テストの問題用紙に思考のあとはあるか?

こんにちは、フォルテの文系講師の上村です。

ゴールデンウィークも終わり、フォルテでは今週からは全学年で通常授業がスタートしています。今回は、小中学生のテストを採点していて常々思うことについてです。

我々塾講師が子どもたちの理解や取り組む姿勢を判断するポイントの1つのテストがあります。これは点数自体はもちろんなのですが、実は点数以外の部分にもそれらを読み取るポイントがあります。

 

問題用紙への書き込み

そのポイントが問題用紙への書き込みです。例えば、国語のテストの場合。以下のような設問があったとします。

問1.線①「来美の足は言うことを聞かない」について、これは具体的 にどういうことか?文章中の言葉を使って説明しなさい。

このような場合、答えを作る上での条件は2つで、1つ目は「どういうことか?」と問われているので文末を「~こと。」にすること。2つ目は「具体的に」「文章中の言葉を使って」とあるので内容を文章中の言葉を使って具体的に書くことです。

ただ、この場合は内容を具体的に書こうと思ったら、自然と文章中の言葉を使うことにはなるでしょうから、条件の1つ目がより気を付けるポイントです。実際にこの手の問題を採点していると、こういった文末の答え方が合っていない子がたくさんいます。そして、内容面が合っていても、文末が合っていないことで、△や×となってしまい、本来もらえていたはずの点数から数点マイナスになってしまいます。

ですから、こういった場合は解いている時にどういうことか?」のように大事な部分に線を引いたり、〇をつけたりして意識化することが大切です。ちなみにこのような作業が自然とできている子は当然ながら、上記のようなマイナスをもらうことは少ないですし、国語に限らずどの教科でも成績が良いです。国語だけ大事なところに線を引いて、その他の教科では引かないなんて子はほぼいないですからね。

逆に、私の今までの経験上、このような書き込みを全くしない子で、成績が優秀だったという子は残念ながら一人もいません

 

アドバイスを実行できる子とできない子

一方、こういったアドバイスをしても、それをなかなか行動に移さない子も多いです。私の感覚としては、我々がこのように有効な勉強方法や取り組むべき内容をアドバイスしたときに、それを言われた通りやる子は全体の1~2割ほどです(もちろんアドバイスする側の影響力によって多少変わるとは思いますが)。さらに、それを継続させる子はその中の1~2割です。つまり、先生や講師からのアドバイスを継続させる子はアドバスを受けた子全体のたった数%なので、結果としてこういったことがコツコツと出来る子は成績が大きく伸びたり、高い成績がキープできたりするわけです。

中1であれば、フォルテでも学校を先取りして英語の学習を進めています。それがbe動詞の文であれ、一般動詞の文であれ、そこで日本文を英文にする上での基本として、主語と動詞にしっかり線が引けているかどうか。また、疑問文に対する代名詞(I / you / he / she / it など)を選ぶ問題では、疑問文の主語に線が引けているかどうか。こういった部分からその子の英語への理解度やテストで点数を取ることへの意欲を読み取ることができます。普段の授業中の様子や先日の模擬試験の結果(自己採点ベース)でも、早くもこの意識の違いから同じクラス内でも差が出始めています。

保護者の方にも、お子様のテストの点数や正答率だけでなく、このような書き込みにも注目していただきたいです。特になかなか演習で正解が出来なかったり、同じようなミスをくり返したりしている場合は、こういった書き込みが出来ていない、または自分自身がどういったミスをしやすいのかが自覚出ていない場合が多いです。

 

書き込みは見直しや解き直しにも役立つ

これまで紹介したように、問題用紙に書き込みを行いながら解くことで、ミスを減らすことはできます。さらに、選択問題で自分が選んだ選択肢の根拠や書き抜き問題での書き抜き箇所に書き込みをしておくことで、見直しや解き直しをするときにも役立ちます

同じ間違いでも、根拠としている箇所自体が違っていたのか、根拠としている箇所自体はあっていたのに答え方や別の次元のミスがったのかでは、解き直しのやり方や次回への意識の持っていき方を変わります。

ということで、今回は問題用紙への書き込みについてでした。これは普段やっていないのにテストの時だけやっても当然意味はないです。普段の演習問題を解くときから実践していきましょう。

今回は以上です。ではまた!

