないから最後まで希望を捨てずに前向きに頑張るようにお伝えください。」と言い、電話を切りました。

まさに保護者の方の言う、「とんでもない事を起こすタイプなので」というのが現実のものとなってしまいました。保護者の方の子どもへの理解度の深さに感心するとともに、我々の理解度の浅さを痛感しました

 

運命の合格発表

そして、合格発表当日を迎えます。ここまで彼女の心境としては、「(公立に)落ちたと思っていたから、私立でどこの部活に入ろうか考えていて、母も、私立の制服をつくりに行こうとしていた。」とのことでした。

そして、結果を自分で見るのが怖かったので、母の携帯電話で見てもらいました。すると、母が画面を見ながら嬉しそうな顔をしていたので合格したんだと悟りました。この段階で彼女自身は、自分が合格した嬉しさよりも本当に受かったのか?という驚きの感情の方が勝っていました。そして電話で我々に合格を報告してくれました。

受験時に注意してもらいたいことは、たとえ自分ではダメだと思っても最後まで希望を捨てずに全力でやり抜くことです。午前中の英国数で失敗しても午後の理社で巻き返せば十分可能性はありますし、5教科終了して自己採点の結果が低かったとしても、その年の入試の難易度や他の受験生の状況次第で大きく変わるからです。特に特色検査のある学校は、翌日の徳直検査でも逆転できる可能性があるのでなおさらです。別に1番にならなくても合格最低点に届いてさえいれば、同じ合格になります。

 

最後に

彼女に限らず、5期生のみんなは本当に頑張ってくれました。5期生全体としては内申や偏差値に余裕がある生徒と、内申や偏差値に余裕がなく本番の点数次第の生徒が半々くらいでした。その中でも彼女は前者の方に入っていたのですが、入試本番では何が起こるか分かりません。彼女の場合は入試では思うような点数がとれなかったものの、しっかりとした実力があったからこそ崩れた中でも合格に滑り込む点数が取れたのだと思います。そして何より3年間頑張って積み上げてきた内申がかなり効いていました。やはり内申がしっかりとれているかどうかは本当に大きいと改めて感じました

また、お子様をサポートする上で、保護者の方が意識されたことをお聞きしたところ、「睡眠不足にならないように早く寝るように声をかける事と、風邪を引いたり免疫力が低下したりしないよう食事面にも気を配るようにした」とのことでした。やはりご家族の支えがあってこその合格だとしみじみと感じ入ってしまいました。

 

最後に彼女の聞きました。

Q.「フォルテとはあなたにとってどんな場所?」

A.「仲間と高め合える場所。」

改めて合格おめでとう!

 

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

5期生ストーリー②

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

ここでは、5期生の一人ひとりにフォーカスして、我々から見た様子や印象に加えて、本人の談話に基づいて志望校合格までの話を書いていきます。今回が第2弾です。

※第1弾はこちらです。

 

今回紹介する女の子について

今回紹介する女の子は、一言でいうと「とても要領が良くて、負けず嫌いな子」という印象です。フォルテに入塾する前から学校の成績はオール5に近く、内申をとるコツについて聞いてみても「授業を真面目に聞いていれば、普通に理解できるので。」というような子です。そして入試で最も重要な中3の12月の内申では見事オール5(9教科で45)を獲得しました。

ただ、ある程度の要領の良さはあったにしろ、中学校の成績で技能科目も含めてすべて5を取るのは決して簡単なことではありません。そこには彼女なりの工夫や努力があったであろうし、その片鱗はフォルテでの様子を見ていても十分感じられました。

 

中3の春に入塾

彼女が入塾したのは中3の春でした。元々本人は塾に通うつもりはなかったようですが、保護者の方から「レベルの高い高校を目指すのであれば塾に入った方が良いのでは?」というアドバイスがあり、またフォルテに通っている同じ部活の親友(こちらで記事で紹介した子)が先取りの勉強をしている姿に少しを焦りを感じてもいました。

ただ、それでも当初の入塾意思はそれほど高くなく、事前面談の際にも入試対策講座や合宿などのオプション講座のみの参加にしようかと迷っている様子でした。そこでとりあえず体験に参加してもらい、そこでじっくり考えてもらうように伝えました。このようにフォルテでは、本人意思の低い子に対してこちらから入塾を強く勧めることはありません。というのも、特にフォルテに通う中学生はみんなメチャクチャ頑張る子たちばかりなので、そこにやる気の低い子が入ったところでついていけないと思うからです。そんなの本人が苦しいだけです。

そして、2週間の体験後に本人が入塾を希望したため、こちらも一緒に頑張ろうと伝え、歓迎しました。そして、先に紹介した親友の存在は彼女にとって大きく、実際に二人はお互いを尊敬しあっていて、まさに理想的なライバル関係といった感じでした。

