4期生ストーリー①

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

ここでは、4期生の一人ひとりにフォーカスして、我々から見た様子や印象に加えて、本人の談話に基づいて志望校合格までの話を書いていきます。

※4期生全体についてはコチラ

 

今回紹介する女の子について

今回紹介する女の子は、一言でいうと「負けず嫌いな子」という印象です。授業中の演習や小テストに関しては周りの子に負けないようにと頑張っていましたし、模試ごとに貼られる塾内の上位ランキングにも毎回ビビッドな反応を見せていました。

ただ一方で、彼女にはちょっと気分に浮き沈みがあるところがありました。気分が乗っているときは勉強でも物凄い勢いや集中力を見せますが、気分が乗っていないときは勉強になかなか身が入らないといった状況でした。高校受験は何よりコツコツと積み重ねる子が最も強い受験ですので、こういったムラは入試を迎える上で一つの不安材料でもありました。実際にそういった精神的な部分が原因での欠席もちょこちょこあったので、我々もそうでしたが、保護者の方も焦りや心配が尽きなかったのではないかと思います。

 

中2の夏にフォルテに入塾

彼女は中2の夏期講習の時期にフォルテを体験→入塾しました。当時中3で彼女と同じ中学校の子で、なおかつ家が非常に近い先輩が通っていたため、紹介という形でフォルテを知ったようでした。ちなみに4期生の学年では、彼女と同じ中学校の子は他にはいませんでした。なので、学校の定期テスト前には彼女にだけテスト範囲の授業をしたり、他の中学校の子たちとは別の課題をしてもらったりしました。

入塾当初の印象としては、当時の学校の内申に比べて彼女の持っている実力やポテンシャルは全然高そうだなと思いました。つまり、この子には伸びしろはかなりあるだろうと感じていました

彼女は入塾当初から英語は抜群にできていて、学校の定期テストではコンスタントに90点以上が取れるくらいの実力がありました。これは、小1から英会話教室に通っていて、英語に対して前向きに学習する態度があったという部分が大きかったと思います。ただし、勘違いしていただきたくないのは、このように低学年から英会話教室に通っている子で、実際に中学校の英文法や語彙に対して明確なアドバンテージをしっかり持てている子はそこまで多くありません。英検取得者に関しても同様です。例えば小学生で英検3級を持っているという子が時々にいますが、そういった子も語彙力自体はある程度持っていますが、英文法を体系的に理解して英作文をする十分な能力があるかというと、かなり怪しいです。

 

内申はボロボロな状態で中3に

前述のとおり、英語の実力は十分ありました。そして英語以外の教科に関しては、学校の定期テストの点数的には大体70点前後を取る実力だったかと思います。それが入塾後、9月→11月→2月とテストを経るごとに、英語以外の教科でもに関しても8割以上が多くとれるようになりました。

しかし、残念ながらそれは内申アップにはあまりつながりませんでした。というのも彼女はフォルテに入塾するまで、レポートなどの提出物に対する意識がとても低かったのです。それが少しずつ意識が変わって、提出物の評価も上がってはきていましたが、それでもまだまだ改善の余地がある状態でした。フォルテでの様子や学校の定期テストの点数から想定された数値と比べると、彼女の中2学年末の内申は5~7くらい低かったです。

この結果には彼女も保護者の方もかなり落ち込んでいました。ただ、観点別にみればあと1つ評価が上がれば…という教科が多かったので中3からの巻き返しを誓うのでした。

 

志望校が決まるまで

彼女には中1の頃から行きたい高校がありました。それは彼女の2学年上に先輩が進学した追浜高校でした。彼女は先輩のインスタグラムに載っている楽しそうな写真の数々にすっかり魅了されました。「この高校で3年間を過ごしたい。」そんな憧れを抱きました。

ただし、前述の通り中2学年末の内申は、過去の追浜高校の合格者の平均と比べるとまったく足りていない状況でした。また、模試の偏差値に関しても入塾後から順調に伸びてはいましたが、やはり目標とする偏差値にはまだまだでした。こういった状況だったので、彼女自身も追浜高校への挑戦を半ば諦めて、それよりも1ランクまたは2ランクしたの高校をひとまずの志望校にしていました。ただ、それでも内申を大幅に上げていかなければいけない状況でした。

そして彼女は中3になり、今までとは比べ物にならないくらい提出物に力を入れ始めました。すると、中2の学年末から中3の12月にかけて学校の内申は8もアップしました。ここは彼女にとって少し自信になったのではないかなと思います。しかし、勉強時間こそ増えたものの、入試に向けての勉強の熱はどうにも上がり切っていないように感じました。保護者の方も、そんな姿を見て歯がゆさを感じていました。時にはあまり勉強面に口を出さないお父さんからも「このままで大丈夫なの?後悔しないの?」と発破をかけられることもありました。

そんな中、彼女自身は受ける気はほとんどなかったですが、自分が最初に憧れた追浜高校を最後にもう一度見ておきたいということで、12月に追浜高校の説明会に参加しました。すると、在校生の様子や校舎の様子を間近で見たことで、追浜高校に行きたいという気持ちが彼女の中で再燃します。その気持ちを保護者の方に素直に伝えたところ、”本当行きたい高校なのであれば今の成績が足りてないとしても応援する。ただし、受けたいならばそれに見合う頑張りをすること”と背中を押してくれたとのことです。このように頭ごなしに「無理」と言われなかったことが彼女の中でとても嬉しかったし、自分でも今まで以上に頑張ろうと強く思えたようです。実際に、保護者の方から見てもこの日から彼女が目の色を変えて頑張り始めました

 

ラスト2か月の追い込み

彼女は入塾時の模擬試験の偏差値は5教科総合で50を少し超えるくらいでした。それが中3春に50台後半になり、中3夏には60に到達しました。8月の全県模試では英語で満点も取りました。このように文系教科は順調に伸びてきていましたが、苦手教科の数学と理科は少し伸び悩んでいました。ただ、追浜高校くらいのレベル(全県模試で偏差値60くらい)までの高校であれば、得意教科で9割近く取れれば、苦手教科で多少コケたとしても十分合格圏内に点数は取れると思っていました。

そして、志望校が固まった12月。ちょうどそのころ受けた全県模試ではなんと過去最低の偏差値を記録してしまいました。そんなタイミングでの志望校の上方修正だったので、「これから入試まで、本人に相当の覚悟とそれに伴う行動がないと厳しいと思うが、本気でやる気があるなら我々は応援する」と彼女と保護者の方に伝えました。

実際にそれからの彼女の頑張りには目を見張るものがありました。授業がない日もほぼ毎日自習に来ていました。時には保護者の方から「今日は自習を休んだら?」と声をかけたこともあったようですが、それに対して「今日やらない事を、あとで後悔したくない。」と言って自習に向かいました。

そして、入試前の最後の全県模試では過去最高の偏差値62を記録しました。それでもこれはあくまで通過点。彼女の内申を考えると十分だとは言えない状況でした。彼女もそれを十分わかっていたので、残り1か月も必死に頑張りました。特に社会は神奈川の入試過去問以外にも他県の入試問題を多く解いていき、そのほとんどで9割以上が取れるようになっていました。

入試の直前期、勉強をしていて辛く感じたときは追浜高校のパンフレットを見て、合格した後の自分を姿を想像してモチベーションを上げていたとのことでした。また、フォルテでの授業が終わり、疲れた状態で帰宅したときに、お母さんが家で作っておいてくれた焼きおにぎりも彼女の大きな支えになっていました。

 

入試当日から発表日までの期間

ついに2月14日、入試当日を迎えました。その日は試験が始まる約3時間前の6時20分に起床しました。その日の朝ごはんには彼女の好物の豚汁をお母さんが作ってくれました。ただ、彼女は朝からものすごく緊張していたようで、高校の最寄り駅まで一緒に来てほしいとお母さんにお願いしたほどでした。

そして、8時20分ごろに学校に到着します。教室に着くとすでに半分くらいの生徒が着席していました。そこから入試の本番を迎えるのですが、緊張のあまり最初の教科である英語の記憶がほとんどないと言っていました。

その日の夕方、フォルテで自己採点を行いました。まずは得意教科の文系教科から。すると、英語・国語・社会で合計270点を超え、間違いなく過去最高得点でした。次に苦手教科の数学と理科。こちらは問題が難化したこともあり、かなり厳しい点数でした。しかし、5教科の合計点ではやはり過去最高点でしたので、ここまでの彼女の頑張りは一定の成果に結びつきました。昨年の合格者平均などと比べても、まったく遜色のない点数だったので、私自身は多少ホッとしていました。彼女の面接は翌々日だったため、この日は自己採点をしてそのまま帰宅してもらいました。

