2025年度神奈川公立入試「社会」全問解説

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、先日行われた2025年度(令和7年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。

関連記事①「2024年度全問解説」

関連記事②「2023年度全問解説」

関連記事③「2022年度全問解説」

問題全体の形式と難易度

まず全体としては大問7つの計34問の構成(昨年度と同じ)ですべて記号選択になります。その中でも選択肢が6つある問題が8問、8つある問題が3つということで、これらはおのずと正答率は低くなるでしょう。

昨年は正答率が40%を下回る問題が5問、そのうち30%を下回る問題が2問でした。今回はそのような正答率が30%を下回る問題は1問あるかないかというところでしょうか。

全体の平均点としては、昨年の平均54.8点と同等か、もしくはほんの少しだけ上がって55~56点くらいかなと個人的に予想しています(フォルテ生の自己採点ベースでは昨年比で7点ほど上がっていましたが、これは昨年度の生徒との実力差や今年度のこちらの取り組みが奏功した結果と思っているため問題の難易度自体はあまり変わっていないと判断しています)。

 

問題ごとの解説□1

(ア)について。これはヨーロッパの西岸海洋性気候(特にイギリスのロンドンやフランスのパリが有名!)に関する問題です。西岸海洋性気候は「暖流である北大西洋海流とその上空に吹く偏西風の影響」で「高緯度のわりに温暖である」ことが特徴です。なので答えは4です。

(イ)について。これはド基礎ですね。以下のような書き込みができればよいので答えは4です。

(ウ)について。まずXはA~G国の輸出額の合計に注目すると、Bが圧倒的に高いことがわかり、それぞれの輸出額1位の品目の割合を見てBの機械類(21.0%)よりも3~4倍近く高くないと上回らないので計算せずとも「正」とわかります。一方、Yについてはモノカルチャー経済とは、「国の収入の大半を、特定の農作物や鉱産資源の輸出に依存している状態」のため、機械類の割合が高いCはこれに当たりませんの「誤」となり、答えは2です。

(エ)について。公用語が同じ国を色分けしたのが(イ)で示した略地図です。これはヨーロッパ諸国が各地を植民地支配していた時代の名残なので、支配していた国がヨーロッパの国(F=スペイン)になっている3を選びます。

(オ)について。まず大前提として、時差は各都市の「経度の差÷15」で求められます。その際に東経同士や西経同士なら経度の数字を引き算、東経と西経ならば足し算します。そして、今回はLさんの東京と他の選択肢の都市(ロンドン、ニューヨーク、ロサンゼルス)を比べると、東京(東経135度←日本の標準時子午線)が最も時刻が早く、そこからロンドン(東経・西経0度)が日本と時差9時間、ニューヨーク(西経75度)が日本との時差14時間、ロサンゼルス(西経120度)が日本との時差17時間をわかります。なので、ロンドンは21時、ニューヨークは16時、ロサンゼルスは13時となるため、答えは5です。

今年も世界地理は易しめなので、上位校を目指す子たちは全問正解したいですね。時差は演習量が不足しがち(全国的に出題される都道府県がそこまで多くないため)だと思うので、意識して演習量を確保したいですね。

 

問題ごとの解説□2

(ア)について。日本の気候で雨温図の読み取りです。わかりやすいのは中央高地の気候の松本市と瀬戸内の気候の岡山市でしょう。まず松本市は「年間を通して降水量が少なく、年間の気温差が大きい(標高が高いため1月の気温が大体0度になると覚えておくとよい!)」のが特徴なのでC、次の岡山市は瀬戸内の気候で「年間を通して降水量が少ない」ことに加えて、3つの都市の中では最も緯度が低い(=赤道に近い)ので気温が高いと判断してA。残りの仙台は太平洋側の気候なので「夏に降水量が多い」ためBです。なので答えは5です。

(イ)について。ここは日本の周りの海流に関する問題なので、以下を覚えておきましょう。なので、答えは3です。また、東北地方の太平洋沖は親潮と黒潮がぶつかる地点(=潮目or潮境)で良い漁場として知られています。

(ウ)について。産業構造の割合とのことで大前提としては「都市部ほど第3次産業の割合が高い」ということなので、仙台市がDだとすぐわかります。残った大和町と石巻市ですが、資料の2から石巻市は漁業がさかんで第1次産業の割合が高い、大和町は工業がさかんで第2次産業の割合が高いと読み取れるので1が正解です。

(エ)について。Xは津波による浸水に標高は関連が深いと判断して「正」。Yは資料3中で主な宅地被災箇所として見られるのは仙台駅の西側なので「誤」。Zは過去の被災状況から今後の対策を立てることは有効だと考えて「正」となり、答えは3です。

(オ)について。まずは「う」の「非営利組織(=NPO)」は主に国内を中心に活動する組織で、一方で「非政府組織(=NGO)」は国境なき医師団やアムネスティインターナショナルのような国際的に活動する組織です。また「え」については、政令指定都市とは「人口が50万人以上で、一部で都道府県と同様の権限が認められる都市」のことで、以下を見ると分かりますが東北地方は仙台市のみなので適する語句としては県庁所在地を選びます。なので正解は4です。

ここも難易度は高い問題はあまりないと思います。(エ)のような問題は、他県の入試問題でもときどき見ますので、上位層は「全国入試問題正解」を活用して他県の入試問題にも積極的に挑戦しましょう。

 

問題ごとの解説□3

(ア)について。ここは単純な時代判別です。Ⅰは「大和政権」とあるので古墳時代、Ⅱは「奴国」「金印」とあるので弥生時代(1世紀)、Ⅲは「邪馬台国」「卑弥呼」とあるので弥生時代(3世紀)なので、Ⅱ→Ⅲ→Ⅰとなり4が正解です。

(イ)について。ここは中国や朝鮮から日本にやってきた人についてなので、1が正解です。また、2は「東大寺南大門」とあるので鎌倉時代の内容、3は「観阿弥・世阿弥」「能」とあるので室町時代の内容、4は「活版印刷術」とあるので室町時代以降の内容と判断します。ちなみに「活版印刷術」とは、大航海時代の15世紀中ごろに発明され、それによって聖書の印刷が可能になり、キリスト教の布教に大いに役立ちました。火薬・羅針盤と並んで、ルネサンス期の3大発明と言われています。

(ウ)について。「あ」は「明との戦い」とあるので室町時代の海賊である「倭寇」を選びます。「足軽」とは鎌倉時代~江戸時代にかけての歩兵のことなので関係ないです。また、「い」は勘合貿易(日明貿易)を行った人物なので室町幕府の3代将軍・足利義満を選ぶため、答えは6です。

(エ)について。いわゆる鎖国についてです。基本的には幕府が管理する長崎で清とオランダを相手に貿易を行っていたのですが、それ以外に3つの例外がありました。その1つで「松前藩がアイヌ民族との交易を行った」ということを踏まえて1が正解です。ただ、その交易がアイヌ民族にとって不満の出る物だったため、1669年に首長シャクシャインによる反乱(=シャクシャインの乱)が起こったことも覚えておきましょう。また、他にも鎖国の例外としては「対馬藩が朝鮮と貿易を行い、江戸幕府の将軍の代替わりごとに朝鮮から朝鮮通信使がやってきたこと」や「薩摩藩が琉球藩と貿易を行い、江戸幕府の将軍の代替わりごとに琉球王国から慶賀使がやってきたこと」も覚えておきましょう。ちなみに2の日本に鉄砲が伝来したのは1543年に種子島なので16世紀の出来事、3の平清盛が日宋貿易を行ったのは現在の兵庫の港で12世紀後半の出来事、4の大塩平八郎の乱は1837年に大阪で起きたので19世紀の出来事です。

(オ)について。aは唐人屋敷が長崎に、オランダ商館が長崎の出島に置かれたことを踏まえて正しいと判断しましょう。またbはメモの内容と矛盾しますね。cはメモにも登場するシーボルトが鳴滝塾で日本人の医師を育成していたことを踏まえて正しいと判断しましょう。dは「上方の文化」とあり、上方とは大阪や京都を指すので今回は関係ないですね。なので正解は2です。

ここは(エ)は設問をしっかりと読んだ上で解けるかどうか、(オ)は基礎的な知識を持った上でそれを資料やメモの内容に落とし込めるかで差が生まれそうです。

 

問題ごとの解説□4

(ア)について。「あ」は幕末(=江戸時代)の出来事なので「打ちこわし」を選びます。「米騒動」は、1918年にシベリア出兵を見越した商人による米の買い占めが起こり、米価が急騰したことをきっかけに起こった出来事なので時代が合いません。「い」は直後に「テレビが普及」とあり、テレビ放送が開始されたのが1953年なのでそれ以降とわかるので「高度経済成長」を選び、答えは4です。また、高度経済成長期には「三種の神器(白黒テレビ・電気洗濯機・電気冷蔵庫)」と「3C(カラーテレビ・クーラー・自動車)」が普及したことはおさえておきましょう。ちなみに大戦景気は第一次世界大戦中(1914~1918年)に日本が貿易黒字の状態で起こった好景気です。

(イ)について。ここは幕末ということで開国後の状況を表している2が正解です。1は「全国水平社」は1922年に結成された部落民による組織で大正時代。3は「社会主義の思想の影響」は産業革命が起こったあと(=明治時代)やロシア革命(=大正時代)が関連事項となります。4は「地租改正」は明治初期の1873年に行われた税制改革です。

(ウ)について。Xは明治初期の文明開化のころに西洋の思想を紹介したのは福沢諭吉と中江兆民でしたので「正」と判断します。福沢諭吉の『学問のすすめ』での有名な一節「天は人の上に人を造らず」はまさに平等権に関連する思想ですね。Yは憲政会(加藤高明内閣が有名!)が政権を握るのは大正時代なので「誤」となり、2が正解となります。