 

志望校が決まるまでと受験生としての自覚

彼女が志望校を決める上で最も重視したことは「校風が自由であること」でした。神奈川県の公立高校は、偏差値が高い高校ほど案外校則が緩かったり、生徒主体で行事ごとを進めたりするので、校風が自由な場合が多いです。

その中で彼女が気に入ったのが希望ヶ丘高校でした。立地的には電車の乗り換えも必要で、決して通いやすい距離・場所ではありませんでしたが、中3の夏に行われた説明会に参加し、他に比べて自分が求める自由さがあることや自分の実力的にも十分合格が狙えるレベルの高校であることから決めました。

そして、この夏は彼女が受験生として、初めて本気度を感じたタイミングでした。というのも夏期講習中、フォルテでは中3生は午後1時から授業開始でしたが、彼女は毎日朝の9時から自習に来ていました。これによって理社の復習が大幅に進み、8月の全県模試ではその成果が顕著に表れていました

彼女自身、「もしかしたらこの夏が一番頑張った時期かもしれない」と言っていました。そして、その頑張りが成果として出たことが彼女にとって大きかったことでしょう。秋から冬にかけても精神的に追い込まれることはなかったと言います。ただ、疲れたときやちょっとキツイと思った時は大好きなスイーツを食べて息抜きしていたようです。

 

入塾後の急成長

入塾前から学校の成績が抜群だっただけあって、入塾直後に受けた全県模試でも英語と数学は偏差値60を優に超えていました。一方、中1・2の内容がメインの出題範囲である理社は偏差値50台と大きな課題で、5教科総合では偏差値61でした(全県模試のデータによると、2023年度入試で希望ヶ丘高校に合格した子の平均偏差値は65.2)。ちなみに彼女に限らず、中3まで塾に通っていない子で中1・2の理社内容がしっかり定着しているという子は私の経験上ほぼいません。

そこから持ち前の要領の良さとまっすぐな努力でメキメキと伸びていきいます。入試前最後の全県模試(1月号)では、苦手だった理社で社会は偏差値75(!)、理科は偏差値69まで上がりました。そして、5教科総合での偏差値も自己最高の69を記録しました

学校の成績からもわかる通り、入塾前から勉強に対する姿勢や知識の土台がある程度できていた彼女だからこそ短期間でここまで実力が伸びたのでしょう。実際に彼女も、フォルテに入塾してから「学力がめっちゃ上がった。勉強量が増え、その質も良くなった。」と言っていました。

そんな彼女が受験勉強で最もやっておいて良かったことは、社会の「歴史の年代暗記」でした。初めて受けた5月の全県模試から最後の1月の全県模試にかけて、社会の偏差値を20上げた彼女が言うのだから間違いないですね!

 

入試当日から発表日までの期間

このように学力的には万全の状態で2月14日、入試当日を迎えました。5時半に起床し、余裕を持って高校に向かいました。彼女が入試会場に持っていったのは、フォルテで配布している年代暗記シート、理科の授業用プリント(理系講師・佐々木のオリジナル)、理社の全国入試用のノート、御守りでした。

最初は緊張していませんでしたが、試験が始まるとふわふわした感覚であまり内容が頭に入ってきませんでした。最初の英語は、彼女にとって得意科目だったのですが、いつもの感覚とは明らかに違っていました。今考えると、今年の入試は英語の大きく難化した影響なのかなとも思いますが、そのあとの国語・数学・理科・社会もそこまで手ごたえを感じないまま終わってしまいました

家に帰りついた瞬間、あまりの出来なさに倒れ込んでしまい、その場で号泣してしまいました。家で娘の帰りを待っていたお母さんは、娘を気遣って「大丈夫だよ。もしダメでも私立に行けばいいじゃん。」と励ましてくれました。その背景には、彼女自身が併願の私立に関しても気に入っていたのもありました。

夕方になって、フォルテで自己採点をした際には、本人が思った以上に点数が取れていたようで、そこでは多少明るい表情が見えました。内申点のアドバンテージに加えて、学力検査でもある程度点数が取れていたことから、そこまで気負うことなく特色検査に臨むことができました。特色検査が終わった日は、保護者の方が本人のリクエストに応じて はま寿司 に連れて行ってくれました。

 

合格発表当日

特色検査が終わってからの約2週間はダラダラと過ごしていました。というのも、前述の通り本人は併願の私立も大変気に入っていたので、そこまで「公立に不合格だったらどうしよう。」という悲壮感はありませんでした。

それでも発表前日には合格発表のことを夢に見たようです。しかも夢の中では、合否を確認したところ、結果はなんと不合格でした。しかし、それは「見ているサイトが間違っていた」というオチでした。