翌日(2月15日)、面接の練習を1時間ほど行いました。追浜高校は面接の点数で差がつくタイプの高校ではないので、そこまで気負わずに望むようにアドバイスしました。そして次の面接終了後の感想では、彼女自身が言いたかったことはしっかり言えたようでよかったです。これで彼女の公立高校入試は終了しました。

そこから合格発表までの約2週間は学校での卒業遠足を筆頭に楽しいことがたくさんありました。ただ、彼女の周りで同じ追浜高校を受けた子たちは彼女よりも自己採点の時点で高い点数を取っていたこともあって、彼女自身は合格発表当日まで頭には常に不安が付きまとう状態でした

 

合格発表当日

今年も合格発表はWeb上で行われました。この日はお父さんも仕事に行く時間を遅らせて、一緒に結果を確認することにしました。しかし、発表の9時にはアクセスが集中してしまい、結果が見られない状態でした。Web上で実際にスムーズに見られるようになったのは9時15分過ぎくらいからでした。

そこで彼女からLINEが届きました。

彼女は「合格」の2文字を見た瞬間、あまりの嬉しさに涙がこぼれ、それを見た保護者の方も一緒に喜びを分かち合い、そしてたくさんの褒めてあげたとのことです。その後、高校に入学手続きの書類を取りに行くのが午後指定だったため、午前中に来てもらい我々も喜びを分かち合いました。そこでの彼女の本当に嬉しそうな、そしてホッとしたような表情がとても印象的でした。

 

最後に

これは後々わかったことなのですが、実は開示された彼女の点数は自己採点よりも20点くらい低く(!)、今回の合格はかなりギリギリだったのかもしれません。ただギリギリだったとしても合格は合格。それは間違いなく彼女の志望校に対する思いが手繰り寄せたものでしょう

また、本日お母さんと一緒に最後のあいさつに来てくれて、そこでもいろいろな話を聞かせてくれました。普段勉強に口を出さないお父さんが実は娘の模試の結果を隅から隅まで見て、弱点を把握しており、時たまアドバイスをしてくれていたこと。そんなお父さんの入試当日の態度がいつも通りすぎて「頑張れの一言もないの?」と彼女はひそかに怒っていたこと。他にも興味深い話がたくさんありました。

最後に彼女の聞きました。

Q.フォルテとはあなたにとってどんな場所?

A.「安心できてがんばれる場所。」

改めて合格おめでとう!憧れの高校で実りの多い高校生活を送ってくださいね!

今回は以上です。ではまた!

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初詣兼合格祈願に行ってきました!(2023年)

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

先日、個人的に毎年の恒例となっている、鎌倉は荏柄天神社への初詣兼合格祈願に行ってきました。

 

天満宮や天神社とは

全国各地にある「~天満宮」や「~天神社」は「学問の神様」として知られる菅原道真を祀っている神社です。

一般的に「北野天満宮(京都)」「防府天満宮(山口)」「太宰府天満宮(福岡)」の3つが日本三大天神と言われています。また、鎌倉の荏柄天神社は平安時代を起源とし、「北野天満宮(京都)」「太宰府天満宮(福岡)」と並んで三古天神社と言われます。

 

初詣兼合格祈願

さて、鳥居をくぐった後に数十m歩いて、数十段の階段を登ります。

二礼二拍手一礼で中3生の合格とフォルテ生全員の学力伸長を祈願します。

同じ内容を絵馬にも書きました。

こちらも毎年恒例ですが、中3生に御守りを買いました。

ついに公立入試まで1か月を切りました。ここからは周りも必死に頑張るので、相対的に偏差値をのばすのは難しいかもしれませんが、入試当日まで実力は伸びます。中3のフォルテ生みんなが無事に入試の日を迎えられるように我々も全力でサポートしていきます!

今回は以上です。ではまた!

 

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第12回OKB48総選挙について

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。今回は、久々に文房具に関する話です。

 

第12回OKB48総選挙

今年の初めにこちらの記事(「お気に入りの文房具を持とう」)でも触れた、年に1度開催される文房具ユーザー(=ほぼ全国民)のお気に入りボールペンの人気投票企画であるOKB48総選挙が今年も開催されていて、投票締め切りが迫ってきています(Webでの投票は12月31日まで)。私も投票しました。ちなみに今年でこのイベントは第12回です。

 

前回(第11回)の上位メンバーは?

ここで前回の結果を振り返ってみましょう。自分用やプレゼント用に買うボールペンに迷ったら、これらを買っておけば間違いないでしょう。前回(第11回)の結果(トップ5)は以下の通りです。

1位は絶対王者・ジェットストリーム・スタンダード(三菱鉛筆)で、なんと11連覇を達成しました!クセになる、なめらかな書き味」がキャッチコピーで、低粘度インクと呼ばれる油性でありながら驚くほどなめらかな書き味はまさに業界内で革命を起こしました。個人的には、コンビニの店員さんや配達員の方が使われているのをよく目にします。

次に、私の推しペンでもあるユニボールワンF(三菱鉛筆)が新人ながら2位に食い込みました。ボディ(軸)のくすんだ色のバリエーション(「茜空」「無垢」「花霞」「日向夏」などの和なネーミングも良い!)と、スタビライザー機構と呼ばれる低重心の機能を採用することで安定した書きやすさを実現した逸品。ちなみにこれはユニボールワンというペンが進化したものですが、ユニボールワンのデザイン自体に小中学生(特に女子)にもメチャクチャ人気があります。

3位のエナージェルインフリー(ぺんてる)は、なめらかな書き味と速乾性に加えて、インクのカラーバリエーションも豊富です。またボディ(軸)の部分が透明になっているシンプルさも特徴的だと思います。そもそもエナージェルインキは、好きな人は本当に好きなので、「もうエナージェルしか使えない!」というエナージェル原理主義者も多くいると思うので、堅い票を持っているのでしょう。個人的には丸付けの時には、エナージェルインキが使いやすいです。

4位は、ジェットストリームエッジ(三菱鉛筆)で、1位のジェットストリームの新しいシリーズで名前の通り、世界最細の0.28mmの芯を始めとして「鋭さ」「細さ」がペン先だけでなく、ペン全体のデザインで表現されているクセの強いボールペンです。また、単色で1,000円なので、上位のペンの中では最も高い価格帯です。

5位のブレン(ゼブラ)は、「ブレンシステム」という筆記の際のブレを極力減らし、ユーザーのストレスを最大限に軽減することに注力したボールペンです。過去のOKB48総選挙では、第9回に初登場し、絶対王者・ジェットストリームに肉薄する2位という鮮烈デビューを飾りました。それ以降も、第10回2位 → 第11回5位 と安定の人気ぶりです。ちなみにフォルテのロゴ入り赤ペンは、このブレンを採用しています。

 

第12回の展望は?大型新人は?

まず、1位は絶対王者・ジェットストリームと前回初登場2位のユニボールワンFが争うのではないかと私は思っています。ユニボールワンFは、昨年は発売されたばかりだったので、売り場での展開がまだ十分ではない状態でした。そのため、前回の時点では一般の知名度は他の既存のメンバー(=ボールペン)に比べると低いと言わざるを得ませんでした。しかし、あれから1年経ってずいぶん色々な文房具屋さんの売り場で展開されているのを目にするようにもなりましたので、もしかしたら王者奪取も有り得るかもしれません。

また、今回も大型新人がいます。それがcalme(ぺんてる)です。カルムと読みます。このペンの名前は、大学受験などでよく出る英単語の calm「静かな、穏やかな」から来ていて、その名の通りノックする際の「カチッ!」という音を大幅に軽減しているのが大きな特徴です。またデザイン的にもグリップが皮っぽくなっていたり、ボディ(軸)のカラーも落ち着いた感じのバリエーションで、非常に大人受けしそうなペンです。去年の11月末に発売し、発売当初から割と文房具屋では推されていた感もありましたので知名度はそこそこありそうです。そんな中、発売から1年経った今回満を持してOKBに初エントリーということで、上位に食い込む可能性も十分ありそうです。

 

最近の普及活動

フォルテでは、「普及活動」という名目で、上村が厳選した文房具を景品にしたり、オリジナルグッズの作成をしています。

まずは推しペンのユニボールワンF(三菱鉛筆)。

そして、エアーフィットライトS(ゼブラ)です。こちらにはフォルテオリジナル版でゴールドのロゴ入りです。

また、ペンからは離れますが、ハロウィンの時期に全生徒に配布したクリアファイルは大好評でした。みんな使ってくれています!