(エ)について。ここではⅠ~Ⅲの並び替え問題ととらえて解きましょう。まずⅠのソ連の対日参戦は、原爆投下後の1945年8月8日にソ連が日本に宣戦布告し、9日に侵攻します。Ⅱの東京大空襲は1945年3月10日です。Ⅲの日本がインドシナ半島に侵攻したのは日ソ中立条約が結ばれたあとの1941年7月です。なのでⅢ→Ⅱ→Ⅰとなり、答えは6です。

(オ)について。戦後のGHQによる民主化政策なので、農地改革を表している3を選びます。1の官営工場の払い下げは明治時代の半ばからのことです。2は1925年に出された普通選挙法についてです。4は1872年に出された学制についてです。

そもそも高校入試では年代暗記すれば解ける近代以降の並び替えは正答率が低いので、(エ)は正答率が低いでしょう(個人的にそこまで難しいとは思いませんが)。

 

問題ごとの解説□5

(ア)について。ここは経済に関する問題で正解は3です。例えば医療保険では基本的な自己負担が3割となります。また、1は売り手と買い手が同意した時点が契約の成立するため✕。2は定められているのは最低賃金なので✕。4は所得税ではなく消費税なので✕。

(イ)について。Xは企業同士の競争を促すための法律が独占禁止法なので「誤」。Yは「円が売られる」=「円の需要が下がる」ことなので商品でいうと価格は下がります。なので円の形が下がる円安なので「誤」です。Zは鉄道やバスの運賃は公共料金の一種で、政府(国)や地方公共団体が管理しているので「誤」となり、答えは8です。

(ウ)について。大企業と中小企業の簡単な比較は↓なので、1が正解です。2は個人企業である農家や商店も私企業に当たります。3は株式会社が倒産した場合、株主は出資金のみ失い、その他の責任を負う必要はありません。4は銀行などの金融機関を通してお金を借りることは間接金融です。直接金融の例としては、株式を発行することで資金を得るなどです。

(エ)について。国債は歳入の不足を補うために政府が発行するのでXが正しいです。また、国債費とは「政府の借金やその利子の返済にかかる費用」なので、日本銀行が国債を売り買いしたところで影響はありません。また、日本銀行は国債を売り買いする(=公開市場操作)によって景気を調整します。

(オ)について。ここでは「キャッシュレス決済」がレポートを参照すると「クレジットカード決済」「二次元コード・バーコード決済」「電子マネー決済」を指しているので、それらの合計がすべての世代で70%を超えているため2が正解です。この場合、「キャッシュレス決済」以外の「現金」「その他」の合計を計算する方が楽なので、この2つの項目の合計がすべての世代に出30%未満になっていることを確認しましょう。1は「現金で支払いたい」の割合は60~69歳が50~59歳よりも低いので×。3は「キャッシュレス決済」のうち「二次元コード・バーコード」が最も高いのは18~29歳のみで、その他の世代は「クレジットカード」が最も高いので×。4は「キャッシュレス決済」にあたる項目の合計が最も高い歯60~69歳なので✕。

経済分野では、為替相場や金融政策・財政政策を苦手とする子が多いと思うので、(イ)と(エ)の正答率が少し低くなるかもしれませんね。

 

問題ごとの解説□6

(ア)について。aは第二次世界大戦中に枢軸国と呼ばれた国は日本・ドイツ・イタリアなので、表中に3か国すべて含まれているので×です。また第二次世界大戦中にアメリカ・イギリス・フランス・カナダ・中国・ソ連などは連合国と呼ばれました。bは国連の安全保障理事会の常任理事国はアメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリス(覚え方=アフロ注意!)で表中にアメリカ・イギリス・フランスが含まれているので〇です。cは人口一人当たりのODA実績は「ODA実績÷人口」で求めることができ、これを計算するとドイツが最も大きいとわかります(ここは実際に筆算等で計算せずとも判断できた子も多いと思います)。dは表中でのEU加盟国はイタリア・ドイツ・フランスの3か国でその合計は58,300(百万ドル)に対して、アメリカは60,522(百万ドル)なので✕です。なので答えは4です。

(イ)について。Xは、法律案の提出ができるのは内閣と国会議員なので「正」です。Yは、国務大臣は「過半数が国会議員から選ばれる」となっているので「誤」です。Zは、衆議院で内閣不信任決議が可決された場合、内閣は「総辞職する」か「10日以内に衆議院を解散させる」かを選ばなければならないので「誤」です。なので答えは4です。

(ウ)について。経済活動の自由は、「職業選択の自由」「居住・移転の自由」「財産権」などを指すので1が正解です。2は、「プライバシーの権利」は日本国憲法に記載されていない新しい人権の1つなので✕。ちなみにプライバシーの権利に関連した法律・制度としては個人情報保護法(個人情報保護制度)を覚えておきましょう。また他にも新しい人権としては「環境権」「知る権利」「自己決定権」があります。

(エ)について。「核拡散防止条約」は、核保有国(アメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリス)以外の国が新たに核兵器を保有することを禁止した条約です。ちなみに核保有国の5か国は国連の安全保障理事会の常任理事国と同じです。また、「非核三原則」とは日本の各兵器に対するスタンスで「(核兵器を)持たず、作らず、持ち込ませず」です。これは佐藤栄作首相が発表したもので、ノーベル平和賞を受賞しました。なので答えは2です。

(オ)について。対立から合意に至るまでの「効率」と「公正」についてです。「効率」とは「無駄がないか(=無駄を省く)」という観点で、「公正」とは「一部に人が不当に扱われていないか」という観点です。なので答えは2です。

 

 

問題ごとの解説□7

(ア)について。西アジアの乾燥帯の人々の暮らしなので、イスラム教徒が多いことを踏まえて「袖や丈が長い薄手の衣服」や乾燥帯なので「遊牧」というキーワードから1を選びます。2は南アメリカ州のアンデス山脈の高地、3は東南アジアの熱帯地域、4は冷帯・寒帯地域のものです。

(イ)について。Xは、表中のサウジアラビア・アラブ首長国連邦・クウェートがいずれも西アジアの国のため、その他の国及び地域の数値に注目すると、合計の1割程度だと分かるので「誤」です。Yは、「第四次中東戦争→石油価格の高騰→国内が混乱(=1973年石油危機)」のことを指しているので「正」となり、3が正解です。

(ウ)について。Xは、「条約の締結」は内閣の仕事で、「条約の承認」は国会の仕事なので「誤」です。Yは、1989年に締結された子どもの権利条約(児童の権利条約)を指しているので「正」となり、3が答えです。

(エ)について。aは、2003年のイラク戦争があるので×。bは、冷戦の終結宣言が1989年のマルタ会談で、資料2を参照するとその前には1979年に「ソ連が、アフガニスタンへ侵攻した」があり、そのあとには2001年に「アメリカ合衆国が、アフガニスタンを攻撃した」となるので〇。cは、シリアでの難民発生の原因は、シリア国内で民主化を求める国民と政府の間で内戦が起こっていることなので✕。dは、資料3を参照すると「日本が受け入れている難民の総数に占めるアフガニスタンからの割合」は12%(2021年)→72.7%(2022年)→78.2%(2023年)と上がり続けているので〇。eは、PKO協力法が制定されたのは1992年になので✕。なので答えは5です。また、難民に関連して国連の機関である国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は覚えておきましょう。

(エ)は資料の読み取りだけでなく、現代の出来事の年代暗記や時事的な知識も求められるため正答率は低くなるかもしれませんね。

 

まとめ

今年も上位層は、地理は極力ノーミスで切り抜けたいところです。また、様々な出題内容や形式に対応するために全国入試問題正解を活用することをオススメします。

また歴史~公民にかけては、ある程度の年代暗記が有効です。なので教科書の太字レベルの用語は名前と内容だけでなく年代もセットで覚えるようにしましょう。そうしないと対応できない問題が数問ありました。

また、例年同様割合の計算を求められる問題も数問あったので、式を立てて素早く正確に計算ができること、また選択肢によっては計算せずとも正誤が判断できるようになることが求められます。ここは過去問や入試に似せた模試形式の問題を通してコツをつかみましょう。

※本記事を作成するにあたって吉野先生のツイートを参考にさせていただきました。ありがとうございます。

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

2022年度神奈川公立入試「社会」全問解説

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、2022年度(令和4年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。ただの解説だけでなく、同時に確認しておくべき知識も紹介しているので、受験生および同業の先生方は参考にしてください。

関連記事①「2023年度全問解説」

関連記事②「2024年度全問解説」

問題全体の形式と難易度

まず全体としては大問7つの計32問の構成で、この年から記述形式の問題がなくなり、すべて記号選択形式になりました。ただし、前年よりは難易度が上がっています。それでも正答率30%を切る問題は1問もなく、合格者平均が62.4点と高めです。

問題ごとの解説□1

(ア)について。大前提としてこういった世界地図が出題されたら、以下のように赤道と本初子午線と日付変更線を書き込みましょう。なので、まずは空欄の「あ」は緯度と経度が0度とあるので、これは赤道と本初子午線が交わるところですので、p ですね。次に 「い」はいわゆる対せき点(地球の中心を通った反対側の地点)を問う問題です。まずは問題文に緯線と経線がそれぞれ30度ずつ引かれているとあるので、s と q が交わるところが南緯30度・東経30度であることを読み取ります。その対せき点なので、緯度に関しては数字は同じなので北緯30度、経度は数字が合わせて180になるようにするので西経150度です。なので答えは2です。

(イ)について。都市Aはパリなのでフランスの産業について問う問題です。なのでここはEU内での国際分業について述べている2が答えです。1は「経済特区」とあるので中国、3は「サンベルト」の中の「シリコンバレー」のことなのでアメリカ、4は鉱産資源名(特にボーキサイト!)からオーストラリアです。

