こんにちには、フォルテの文系担当の上村です。
このシリーズでは、全小中学生にオススメの映画や小説などを紹介していきます。このシリーズで紹介するのは、私の考える「良い芸術作品」です。
ここでいう「良い芸術作品」とは、その作品に触れることで私たちが「何かしら成長できる」「何かを考えるきっかけを得られる」「何かしらを学べる」「モチベーションが高まる」作品を指しています。
優れた芸術作品(小説でも音楽でも絵画…etc)に触れることで私たちの人生は豊かになります。ここで紹介する良い芸術作品に触れることで少しでも子どもたちの人生が豊かになってくれればと思っています。
第十弾となる今回は、映画『フリー・ガイ』です。
<参考記事>
第一弾:映画『ドリーム』(ココをクリック)
第二弾:映画『ズートピア』(ココをクリック)
第三弾:映画『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』(ココをクリック)
第四弾:映画『トイ・ストーリー4』(ココをクリック)
第五弾:映画『Us(アス)』(ココをクリック)
第六弾:映画『アルプススタンドのはしの方』(ココをクリック)
第七弾:映画『ミッション:8ミニッツ』(ココをクリック)
第八弾:映画『gifte/ギフテッド』(ココをクリック)
第九弾:映画『あの夏のルカ』(ココをクリック)
目次
映画『フリー・ガイ』とは?
この作品は、マーベルを代表する大ヒット映画『デッドプール』の主演で知られるライアン・レイノルズが主演と製作を務めた2021年の映画です。
舞台は、「グランド・セフト・オート(GTA)」などに代表される、プレイヤーがゲーム内で何でも好きなことができるオープンワールド型のゲーム「フリー・シティ」で、ライアン・レイノルズ演じる主人公・ガイはゲーム内で毎回銀行強盗に襲われる銀行員です。彼のゲーム内での役割はただ強盗に襲われるだけで、時にはプレイヤーたちによって殺されたり、ボコボコにされたりします。
このようにゲームの中で限定的な役割やセリフを与えられた、いわゆるモブキャラ(背景キャラ)が主人公となっているのがこの作品のユニークな点です。ちなみに↓みたいのが典型的なモブキャラです。
あらすじ
ルール無用のオンライン参加型アクション・ゲーム「フリー・シティ」のモブ(背景)キャラとして、平凡で退屈な毎日を繰り返すガイ。ある日、彼は街で見かけたきれいな女性プレイヤー(モロトフ・ガール)に一目惚れして、そこから意思を持ち始める。それから、今までは毎日繰り返してきたこととは違う新しいことをやってみようと思う。しかし、このモロトフ・ガールは、ゲーム「フリー・シティ」に隠された大きな秘密を暴こうとしていて、ガイはモロトフ・ガールに協力することになるが、その中で自分の住む世界はどんなものなのか、そして自分は何者なのかを知っていく。
公式キャッチコピー
「主人公(ヒーロー)になりたい、すべてのただの人(フリー・ガイ)へ」
映画『フリー・ガイ』の見どころは?