今までの教え子たちを思い返すと、文房具にこだわる子は高確率で成績も高い気がします。自分のお気に入りの文房具を持つことで、「勉強をする」ということが少なからず苦でなくなるのかもしれません。

今回は以上です。ではまた!

 

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言霊(ことだま)は本当にあるのか?

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。 今回は、言霊(ことだま)についてです。

 

言霊(ことだま)とは?

言霊とは、古代から信じられている言葉に宿るとされる神秘的な力のことです。そのため、声に出した言葉が現実の事象に影響を及ぼすと信じられています。

簡単に言うと、前向きな言葉を声に出せばそれが良い結果につながり、後ろ向きな言葉を声に出せばそれが悪い結果につながるということです。例えば、結婚式の時や受験の直前には不吉なことを連想させる言葉を控えるような慣習がありますよね。それも言霊の一種なのかもしれません。

余談ですが、私が言霊という言葉を初めて知ったのは、サザンオールスターズの「愛の言霊」という曲名でした。確か、元スマップの香取慎吾主演のドラマのタイアップ曲だったと思います。

 

言霊(ことだま)は科学的なことなのか?

この言霊は、ただの慣習や言い伝えなのかというと、実はそうでもないようです。以前、このような話を聞いたことがあります。

ある研究によると、人間は後ろ向きな言葉を聞くと、脳のスイッチがオフになってしまうというのです。こういった研究に関連して、ある救急医療の現場では「仕方がない」「無理だ」といった後ろ向きな言葉を発することを禁止しているようです。

救急医療の現場は、いついかなる時に急患が運ばれてくるかわからないので、常に緊張感があり、なおかつ睡眠時間もあまり取れず精神的にも体力的にもキツイことが多いです。それでも、運ばれてくる急患を助けるために、多少無理をしてでも全力を尽くさなければならない環境です。そんな中で、誰かが「仕方がない」「無理だ」などの言葉を発すると、その現場のスタッフの脳のスイッチがオフになってしまい、キツイ状況でのもうひと踏ん張りができなくなってしまい、救える命も救えなくなってしまうとのことです。

 

集団内での言葉の影響力

このような、ざっくりと言うと、良い言葉は周りに良い影響を与え、悪い言葉は周りに悪い影響を与えるというのは、何も救急医療の現場に限った話ではないでしょう。特に集団生活の中では、その集団内の士気や雰囲気にかかわる重要な話だと思います。

例えば、スポーツの場合。サッカーの試合で1点差で負けていて、後半も残り時間わずか。そんな状況で誰かが、「ラストワンプレーで絶対に追いつこうよ!」と言えばチームの士気は高まり勢いも出ますが、「もう無理だよ。追いつけないよ。」と言えばチームの士気が下がって雰囲気が悪くなるでしょう。

例えば、塾の場合。みんなが入試や学校の定期試験に向けて必死に頑張っています。そんな状況で誰かが、「次の模試では絶対1位を取る!」と言えばそれを聞いたクラスメイトも負けじと頑張り切磋琢磨し合うでしょうが、「テストの点数なんてどうでもいいよ。」と言えばその場の凛とした空気が壊れてしまい雰囲気が悪くなるでしょう。

私の経験上、こういった集団内での士気や雰囲気はものすごく重要で、それは結果にも大きく影響します。というのも、そういった環境に引っ張られず高いパフォーマンスを発揮できるような強靭なメンタルを持った人というのは、全体の中でもごくごく少数だからです。ほとんどの人は多かれ少なかれその場の雰囲気に流されるものです。ですから、フォルテ内でも悪気の有無にかかわらず、マイナス発言をする生徒に対しては、その子自身を思ってもそうですが、その場の士気や雰囲気にも悪い影響があるので必ず注意をするようにしています。

今まではこういうのは単に感覚的なものかと思っていましたが、この記事内で紹介した研究結果や医療現場での話を聞いて、妙に腑に落ちました。

 

自分の言葉の影響を考えよう

人間誰しも辛くなってしまったり、ネガティブな考えに陥ってしまうことはどうしてもあります。そういう時は、自分なりの気晴らしを見つけたり、ごく身近な人(家族・友人・塾の先生など)に愚痴をこぼしたり、相談したりするのも良いでしょう。

ただし、もうひと踏ん張りしなきゃいけない時や、集団内にいるときには自分の言葉が自分自身および周りに対して良くも悪くも影響を与えるということを自覚しましょう。ですから、そういった状況ではたとえキツイ状況だとしても、前向きな言葉を意識的に声に出し、後ろ向きな言葉は胸の内にしまっておきましょう

今回は以上です。ではまた。

 

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人生を豊かにする芸術作品⑭『さかなのこ』

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

このシリーズでは、全小中学生にオススメの映画や小説などを紹介していきます。このシリーズで紹介するのは、私の考える「良い芸術作品」です。

ここでいう「良い芸術作品」とは、その作品に触れることで私たちが「何かしら成長できる」「何かを考えるきっかけを得られる」「何かしらを学べる」「モチベーションが高まる」作品を指しています。

優れた芸術作品(小説でも音楽でも絵画…etc)に触れることで私たちの人生は豊かになります。ここで紹介する良い芸術作品に触れることで少しでも子どもたちの人生が豊かになってくれればと思っています。

 

第十四弾となる今回は、映画『さかなのこ』(2022年)です。

<参考記事>
第一弾:映画『ドリーム』(ココをクリック)
第二弾:映画『ズートピア』(ココをクリック)
第三弾:映画『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』(ココをクリック)
第四弾:映画『トイ・ストーリー4』(ココをクリック)
第五弾:映画『Us(アス)』(ココをクリック)
第六弾:映画『アルプススタンドのはしの方』(ココをクリック)
第七弾:映画『ミッション:8ミニッツ』(ココをクリック)
第八弾:映画『gifte/ギフテッド』(ココをクリック)
第九弾:映画『あの夏のルカ』(ココをクリック)
第十弾:映画『フリー・ガイ』(ココをクリック)
第十一弾:映画『ドラえもん のび太とアニマル惑星』(ココをクリック)
第十二弾:映画『ロスバンド』(ココをクリック)
第十三弾:映画『線は、僕を描く』(ココをクリック)

映画『さかなのこ』とは?

映画『さかなのこ』は、誰もが知る「魚博士」の さかなクン の自伝『さかなクンの一魚一会~毎日夢中な人生!~』の映画化です。私個人は、原作の自伝を読んでいませんので、近いうちに拝読したいと思います。

監督は『横道世之介』『南極料理人』などの映画で知られる沖田修一です。個人的にはあまりこの監督の映画を見ていないのですが、2020年の映画『子供はわかってあげない』は劇場で観ていて大好きでした。この映画でも『子供はわかってあげない』と共通する良さが多くありました。

また、さかなクンと言えば、この映画でも描かれている通り、日本で初めてカブトガニの人工繁殖に成功したこと(しかも中学生時代に!)や、中学1年生の国語の教科書に掲載されている『幻の魚は生きていた』で取り扱われている(それまで絶滅したとされていた)クニマスの生息確認にも貢献するなど、研究者・学者の面での功績も本当に素晴らしいわけですね。

 

あらすじ(公式サイトより)

お魚が大好きな小学生・ミー坊は、寝ても覚めてもお魚のことばかり。他の子供と少し違うことを心配する父親とは対照的に、信じて応援し続ける母親に背中を押されながらミー坊はのびのびと大きくなった。高校生になり相変わらずお魚に夢中のミー坊は、まるで何かの主人公のようにいつの間にかみんなの中心にいたが、卒業後は、お魚の仕事をしたくてもなかなかうまくいかず悩んでいた…。そんな時もお魚への「好き」を貫き続けるミー坊は、たくさんの出会いと優しさに導かれ、ミー坊だけの道へ飛び込んでゆくーー。

 

映画『さかなのこ』の見どころ

魅力的な登場人物

主人公のミー坊(のん)。まずこの作品の一番の成功ポイントは、何と言っても主人公のミー坊に のん をキャスティングしたことです。ミー坊は男の子ですが、それを女優の のん が演じています。公開前の予告を見た時点で、「これがあったか!」とハマり役に感じましたが、この透明感や中性的な存在感は唯一無二で、今や のん 以外が演じる姿は想像できないほどです。

 