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「小学生日記」という取り組みについて

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。今回は小学5年生で始めた「小学生日記」という取り組みについてです。

 

小学生日記とは

フォルテでは、小学5年生の人数が他学年に比べて非常に少ないです(よって大募集中です!)。その中で、国語の授業や算数の文章問題の際に、彼らの文章読解力や語彙の少なさが前々から気になっていました。これまでは授業内でのいろいろと工夫して対応してきたのですが、ここは思い切って何か彼らによってプラスになる取り組みを新たに始めようと思い立ちました。

そこで、週に1回提出する形で日記を書いてもらうことにしました。日記を書く頻度は生徒によって違いますが、最低週に1日~としました。

また、配布したノートには以下のような例と注意点を記しています。

 

小学生日記の狙い①

小学生日記による狙いは、まず前述の通りで文章読解力や語彙力の向上です。文章読解力や語彙力の向上と言うと、まずは読書や演習量を増やすなどの方法が真っ先に浮かびます。それらも悪くないでしょう。ただし、やみくもに数をこなしても、学習者の意識が低いとあまり効果があるとはいいがたいと思います。また、現体制では上記の方法で大きな効果をもたらすための管理体制の仕組み作りが難しいです。

また、言葉は自分で使ってみて初めて「自分のもの」となるので、そういった意味では日記は有効な手段だと思います。

 

小学生日記の狙い②

次にアウトプウトを前提とすることで、インプットの質を高めることを期待しています。何かしらを日記で書くというのが前提にあると、まずは書く内容のネタ探しを自分からするようになります。また、同じイベントに対してもそのときの出来事をより詳しく覚えていようと思いますし、自分がその時にどう感じたか、どういう気持ちになったかを意識的に自分の中で考えるようになります。このような癖をつけることで、今まではぼんやりと考えていたことが、言語化する過程で明確になります。

実際に私自身も最近、毎週何かしらブログの記事を上げることを目標にしているので、ブログのネタになることを積極的に探すようにしていますし、「これをブログで書くとしたら、どういう切り口で書こうかな?」といった具合に思考を巡らせます。

 

中学生日記への応用

近いうちに中学生でも日記の課題を始めようと思います。ただ、中学生の場合は小学生のようにただ日記を書くだけでなく、テーマを決めて書いてもらおうかと思います。例えば、「嬉しかったこと」「疑問に思ったこと」「怒りを感じたこと」など。

こういったテーマ設定をすることによって、やはり主体的にテーマに合ったネタを探したり、自分自身の気持ちに向き合うようになると思います。

 

最後に

ということで、今回は「小学生日記」という取り組みについてでした。私個人的には、この取り組みを通して、フォルテに通う子供たちそれぞれが「日々、何をして何を感じているのか」を知ることも楽しみです。

今回は以上です。ではまた!

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小学生におすすめの本を紹介!教科書の名作をもう一度。

こんばんは。フォルテの文系講師の上村です。

今日は、フォルテ内の貸し出し用の本として最近手に入れた本を紹介します。

今回紹介する本について

今回、紹介する本は『光村ライブラリー15』です。

・・・と言っても何のことやらですね。えっ?15!?って感じだと思います。これは、多くの自治体で英語や国語の教科書が採択されている教科書会社の光村図書が刊行しているシリーズ物(全18巻)です。このシリーズでは、過去に光村図書の教科書に掲載された様々なの作品群が対象の学年(低学年・中学年・高学年)ごとに分けられてパッケージングされています。今回の15は高学年向けの作品集です。

教科書に載っていた作品なので、一つ一つが比較的短く読みやすいです。読書感想文の題材としても良いのではないでしょうか。

 

収録作品の紹介

今回紹介する『光村ライブラリー15』は高学年向けの作品が5本収録されています。

その5本とは、
『その日が来る』(森忠明)
『赤い実はじけた』(名木田恵子)
『ガラスの小びん』(阿久悠)
『どろんこ祭り』(今江祥智)
『との様の茶碗』(小川未明)
です。