(ウ)について。これは資料の読み取りで、Xは各国の2017年の水力・風力・太陽光・地熱の割合の合計は、日本=11.3%、ブラジル=70.2%、フランス=15.9となり日本が一番低いので誤りです。Yは2011年の東日本大震災のときの福島原発事故によって、日本は原子力発電所をほとんど停止したので正しいです。なので3が答えです。また、各国のメインの発電方法に関しては以下を覚えておきましょう。

(エ)について。コーヒー豆・米・小麦の産出国の上位5カ国は以下です。

これを踏まえると、コーヒー豆の生産量の割合を表しているのは4だと分かります。ちなみにアジアの割合が高い1が米、ヨーロッパの割合が高い3が小麦、消去法で2がバナナとなります。バナナの上位5か国にアフリカ州はありませんが、バナナは熱帯地域で栽培されるのでアフリカ州でも多く生産されています。

(オ)について。都市Dは赤道付近なので年間を通して気温が安定していると考えられるので、その時点で1または2ですが、アンデス山脈に位置するため気温が10~15℃程度で安定していると考えられるので1が答えです。また、南半球の低緯度地域なので気温の折れ線グラフが微妙にV字型になっているところにも注目しましょう。ちなみに2は北半球の低緯度地域で熱帯に位置する都市(恐らく東南アジアのどこか)の雨温図、3は気温の折れ線グラフの形と夏に降水量が少ないことに注目して南半球の温帯で地中海性気候の都市(恐らく南アフリカ共和国のケープタウン)の雨温図、4は年間を通して降水量が少ないので乾燥帯の都市の雨温図です。

上位校を目指すのであれば、ここのノーミスで終わらせたいところ。(オ)は赤道の位置にだけ注目してしまい、2を選んでしまった受験生が多いようで□1の中では唯一正答率が50%を下回っています。また、(エ)のような農作物や鉱産資源の生産量ランキングは出来る限り多く覚えておきましょう。

 

問題ごとの解説□2

(ア)について。まずは第1次産業に含まれるの林業なのでZ。ちなみに産業については第1次産業は農業・漁業・林業などの自然から富を得る産業、第2次産業は建設業・製造業・鉱工業などの第1次産業で得た富を加工する産業、第3次産業はサービス業・金融業・商業などの第1次産業と第2次産業以外の産業です。次に資料の読み取りは、aは「第2次産業の就業者数」なので単純な割合ではなく、就業者数全体を踏まえて計算することが必要です。第2次産業割合だけなら富山県が最も高いですが、就業者数を踏まえて計算すると愛知県が最も第2次産業の就業者数が多くなります。なので消去法でbは正しいと判断できるので6が答えです。bは中部地方全体の就業者数の合計が1137.8万人となり、その県も第3次産業の割合が6割を超えているので、単純計算で1137.8万×0.6=682.68万人となるので正しいと分かります。

(イ)について。これは他県の入試でもよく見られる問題です。前提の知識として、長野は標高が高く涼しい気候を利用して、暑さに弱いレタスを夏の時期に生産することができ、他の地域と出荷時期をずらすことができます(=抑制栽培)。またこういった標高の高い地域で栽培されるレタスやキャベツは高原野菜と言います。今回は「適切でないもの」を選ぶので、答え2です。資料3から、長野からの出荷量が多くなっている6~9月は他の産地からの出荷量は減っています。

(ウ)について。1は2015年のすべての州からの外国人観光客数を足すと99350人で✕。2は2015~2016年にかけての北アメリカ、2018~2019年にかけてのヨーロッパ、2016~2017年にかけてのオセアニアは増加していないので×。3はアジアとオセアニアそれぞれの割合の増加を比べると、アジアは(67,113-33,499)÷33,499×100=約100%で、オセアニアは(170,739ー53,517)÷53,517×100=約219%でオセアニアの方が高いので〇。4はヨーロッパが明らかに2倍以上になっていないので×。3は計算が面倒くさいので、まずは1と2と4を先に考えるべき。

(エ)について。縮尺25000分の1の地形図の読み取りで、1は白馬大橋の西側にはある地図記号は針葉樹と広葉樹なので✕。2は町・村役場から見て消防署は北東なので✕。3は地点Pは西側に標高905mを示す数字があり、そこからの等高線(縮尺25000分の1の場合は1本あたりの標高の差は10m)の本数的におよそ標高750mなので✕。4は縮尺25000分の1の地形図の場合は4cmで1kmを表すので、8cmだと2kmで〇となるので答えは4です。

大問全体だと(イ)~(エ)は正答率が高く、志望校のレベルに関係なく落とせない問題です。(ア)のように「割合」が問われているのか、それとも「数」が問われているのかを設問から確実に読み取りましょう。

 

問題ごとの解説□3

(ア)について。「あ」は聖武天皇が奈良時代に行った仏教を重んじた政治のことで、直後に大仏とあるので東大寺となる。「い」は室町時代の加賀の一向一揆(1488年)のことで、一向宗とは浄土真宗のことなので、答えは4です。

(イ)について。平安時代~室町時代にかけての出来事の並び替えで、Ⅰはフビライ(=ハン)や北条時宗とあるので鎌倉時代の後半(元寇は1274年と1281年)、Ⅱは日明貿易(=勘合貿易)とあるので室町時代の前半(足利義満の時代で1400年ごろ)、Ⅲは平清盛とあるので平安時代の末期(平清盛が太政大臣になったのが1167年)でⅢ→Ⅰ→Ⅱとなり答えは5です。

(ウ)について。線①は古墳時代に渡来人が日本に仏教を伝えたことなので、古墳時代(538年または552年)以降の内容を選ぶ。1は稲作が伝来して広まったので弥生時代、2は大宰府は白村江の戦い(663)の直後なので飛鳥時代、3は邪馬台国の卑弥呼なので弥生時代、4は前方後円墳とあるので古墳時代(5世紀中ごろ)。なので答えは2です。

(エ)について。線②に「宗門改」とあるので、これは江戸時代の確立期の鎖国を始めたころの政策。1はオランダ商館が出島に移されたことで鎖国が完成した(1641年)、2はレザノフが来航したのは江戸時代の改革期(1804年)、3はポルトガルとの貿易(=南蛮貿易)が始まったのは16世紀半ばからなので主に安土桃山時代、4は田沼意次なので江戸時代の改革期(18世紀後半)。なので答えは1です。

(オ)について。資料に一遍とあるので鎌倉時代のものとわかる。設問にある「中世」とは鎌倉~室町時代を指す言葉。Xは調(特産物)や庸(布)を都に運んで収めたのは奈良~平安時代。Yは定期市とあるので鎌倉~室町時代。Zは諸般とあるので江戸時代。なのでYを選ぶ。次にaは臨済宗(栄西)や曹洞宗(道元)などの禅宗を幕府が保護したのは鎌倉時代。bは兵農分離とあり、豊臣秀吉による太閤検地のことなので安土桃山時代。なのでaを選び、答えは3です。

大問3は上手くキーワードを拾っていき、確実に時代判別をして解けば難しくありません。

 

問題ごとの解説□4

(ア)について。資料は日清戦争当時の風刺画で、このころ(19世紀後半)は産業革命が起こった欧米諸国を中心に資源や製品の市場を求めて植民地の獲得を目指した帝国主義が広まっていたので、1が答えです。ちなみに2のファシズムは第二次世界大戦時にドイツやイタリアで広がった軍部中心の独裁主義体制、3の民族自決は第一次世界大戦後にアメリカのウィルソン大統領が提唱した考え、4の冷戦は戦後にアメリカ中心の資本主義陣営とソ連中心の社会主義陣営による直接戦火を交えない戦争、5のルネサンスは14~16世紀にかけてヨーロッパで起こった文化運動、6の尊王攘夷は幕末の日本でおこった天皇を立てて、外国勢力を追い払おうとした考え。

(イ)について。資料は朝鮮を巡る日本と清の対立(日清戦争の直前)を表しているのでaとdが正しいと分かるので、答えは2です。

(ウ)について。Ⅰは真珠湾攻撃直後なので1941年、Ⅱはアジア・アフリカ会議なので1955年、Ⅲはベトナム戦争なので1960年代で、Ⅰ→Ⅱ→Ⅲとなるので答えは1です。

(エ)について。19世紀半ば~後半は明治時代なので、明治時代の日本と欧米諸国の関係についての選択肢を選ぶ。1は当時日本には日米修好通商条約(1858年)の内容で関税自主権がなかったので×。2は日本で成人男性による普通選挙が実現したのは1925年の普通選挙法なので✕。3は第一次世界大戦とそれに伴う大戦景気のことで1914~1918年にかけてなので✕。4は明治時代後半の不平等条約の改正に関する動きなので、4が答えとなります。

(オ)について。まずはそれぞれの期間を明確にする。「イギリスが、香港を植民地とし…」はアヘン戦争(1840年)のあとの南京条約(1842年)、「日本で自由民権運動が活発になった」のは民撰議院設立の建白書が提出された1874年以降、「ロシアで革命がおこった」のは1917年、「サンフランシスコで、講和会議が開かれた」のは1951年、「ドイツのベルリンを分断していた壁が取り払われた」のは1989年。これを踏まえて、1のはじめての衆議院議員選挙は1890年なので✕。2の治安維持法制定は1925年なので✕。3の農地改革はGHQによる民主化政策(1945~)なので〇。4の自衛隊がはじめてPKOでカンボジアに派遣されたのは1992年なので✕。

ここはまずは年代暗記を徹底しましょう。また用語の意味だけでなく、それに関連する出来事や時期、そして資料に関しても教科書に載っているものはおさえておきましょう。

 

問題ごとの解説□5

(ア)について。「あ」は直後に無形文化財とあるので、世界遺産の登録・管理などを行うUNESCOを選ぶ。UNICEFは世界児童基金で恵まれない子供たちの支援をする機関、WHOは世界保健機関で感染症対策などを行う機関、IAEAは国際原子力機関で原子力の平和的利用をすすめる機関。「い」は米の生産量がなどが下がった時のために行っているのが米の備蓄なので、生産量が下がるということは需要量に対して供給量が減ることなので空欄の後ろにつながるように「需要量が供給量を」を選ぶので、答えは1です。