ミー坊の母・ミチコ(井川遥)。ミー坊にとっての最大の理解者です。ミー坊の他の子との明らかに違うところを心配する父親とは対照的に、それを1つの個性としてまさに全肯定してくれる存在です。ミー坊の成長する姿をミチコが温かい目で見つめるシーンがいくつかありますが、「お母さん、良かったですね。あなたの育て方は間違ってなかったですね。」という思いがこみ上げてきて泣けます。

 

ミー坊の小学校時代の同級生であるヒヨ(柳楽優弥)。小学校時代はミー坊と仲良しでしたが、高校生になるとミー坊と違う高校に通い、「狂犬」と呼ばれる不良になっていました。ただ、それでもミー坊の良き理解者です。個人的にこのヒヨとミー坊の友情が示されるシーンに何度も胸が熱くなりました。不良から足を洗って、自分の将来のために頑張る姿も素敵です。

 

ミー坊の小学校時代の同級生であるモモコ(夏帆)。高校卒業後は、シングルマザーとして娘を育てることになり、ミー坊の一人暮らしのアパートに転がり込みます。ミー坊との間では不思議な友人関係を築いており、ミー坊が「好き」を貫く姿に大きな影響を受けます

 

ミー坊の通う高校の不良のリーダー的存在である総長(磯村勇斗)。不良の一方で、バカっぽい一面や優しい一面も見えます。また、漁師を祖父に持っていることもあってか、魚に対して物すごい知識と熱量を持つミー坊に対しては、一定のリスペクトを持って接しています

 

総長と敵対する高校(=ヒヨの通う高校)の不良のリーダー的存在である籾山(岡山天音)。ミー坊との出会いが彼の人生を大きく変えることになり、それがミー坊にとっても大きな転機になります

 

ミー坊の小学生時代に、近所に住んでいたギョギョおじさん(さかなクン)。魚に異様に詳しい無職の男性で、周囲からは完全に変質者扱いされています。ただ、このキャラクターは、ミー坊(=さかなクン)が一歩間違えたらありえたかもしれない人生の1つであり、この映画の大きなメッセージである「好きを貫くこと」の危うさを示す存在でもあります。

 

ミー坊の高校の鈴木先生(鈴木拓)。この役を演じる、お笑い芸人・ドランクドラゴンの鈴木拓は実際にさかなクンの中学・高校の同級生とのことです。今回の高校のシーンの撮影も二人の母校(神奈川県立綾瀬西高校)で行われたとのことです。

 

この他、ミー坊やヒヨやモモコの小学生時代を演じた子役たちも全員良かったです。

 

テーマとメッセージ

沖田修一監督がこの映画を作るうえで、大切にしたスローガンは「男か女かはどっちでもいい」で、この言葉は映画の冒頭に出てきます。これによってミー坊役を のん が演じていることにも一気に説得力が出ます。

また、映画の持つ最も大きなメッセージは「好きなことを貫き通すこと」の大切さです。そして、その中で「他人に認められることで自己肯定感が高められる」ということだと思います。

劇中では、ミー坊の魚に対する「好き」という圧倒的なエネルギーが周囲を巻き込んでいきます。この映画は大きく分けて小学生時代・高校生時代・青年時代の3つのパートに分かれており、それぞれでミー坊を認め、支えてくれる人々がいます彼らの存在があるからこそ、ミー坊は自己肯定感が高められ、「好き」を貫き通すことができて、成功へとつながるのです

「好きに勝るものなしでギョざいます!」(by ミー坊)

 

数々の笑えるシーン

私が2020年に見た同じ沖田修一監督作品『子供はわかってあげない』同様、コメディタッチで笑えるシーンがたくさんあります。父親とタコのシーン、ミー坊が不良のナイフを使って魚をさばくシーン、映画終盤での母親によるまさかの告白は特に個人的にお気に入りです。

 

パンフレットが良い

『さかなのこ』のパンフレットがまた良いです!メインキャストの俳優さんたちのインタビュー、監督インタビュー、監督とさかなクンの対談、劇中に出てくる魚の図鑑(!)、劇中に出 てくるさまざまな資料の画像など、ボリュームがあります。

この映画が好きな人にとっては、かゆい所に手が届く内容になっていて、マストアイテムです

 

ということで、映画『さかなのこ』は老若男女問わず楽しめる大傑作で、何か好きなことに打ち込んでいる人の背中を押してくれる作品です!超オススメです。

今回は以上です。ではまた。

 

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3期生ストーリー①

こんにちは、フォルテの文系講師の上村です。

ここでは、3期生の一人ひとりにフォーカスして、我々から見た様子や印象に加え、本人の談話に基づいて志望校合格までの話を書いていきます。

 

今回紹介する女の子について

今回取り上げる3期生の子の印象を一言でいうと、「芯の強さを持ち、目標に向けてひたむきに頑張り続けた子」です。

私は大学生時代から大手塾で塾講師を始めて、もう15年ほどになります。これまでに教えてきた受験生(大手時代の自教室の生徒&フォルテ生)の数はざっくりと言うと500名くらいかなと思うのですが、その中で入試までの1年間の頑張りで言うと、間違いなく彼女はナンバーワンです。それくらい頑張っていました。

また、しっかりとした自分の考えを持っている子で、かといって意地っ張りというわけではなく、こちらからのアドバイスはいつも素直に受け入れる子でした。

 

志望校は県内最高峰の公立高校に決定

彼女が志望校を決めたのは、フォルテ入塾前の中2の1月のこと。

それまで特に行きたい高校がなかったのですが、同じ中学校に通う1学年上の先輩が受験勉強を必死に頑張っている姿に感化されて、自分も高い目標を持って頑張ろうという気持ちになりました。

そこで様々な高校のホームページを閲覧していく中で、彼女はある高校に一目ぼれします。それは、勉強はもちろんのこと、学校の行事や部活など高校生活のすべてに対して全力で頑張ることが校風の湘南高校でした。

ただし湘南高校は、神奈川県内では横浜翠嵐高校と並ぶ最高峰の公立高校です。この時点での彼女の学力からすると、湘南高校に合格するためにはかなりの学力アップが必要な状態でした。

 

中2の3月にフォルテに入塾

湘南高校を志望校にしたことで、流石にこのままでは合格することは難しいと考え、目ぼしい塾を探し始めました。湘南高校に多くの合格者を輩出している大手塾を含めて、様々な塾を検討しました。しかし、彼女の中で「塾」に対して元々良い印象がなかったようで、実際に見学した大手塾の授業(恐らく「the 塾」な雰囲気だったのでしょう。)が気に入らず、そこは体験すらしなかったとのことです。

そこで検討する塾を個人塾にシフトします。そんな中、縁あってフォルテのことをお母さんに知っていただき、フォルテの方針や指導形態などに大いに賛同していただいて、お問い合わせ→入塾となりました。

彼女は他の学校の子たちともすぐに打ち解けていき、フォルテのことを気に入ってくれたようでした。そんな入塾して数カ月たった6月ごろ、彼女のお母さんから頂いたLINEの内容が今でも私の中で印象に残っています。それは「フォルテに通わせてくれてありがとう!フォルテを見つけてくれてありがとう!」と娘から言われたという内容でした。

こう言ってもらえるのは、塾講師冥利に尽きますし、本当に嬉しかったです。

 

志望校への一途な思い

5月から受け始めた全県模試でも、偏差値こそ70を超える回もありましたが、それでも良い合格判定はなかなか出ませんでした。さらに、彼女は部活で部長を務めており、その部活が県大会まで出場したことで引退時期が8月前半にまで延びました。これは受験勉強に本腰を入れる上で少し苦労したところでもありました。

その影響もあってか、8月の模試が散々な結果となってしまい、そこから彼女は目の色を変えて勉強し始めます。元々、一般の中3生の水準からすると頑張ってはいましたが、彼女の目標はあくまで県内最高峰の公立高校。これがきっかけで、その高い目標に見合う努力をし始めたといっても良いかもしれません。

そして、10月には説明会で初めて湘南高校を訪れました。そこでは彼女の目に映るものすべてがキラキラと輝いて見え、「自分が通いたい高校はここしかない!」と強く思いました。一緒に説明会に訪れていた、お母さんもそのときの彼女の様子はとても印象的だったと、後におっしゃっていました。

そんなモチベーションがMAXに上がった中で受けた10月の模試で、やっと湘南高校の合格判定がA判定になりました。さらに、そこからは12月・1月とA判定を続けることができました。

そして、だんだんと入試が近づいてきたころのある日、彼女の志望校への強い思いを感じて個人的にグッと来る出来事がありました。その日は模試実施日で、5教科の模試実施後も彼女を含む何人かの中3生がその日の模試の解き直しをするために教室に残っていました。そこでの休憩時間中に、何気ない雑談の流れで彼女に対して私が「〇〇さんは、スマホの待ち受けとかってどういう画像なの?」と何気なく尋ねました。