そして、ついに合格発表当日を迎えます。いつもよりも遅めの8時に起きて、合格発表の9時に確認しようとしました。しかし、いくらサイトにアクセスしても合否の確認ができません。15分くらい経って、アクセスしていたサイトが間違えていたことに気づきます(奇しくも前日の夢と同じ展開に…笑)。そこで、正しいサイトで確認したところ、無事「合格」と出てきました。彼女の頑張りを間近で見ていたお母さんは思わず泣きながら抱き着いたとのことでした。

そして、高校に入学書類を取りにいき、門をくぐった後の坂を上っている最中に、「ああ、この坂を毎日登るんだな」と合格した実感が湧きました

 

最後に

彼女がフォルテに通ったのは1年弱でしたが、元々学校で仲が良かった友人がフォルテに数人いたこともあって、最後にはあたかも2~3年くらい通っているんじゃないかというくらい馴染んでいました。また、彼女が加入したことでフォルテ5期生の中での競争が一層激しくなりました。

また、保護者の方とも頻繁にLINEでやり取りをして、こちらからは「授業のときの彼女の様子」「模試の結果のフィードバック」「併願の私立のおすすめのランキング」「入試制度について」「入試問題の難易度について」などを適宜お伝えしました。一方、フォルテでは見せないちょっと弱気な様子も家では見せていたようで、それを共有してこちらから励ましの声をかけるようにしました。合格後のアンケートでは、そういったLINEでの言葉に母娘ともに励まされたと言っていただきました

合格後に改めて「受験勉強を通して何を一番学んだ?」と聞くと、「今まで飽き性で、何も続かなかったが、自分が努力できる人間だと気づいた。プライドが高いので、絶対に合格したいという思いで頑張った。」と話していました。私が彼女について最も感心したのは、自習中の態度でした。夏期講習や冬期講習の際に朝の9時くらいにやって来て、午前中はずっと自習をして、お昼ご飯を挟んで、午後から授業を夕方まで受けるというルーティーンでした。その午前中の自習の集中具合は5期生の中でもナンバーワンだったと思います。

また、高校で何を頑張りたい?」と聞くと、「勉強を頑張って良い成績を取りたい。部活はバスケ部か弓道部に入りたい。」とキラキラした表情で言っていました。彼女は、中3になってからは大きなケガをしてしまい、満足に部活に取り組むことができませんでした。そういった背景もあって、彼女には勉強はもちろんですが、部活動にも精一杯取り組んでほしいと思います。

 

最後に彼女の聞きました。

Q.「フォルテとはあなたにとってどんな場所?」

A.「集中できるし、良い友達も先生もいる最高の場所。」

改めて合格おめでとう!

 

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

5期生ストーリー①

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

ここでは、5期生の一人ひとりにフォーカスして、我々から見た様子や印象に加えて、本人の談話に基づいて志望校合格までの話を書いていきます。

 

今回紹介する女の子について

今回紹介する女の子は、一言でいうと「何事にも前向きに全力で頑張る子」という印象です。宿題や課題などやるべきことは誰よりもきっちりとやってくる子で、こちらから基本的な勉強に対する姿勢や態度を注意したことは一度もありませんでした。こちらが課す長期課題に関しても、どこかのタイミングでがっと一気にやるのではなく、コツコツと進めることができる子で、こういった勉強の仕方ができるのは一つの素晴らしい才能・能力だと思います。そして受験勉強においてもモチベーションに大きな波がなく一定のリズムで淡々とやるべきことをこなしていき、着実に力を付けていった感じでした。

また彼女には遊び心がありました。解き直しのノートや宿題プリントの端っこなどに時折オリジナルキャラクターが描いてあって、ポイントがそのキャラクターのセリフになっていたりします。それを見て我々はいつも和んでいました。彼女に限らず、こういった遊び心のある子は勉強をする中でも楽しみや面白さを見つけるのが上手くて、受験期になっても精神的に追い込まれるというのが少ないように思えます。実際に合格発表当日に本人に話を聞いたところ、受験勉強で辛かったと思う時期は特になかったと言っていました。

 

小6の秋にフォルテに入塾

彼女がフォルテに入塾したのは小6の秋でした。彼女には3つ上に姉がいて、そこでの経験から保護者の方がそろそろ通塾させた方が良いかなと考え始めていたころでした。そこで、姉の友人がフォルテに通っていたこともあり、同じタイミングで塾を探していた友人と一緒に入塾しました。この二人は入塾時から実力的にも近く、結局最後まで模試の点数を競い合うライバルでもありました。

また、彼女は普段からよく笑う子で、彼女がいると自然と教室が明るくなりました。彼女自身が相手の性別や学校に関係なく誰とでも仲良くなれるタイプの子なので、フォルテのように和気あいあいとしながらも、仲間と切磋琢磨しながら成長できる塾は彼女にとても合っていたようです。