(イ)について。1はクレジットカードは後払いのシステムなので✕。2は紙幣(日本銀行券)を発行する権限を持っているのは日本銀行なので✕。ちなみに日本銀行の役割は「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」の3つです。3は円高のことで、円高の際は「日本企業にとっては輸入が有利」「日本人の海外旅行者が増える」ことを覚えておくべきなので✕。4は貨幣の役割は「価値の尺度」「価値の保存」「交換手段」の3つで、「価値の尺度」のことなので〇。なので答えは4です。為替相場の円高・円安については、以下を覚えておきましょう。

(ウ)について。 1は日本の企業の99.7%は中小企業なので✕。ちなみに従業員は約70%が中小企業、売り上げは中小企業と大企業で50%ずつくらいです。2は企業には公企業と私企業とがあり、国や地方公共団体が運営するのは公企業なので〇。3は企業同士の競争が激しくなると、価格競争になりやすく商品の価格は下がるが、逆に企業同士の競争が弱まると商品の価格は上がりやすくなる(=一部の企業が一方的に決める独占価格になりやすい)。4は労働条件の基準について定めたのは労働基準法なので✕。労働組合は、団結権・団体交渉権・団体行動権といった労働者の権利を具体的に保障した法律。

(エ)について。Xは、予算の議決は国会の仕事なので✕。Yは、不景気の時の財政政策(政府による景気調整のための政策)は公共事業への支出を増やすことや減税なので✕。Zは、累進課税は所得税などに採用されている、所得が高い人ほど税率が高くなる制度。これにより所得の再分配(=所得格差を埋めること)をするので〇。なので答えは7です。日本銀行による金融政策と政府による財政政策についての基本は以下です。

(オ)について。aは1960~1965年の輸出量はほぼ変化なしなので✕。dは1970~1975年の間に70万トンを上回っているので×。fは2000年の輸入量と輸出量の差はおよそ40万トン、2005年の輸入量と輸出量の差はおよそ80万トンで2010年の方が差が大きいので×。なので答えは5です。

全体的に易しめなので、ここも上位校を目指す生徒はノーミスで行きたいところですね。中堅校を目指す子も難易度的に(エ)以外は極力正解しておきたいですね。

 

問題ごとの解説□6

(ア)について。臓器提供意思表示カードは自己決定権に関するものなのでbを選ぶ。また資料2の□1の内容からdを選ぶ。なので答えは4です。cに関しては、資料3から本人が拒否を意思表示していた場合でも臓器を提供できるとは書いていないので×。

(イ)について。憲法改正の発議は、国会で各議員の総議員の3分の2以上の賛成が必要。さらにそのあとの有権者による国民投票では、有効投票の過半数で改正となる。なので答えは8です。また、国会と内閣の仕事は以下を覚えておきましょう。

(ウ)について。1は犯罪行為について検察が警察と協力するのは刑事裁判なので✕。2は「国政における行政の長」とは国務大臣のことで、これは内閣総理大臣が任命するので×。3は国会による弾劾裁判のことなので〇。このほか、裁判官が辞めさせられるのは国民による最高裁判所裁判官の国民審査のみである。4は、被選挙権については参議院議員選挙と知事選挙が30歳以上で、その他の選挙は25歳以上なので✕。

(エ)について。1は「加盟国数÷非常任理事国数」で計算すると、西ヨーロッパ・その他が15を上回っていないので×。2は第二次世界大戦における枢軸国側とは日本・ドイツ・イタリアの3か国。それに対して「常任理事国」はアメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリスなので〇。3は「常任理事国」の1か国でも反対すると決定できないのが拒否権なので✕。4は「常任理事国」は5か国、「非常任理事国」は10か国で計15か国。それに対して加盟国数の合計は193か国で1割を上回っていないので×。

ここも基本的な知識と資料の読み取りのみなので正答率もすべて50%以上となっています。(イ)は選択肢の数が多い分、□6の中でも最も正答率が低くなっていますので中堅校を目指す子はここが取れるかどうかで周りと差がつくでしょう。(エ)の安全保障理事会やその拒否権に関する問題は頻出問題なので必ず知識としておさえておきましょう。

 

問題ごとの解説□7

(ア)について。「あ」はスエズ運河が結んでいる海の名前なので、世界地図の中で略地図1がどの部分に当たるのかを確認し、地中海と判断します。また、航路に関しては日本との間で考えるとアフリカ南端を回る方が自然です。なので答えは3です。また、ヨーロッパ周辺の海や世界の運河については以下を確認しておきましょう。

(イ)について。ここはキーワードを拾っていっての年代判別で解きます。Ⅰは第四次中東戦争とあるので石油危機(オイルショック)を思い浮かべて1973年。Ⅱは第一次世界大戦なので1914~1918年。Ⅲは岩倉使節団とあるので派遣されたのが1871年(帰国したのは1873年)。なのでⅢ→Ⅱ→Ⅰとなるので、4が正解です。

(ウ)について。まず a は2010年に対する2019年の割合なので、(2019の数値÷2010の数値)×100で計算し、アフリカはおよそ27.4%、東南アジアは約74.6%となるので東南アジアの方が大きいので×。ただし、ここはわざわざ計算せずとも数字だけを見て東南アジアの方が明らかに大きいと判断したいところ。b は要は2010~2012年の3年間で東南アジアの数値が世界計の半分を上回っているかどうかを見ればよいので、ここは明らかにどの年も下回っていると分かるから✕。c は b と同じような見方で2013年~2019年の7年間でソマリア周辺地域の数値が世界計の10分の1未満になっているかを見ればよいので、ここは明らかにどの年も下回っているので〇。d は2011年から2012年にかけてソマリア周辺地域の数値は237→75で減少値が165であるのに対して、世界計は439→297で減少値が142となり、世界計よりもソマリア周辺地域の方が減少値が大きいので〇。よって5が正解です。ちなみに e は2015年から2016年にかけてのマラッカ・シンガポール海峡をのぞく東南アジアの数値は133→66で減少値は67であるのに対して、世界計は246→191で減少値が55となり、世界計の方が減少値が大きいため✕です。

(エ)について。これは一問一答的な問題で、世界的な流れとしてかつては「他国からの攻撃や侵略を防ぎ、国家の独立を守ろうとする考え(=国家の安全保障)」が主流でしたが、近年では「一人ひとりの人権や生活を守ろうとする考え(=人間の安全保障)」の考えが広がっています。なので正解は1です。ちなみに2の「公共の福祉」は社会全体の幸福のことで、これによって一部の人権は制限されます。3の「法の下の平等」は日本国憲法の第14条に規定されている平等権に関する文言です。4の「循環型社会」は3R(リサイクル、リユース、リデュース)を徹底する社会のことです。

ここでも大問全体として正答率がすべて50%を超えており、上位校を目指す子はノーミスで行きたいところ。中堅校を目指す子は、(ウ)の資料の読み取りで多少手こずるかもしれませんが、その他は確実に取っておきたいですね。

 

最後に

2023年度(令和5年度)や2024年度(令和6年度)に比べると、難易度が低いので比較的高い点数が取れた子が多いのではないでしょうか?県の教育委員会の発表によると、91点~100点を取っている受験生の割合が全体の15.4%なので、トップ校および偏差値高めの2番手(市立金沢や横浜平沼などの高校)志望の子は9割を確実に取っておきたいですね。ちなみにこの年のフォルテ生の平均は80.4点でした。

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

2024年度神奈川公立入試「社会」全問解説

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、先日行われた2024年度(令和6年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。

関連記事①「2023年度全問解説」

関連記事②「2022年度全問解説」

問題全体の形式と難易度

まず全体としては大問7つの計34問(昨年度よりも1問増加)の構成で、昨年同様すべて記号選択形式でした。ただし、複数の空所の穴埋めが完答で初めて得点になるものが多いため、34問のうち選択肢が9つある問題が1問、8つある問題が6問、6つある問題が8問となっています。ですので、他県の一般的な入試問題に比べると選択問題でありながら、問題によっては正答率がとても低くなるものもあるでしょう。

ちなみにほぼ同様の形式で出題された昨年度では、最も正答率が低い問題が公民の□6の(オ)で30.2%(一昨年度は歴史の□4の(ウ)で、39.2%)でしたが、今年はさらにそれよりも正答率が低い問題もありそうです。

私の全体的な印象としては、知識で解ける問題が多くなった一方で、細かい知識まで問う問題が複数あるので、昨年度以上に9割以上を取るのが難しいかなというところ。ちなみに昨年度の入試では91~100点を取れている受験生は全体の9.5%(うち100点が1%)でした。

実際にフォルテの生徒の自己採点の様子を見ていると、昨年度の合格者平均が58.4点に対して5点近く下がって53~55点くらいになるのではないかと思います。

※後日発表された平均点は54.8点でした!