すると、彼女は「え?見ますか?」と少しはにかみながらスマホのロック画面を見せてくれました。そこに映っていたのは、彼女の志望校である湘南高校の写真でした。彼女はスマホのロック画面を湘南高校の写真にすることで、モチベーションを高く保っていたのでした。

そのときに私は、彼女の志望校への並々ならぬ強い思いを再確認し、またそれまでひたむきに頑張ってきて彼女の姿が一瞬にしてフラッシュバックしてきて、勝手に胸を熱くしていました。そして、心から「この子を湘南高校に合格させてあげたい。」と思いました。

 

彼女の凄さ、継続力

彼女の凄さや頑張りを語るうえで、「継続力」は外せません。こちらの記事でも紹介したように、3期生は「毎日課題」を始めて学年全体としてルーティン化しました。そして、学校の行事などの関係でどうしても出来なかった時を除いて、彼女は必ずこれらの課題をこなしていました。これは、シンプルでありながら、なかなかできることではありません。

秋以降はさらにルーティンとしての勉強量が増えました。

英語では毎日他県の入試問題の長文をやるほか、リスニング問題も神奈川県の過去問だけでも15年分以上、それに加えて他県の入試問題のものもコツコツと進めました。

国語では苦手としていた古文の問題を必ず毎日1題ずつやっていき、漢字も読み書きの課題も毎日やりました。

理社では、全国入試問題正解(旺文社)を用いて、昨年度のすべての都道府県の入試問題を解き終えており、その過程で確実にレベルアップするのを彼女自身も実感できている様子があり、実際に入試直前の時期になると、解き終わった入試問題の自己採点の結果はどれも確実に9割を超えていました。社会に関しては、昨年度の全県に加えて、フォルテの本棚にある昨年度以前の問題もいくつかの都道府県をこちらでピックアップして、解くように指示しました。

 

入試当日、涙の自己採点会

そして、入試当日。

フォルテでは、入試後の夕方に来てもらって自己採点や面接練習を行います。そこで彼女も他のみんなと同じように自己採点をしに来てもらいました。

年明け以降、様々な入試形式の問題を解く中で、彼女は英語・国語・理科・社会ではどれも点数が9割以上で安定していました。一方で、数学と特色検査には点数に波があり、その点が彼女の不安材料でした。

実際に学力検査を解いていて彼女が感じたのは、「英語は緊張していてふわふわした気分で解いていた」「国語はいつも通りできた」「数学がとにかくヤバイ」「理社が易しく感じて悲しかった」ということでした。

また、コロナ禍でマスク着用ということで、マスクの中が湿気で不快指数が高くなるということもあったようです。しかし、そこは替えのマスクを使用することで乗り切れたとのことです(フォルテでは、入試前日に全中3生に予備のマスクを配布していました!)。

そして自己採点をしてみると、数学以外の教科に関してはほぼ実力通りの点数(4教科で360点以上)がしっかりとれていましたが、数学に関しては事前の不安が的中してしまい、思った以上に低い点数でした。そんな自己採点後に彼女が記入した感想が↓です。

他の子たちの点数も明らかになる中で、彼女は自分の数学の点数が目標としている高校のレベルの割にかなり低い結果であるということを否が応でも自覚し始めます。

こちらも彼女の様子や自己採点の結果を見て、翌日の特色検査に向けた勉強に切り替えるように促しましたが、彼女は段々と込み上げてくる悔しさのあまり、ついに泣き出してしまいました。普段、人前であまり感情をむき出しするタイプではない彼女が人目もはばからず泣きじゃくる姿を見ていると、本当に胸を締め付けられる思いになるのと同時に、彼女にスパッと気持ちを切り替えさせることができる魔法のような言葉をかけられない自分の無力さを痛感しました。それでも彼女は少し経って落ち着いてからは、特色検査に向けての勉強を黙々としていました。

後に聞いた話では、帰宅後に再び落ち込む彼女に対して、お母さんが「しっかりと切り替えなさい!」と強く言ってくれたとのことです。彼女とお母さんは、普段からたくさん会話をしている仲良しなのですが、入試前になると毎日のように夜食を作ってくれたり、遅くまで勉強する自分に合わせるように遅くまで起きていてくれたりしたことが、彼女にとって大きな支えになっていました。

そして、翌日の特色検査後にフォルテに来た時には、すべて出来ることはやり切ったようで、その時の彼女の清々しい表情はとても印象的でした

 

発表日、そして後輩へのアドバイス

そして、合格発表日。

今年も神奈川の公立高校の合格発表は朝9時からWebで確認する形でした。そこで、発表開始直後の9時1分、3期生の中で一番最初に報告をくれたのが彼女でした。

 

面接終了後からの2週間弱、個人的にずっと合否を心配してきた子の一人でしたので、この報告を受けたときは本当に嬉しかったです。その後、高校に書類を取りに行き、中学校に報告をした後にフォルテにも来てもらい、喜びを分かち合いました。

ちなみに開示点を見たところ、数学は自己採点よりも10点近く高い点数でした。ただ一方で、特色検査は思った以上に点数が取れておらず、かなりギリギリでの合格だったと思います。これも彼女の湘南高校への強い思いや執念が紙一重で合格を手繰り寄せたのだと思います。

そして、そこから約1週間後。中2の授業日に来てもらって、今回の入試の体験談や後輩へのアドバイスをしてもらいました。そこでは、本気でやり切った彼女だからこそ語ることができる内容ばかりで、説得力抜群でした。また、内容自体も素晴らしかったのですが、彼女の言葉には力強さがありました。その力強い言葉は彼女の持つ芯の強さの表れで、その芯の強さこそ合格を勝ち取れた大きな要因だったと私は思うのです。後輩たちには是非、彼女の金言やそこから感じた芯の強さを糧にして受験勉強に励んでほしいと思います。

 

最後に

彼女と過ごしたのは、期間としてはほんの1年間だったのですが、そうは思えないくらい濃い時間だったように感じます。現にこの1年間で、彼女がフォルテで勉強していた時間は、間違いなく他の誰よりも長いでしょう。それこそ授業がある日もない日も毎日のようにフォルテに来て、机に向かっていました。

入試前には家で「フォルテはとても居心地が良いから、学校よりも家よりもフォルテにいたい」と言ってくれていたそうで、さらに合格後にお母さんから聞いた話によると、家では「上村先生と佐々木先生に合格を見せたい」と事あるごとに言ってくれていたそうです(感涙!)。

先にも述べた通り、私は彼女ほどひたむきに頑張った生徒を知りません彼女から伝わってきた「志望校への一途な思い」「執念」は本当に素晴らしかったですし、それが最終的に志望校合格という形で報われたのは本当に嬉しかったです。合格発表時のことを思い出すと、今でも心が熱くなります。逆に、入試前には毎日見ていた彼女が机に向かう後ろ姿が、ここ最近は見られないことには多少寂しさを感じるくらいです笑。

3期生はみんなが一生懸命頑張る最高の学年でした。そして、その中心には彼女がいました。他の3期生の子たちも、模試で常に塾内のトップを走る彼女がさらなる高みを目指して必死に頑張る姿に強い刺激を受けていたに違いありません。それが相乗効果となり、3期生には互いに切磋琢磨し合う良い学習環境が間違いなく出来ていました

また生徒だけでなく、我々講師も彼女の頑張りから大いに刺激を受けていました。彼女の頑張りの度合いは、常に我々の見積もり以上でした。ですから、我々も彼女のような生徒に対して、最高の指導をするために常に自己研鑽や教材作成に励みました。つまり、彼女との日々によって我々講師も次のレベルに行くことができたと思います。

改めて、彼女のような素晴らしい生徒に出会えたことは私にとってはかけがえのない財産です。1年間、フォルテに通ってくれてありがとう、そして憧れだった湘南高校で最高の3年間を過ごしてください!