実は彼女が中学生に上がってから、保護者の方とのやり取りの中で「家では全然自分から話をしないので、フォルテで先生たちに色々と自分から話をしているのが信じられない」という旨を何度か聞きました。家庭ではいわゆる反抗期だったようですが、フォルテではそういった様子はなく我々に対して反抗的な態度をとったことは一度もありませんでした。

 

中1から中3かけて順調に伸びていく成績

中学生になると彼女はバスケ部に入ります。元々、小学校のときから地元のミニバスチームを入っており、そのころからの気の知れた友人(この子ものちにフォルテ生になります)と一緒に部活動に励みました。2年生のときには県大会にも出場しました。

その一方で、勉強面は持ち前の積極性で中1のころから高内申(9教科で40以上)を獲得することができました。ただし、最初に音楽で3がついてしまったのはショックだったようで、それからはテストも実技も全力で頑張ったら、その頑張る姿を評価されて学年末では5をとることができました。そして、中2学年末と中3の12月の内申は全教科オール5を獲得しました(中2と中3の両方でオール5はフォルテ生初の快挙)!

また最初に受けた模擬試験(中1の7月の育伸模試)では5教科総合で偏差値60でした。それから着実に力を付けていき、中3で受験した全県模試はすべて5教科総合で偏差値65~70でした。偏差値アップの単純な数字だけで見れば、彼女よりも伸びた子は多くいますが、彼女ほど5教科総合の偏差値が安定した子はいませんでした。こういった波の小ささは、普段の頑張りによって身についた確かな実力あってのものでしょう。

そんな彼女が受験勉強で最もやっておいて良かったことは、社会の「歴史の年代暗記」でした。「年代暗記をすることで解ける問題が増えて、歴史の問題を解くのが楽しくなる」と言っていました。

 

中3の夏から彼女の支えになったもの

既述の通り、中学に上がってからというのも家庭では反抗期でした。実際に保護者の方や姉は彼女の扱いに相当気を遣っていたと思います。そんな少しギクシャクした空気があった中、彼女のたっての希望で中3の夏から犬(トイ・プードル)を飼い始めます

「がんも」と名付けられたその子は、彼女や家族にとっての癒しをもたらす存在になっただけでなく、「がんも」を中心にして家族の仲がとても良くなったそうです。家庭内の雰囲気が良いというのは受験生にとって非常に良い環境です。

「がんも」を飼い始めたことによって彼女の中でフォルテと家での生活にメリハリができ、それが彼女にとって相当プラスに働いたようです。

また保護者の方のサポートもありました。お母さんはビタミンを多くとれるように工夫したり、彼女の好きなおかずをお弁当によく入れてくれました。また、フォルテから帰った後によくお茶漬けを作ってくれたのも嬉しかったと言っていました。

 

志望校が決まるまで

彼女は本当にマイペースで、中3の夏までこれといって行きたい高校というのがありませんでした。ただ、中2のときの話では漠然と「頭のいい学校に行きたい」と言っていました(笑)。

そんな中、中3の夏から本格的に高校見学に行きます。その時点での自分の内申点や模試の偏差値から考えて、横浜緑ケ丘高校、光陵高校、希望ヶ丘高校、横須賀高校、市立金沢高校を見学しました。その中で、校舎の広さや学校の雰囲気的に自分に一番刺さったのが市立金沢高校でした。夏に初めて見学に行ってから9月にはもう志望校を市立金沢高校に決めていました。そこから一度もブレずに入試の日を迎えます。

 

入試当日から発表日までの期間

ついに2月14日、入試当日を迎えました。かつてフォルテの先輩が入試後のアドバイスで語っていたことを覚えていた彼女は、朝の寒い中で手先をホッカイロで温めておきました。

彼女にとって最初の英語は得意科目の1つ。しかし、極度の緊張からか長文の内容が全く頭に入ってこず力を出し切ることができませんでした(今年の英語が難化したことも当然あったでしょう)。それでも内申点のアドバンテージがあったため、下手にパニックになることなく次の国語のときには落ち着いていました。このように志望校に対して内申点に余裕がある子は、それ自体が本番での安心材料になります。ですから、フォルテ生に口酸っぱく内申の重要性を説いています。

彼女は当日、自分が今までの模試や全国入試の過去問で間違えた問題や知識などをまとめた理社ノートを持参しました。休み時間中はそのノートを見返して、最後まで1点でも高い点数が取れるように備えました。受験生ならずとも、こういったノートの作成はとても良い取り組みです。