 

問題ごとの解説□1

(ア)について。日本の気候や日本の周りについての出題です。(あ)は季節風に関してで、「夏が南東の季節風」で「冬が北西の季節風」であることをふまえて Q を選びます。(い)は日本の周りの海に関しては大陸棚(→日本の周りの水深200mくらいの浅瀬)と海溝(→海底のプレートが沈み込んで水深が深いところ)の知識から 海溝 を選びます。(う)は日本の東側に広がっている海洋なので 太平洋 です。なので答えは5です。

(イ)について。まず、設問に注目して緯線と経線が5度ずつ引かれていることを確認しましょう。そして、以下のように書き込みをします。このように常に赤道や日付変更線(に加えてもちろん本初子午線も!)は世界地図の中で線を引く癖をつけましょう。そこで、灰色に塗られている範囲が 北緯30度~南緯15度 であることを読み取ります。そして、日本の標準時子午線が東経135度で、国A(=カンボジア)の経線が東経105度なのでその差は30度分。そこで時差を求めると、30度÷15=2時間です。なので答えは2です。

(ウ)について。東南アジアの宗教について、東南アジアは国によって主に信仰されている宗教が大きく異なるので注意が必要です。今回は国B(=フィリピン)なのでキリスト教です。なので答えは3です。ちなみに1は仏教、2はイスラム教、4はヒンドゥー教についてです。東南アジアの国の分布と宗教は以下を確認しましょう。

(エ)について。これは地図上から赤道付近の島々なので1を選びましょう。2の「フィヨルド」と言えばヨーロッパのスカンディナビア半島。3の「永久凍土」は高緯度の寒帯(亜寒帯)地域。4の「梅雨」は日本の太平洋側のこと。

(オ)について。まずはオセアニア州とアジア州の結びつきについてなので、貿易に関するYを選びます。次に同じくアジア州を含む太平洋沿いの国々で年に1度開かれているAPEC(アジア太平洋経済協力)についての a を選びます。なので答えは4です。白豪主義はかつてオーストラリアで行われていた「ヨーロッパ系以外の移民を制限する政策」です。また、先住民などに関しては以下を覚えておきましょう。

 

問題ごとの解説□2

(ア)について。雨温図の問題で、つくば市と富山市と高松市を判別する問題。富山市は日本海側なので冬の降水量が多いQ、高松市(香川県)は瀬戸内の気候で年間を通して降水量が少ないのでP、つくば市は消去法でRと判断します。なので答えは6です。

(イ)について。レポートの中の「火山灰が堆積してできた赤土」に注目して関東ロームと判断します。なので答えは3です。ちなみに、シラス台地は九州南部に広がる火山灰が降り積もった台地、フォッサマグナは日本列島を東西に分ける地溝帯、カルデラは火山の噴火でできたくぼんだ地形です。

(ウ)について。神奈川の入試で地形図の断面図の出題は久々ですね。断面図の問題の鉄則としては、まずは「両端の高さに注目する」ことです。そして、等高線をヒントに考えると今回はXとYがほぼ同じ標高であることがわかるので、1か2に絞ります。次のポイントは「間の地形に注目する」ことです。そうすると、等高線から山が2つあることがわかるので1が答えだとわかります。

(エ)について。そもそも昼夜間人口比率というのは【昼間人口÷夜間人口×100】で求められます。そう考えると、この比率が高まるということは、「夜間人口に対して昼間人口の方が増えている」ということです。なのでXは反対のことを言っているので誤りです。また、つくば市の人口を考えると、夜間人口がそれに限りなく近いので、夜間人口の推移を読み取ります。すると、年々増加し続けているのでYも誤りです。なので4が正解です。

(オ)について。ここでは1~4の選択肢に目を通すと2の選択肢が割合の計算を必要とするので、正誤を判断するのに手間がかかるとわかります。こういった面倒な計算を必要とする選択肢は後に回して、他にすぐに判断できる選択肢から見ていくのが良いでしょう。すると、今回の表中の国は全部北半球なので1は×。表中でのEU加盟国はドイツとフランスとイタリアで、その合計は271,124で、日本を上回っているので3は×。第二次世界大戦中に日本が同盟を結んだ国はドイツとイタリアで、この2カ国は表中に含まれているので4も×。ということで消去法で2が正解とわかります。

 

問題ごとの解説□3

(ア)について。【あ】は「東大寺」「仏教の力で国家を守ろう」に注目して、奈良時代の聖武天皇と判断します。桓武天皇は都を平安京に移した天皇ですね。【い】は聖武天皇の頃の天平文化に関連した正倉院のことなので、「西アジアやインドから中国にもたらされ、遣唐使が持ち帰った」の方だとわかります。「唐風の文化をもとにしながらも、日本の風土や生活に合わせてつくられた」の方は、平安時代の後半に栄えた国風文化についてですね。なので答えは4です。

(イ)について。aは地形図を参考にすると荘園の南端付近は等高線になっているので×。bは地形図の地図記号に注目すると「田」が広がっていることがわかるので〇。cは、743年に定められた墾田永年私財法によって「新たに開墾された土地の所有」が認められ、それがのちに荘園と呼ばれるようになったという知識から〇。dは「地頭」は鎌倉時代に登場するキーワードなので、8世紀後半という資料の年代とは合わないので×。なので答えは3です。

(ウ)について。ここはシンプルな時代判別で、Ⅰは「鎌倉府」とあるので室町時代、Ⅱは「豊臣秀吉」となるので安土桃山時代、Ⅲは「後鳥羽上皇」とあるので鎌倉時代。なのでⅢ→Ⅰ→Ⅱとなり、答えは5です。

(エ)について。「う」は、写真2から鎌倉時代につくられた東大寺南大門の金剛力士像と判断しましょう。阿弥陀如来像は、平安時代後半に浄土信仰に基づいて建てられた平等院鳳凰堂や中尊寺金色堂に代表される阿弥陀堂に置かれたものです。「え」は同じ鎌倉時代のことなので「モンゴル帝国が建設された」を選びます。「ヨーロッパで宗教改革が始まった」のは1517年で室町時代の後半。「唐が滅亡した」のは907年で平安時代(894年に遣唐使が停止されたすぐ後と覚えておこう)。なので答えは2です。

(オ)について。17世紀は1601年~1700年なのでXを選びます。ちなみに17世紀は江戸時代前半で初代将軍・徳川家康~5代将軍・徳川綱吉までの期間というイメージを持っておきましょう。次にaの「質を落とした貨幣が大量に発行され」は江戸幕府の5代将軍・徳川綱吉の政策で17世紀後半のことなのでaが正解です。なので答えは1です。bの「士族の特権が奪われた」のは、明治維新のころなので19世紀後半です。cの「天明のききん」は老中・田沼意次の頃に起こったので18世紀後半です。

 

問題ごとの解説□4

(ア)について。「お雇い外国人」は、明治初期の殖産興業で活躍した外国人の技術者です。なので答えは3です。ただし、それを知らなくても表の右側に「岩倉使節団がアメリカ合衆国に到着した」とあるので明治初期に関連した言葉だと判断します。そこで、1は「満州事変」とあって1931年~なので昭和の前半。2は「日本政府に対して、大日本帝国憲法の改正を指示した」のは戦後のGHQのことなので1945年~で昭和の前半。4は「鎖国」とあるので江戸時代。ということで消去法でも3が選べます。

(イ)について。Xは、南満州鉄道のことで、日本は日露戦争後のポーツマス条約でその利権を得たので〇です。Yは、1915年の二十一か条の要求は日本が中国に対してドイツ領の山東半島の権益を求めたものです。当時、「い」で示された朝鮮半島は日本が統治していたので×です。Zは、「う」の島は台湾で日本は日清戦争後の下関条約で日本が得た島です。日本が第一次世界大戦後に委任されたのは南洋諸島です。南洋諸島は、サイパン島などの太平洋の赤道付近の島々です。個人的にはこの問題が今年の入試で最も正答率が低い問題なのではないかと思います。

(ウ)について。線③の時期は東京オリンピックとあるので、1964年です。つまり高度経済成長期(1955~1973年)のことです。1は、「初めて鉄道が敷設」に注目し、横浜ー新橋間に鉄道が開通されたのが1872年。2は、「テレビが一般の家庭に普及」に注目し、三種の神器や3Cといった家庭電化製品の普及が1950年代後半~1970年代なので2が正解です。3は、「義務教育の就学率が初めて90%をこえた」に注目し、明治末期の1900年頃。4は、「個人による携帯電話の保有」に注目し、それは2000年代と判断します。

(エ)について。ここでは選択肢9つということで、去年にない形式でした。ただし、冷静に判断すればそこまで難しくはありません。労働者の権利に関することなのでZのストライキを選びます。Xのレジスタンスは、第二次世界大戦中にドイツに占領されたフランスで起こった反対運動のことです。Yのリコールは、地方自治で首長や議員の解職請求のことです。次のaは日本国憲法の条文なので×。bは、日本国憲法で認められた団結権は労働組合を結成する権利なので〇です。なので8が正解です。cは、戦後間もなくの1940年代後半~50年代前半にかけて労働組合の数減少しています。ただし、これを知っている中学生はほとんどいないので、bの内容で判断しましょう。

(オ)について。ここはシンプルな年代暗記で解きます。Ⅰは「イタリアのエチオピア侵略」は1935年(1929年の世界恐慌のすぐ後と覚える)、Ⅱは「大西洋憲章」は1941年、Ⅲは「中華人民共和国建国」は1949年です。なのでⅠ→Ⅱ→Ⅲとなり、1が正解です。

 

問題ごとの解説□5

(ア)について。1は、財やサービスの代金の支払いは「家計→企業」なので×。2は、公共事業は政府が企業に仕事を発注して、その費用を支払う「政府→企業」なので〇となり、2が正解です。3は、消費税は間接税で「家計→企業」に支払われたものが、「企業→政府」に納付されるので×。4は、紙幣の発行は日本銀行の仕事なので×です。ちなみに日本銀行の役割は、「発券銀行(紙幣の発行)」「政府の銀行」「銀行の銀行」の3つです。

(イ)について。社会保障(制度)は憲法25条の生存権を具体的に保障した制度です。なので憲法25条についてのXを選びます。またその社会保障制度の財源は税金と保険料なのでaを選びます。なので1が正解です。bのような政府が整備する施設は社会資本です。ちなみに以下が社会保障制度の四本柱です。

(ウ)について。1ドル=86.55円が1ドル=132.56円になるということは、円安になるということ。なので円の価値が低くなることです。これは商品の価格と一緒で、「需要が多ければ価値が高く」なり、「需要が少なければ価値が低く」なります。なので、円の価値が低くなるのは「円の需要が少ない(=円をドルに交換する人が多い)」ときです。また、円安の際は、日本企業にとって輸出が有利になります。なので答えは7です。以下を基本として覚えておきましょう。