※↓は彼女の入試後に差し入れとしてくれたものです。こういう気遣いができる部分も最高です。

 

追記(2022年3月22日)

本日、彼女とお母さんが改めてご挨拶に来てくれました。先日の伸学工房さんの入試報告会での合否データに関する話から始まり、フォルテ入塾前のことや、志望校決定までの詳しい流れなど、気が付いたら1時間半くらい時間が経っていました。

お話を聞いている中で、改めて彼女の芯の強さというか、ブレなさを感じましたし、何よりやっぱり彼女のような子は湘南高校にピッタリだと思いました。お土産や手紙までいただき、本当にありがたいです。

また、保護者の方が県外出身ということもあり、神奈川の入試制度についてや塾選びについてなど、保護者視点での話はとても参考になり、自塾の強みやその打ち出し方を再考する良いきっかけにもなりました。

 

追記(2022年4月6日)

本日、彼女が入学式の写真を送ってきてくれました!こういった報告は本当に嬉しいです。

 

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お気に入りの文房具を持とう

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、勉強に不可欠なアイテム「文房具」についてです。

 

OKB48総選挙と絶対王者

いきなりですが、皆さんはOKB48総選挙をご存知でしょうか(※AKBではありません。OKBです!)。これは2021年で11回目(!)を迎えた、主催者が選抜した48種類のボールペンの中から、全国の好事家たちがそれぞれのお気に入りボールペン(=OKB)を投票するという毎年恒例のイベントです。今回の第11回は昨年10月~12月まで投票期間が設けられ、今月中にも結果が発表される予定です。

私は以前から愛聴しているあるラジオ番組を通じてこの催しをかなり前に知りまして、それから文房具に対する熱が一層高まりました!

ちなみに第1回~第10回まではジェットストリーム(三菱鉛筆)が10連覇を成し遂げており、まさに絶対王者といった感じです。ジェットストリームは、低粘度インクと呼ばれる、油性にもかかわらずなめらかな書き味を実現したインクを採用しており、その実力は誰もが認めるところ。まさに日本のボールペン業界に革命を起こした一品と言えるでしょう(ただし、個人的には単色バージョンのジェットストリームに関してはデザイン性に多少難があるように前々から思っているのですが…)。

もし、ジェットストリームを一度も使ったことがないという方は、どの文房具屋さんにも確実に並んでいるので、是非一度試し書きをしてみてください。「たかがボールペンでしょ?」と思われるかもしれませんが、ドン・キホーテなんかで30円くらいでたたき売りされているような謎のボールペンなどとは書き味がの次元が全く違います

 

文房具にこだわるメリット

子どもたちには、こういった文房具にちょっとしたこだわりや興味を持ってほしいと思っています。そしてできれば自分が使いやすい文房具をお気に入り文房具として日々使ってほしいです。というのも理由は2つあります。

1つ目は、しっかりとした文房具を使用することで、勉強する時に無駄なストレスを感じなくて済むからです。毎日使うものだからこそ、シャー芯がすぐ折れてしまったり、ボールペンのインクが引っかかったりかすれたりすることは、何気に大きなストレスになります。こういったストレスを軽減することは、勉強の集中力を保つ上で重要です

2つ目は、自分のお気に入りの文房具が持つことで、自然とそれをたくさん使いたくなります。すると当然ながら勉強時間が増えます。勉強時間が増えれば、学力向上や成績UPにもつながりやすくなります

ちなみに私の最近のお気に入りのペンたちは↓です。

(上からブレン、ジェットストリーム、ユニボールワンの各色、ユニボールワンF )

また、お気に入りの文房具についてですが、最初の取っ掛かりとしては何も使い勝手が良いとか機能性が高いということでなく、単純にデザインが好き(見た目が「かわいい」とか「かっこいい」とか「おしゃれ」)であるとか、好きなキャラクターやプロスポーツチームのロゴが描かれているなどでも良いと思います

思い返すと私自身も小学生の頃には、今考えるとメチャクチャ使いにくいドラえもんやディズニーのキャラクターグッズの文房具を気に入って使っていました。ただ昔と違うのは、最近ではそういったキャラクターグッズやプロスポーツチームのロゴ入りグッズでもしっかりとしたシャーペンやボールペンのボディが採用されていることが多いことです。その分多少割高であるとしても、非常に使いやすいものが多くなっているのをみると、つくづく良い時代になったなと思います。

 

地道な普及活動

フォルテ生にお気に入りの文房具に出会ってもらうために、こちらも微力ながらそういった機会を作ろうとしています。

フォルテでは小学生については授業や小テストの点数に応じてポイントを貯めていき、それが貯まったら文房具などと交換できるシステムがあります。そこで今回、冒頭で紹介したOKB48において去年上位にランクインしたメンバー(=ボールペン)たちをたくさん景品として加えました!

早速、何人かの小学生が交換してガンガン使ってくれています。

さらにリーズナブルでなおかつ評判の良いシャーペン「フレフレオプト(PILOT)」にフォルテのオリジナルロゴを入れた特注品を制作し、上記の赤ボールペンと同じように小学生の交換用の景品や中学生の模試上位者表彰用の景品にしました。手前味噌ですが、これはシンプルにカッコイイ

そして、入荷初日から何人もの小学生が嬉しそうにGETしてくれました。そういえば、私自身も何かのきっかけで小学生当時に通っていた塾名とロゴの入ったシャーペンをもらって、それがすごく嬉しかったのを覚えています(今にして思えば、そのときのシャーペンのボディは超安っぽかったですがそれでも嬉しかったです)。

中学生もかなり欲しがっていたので、これが次の模擬試験(2月の初旬)へ向けた良いモチベーションになってくれれば幸いです。

ということで、「お気に入りの文房具を持つことで、勉強に今まで以上に前向きに取り組めるようになるかもしれませんね!」という話でした。

ではまた!

 

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ちょっとした遊び心と気遣い

こんにちは、フォルテの上村です。

今回は、5年前の旅行に関連した「ちょっとした遊び心や気遣い」について書きました。

まず今回の話の前提として私・上村が野球好きであることをお知らせしておきます。小学生のころから千葉ロッテマリーンズファンで、ここ数年は野球熱の再燃により、年間20試合以上見に行っていました(去年・一昨年はコロナの関係で全然でしたが・・・)。

 

当時の教室スタッフとの仙台旅行

5年前の夏のお盆休み、前職の大手塾で教室長を務めていた私は、自分の教室スタッフと一緒に男3人で仙台へ旅行に行ってきました。今にして思えば、教室スタッフで休みの日にわざわざ旅行に行くってメチャクチャ仲良いですよね。とはいえ、一人はバイクで仙台に向かい、私ともう一人は一緒に新幹線で行くつもりがそのスタッフが寝坊して新幹線に乗り遅れてしまい(こんなことが現実にあるのか!)、結局3人バラバラで仙台で合流するという謎の展開になりました(笑)

旅行の日程が1泊2日と短く、あまり多くの場所を回ることができなかったのですが、仙台市街以外では石巻まで足を伸ばし、本当に一部ですが、東北で東日本大震災からの復興の一端を垣間見ることができました

 

楽天生命パーク宮城での野球観戦

3人とも野球好き(それぞれマリーンズ・ライオンズ・ジャイアンツのファン)ということで、今回の旅行のメインイベントの1つが、3人とも初参戦となる、東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地・楽天生命パーク宮城(当時は、❝Koboパーク宮城❞という名前でしたが。)でのナイター観戦でした。プロ野球の各球団の本拠地になっている球場って、それぞれ個性があって面白いんですよね(これは、他球団との差別化を図る球団の企業力の賜物でしょう)。特に野外の球場は個人的に3割増しでワクワクします。

この楽天生命パーク宮城ですが、御多分に漏れずとても個性的な球場なんです。何せ外野に観覧車がありますからね!(笑

また、外野席の形や座種もかなり変わっています。その時は、我々は芝生に座れる外野席で観戦したのですが、当日が晴れだったこともあって非常に心地良かったです。首都圏だと、埼玉にある埼玉西武ライオンズの本拠地・メットライフドームにも芝生の席が以前あったのですが、そこはドームということで、屋外のスタジアムのような開放感はなかなかありません(余談ですが、メットライフの方は席自体が斜めになっているため、単純に立ち上がっての応援がしづらかったです)。

 

売り子のお姉さんのちょっとした遊び心と気遣い

これだけでも個人的には良い野球体験だったのですが、そこでさらに印象に残ることがありました。観戦中にビールを買ったのですが、売り子のお姉さんがさっとポケットからマジックを取り出してコップに何かを書いていました。それがこの写真です。

これまで様々なプロ野球の球場で試合を観戦して来ましたが、後にも先にもこういうことを書いてくれた売り子さんはこのお姉さんしかしません。本当に小さいことかもしれませんが、こういうちょっとした遊び心や気遣いって嬉しいですよね。まぁ、私が手書きのものが好きというのもあるかもしれませんが。

 