入試後、夕方にフォルテで自己採点をしました。自己採点の段階で多くの子が思ったような点数が取れず不安になったり、落胆したりする中、彼女は5教科総合では自分が思った以上の点数が取れていました。市立金沢高校は特色検査の実施がないため、この日で彼女の入試は終わりました。

それから合格発表までは約2週間あります。入試翌日、中学校では入試問題の難化を受けて「ヤバイ!ヤバイ!」という声ばかりだったようです。彼女自身は自己採点の点数もあって、そこまでの不安や緊張はなかったようですが、それでも発表の3日くらい前からは少しずつ不安や緊張感が出てきました。そして発表日の前日には合格発表の夢も見たようです。

 

合格発表当日

ついに合格発表当日を迎えます。この日は7時半ごろに起きて、朝ご飯を食べたりしているうちに気が付けば8時半ごろ。発表の9時が近づくにつれて緊張が高まってきます。家族はみんな家にいて、9時になりお母さんのスマホで合否を確認します。

一緒に確認したお母さんは嬉しさのあまり泣いていたそうです。そのあと、彼女は誰よりも早くフォルテに来てくれて、我々とも喜びを分かち合いました。ちなみにその日の夕飯は、彼女のリクエストでお好み焼きとケーキだったそうです。

 

最後に

彼女はかれこれ3年以上フォルテに通ってくれました。彼女の何事にも前向きに頑張る姿を見ていると、こちらも自然と彼女のことを応援したくなりました。また彼女の勉強に対する姿勢や課題に取り組むマインドは後輩にとっても参考になることばかりでしたので、後輩たちに良い例として伝えていきたいと思います。

合格後に改めて「受験勉強を通して何を一番学んだ?」と聞くと、「市立金沢高校に行きたいと強く思ったので、最後まで頑張ることができた。目標のために頑張って、それを達成する経験ができた。」と話していました。確かに学校の成績にしろ、模試の成績にしろ、自分の頑張りが何かしらの形で成果として表れることはとても良い経験になったと思います。

また、高校で何を頑張りたい?」と聞くと、「勉強でトップを目指したい。部活動も新しいことに挑戦したい。」と力強く言っていました。高校生活は「今しかできないこと」ばかりです。特に市立金沢高校は、勉強も部活も学校行事もどれも全力で頑張る子が多い高校なので、彼女にはピッタリでしょう。彼女が素晴らしい高校生活を送ってくれることを心から願っています。

 

最後に彼女の聞きました。

Q.「フォルテとはあなたにとってどんな場所?」

A.「みんなと楽しみながら学べるところ。」

改めて合格おめでとう!

 

今回は以上です。ではまた!

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初詣兼合格祈願に行ってきました!(2024年)

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

先日、個人的に毎年の恒例となっている、鎌倉は荏柄天神社への初詣兼合格祈願に行ってきました。

 

天満宮や天神社とは

全国各地にある「~天満宮」や「~天神社」は「学問の神様」として知られる菅原道真を祀っている神社です。

一般的に「北野天満宮(京都)」「防府天満宮(山口)」「太宰府天満宮(福岡)」の3つが日本三大天神と言われています。また、鎌倉の荏柄天神社は平安時代を起源とし、「北野天満宮(京都)」「太宰府天満宮(福岡)」と並んで三古天神社と言われます。

 

初詣兼合格祈願

例年は1月2週目に参詣していました。その際はバイクまたは車で直接現地(またはすぐ近くの駐車場)行けていたのですが、今年は1月3日に参詣したため近くの道路が通行止めだったのでちょっと遠くの駐車場に止めてそこから15分くらい歩いて荏柄天神社に到着しました。

正月3が日の最終日ということで、流石に例年以上に混雑していました。

数分並んだのち、二礼二拍手一礼で中3生の合格とフォルテ生全員の志望校合格と学力伸長を祈願します。

参拝後は今年も絵馬を書きました。

また、こちらも毎年恒例ですが、中3生一人ひとりに御守りを買いました。

公立入試(2月14日)までおよそ5週間。ここからは周りも必死に頑張るので、相対的に偏差値をのばすのは簡単ではありませんが、入試当日まで実力は伸びます。中3のフォルテ生みんなが無事に入試の日を迎えられるように我々も全力でサポートしていきます!

今回は以上です。ではまた!

 

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第13回OKB48総選挙について

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。今回は、久々に文房具に関する話です。

 

第13回OKB48総選挙

昨年の初めにこちらの記事(「お気に入りの文房具を持とう」)でも触れた、年に1度開催される文房具ユーザー(=ほぼ全国民)のお気に入りボールペンの人気投票企画であるOKB48総選挙が今年も開催されていて、投票締め切りが迫ってきています(Webでの投票は12月31日まで)。もちろん私もWebから投票しました。ちなみに今年でこのイベントは第13回です。

 

前回(第12回)の上位メンバーは?