(エ)について。銀行を仲介とするお金のやり取りを間接金融で、銀行の利子について。基本は、【貸し付けの利子>預金の利子】でその差額が銀行の利益になるので3が正解です。

(オ)について。日本銀行の金融政策について問われているので答えは4です。ちなみにデフレーションは、不景気の際に起こりやすい「物価が下がり続ける現象」です。1~3はすべて政府が行う財政政策です。金融政策と財政政策についての基本は以下です。

 

問題ごとの解説□6

(ア)について。1は、国際連合の設立は第二次世界大戦後の1945年なので×(冷戦の終結は1991年)。2は、安全保障理事会は15カ国で構成され、アメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリスの5カ国が常任理事国、その他の10カ国は2年ごとに変わります。拒否権を持っているのは常任理事国の5カ国だけなので×。3は、PKO(国連平和維持活動)のことなので〇となり、3が正解です。4は、1968年の核拡散防止条約では安全保障理事会の5カ国以外の核兵器保有を禁止すると定められました。ちなみにそれ以降もインドやパキスタンや北朝鮮などが核実験→核兵器の保有をしています。

(イ)について。「あ」は貧困地域なので、「サハラ砂漠以南のアフリカ諸国」を選びます。「ペルシア湾岸の西アジア諸国」は原油の産出国が多いため、貧困地域とは呼べません。また、現在多く使われている化石燃料(石油や石炭)を用いると、大量の二酸化炭素を発生することから、環境への悪影響が叫ばれています。それに対して、環境にやさしい代替燃料が使われるようになっており、その例がサトウキビなどを原料にしたバイオ燃料です。なので「い」はバイオマスを選びます。なので答えは2です。

(ウ)について。Xは、各省の長である国務大臣は、内閣総理大臣が「その過半数を国会議員から任命しなければならない」ので×。Yは、内閣の構成員(内閣総理大臣とその他の国務大臣)による会議が閣議なので〇。Zは、弾劾裁判は国会で行われる裁判を裁く裁判なので×。なので答えは6です。

(エ)について。Xについては、選挙権についてのことので〇。ただし、ここで判断できなくてもYの「法律が憲法に違反してかどうかについての国会の判断は、最高裁判所の判断に優先される」の部分が明らかに誤っているのでXが正しいと判断できる。Yの違憲立法審査権は裁判所が持つ権限で、その中でも最高裁判所の決定が優先されます。aは三権分立における内閣の仕事の1つなので〇です。なので1が正解です。bは、三審制についてですが、3回の裁判はそれぞれ別の裁判所で行うので×です。三審制については、第一審に不服の場合に第二審へ進むための手続きを「控訴」、第二審に不服の場合に第三審へ進むための手続きを「上告」というのを覚えておきましょう。

(オ)について。ここでは、事業者が「必要かつ合理的な配慮」を行うことによって、障がい者の権利の保障する、という内容なので4が正解です。

 

問題ごとの解説□7

(ア)について。ネパールとブータンということで一見難しそうだが、基本的な知識で解け、なおかつ消去法でも十分対応できる。1は、AUはアフリカ連合なのでアジアの両国には関係ないので×。2は、世界で最も面積が大きい国はロシアで、この2カ国が隣接しているのは中国なので×。3は、アルプス・ヒマラヤ造山帯に位置しているので〇。なので3が正解です。4は、乾燥帯のステップで有名なのはモンゴルなので×です。

(イ)について。日本の国際社会復帰は1951年のサンフランシスコ平和条約での話なので、Xが正しいです。Yの世界恐慌は1929年のことなので年代がまったく違います。Zは、日本は常任理事国ではないので×です。aとbに関してもサンフランシスコ平和条約のことなのでbを選びます。なので答えは2です。

(ウ)について。「あ」の前の「製品を先進国の人々が公正な価格で購入する」に注目してフェアトレードを選びましょう。なので1が正解です。2のエコツーリズムは、観光業と環境保全を両立させる考えで、北海道の知床半島(世界自然遺産)で習いましたね。3のモノカルチャー(経済)は、国の収入を特定の農作物や鉱産資源の輸出に依存している状態です。4のマイクロクレジットは、主に発展途上国の人々の起業をしたい人々に対して、少額の資金を無担保・低金利で貸し出すことです。マイクロクレジットは、他県の入試でも最近よく見かけます。

(エ)について。Xは、資料3の対インド・バングラデシュ・フィリピン・インドネシアの数値をすべて足すと7656.4で、これは世界計の42.9%にあたるので〇。Yは、「一人あたりの国民総所得」が小さい国はネパール。「贈与」は資料2によると「無償資金協力」「技術協力」の2つの項目を指しているとわかります。そして、資料4からスリランカとネパールそれぞれの合計に占めるこの2つの項目の割合を求めると、スリランカは12.6%、ネパールは49.7%なので×です。Zは、資料5によると「債務の罠」と批判されているのは港湾や鉄道などのインフラ案件なので、人材育成を目的とする技術協力とは別なので×です。なので4が正解です。

 

まとめ

今年も上位層は、地理はほぼノーミスでいけるはずなので、歴史と公民で如何に失点防ぐかが高得点へのカギです。そして、歴史で確実に点数を確保するためには時代判別と年代暗記が不可欠です。さらに、今年の入試は問4(イ)のように領土や条約の内容に関する細かい知識まで問われる問題がありました。この辺の問われ方の細かさは、どちらかというと中学校の定期テストに少し近い感じを受けました。

資料の読み取り問題は相変わらずありますが、単なる読み取りだけでなくある程度の知識を前提としたものあるので、受験生は早い段階で地理と歴史を仕上げて、夏以降で多く演習問題を通して細かい知識を身につけていきましょう。解説でも何度も登場していますが、正解に直接つながるピンポイントの知識がなくとも、ある程度の知識があれば消去法で解ける問題も多数あります。

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

模擬試験の解き直しのポイント(理系教科)

こんにちは。フォルテの理系講師の佐々木です。

今回は前回の続きで模擬試験の解き直しの理系バージョンになります。文系教科を見ていない方はこちらからどうぞ。

 

解き直しのポイント【数学】

まず、ぱっと数学の解き直しを見た瞬間に、良い解き直しと悪い解き直しの最大のポイントは図や表が使われているかです。ダメな解き直しはたいてい文章と計算式でノートが覆われています。それに対して、良い解き直しは図や表を上手く活用しています。例えば、中1数学の後半で習う平面図形や空間図形などの図形の問題、中1数学の比例反比例や中2数学の一次関数、中3数学の二乗に比例する関数などの関数の問題では図が書いてあると断然理解しやすくなります。下図はその一例です。

さらに、解くためのポイントや数学の公式などが書いてあると、「このポイントに注意して解こう」とか「この公式を活用すれば解けるな」というように記憶に残りやすくなります。

また、中2の後半で習う確率の問題などは、ただやみくもに解くのではなく表や樹形図を書いて考えていけば解きやすくなります。

そして、残念な解き直しの典型としていちばんやってはいけないのが、計算問題のミスでの計算式の丸写しです。さすがにほぼいないとは思いますが、計算ミスをしたにも関わらずただ式を丸写ししても何も意味はありません。計算問題のミスにしても、符号のミス、+-×÷の計算ミス、分数の計算において単なる計算と方程式がごっちゃになっていて分母を消してしまう、など様々あります。計算ミスをしてしまったのはしょうがないですが、次に同じようなミスをしないようにするという意識をもっていないと、いずれ同じようなミスで点数を落とすことになるので注意が必要です。

また、数学は似たような問題が出題されることが多いため、出来なかった問題を解き直しをして出来るようにしていくことで、着実に力がついていきます。

上記の内容をまとめると、

①ただ単に計算式を書いたりするだけではなく、図や表を活用する。

②問題を解く際のポイントや必要な公式を書いておく。

③計算ミスに関してはどのようなミスをして間違えてしまったのかを明らかにし、同じミスをしないように細心の注意をする。

 

解き直しのポイント【理科】

理科に関しては、社会と被りますが、問われている内容の周辺知識まで広げる必要があります。例えば中1化学の問題で以下のような4択の問題が出てきたとします。

問題.酸素を発生させる方法を次の①~④の中から選びなさい。

  1. 石灰石や貝殻にうすい塩酸を加える。
  2. 塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを混ぜて加熱する。
  3. 亜鉛や鉄にうすい塩酸を加える。
  4. 二酸化マンガンにうすい過酸化水素水(オキシドール)を加える。

もし、今回は「酸素」なので④が正解となりますが、この問題について最低限やって欲しいことは、①は二酸化炭素、②はアンモニア、③は水素が発生させる方法であるという知識は確認しておきましょう。また、アンモニアがどういう気体かを忘れていたら、アンモニアについて教科書等で調べましょう。

例えば、アンモニアは無色で刺激臭の気体であり、空気より軽く水に溶けやすいので上方置換法で集める。また、有毒で水溶液はアルカリ性を示し、緑色のBTB溶液を青色に変える。

以上のように選択肢を全て見て必要な知識とその周辺知識まで広げられると良いです。なぜなら、今回は酸素に関して知っていれば解けましたが、次の時に他の気体について問われたら、他の気体に関しても理解していないと解けません。すると、前回は偶然知っている知識が問われたから答えられただけになります。模試のたびにこのように周辺知識に対して覚えなおしていくことで、抜け漏れがなくなり、点数が上がっていきます。

そして、数学と被りますが、図や表を書いたり、授業で習った語呂合わせを書いたりすると記憶の定着に役立ちます。

また、理科は計算問題も出題されますが、出やすい計算問題はある程度絞られるため、模試に出てきた計算問題はしっかりと解き方を覚えていきましょう。特に化学や物理に比べ、生物や地学は計算問題はかなり限られるので、生物の蒸散の計算や地学の地震の計算などは模試前にしっかり復習しておくと良いでしょう。