 

おすすめ作品

私個人の子どものころの体験としては、今回の収録作品の中では『赤い実はじけた』が印象的ですが、私がここで最もおすすめしたいのは『ガラスの小びん』です。作者は作詞家としても有名な阿久悠さんです。この作品自体は教科書収録用に書き下ろされたもので、この作品を一般的に読むことが出来るのはこの『光村ライブラリー15』のみです。

<あらすじ>
主人公の少年の父は、甲子園に出場した経験を持つ元高校球児。ガラスの小びんに入っている、そのときに持ち帰った「甲子園の土」は父にとって特別なもので、当時から数十年たった今でも「甲子園の土」は父に自信を呼び起こさせたり、力を与えたりします。それだけでなく、その「甲子園の土」は他人にもご利益があると父は思っており、息子である少年がテストの前には、小びんから一つまみとった土を息子の頭や肩にかけることもありほどです。その恩着せがましさに対して、心の中で反発していた少年は、ある日父から叱られたときの怒りにまかせて小びんの中の土を捨ててしまい・・・。

この作品は、「宝物とは、他人にとっては価値がないものでも、自分にとってはかけがえのないものである。」という価値観についての話で、「わたし(=少年」」は果たして宝物を見つけることができるのだろうか、というのがメインのテーマです。

そして、「わたし(=少年)」の物語であると同時に、父親の物語でもあると私は思うのです。作品内で描かれてはいませんが、息子の一時の感情に任せた軽率な行動によって、思いがけず宝物を失ってしまった父親。果たしてそんな父親は不幸だったのでしょうか。私はそうは思いません。むしろ、過去の栄光という「呪い」から解放されて、今まで以上に「現在」を力強く生きる父親の姿が思い浮かびます。このように、「人間は今よりも前に進むためには時として何かを失わなければならない」というメッセージも感じた作品でした。

ちなみに阿久悠さんのお父さんは、実際に甲子園出場経験のある元高校球児らしく、この作品自体が阿久悠さんの半自伝的な内容になっています。私がこの作品を知ったのは、この仕事を始めてからで、とある教材会社の国語の文章問題に使われていたことがきっかけでした。この作品に限らず、国語の文章問題で出会った作品をあとで単行本や文庫本で手に入れて読み直すことは非常に多く、私にとって国語の文章問題を解くことは、良い文学作品と出会うきっかけにもなっています。

そして、たいていの場合、国語の文章問題で使用されているのは該当作品のほんの一場面なので、作品全体を通して改めて読むことで主人公や文章自体に対する印象が大きく変わることも珍しくありません。

最近では、何気なく手に取った文庫本に、同じく国語の文章問題で知った『さかあがりの神様』(重松清)が収録されていたので、読み返してみましたが、やはり作品全体を通して読むことで大きく印象が(良い意味で)変わり、大好きな作品となりました。

 

(おまけ)作詞家・阿久悠とは

『ガラスの小びん』の作者である阿久悠さん(1937~2007年)は、前述のとおり、作詞家として数々のヒット作を世の送り出したことで有名な方です。とくに有名なのは、ピンクレディー「サウスポー」「UFO」・石川さゆり「津軽海峡冬景色」・沢田研二「勝手にしやがれ」などです。また、アニメ作品の主題歌や童謡も多く手がけており、「さらば~地球よ~♪」でおなじみの宇宙観戦艦ヤマトの主題歌も阿久悠さんが作詞した作品です。

しかも、作詞家として日本歴代で2位のシングル売り上げを記録しています(ちなみに1位はAKB48などの楽曲でおなじみの秋元康さんです)。

日本人なら誰もが阿久悠さんの作詞した楽曲を一度は聞いたことがあるでしょう。それくらい多くの人々の心に響く言葉を紡ぐ名作詞家だからこそ、同じように人の心に残るような文学作品を書けたのでしょうね。納得です。

今日はこんな感じです。ではまた!