ここで前回の結果を振り返ってみましょう。自分用やプレゼント用に買うボールペンに迷ったら、これらを買っておけば間違いないでしょう。前回(第12回)の結果(トップ5)は以下の通りです。

前々回(第11回)と比べると、3位のジュースアップ以外は同じ面子がベスト5に入っています。

1位は絶対王者・ジェットストリーム・スタンダード(三菱鉛筆)で、なんと12連覇を達成しました!クセになる、なめらかな書き味」がキャッチコピーで、低粘度インクと呼ばれる油性でありながら驚くほどなめらかな書き味はまさに業界内で革命を起こしました。個人的には、コンビニの店員さんや配達員の方が使われているのをよく目にします。また、文房具屋さんだけでなく、コンビニや百円均一のお店にもだいたい置いてあり、入手しやすいことも大きいと思います。

 

次に、私の推しペンでもあるユニボールワンF(三菱鉛筆)が2年連続で2位となりました。ボディ(軸)のくすんだ色のバリエーション(「茜空」「無垢」「花霞」「日向夏」などの和なネーミングも良い!)と、スタビライザー機構と呼ばれる低重心の機能を採用することで安定した書きやすさを実現した逸品。ちなみにこれはユニボールワン(第10回OKB総選挙で3位の実力者!)というペンが進化したものですが、ユニボールワンシリーズのデザイン自体が小中学生にメチャクチャ人気があります(少なくともうちの生徒には!)。ユニボールワンに比べて、口金と呼ばれるペン先付近の部品が金属感のある仕様になっています。ユニボールワン同様に、くっきりとした濃いゲルインク(通称“oneインク”)を採用しており、書いた内容を記憶しやすいため受験勉強のお供にもオススメです。ちなみに私は合計で30本以上買っています(笑)。

 

3位のジュースアップ(パイロット)は、パイロット社のジュースというシリーズの進化版で、ペン先にシナジーチップを搭載することで、細書きながら従来の細書きのボールペンにありがちだったガリガリ感がなく、非常になめらかな書き味のボールペンです。また、黒を基調としたボディのデザインも特徴的で、中高生に人気があります。ここ最近では、第9回4位→第10回8位→第11回6位→第12回3位といった具合で、ベスト5に返り咲きました。

 

4位のエナージェルインフリー(ぺんてる)は、なめらかな書き味と速乾性に加えて、インクのカラーバリエーションも豊富です。またボディ(軸)の部分が透明になっているシンプルさも特徴的だと思います。そもそもエナージェルインキ(インク)は、好きな人は本当に好きなので、「もうエナージェルしか使えない!」というエナージェル原理主義者も多くいると思うので、堅い票を持っているのでしょう。個人的には丸付けの時には、エナージェルインキが使いやすいです。第10回9位→第11回3位→第12回4位という推移です。

 

5位のブレン(ゼブラ)は、「ブレンシステム」という筆記の際のブレを極力減らし、ユーザーのストレスを最大限に軽減することに注力したボールペンです。なめらかなボディがスタイリッシュでカッコイイです。過去のOKB48総選挙では、第9回に初登場し、絶対王者・ジェットストリームに肉薄する2位という鮮烈デビューを飾りました。それ以降も、第10回2位 → 第11回5位 →第12回5位と常にベスト5入りしている安定の人気ぶりです。ちなみにフォルテのロゴ入り赤ペン第一弾は、このブレンを採用しています。インクについては少し薄めな感じがあるので、そこは好みが分かれる部分かもしれませんが、見た目のクールさは間違いないです。

 

第13回の展望は?大型新人は?

まず、1位はやはり絶対王者・ジェットストリームと連続2位のユニボールワンFが争うのではないかと私は思っています。前回投票で1000ポイント以上を獲得したのはこの2本のみでしたので、この2本が頭1つ抜け出ているので、もしかしたらユニボールワンFがジェットストリームの牙城を崩すかもしれません。

また、今大会にも新人(2022年9月以降に新発売されたボールペン)が多数エントリーしています。その中でも注目の2本を紹介します。

まず1本目はユニボールワンP(三菱鉛筆)です。

こちらはユニボールワンシリーズの新作で、ユニボールワンFと同じようにスタビライザー機構による低重心の軸ですが、その軸が短くと太くなっているのが特徴です。このへんは手の小さい女性向きなのかなと個人的には思っています。実際に文房具屋さんで手に取ってみたところ、私はあまりしっくりきませんでした(それでも生徒たちの感想を聞きたくて1本買いましたが…)。ただ、インク自体はすでに紹介しているユニボールワンやユニボールワンF同様にoneインクを採用しているので、そこの書き味や視認性の良さは間違いないです。なので、手に取ってみてしっくりくるかどうかだけを確かめた方が良いです。