数年前の二俣川での出来事

細かい気遣いと言えば、以前に二俣川の自動車教習所に免許の更新に行ったときに、二俣川駅で二俣川看護福祉高校のJRC部というボランティア活動などを行っている部活の子たちが熊本で起きた大地震の募金活動をやっていたんです(こちらの記事にそのときのことが載っています)。

そこで私は手持ちの小銭をすべて募金したんですが、その時にも「募金にご協力いただきありがとうございます!」と書かれた手書きの小さなカードをもらいました(↓が実物です)。

個人的には赤や青の羽根をもらうより断然こっちの方が嬉しかったですね(羽根もらっても正直使い道がわからず持て余してしまうし・・・)。

 

今回の話に関連したフォルテの取り組みの紹介

実はフォルテでもこういうちょっとした遊び心や気遣いを心掛けています。是非、小学生の保護者の方は宿題のノートを、中学生の保護者の方は模試の解き直しのノートをご覧いただければと思います。

毎回、宿題チェックや模試の解き直しチェックの際に各担当講師からその子のためだけにコメントを書いております。また、最近では小学5年生のノートにはオリジナルキャラクターのイラストを書くときもあるのですが、まだなかなか上手くかけないので、練習中です(笑)。

そして、今年も去年に引き続き塾生全員に私が年賀状を作成して送ったのですが、その際も一人ひとりにあった印刷面や手書きのコメントを添えて送りました。

当然、これらをやるには時間や労力は相当かかるのですが、ここは我々の小さなこだわりです。子どもたちにとって「自分のためだけにやってもらった」という特別感を大切にしています。ちょっとでも、お子様や保護者様に我々の気持ちが心に響いてくれれば幸いです。また、年賀状については返事をくれた子やLINEでお礼を言ってくださった保護者の方も多くいらっしゃいまして、とても嬉しかったです。

最後に、こういった遊び心をいれるのは、やってもらう人だけでなく、実はやる人にとってもプラスです。こういう遊び心を入れる余裕があった方が、大変な勉強や仕事でも上手くいくことが多いです。

今回はここまでです。では、また!

 

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人生を豊かにする芸術作品⑦映画『ミッション:8ミニッツ』

※2022年12月に追記しています。

こんにちには、フォルテの文系担当の上村です。

このシリーズでは、全小中学生にオススメの映画や小説などを紹介していきます。このシリーズで紹介するのは、私の考える「良い芸術作品」です。

ここでいう「良い芸術作品」とは、その作品に触れることで私たちが「何かしら成長できる」「何かを考えるきっかけを得られる」「何かしらを学べる」「モチベーションが高まる」作品を指しています。

優れた芸術作品(小説でも音楽でも絵画…etc)に触れることで私たちの人生は豊かになります。ここで紹介する良い芸術作品に触れることで少しでも子どもたちの人生が豊かになってくれればと思っています。

第七弾となる今回は、SF映画の『ミッション:8ミニッツ』です。

<参考記事>
第一弾:映画『ドリーム』(ココをクリック)
第二弾:映画『ズートピア』(ココをクリック)
第三弾:映画『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』(ココをクリック)
第四弾:映画『トイ・ストーリー4』(ココをクリック)
第五弾:映画『Us(アス)』(ココをクリック)
第六弾:映画『アルプススタンドのはしの方』(ココをクリック)

 

「タイムループもの」の魅力

今回紹介する映画の大きな特徴は「タイムループもの」ということです。

「タイムループもの」とは、主人公が一定の期間を何度も繰り返すという構造の作品です。最も多いパターンとしては、主人公が何かのはずみで同じ1日を何度も繰り返すというものです。この場合、主人公が夜になって眠ったり、その日のうちに死んだりしたらリセットされて、同じ日の朝に自然と戻ります。

この「タイムループもの」は、今回紹介する『ミッション:8ミニッツ』を始めとして傑作映画が比較的多いです。というのも、「タイムループもの」はそのジャンルの特性上、映画として面白くなる要素を盛り込みやすいと思うのです。

まず、名作・傑作と言われる映画は脚本上の共通点として、「映画の最初と最後を比べたときに、登場人物が何かしらの成長していること」「前半の伏線が後半で回収されること」が挙げられます。

そこで、この「タイムループもの」は、主人公が「タイムループからいかにして抜け出すのか」が肝になるのですが、そのきっかけとして「主人公の成長」が描かれやすいのです。もう少しかみ砕くと、最初は人間性に問題があった主人公がタイムループを通して、人間的に成長するのです。

具体的には、タイムループに陥った当初はズルをして好きな人に好かれようとしたり、欲しいものを手に入れたりといった自分自身の欲望を満たすための行動をします。しかし、同じ日や時間を何百回、何千回と繰り返すうちに、それらが虚しく感じてきます。というのも、一時的な自分自身の欲望を満たすことはできても次の日にはそれがリセットされてしまうし、無限にタイムループをする中で常に感じる孤独感は埋めることができないからです。

すると、他者に目が向きます。最初は気にも留めなかったのに、他者それぞれのことをよく知るにつれて「自分だけでなく、この人たちにも幸せになってほしい」と思うようになります。これが主人公の人間的な成長です。

また、同じ1日を繰り返すということで、同じシーンが何度も繰り返されます。その中でちょっとした変化を加えることで、それが主人公の心境の変化や成長を表すことができます。また、同様に同じシーンを繰り返すことで前半の伏線を張り、後半でそれを回収することも通常の物語に比べて描きやすくなります

このように「タイムループもの」は映画的に面白くなる要素が盛り込みやすいのです。

 

映画『ミッション:8ミニッツ』とは?

今回紹介する『ミッション:8ミニッツ』(原題『SOURCE CODE』)は、2011年に公開されたアメリカ・フランス合作のSF映画です。正直、日本ではあまり知名度が高くないのですが、私個人的には、未だに1年に何度か見返すくらい大好きな作品で、それこそ小中学生から映画好きのおじさん・おばさんまで、幅広い世代の人々にオススメできる傑作です。

ちなみにどうでもいい情報ですが、この作品の監督は、ダンカン・ジョーンズという人物で、この人、実は2016年に亡くなった世界的に有名な歌手のデビット・ボウイの子どもなんですね。

 

あらすじ

シカゴ行きの通勤列車が爆破され、乗客全員が死亡。米軍のスティーヴンス大尉は、政府の極秘ミッションとして、特殊なプログラムを用いて乗客が死ぬ直前8分間の意識に侵入し、爆破の犯人を暴いて次なるテロを阻止する任務を課せられる。何度も犠牲者の意識に送り込まれ、死んではまた甦る、という悪夢のような<8分間>を繰り返し、少しずつ犯人に近づいていく一方で、スティーヴンスの心には次第に疑惑が膨らんでいく。爆破を防ぐことで乗客の命は救えるか?そして、なぜ自分がこの特殊任務に選ばれたのか?事件の真相、そして秘められた謎と禁断の事実に迫っていく彼を待ち受けていたのは…。

 

この映画の魅力とは?

主人公のスティーヴンスは、軍のエリートパイロットでアフガニスタンの最前線で戦っていたはずなのに、目を覚ますとアメリカ国内で朝のシカゴ行きの通勤列車に乗っています。しかも、目の前の女性は自分のことを親しげにショーンと呼んできます。そして、トイレで鏡を見ると、別人の顔になっています。

「えっ、誰?どういうこと?

頭の中がそんな思いで溢れる中、その列車で爆弾は爆破します。そして気づくと、何やら暗いカプセルの中にいました。そこでオペレーターの女性から自分が政府の極秘任務”SOURCE CODE”に参加していることを知ります。そして、オペレーターからの指示通り、爆破事件の犯人を捜すために再度列車の中に送り込まれて、爆破までの8分間の繰り返します。乗客との会話や列車内の様子を調べていく中でだんだんと犯人に近づいていきます。この謎解きのミステリー要素がストーリーの核になっています

さらに、何度も爆破までの8分間を繰り返す中で、目の前の女性や同じ列車に乗り合わせた乗客たちの人生についても考えるようになります。スティーヴンスが送り込まれる爆破までの8分間は、爆破事件で死亡した乗客の記憶(=すでに過去に起きた出来事)なので、彼らが8分後に死んでしまうことはどうあがいても変えられません。スティーヴンスが列車爆破事件の犯人を捜しているのは、次なる爆破事件を未然に防ぐためです。

ただし、もちろん彼らはまさか自分たちが8分後に死ぬなんて思ってもいないので、爆破までの8分間を普通に過ごしています。人間関係が上手くいかず悩んでいる人、列車の遅延にイライラしている人、怖い顔でパソコンとにらめっこしている人など…。そこで、彼らが8分後に死んでしまうこと自体は変えようがないならば、せめて最後の8分間を幸せに過ごしてほしいと思うようになります。これが主人公の人間的な成長の1つです。