上記の内容をまとめると、

①問題に対する答えだけではなく、周辺知識も書くようにする。

②図や表を書いたり、語呂合わせを書くことで記憶しやすくする。

③計算問題は解き方をしっかり覚える。

 

まとめ

模試の解き直しは各科目で違いはあるものの、一番重要なことは出来なかった問題を出来るようにすることです。それと、間違えた問題だけではなくその周辺知識を覚えなおすことで、抜け漏れを減らし解ける問題が増えていきます

また、解き直しはノートを開いた瞬間に良い解き直しか悪い解き直しかがおおよそ分かります。例えば、図や表が見やすく書いてあったり、字が丁寧であまり詰めすぎないで書いてあったり、様々な色を使って見やすくしてあったりする解き直しは良い解き直しであることが多いです。反対に図や表などは全くなく、汚い字で詰めて書かれていて、色も黒一色の解き直しはだいたい残念な解き直しの典型的な例です。

模試の解き直しは偏差値アップにつながるだけではなく、内申にも相関関係があります。解き直しのノートの精度が高い生徒は学校のノート提出やワーク提出でも良い評価を得られます。字が丁寧に書いてあったり、色分けされていたり、その問題に対するポイントが書いてあったりするので当然と言えば当然です。そうなると、おのずと高い内申が付きやすくなります。

それと、模試を受けてから次の模試を受けるまでにもう一度間違えた問題だけでも解いておくと良いでしょう。人間は忘れていく生き物です。解き直しをした直後はかなり覚えているかもしれませんが、時間が経つにつれて頭から抜け落ちていきます。やはりどんな勉強においても復習することは非常に重要です。是非模試をフル活用して成績アップにつなげていきましょう。

今回は以上です。

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

模擬試験の解き直しのポイント(文系教科)

こんにちは、フォルテの文系講師の上村です。

今月5月は、中学生全学年で模擬試験があります。特に中1は中学生になって初めての模擬試験です。そこで今回は、模試後に行う解き直しについてです。

 

解き直しの必要性

模擬試験は、普段の小テストや学校の定期テストに比べて、出題範囲がとても広かったり、出題形式が大きく異なったりします。そのため、一般的にはそれらのテストに比べて平均点が低く、高得点も取りにくい傾向にあります。

ですから、学校の成績は良いのだけれど、模擬試験を受けたら思ったほど点数・偏差値が取れないという子もいます(特に塾に通っていない子で多いです)。

そこで大切になるのが解き直しです。この解き直しは、自分が間違えた問題と同じような知識や解き方が問われたときに解けるようにするために行います。成績に伸び悩んでいる中学生の多くは、定期テストや模擬試験でこの解き直しが出来てないことが多いです。逆に普段から成績が良かったり、伸びている中学生はこういった解き直しがしっかり出来ているし、何なら普段の宿題から解き直しをする癖がついているので、同じ間違いをくり返すことが少ないのです。

フォルテでは、中学生の模擬試験の解き直しは専用のノートで管理をしていますので、指定日(期限)までにノートに解き直しをして提出してもらいます。この期限を守れない子は大抵成績は伸び悩みます。もちろんクオリティも大切ですが、大前提として提出物の期限を守ることを学校でも塾でも強く意識しましょう。

 

イケてない解き直し

まず、毎年最初の解き直しの際にありがちなイケてない解き直しの特徴を紹介します。こういったものは再提出となりますので、ご注意ください。

①自己採点をした自分の解答用紙のコピーをノート貼っていない。

②模範解答を書いただけで、答えのポイントや根拠が書かれていない。

③間違えた問題すべての解き直しをしていない。

※単純な英単語の聞き取りなどはやらなくても良いです。

 

解き直しのポイント1.国語

国語では、まず漢字について。漢字の問題は、神奈川県の入試では読み4問、書き(選択式)4問が出題され、それで計16点分です。入試では毎年国語の平均点は他の教科よりも高く、その中でも漢字の正答率は今年の入試(令和5年度入試)で72.5~95.5%とかなり高くなっています。ですから、志望校の高低に関係なく漢字は落としてほしくない部分です。

ただし、出題されている問題自体がそこまで簡単かと言うと実はそうではありません。意外と中学生が普段使わないであろう熟語も多く出てきます。そこで、「普段から語彙を増やしておくこと」「言葉自体を知らなくても漢字の持つ読みから想像すること」が求められます。また、漢字の問題に限らず文章問題においても、多くの語彙を知っているかどうかで読む速度や理解力が大きく変わります

そこで、語彙を増やすためには、新しい言葉を知ること、そしてそれを使うことが大切です。なので、何かしらの形で初めて知った言葉を身につけるために、その言葉を(特に大人との)会話で使ってみましょう。そこで使い方が不自然であれば指摘もしてもらえるでしょう。

また、こちらの記事でも紹介しましたが、文章問題では答えの根拠を確認しながら解くべきです。ですから、文章問題の解き直しでは正しい答えだけでなく、その答えの根拠となる部分がどこなのかを必ず確認しましょう。

そこで解き直しで必ずやってほしいことが以下です。

①間違えた漢字について、他の読み方やその漢字を用いたその他の熟語を調べる。
→その言葉を用いた例文も書けるとなお良いです。

②漢字の問題や文章問題で出てきた言葉で自分が知らない言葉があったら、その意味を調べる。
→その言葉を用いた例文も書けるとなお良いです。 

③文章問題について、答えの根拠となる部分を必ず書く。

 

解き直しのポイント2.英語

英語についても国語と共通する部分が多いです。というのも、英語も国語同様に語彙力があるかどうかがとても大切になってきます。これは英検などにも言えることですが、英単語をより多く知っている子の方が模擬試験では断然有利になります

では、英単語を覚えるためにはどうすればよいかというと、日本語の語彙と同じくそれらを書く練習をするのはもちろんですが、やはり言語ですから使いこなすことで初めて身につけることができます。ですから、英語においても例文を調べたり、自分で作ったりする癖を付けましょう

英語の解き直しは、以下を意識してやりましょう。

①英単語を間違えた問題に関してはそれを10回ずつ練習して覚えましょう。また、その単語の意味もセットで書いておきましょう。
→さらにその英単語を用いた例文を自分で作れるとなお良いです。

②選択問題や並び替え問題では答えの部分だけでなく、その一文全体を書くようにしましょう。その上で答えの根拠やポイントを書きましょう。
→さらにその英文の日本語訳もセットで書けるとなお良いです。

③長文や対話文の読解問題では、国語の文章問題と同じように答えの根拠となる部分を明確にしましょう。
→内容一致問題では選択肢の日本語訳も書けるとなお良いです。

④対話文やスピーチなどのリスニング問題は台本が模範解答に載っているので、それと音声を照らし合わせながら聴きなおすようにしましょう。

 

解き直しのポイント3.社会

社会については、出題されたピンポイントの知識だけでなく、その周辺まで解き直しで広げることが大切です。例えば、以下のような問題。

問3(2)平安時代に清少納言によって随筆文(  )が書かれた。(  )に適する作品名は?

ア『方丈記』 イ『枕草子』 ウ『平家物語』 エ『徒然草』

答えは、イ『枕草子』なのですが、この問題の解き直しをするときには、以下のようにすると良いです。

このように「正しい選択肢以外についても確認する」「正しい選択肢に関連する事項をまとめる」ことが出来ている解き直しはレベルが高く、こういう解き直しがしっかりできている子は社会では強いです。

また、地理に関してはこういった知識の広げ方に加えて、地図やグラフを用いると復習しやすくなります。むしろ、地図やグラフを描いていない解き直しで、客観的に良いと思えるものはほとんどないかもしれません。

ということで、社会の解き直しは以下を意識してやりましょう。

①問われた知識だけでなく、その周辺の知識についても広げる。
→コンパクトにまとめられるとなお良いです。また、こういった知識を確認できるように教科書や参考書を手元に置いて解き直しをしましょう。

②地図やグラフを描いて、視覚的にわかりやすくする工夫をする。

模擬試験は受けるだけでは、あまり意味がありません。今回紹介したように解き直しをしっかりやることで、大きな学習効果が生まれます

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

2023年度神奈川公立入試「社会」全問解説

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、先日行われた2023年度(令和5年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。

関連記事①

関連記事②

問題全体の形式と難易度

まず全体としては大問7つの計33問の構成で、昨年同様すべて記号選択形式でした。ただし、複数の空所の穴埋めが完答で初めて得点になるものが多いため、33問のうち選択肢が8つある問題が7問、6つある問題が7問となっています。ですので、他県の一般的な入試問題に比べると選択問題でありながら、問題によっては正答率がとても低くなるものもあるでしょう。

ちなみにほぼ同様の形式で出題された昨年では、最も正答率が低い問題が歴史の□4の(ウ)で、39.2%でしたが、今年はそれ以上に正答率が低い問題もありそうです。

実際にフォルテの生徒の自己採点の様子を見ていると、昨年度の合格者平均が62.4点に対して5点近く下がって57~58点くらいになるのではないかと思います。

※追記:後日、教育委員会から発表されたデータによると、合格者平均は58.4点でした!