 

もう1本が韓国の文具メーカー・ZERO G TEC社のZERO G BALL (ゼロジーボール)∠15です。

こちらは写真でわかる通り、ペン先が15度傾いていて、それによって紙面に対して垂直に力が入るので、軽い筆圧で書くことができます。かなりユニークなデザインだったので、私も1本買って試しに使ってみました。

慣れれば平気なのかもしませんが、個人的には違和感がすごかったです。また、インクが一昔前のボールペンのようで、逆に日本のメーカーの作るボールペンのインクのレベルの高さを感じました。

 

この他にも7種類の新人たちがエントリーしています。ちなみに昨年の記事で私が注目した昨年の新人Calme(ぺんてる)は第12回で14位で、新人としてはボールサインiDプラス(サクラクレパス)の10位が最高でした。今年の新人たちはどれくらい上位に食い込むのか、楽しみですね。

詳しくはこちらの公式サイトをご覧ください。

今回は以上です。ではまた!

 

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誕生日企画始まりました!

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

今回は、今年度から始まったフォルテ生の誕生日企画についてです。

企画のきっかけ

まずこの企画のきっかけとしては、私自身の経験からです。それは、私は4月生まれなのですが、学生の頃に学年やクラスが新しくなって、友人ができたころにはすでに私の誕生日が過ぎていて、家族や数年来の友人以外からはあまり祝われないということが度々ありました(4月生まれあるあるです)。そこで、そういった4月生まれの子をお祝いする機会を作りたいと思ったのと、この企画を機に子どもたちがお互いの誕生日を知り、仲良くなってくれると良いなと思いました。

 

企画概要

企画の内容はシンプルで、各生徒が誕生日当日または次の通塾日に くじ を引いて、いるフォルテオリジナルグッズがその場で当たるというものです。

オリジナルグッズの例としては、オリジナル赤ボールペン(ブレン)、オリジナルシャーペン(2種類)、オリジナルクリアファイル(第3弾)、オリジナル缶バッジ、オリジナルコインケース、オリジナルボールペン(ユニボールワンF)、オリジナルキーホルダー(数種類)などなどです。実はこの企画でしか手に入らないグッズばかりです。

 

くじの様子

くじ にはアディダスのくつ箱をカスタマイズした手製のBOXを使います。

この中に くじ が入っています。

1つ引いて開くと、こうなります。

すると、その中身に応じてグッズがもらえます。

 

実際の結果

今日(4月12日)時点で、さっそく2名がくじを引いたところ、二人ともクリアファイルでした!フォルテ生の皆さんは自分の誕生日が来るのを楽しみにしていてくださいね。

今回は以上です。ではまた!

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4期生ストーリー②

こんにちは。フォルテの理系講師の佐々木です。

今回は4期生の一人ひとりにフォーカスして、主に我々目線からの志望校合格までの話を書いていく第2弾となります。第1弾をまだ見ていないという方は是非、第1弾もご覧ください。

※4期生全体についてはコチラ

※第1弾はコチラ

 

遅めの入塾だけど努力量はピカイチ

今回紹介する女の子は、4期生としては入塾時期が一番遅く、中2の冬からの入塾でした(現在は中学部は全学年満席のため、小学生からじゃないと入塾できない状況です)。フォルテに入塾した理由は友達に誘われてという最も多いパターンですた。

入塾後、初めての受けた2月の模試では、5科目総合での偏差値が40台後半で、苦手の数学は偏差値30台でした。この当時の私の心境としては「面談時に数学が苦手と言っていたけど、相当頑張らないと厳しいな」という状況でした。ただ、勉強に対して前向きに取り組む姿勢がとても印象的で、努力量は4期生の中でもピカイチでした。特に、宿題の間違えた問題は全問解き直していたり、指定した範囲よりも多めに宿題をやってきたりしていたため、メキメキ力をつけていきました。

例えば、数学の宿題のやり方一つとっても、伸びる生徒となかなか伸びない生徒はすぐに分かります。宿題が期日に終わらないのは論外として、やったとしても塾に来てから慌てて丸付けをしたり、丸付けをしていても間違えた問題は正しい答えを書いて終了する生徒はあまり成績が伸びません。それに対し、出来ていなかったところを再度解いて、出てきた問題を全て解けるようにしている生徒は、小テストをしてもしっかりととれ、成績もどんどん上がっていきます。

 

長期課題に対するアプローチ

繰り返しになりますが、彼女の努力は4期生の中でもトップクラスでした。一例をあげると、中2の3月上旬ごろに長期課題として100ページ近い理科の課題を出しました。内容は中1・2の理科の総復習で、期日はGW明けまでという課題でした。早い生徒で、GW前に数人は提出できるかな?と予想していたところ、彼女は4月の上旬にはすべて終えて1番乗りで提出しに来てくれました。