見どころ1「よく出来た脚本・ストーリー」
最初はガイの生きるゲーム世界の描写が中心ですが、物語が進んでいくうちにそのゲーム開発の裏側や開発者が込めた思いなどが段々とわかるような謎解き要素もあって、最後まで退屈せずに見ることができます。
また、序盤の細かいセリフや動きが後半で大きく活かされる、いわゆる上手い伏線の張り方も多いため、何度でも見返したくなります(ゲーム世界のシーンでは画面の情報量が多いので、細かい部分やネタに関しても見返して確認したくなります)。
見どころ2「魅力的なモブキャラたち」
この作品では、ガイ以外にも「フリー・シティ」内のモブキャラたちが多く出てきます。最初は、ガイ同様に決まったセリフや動きしかしないのですが、ガイが意思を持ち始めたのをきっかけに、他のモブキャラたちも少しずつ意思を持ち始めます。その過程を見ているうちに、我々は段々とガイ以外のモブキャラたちにも感情移入していき、「彼らに幸せになってほしい」と思うようになります。
そして、このモブキャラたちの変化は映画のストーリー上、大きなポイントとなっています。
見どころ3「軽妙な会話やギャグ」
すでに紹介したように、この作品では主演のライアン・レイノルズは今回製作も兼ねています。彼の出世作でもある『デッドプール』同様、彼のアイディアやアドリブはこの作品でも炸裂して、思わずクスリと笑えるシーンやセリフがたくさんあります。
また、吹き替え版では主人公のガイの声をデッドプールと同じく加瀬康之さんが務めているのも個人的には安心して見れます。加瀬康之さんは、ライアン・レイノルズ以外にもレオナルド・ディカプリオやクリス・エヴァンスなどの吹き替えも多く担当されています。
(多少ネタばれ有)『フリー・ガイ』のざっくりとした結末
ゲーム「フリー・シティ」の開発会社であるスナミ・スタジオの経営者であるアントワンは、実はこの「フリー・シティ」開発の際に、キーズとミリーという若手クリエイターが作ったゲームのコードを盗用していました。キーズはアントワンの会社で雇われる一方で、ミリーはアントワンを裁判に訴えており、盗用の証拠を得るために「フリー・シティ」をプレイしていました。実はガイが一目惚れしたモロトフ・ガールは、ミリーがプレイしているキャラクターなのでした。
ガイは、自分が住む世界が実はゲーム内のものであること、そして自分自身がそのゲームの単なるモブキャラであることを知ります。しかし、キーズがプログラムしたAIによって意思を持ち始めたことで、自分を変えること(=自分が主人公となること)、そしてミリーの動きに協力することを決めます。これに対して、アントワンは社員に命じて何とか二人の動きを阻止しようとします。
そこで、自分たちだけでは盗用の証拠を手に入れることが難しいと考えたガイは、他のモブキャラたちに協力を求めます。中には、ガイ同様に意思を持ち始めたモブキャラもいて、二人はみんなの協力を得ることができます。
しかし、盗用の証拠を得るまであと一歩というところで、アントワンはミリーがプレイするキャラクターであるモロトフ・ガールをゲーム内から追放することに成功します。そうなると、ガイは一人でやり遂げなければなりません。さらにそこに投入されたのは、アントワンが急造で完成させた最強キャラ・デュード(←筋肉ムキムキでいかにも強そうなキャラ)です。
ガイは、圧倒的な力の差がある中で、親友のモブキャラ・バディの助けや一瞬の機転を利かせることでデュードとの戦いに何とか勝つことができます。
これを受けて、アントワンは最終手段として、社内にある「フリー・シティ」のサーバーを物理的に破壊することで、ゲーム自体を破壊しようとしますが、キーズやその同僚・マウサーの助けもあって間一髪で何とか盗用の証拠を得ること、そしてそれを世間に公表することに成功したのでした。
ミリーとキーズ、ガイとモブキャラたち、そして悪事がバレたアントワンのその後については、映画を実際にご覧ください。
映画『フリー・ガイ』のメッセージは?
この映画でのガイに代表されるモブキャラとは、我々の現実世界における一部の「主人公やヒーロー」を除く大半の「ただの人」のことを投影していて、そんな「ただの人」でもそれぞれが自分の人生の主人公であり、何かをきっかけにしていつでも新しいことを始めたり、自分を変えたりすることができる、というのがこの映画のメッセージだと思います。
もちろん、我々の大半は「ただの人」であるので、このメッセージには多くの人が共感できるでしょうし、この映画を見た後に人生に対して前向きな気持ちになれると思います。
ガイは、自分の意思を持ってからはただ決められた役割を演じたり、決まったセリフを言うのではなく、自分がやりたいこと(=人助け)をやり始めます。このように、「自分の人生なのだから自分のやりたいことをやろう」という思いにもさせてくれる良い映画です。ぜひご覧ください。
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