また、戦地アフガニスタンに派遣される前にケンカして仲直りせずに別れてしまった父親との関係、そもそもアフガニスタンにいたはずの自分がなぜこの極秘任務に参加しているか、などいくつもの葛藤や疑問も同時進行で解決していきます。

こういったよく練られたストーリーに加えて、派手なアクションシーンも随所にあり、最初から最後まで視聴者の興味を持続させる工夫が凝らされています。

そしてこの映画、終わり方が本当に綺麗で、主人公に感情移入しながら見ていると最後にはいつも胸がいっぱいになります。また、観終わった後にはとても前向きな気持ちになります

最後に大切な言葉を紹介します。

「きっとうまくいく。」

この言葉は、この作品のメッセージの1つです。どんなに勉強や仕事でキツい状況でも、この言葉を忘れずにいましょう。

 

「タイムループもの」傑作5選

ここでは、『ミッション8ミニッツ』の他にオススメのタイムループものを4つ紹介します。

恋はデジャ・ブ

ビル・マーレー主演の1993年の映画で、「タイムループもの」の元祖にして最高傑作と言われています。

主人公の人気天気予報士は、取材先の田舎町でタイムループに陥り、同じ1日を繰り返すようになります。最初は傲慢でスター気取りだった主人公が、思いを寄せる女性を振り向かせるために今までしたことがないような地道な努力をしたり、主人公にとっては何でもない1日がその町のある人にとってはかけがえのない1日であったということに気づいたりします。

この作品以降の「タイムループもの」は多かれ少なかれこの作品の影響下にあると言えるでしょう。

 

パームスプリングス

2020年にアメリカで公開されたラブコメ映画です。これは「タイムループもの」の最新作にして、『恋はデジャ・ブ』を上手く現代風にアップデートしたような作品です。日本では今月9日公開されたのですが、昨年時点でアメリカでの前評判が非常に高かったこともあり、私は公開を心待ちにしていました。

実際に観てみると、「タイムループもの」にこちらが期待している要素をほぼ兼ね備えていて、なおかつタイムループに陥る主人公が2人であること、しかも1人は元々ループしていて、そこにもう1人が加わるという斬新なストーリーのため、多くの「タイムループもの」で描かれる、主人公の抱える孤独感を今までの作品群とは違った形で描くことができていて、とても新鮮です。

また、コメディ要素も多く、映画のタイトルにもなっている砂漠のリゾート地の雰囲気に映画全体のトーンがマッチしています。

一緒に長い時間を過ごす中で、どうしても元の日常に戻って人生をやり直したい主人公と、タイムループの中でそれなりに楽しい人生の送り方を見つけてしまったためにずっとこの1日を送りたい主人公。タイムループに陥った主人公が2人だからこその対比・葛藤・成長が見事に描かれています。そして、2人が迎える清々しいラストも素敵です。今後、間違いなく「タイムループもの」の代表作として名前が挙がるようになるでしょう。

 

ハッピーデスデイ

これは、2017年(日本公開は2019年)のアメリカ映画で、主人公が誕生日に謎の殺人鬼に何度も何度も殺される「タイムループもの」です。

作品中に主人公のセリフで『恋はデジャブ』が出てくるなど、ホラー映画として謎解き要素もありながら「タイムループもの」のツボである主人公の成長をしっかりと描いています。

主人公の女子大学生が謎の殺人犯に命を狙われますが、その原因は主人公自身にあり、謎を解いていくうちに自分自身の行いを反省します。また、イケイケの大学生として他人の目や友人付き合いを優先していた主人公が、自分自身に素直になるのも好感が持てます。

ちなみに続編としてハッピーデスデイ2Uがあります。

 

オール・ユー・ニード・イズ・キル

4つ目に紹介するのは、『ミッション・インポッシブル』シリーズなどで知られるトム・クルーズ主演のタイムループものです。こちらは、桜坂洋のライトノベルが原作で、2014年に公開されました。

人類が宇宙からの謎の侵略者との戦争中、戦闘に対して逃げ腰のトム・クルーズ扮する軍の広報担当がこともあろうに戦闘の最前線に送り込まれてしまいます。当然、即戦死。しかし、目を覚ますと戦闘前に戻っています。ここからタイムループに突入し、戦死しては戦闘前に戻るを繰り返します。

この作品は、他の作品と違って「タイムループをどう抜けるか」ではなく、「敵をどう倒すか」を探るためにタイムループをします。なので、RPGやアクションゲームをしているような感覚で飽きずに見られます。

 

Modays~このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない~

最後に紹介するのは、2022年の日本の映画です。この映画は過去のタイムループもののエッセンスを上手く取り入れつつも、目新しさが多くあり、笑えて泣ける名作です。この映画の大きな特徴は、ある会社の部署全員がタイムループに巻き込まれ、みんなで協力してタイムループを抜け出そうとするという点です。また、部署内のメンバーたちが徐々に自分たちがタイムループに巻き込まれていることに気づいて行くのも面白いです。個人的に2022年のベスト級に好きな映画でした。

ただ、公開規模が小さく知名度がまだ低いのが本当にもったいないですが、一部では「今年最大の拾い物」と高く評価されています。とにかく本当に面白いので多くの人々に見てほしいです。

 

今年のゴールデンウィークも昨年に続いて外出がしにくくなりそうですし、この機会に「タイムループもの」の映画を見てみるのはいかがですか?

 

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新ロゴが完成しました!

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

今回は、進学塾フォルテの新しいロゴをプロの方に作ってもらったので、そのことに関する記事です。

 

開校直後からの使用しているロゴ

フォルテ開業にあたって、ロゴについては私が(言い方悪いですが)数分で適当に作ったものを採用しました。コンセプトとしては、他塾との差別化を図って、通ってくれる子どもたちや保護者の方にとってナンバーワンの塾にしたいという思いから、王冠をつけるというものでした。ちなみにフォントや王冠の色・形をマイナーチェンジしたいくつかパターンがあります。

そういった経緯もあり、フォルテでは毎年中3の夏特訓の際にTシャツを作成するのですが、そこでも生徒や生徒の関係者に描いてもらうキャラクターにも王冠を付けてもらいました。

 

ココナラで依頼

今回、フォルテが3年目に突入するタイミングで、新しいロゴをプロの方に頼むことにしました。

そこで、最近同じようにロゴを作られた知り合いの個人塾の先生にもアドバイスをもらいつつ、ココナラというサイトを利用してお願いすることにしました。ここでは、クリエイターの方が自分の得意な分野のスキルを活用したサービスを出品しています。一方、ユーザーは自分が欲しているサービス(今回の私で言うと、「塾のロゴを作成してほしい」)を検索し、ヒットしたサービス出品者の中から自由に選んでお願いできます。

また、費用に関しても出品者の方が設定するので、出品者によってまちまちです。例えば、「ロゴ作成」で検索した場合、1,500円~50,000円くらいまで幅があります。あとは、予算と出品者の方が提供しているサービスのサンプルやこれまでの実績・評価などから選んでいきます。

今回私がお願いしたのは、前述の知り合いの個人塾の先生と同じ方で、言うならば紹介でした(かと言って、特典の発生とかは特にないです笑)。それがニコデザインさんという出品者の方です。サンプルを見ても、シンプルでキャッチーなロゴが多く、過去の実績・評価もとても信頼できそうに思いました。

 

こちらからの要望

今回依頼をするにあたって、以下の条件でロゴ作成をお願いしました。

「シンプルなデザイン」

「フォルテのアイデンティティである王冠を入れる」

「フォルテのイメージカラーである赤を入れる」

そして、最初のやりとりから(土日を挟んで)4日後には、初稿として3案が出品者の方から送られてきました。それがどれも素敵で、正直1つを選ぶのが難儀でした。

理系講師の佐々木とも話し合って結果、1つに絞り、その旨をお伝えしました。そこから、色の微調整をしていただきました。

 

新ロゴ完成

そこで完成したのがこれです!

チラシ等では次回からこちらのロゴを使用していきます。

今回、改めて新ロゴの作成を依頼→完成して感じたのはプロの仕事の素晴らしさでした。前述の通り、今回採用しなかった案も本当に出来が良くて、短い期間でこれほどのものが提示できるのは、流石プロ!という形でした。

我々もスキルを売りにした仕事を生業としている端くれとして、大変刺激を受けました。

今回はこんな感じです。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業