このような長期課題を出すと、各生徒の勉強に対する熱量の差が顕著に表れます。早期に提出する生徒は、少し早めに塾に来て進めたり、休み時間等のちょっとしたすき間時間でも有効活用し地道に少しづつやっていきます。それに対し、ギリギリ又は期限に遅れて提出する生徒は、ほとんどが期限が近づくまでほとんど放置し、期限が迫ってくると慌てて一気にやろうとします。ギリギリに提出する生徒でもコツコツ計画を立ててやってあれば良いですが、期限が迫ってから大量にやると学習効果は薄くなります。

その理由は、課題を終える事しか頭にないからです。このような復習課題は弱点や出来ていない穴を埋めていき、その箇所を出来るようにしていくことで力がついていきます。それを短時間で大量にやろうとすると、時間に余裕がないため、間違えた箇所を解き直す時間が無かったり、下手すると数十ページに渡って丸付けをせずに最後にまとめて丸付けをするような子もいます。まとめて丸付けをすると、最初の方で間違えた問題に対してなぜそのような解答に至ったのかを忘れてしまいます。当然じっくり解き直している余裕はないので、正しい答えを写して終わりにするのが関の山です。その結果、同じことをやっていても効果は全然違ってきます。

 

志望校に対するぶれない信念

彼女が志望校を本格的に意識したのは中3の夏頃でした。入塾当初から模試の際には志望校をみなと総合高校と書いていましたが、中3の7月の模試では偏差値が60に到達し、その際に志望校に関して話をしました。「模試の結果と今までの頑張りを考えると、もう少し志望校を上げてもいいと思うよ」という話をすると「勉強以外にも様々なことが学べるからみなと総合高校がいいです。」との答えでした。目標のレベルに自分が到達すると、慢心からか、勉強に対する意欲が下がる生徒もいます。ですが、彼女はそのようなタイプではなかったので、以降は特に志望校に関しての話はしませんでした。

 

驚異の偏差値アップ

中3の冬になり、内申が決まり、12月模試の結果が戻ってきて、さすがにびっくりしました。5科目総合偏差値は過去最高を大幅に更新して68となりました。そして苦手だった数学の偏差値も69と入塾時から30以上アップしました。当然ながら入塾時3だった数学の内申も5となり、内申、偏差値ともに盤石の状態でした。また、志望校をはるかに凌駕する成績をとっていても全く浮かれる様子はなく、常に努力を怠らない姿勢は本当に素晴らしいと思いました。

そして、ある時彼女にどのように苦手の数学を克服していったかを聞きました。すると、とてもシンプルな答えが返ってきました。「苦手なところよりも分かるところや出来るところからやっていき、後に苦手なところやきついところをやっていった」とのことでした。たしかに苦手科目である数学で、いきなり空間図形などの難しい単元をやろうとしたら、挫折する可能性が高いと思います。まずは基礎の計算力をしっかりと固めてから徐々に出来るところを増やしていく方が賢明だと思います。

 

入試本番でも400点超えの高得点

入試直前の模試タイプの問題でもしっかりと点数がとれていて、面接の練習でもハキハキと受け答えが出来、多少の体調不良で本番で力が発揮できなくても合格は固いと思うくらい仕上がっていました。実際に入試当日も普段通りの力を発揮し、本番での入試では5科目で400点を超える点数でした。のちの各調査でわかりましたが、得点力としてはいわゆるトップ校と言われる高校にも合格できるくらいのレベルでした。彼女は入塾してから卒業するまで、順調すぎるくらい成績が伸び続けました。そして志望校合格におおよそ必要なレベルまで到達した後も、おごらず、油断したり手を抜いたりすることもなく、一途に志望校合格に向けてひたすら努力を継続していきました。今振り返ってみても、私の約20年の塾講師人生の中でもトップレベルの努力量と成績の伸び率でした。やはり何事も継続することが大切だと改めて感じさせられました。

 

最後に

毎年受験生を送り出していて思うことですが、日々コツコツと努力してきたことは決して裏切らないということです。もちろん、一時的な努力ではなく、努力を継続して習慣化していかなければ意味はありません。習慣化するには最低でも3週間はかかると言われています。よく、勉強のやる気が起きないという人がいますが、待っていてもやる気が起きることはありません。毎日少しずつでもやってみることが重要です。やる気があるから勉強するのではなく、勉強していくことで、分かることが増えていき、やる気が出てきます。

それでは最後にアルゼンチン代表のサッカー選手、リオネル・メッシ選手の名言で終わりたいと思います。

「努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ」

今回は以上です。

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