関連記事①「2024年度全問解説」

関連記事②「2022年度全問解説」

問題ごとの解説□1

(ア)について。農作物の生産量ランキングに関する問題です。まずオリーブといえば、ヨーロッパの地中海式農業を頭に浮かべて、ヨーロッパの地中海沿岸のスペインやイタリアがランクインしているYを選びます。次にとうもろこしは、世界一の生産量を誇るのがアメリカというのは覚えておくべき知識ですが、万が一それがわからなければブラジルでのバイオ燃料(バイオエタノール)で さとうきび や とうもろこし が原料として用いられているという知識をヒントにしてXを選びます。また綿花に関しては栽培が盛んな具体的な場所として1位のインドのデカン高原は覚えておくべきで、2位の中国の印象はなかったかもしれませんが、3位のアメリカは南東部でかつて黒人の奴隷による綿花栽培がさかんであったという歴史的な背景も含めて覚えておいてほしいレベルのものなので、そう考えるとZを選べます。なので正解3です。

(イ)について。この手の問題はまず地図中に「赤道」「本初子午線」「日付変更線」を確実に書き込めるようにしましょう。また、問題文に緯線や経線が何度ごとに引かれているのかが書かれているので、そこも正確に把握しましょう。すると、Pの線は赤道から2本分南にあり、今回緯線は30度ごとに引かれているから南緯60度とわかります。また、Qが日付変更線で、日付変更線を東から西にまたいでいるので日付を遅らせます(1日戻します)。なので正解は6です。

(ウ)について。ここはAの国がニュージーランドなので、その先住民であるマオリを選びます。また、以下は覚えておきましょう。なので正解は5です。

(エ)について。Bの国はブラジルです。南アメリカ州はブラジルだけが元々ポルトガルの植民地だったのでポルトガル語を公用語としており、その他の国々は元々スペインの植民地だったのでスペイン語を公用語としています。このようにスペインやポルトガルが世界の中心だったのは大航海時代(15世紀~16世紀=日本の室町時代後半~安土桃山時代)の話です。なので正解は1です。

(オ)について。まずは設問の「適切でないもの」を選ぶというのに注意。あとは、この手の読み取り問題では注目すべき部分が「量や金額自体の数字」なのか「割合」なのかを正確に判断することが必要です。4が正解ですが、これは「工業製品」がどの品目を指すのかを判断する必要があります。エチオピアでは「衣類」で5.5%、ザンビアは「セメント」「機械類」で3.1%、ボツワナは「機械類」「ソーダ灰」で4.3%(ちなみに「ソーダ灰」とは高純度の炭酸ナトリウムのことです)、南アフリカ共和国は「自動車」「機械類」で17.4%です。なので正解は4です。

ここはどれも正答率が高いでしょう。世界地図に関しては、どのような地図が出題されても、見慣れているであろうメルカトル図法でいうとどの部分なのか?という置き換えが出来るようにしましょう。そのために、(繰り返しになりますが)ヒントとなる「赤道」「日付変更線」「本初子午線」を正確に書き込めるようにしましょう。教科書に載っている農作物や鉱産資源の生産量に関する上位国をしっかり押さえておきましょう。

 

問題ごとの解説□2

(ア)について。ここでも「適切でないもの」を選ぶので注意。地形図の読み取りで、答えは3ですが、今回は地形図の下に「2万5千分の1」という縮尺が載っているので、計算すると「2cm×25000=50000cm」となり、単位を変換すると「500m」ですね。1については、このような鍵穴のような形の古墳を前方後円墳と言います。2については、古墳の中に44という数字があるのが分かります。4は「∴」という地図記号と共にいくつかの古墳名が周りにあります。

(イ)について。まずXは、以下のように65歳以上部分に書き込みをすることで、パッと見で2022年の方が割合が高いとわかるので×。次にYも同様に、該当する部分を書き込んで囲むと2012年の15~24歳の方が割合が高いとわかるので×。なので正解は4です。

(ウ)について。今回は「適するもの」を選びます。答えは4です。資料3に注目し、人口密度は「人口÷面積」で求めるので、各区を計算すると「北区」が最も数字が大きくなります。そして、資料4で北区を確認すると地下鉄御堂筋線が通っていることが分かります。1は、人口が12万人未満の区は「中区」と「東区」と「美原区」の3つですが、そのいずれの区もJR阪和線は通っていません。2は、面積が20km²の区は「堺区」と「南区」と「西区」で、そのうち「南区」は1つの路線しか通っていない。3は、面積が最も小さい区は、「東区」で南海高野線と泉北高速線が通っていることがわかる。

(エ)について。今回は問われているのが連雲港市(中国)で、温帯の温暖湿潤気候なので、「四季の変化がある」「季節風の影響で夏に降水量が多い」ことが基本。その時点で、1を選べます。ちなみに他は、4が「一年中気温が高く」「APEC首脳会議が開催」からダナン市(ベトナム)、2は「気温は7~8月が低く1~2月に高い」とあるので南半球と判断してウェリントン市(ニュージーランド)、3は「夏に極端に雨が少なく乾燥しており」から地中海性気候のバークレー市(アメリカ合衆国)とわかる。

ここでもそこまで難しい問題はないため、それぞれ正答率は高いでしょう。資料の読み取り問題は、地図同様に直目すべき部分に書き込みをして、視覚で判断できるようにすると時短や正答率アップにつながるでしょう。

 

問題ごとの解説□3

まずここでは、旧石器時代~江戸時代までのことがらの時代判別ができるようにしておくのが大切です。最初の表には以下のような書き込みができると良いですね。

(ア)について。[ あ ]は「農地を増やすため」とあるので墾田永年私財法が入ると判断できます。班田収授法は「6歳以上の男女に口分田を与えること」を定めた法令です。[ い ]は「荘園や公領ごとに」なので地頭が入ります。守護は地頭と同じ時期に「国ごとに」おかれました。[ う ]は太閤検地の内容なので石高(米の収穫量)が入ります。地価は、明治維新の地租改正(1873年)のときに用いられる語句ですね。なので正解は6です。

(イ)について。Aの期間は「奈良時代半ば~平安時代の最後」の内容なので、3を選びます。1は「日蓮」とあるので鎌倉時代、2は「雪舟」とあるので室町時代、4は「最初の仏教文化」とあるので飛鳥時代。

(ウ)について。ここでも各選択肢のキーワードを拾っていって時代判別すればいいだけです。Ⅰは「フランシスコ=ザビエルが、日本にキリスト教と伝えた」とあるので1549年(室町時代末期)、Ⅱは「元軍」とあるので鎌倉時代、Ⅲは「足利義満」とあるので14世紀末(室町時代前半)となります。なので、Ⅱ→Ⅲ→Ⅰで4が正解です。

(エ)について。まずは資料は真ん中の写真が銅鐸で、左のイラストは臼(うす)と杵(きね)で米を付いている様子で、右のイラストは収穫した稲を保管した高床倉庫です。なので、稲作が伝わった弥生時代の内容を選ぶので2とわかります。1は「打製石器」とあるので旧石器時代、3は「海面が上昇し」は氷河時代の終わりを指しているので縄文時代。4は「渡来人」とあるので古墳時代。

(オ)について。まずはグラフが「百姓一揆の発生件数」なのですぐにXは選べます。Yは、1792年にロシア人使節・ラクスマンが根室に来航して以降の話なのでグラフ中の年代としては間違えではないですが、内容的に関係ないです。またa~dに関してはそれぞれの時期を年代で覚えているかどうかなので、ちょっと難易度が高いかもしれません。aは松平定信の政策なので老中在任期間が1787年~1793年なので〇です。bは日本人の海外渡航の禁止は鎖国政策の1つで1635年ですから×です。cは田沼意次の政策なので老中在任期間は1760年~1786年ですから×です。dは日米和親条約の内容なので1854年なので×です。なので答えは1です。ちなみにYに関連して、外国船の接近関連は以下を覚えておきましょう。

ここではほとんどが時代判別と基本的な知識で正解できるのですが、(オ)は江戸時代の中での判別となるので正答率が最も低くなるでしょう。

 

問題ごとの解説□4

ここでは何と言っても幕末以降の出来事の年代暗記が点数を取るカギです。ですから、表に以下のような書き込みができると良いですね。

(ア)について。これは下関条約の内容なので、この条約では遼東半島・台湾・澎湖諸島などが日本の領土になりましたので、[ あ ]は台湾とわかります。また、ワシントン会議の内容は国ごとに海軍の主力艦の保有数を宣言することだったので[ い ]は「海軍の軍備を制限する」とわかり4を選びます。また、年代暗記をしていればワシントン会議は1921年、国際連盟発足は1920年となるので間違えることはありません。

(イ)について。ここでは、「樺太が日本の領土ではなく、千島列島が日本の領土になっている」ことを読み取りましょう。このようなロシアとの国境に関しては日露和親条約(1854年)と樺太・千島交換条約(1875年)が関連して、日露和親条約では「樺太が日本領、千島列島がロシア領」となりましたが、樺太・千島交換条約では「樺太がロシア領、千島列島が日本領」となりました。なので、Yの樺太・千島交換条約の方だとわかります。また、a~cに関しては、aがシベリア出兵(1918年)、bが北海道の開拓のことで明治初期(1868年~1870年代前半)、cは太平洋戦争の最後(1945年8月)なのでbとわかり、答えは5になります。

(ウ)について。資料1中の第1条に注目して2を選びましょう。表の内容からこれがサンフランシスコ平和条約(1951年)とわかっていれば、1は日中共同声明(1972年)、3は小笠原諸島返還(1968年)、4は日ソ共同宣言→日本が国連加盟(1956年)と判断できるので消去法でもいけます。

(エ)について。まず自衛隊の結成は1954年です(1950年警察予備隊→1952年保安隊→1954年自衛隊)。そしてこのころの日本経済は、1950年に起こった朝鮮戦争による特需で1955年~1973年の高度経済成長へとつながります。ですから1とわかります。2は第一次世界大戦中(1914~1918年)の大戦景気、3は第四次中東戦争→石油危機(1973年)、4は世界恐慌の影響(1929年~)となるのでいずれも時期が違います。

(オ)は、1は大正デモクラシーのころで大正時代は1912~1925年、2は犬養毅首相が暗殺された五・一五事件で1932年、3は国家総動員法で1938年、4は戦後初の衆議院選挙で1946年なので、時期が一致しているのは3となります。

□4こそ用語やその内容、前後関係、そして年代暗記ができていないとポロポロと落としてしまう問題ばかりなので、差が出やすい大問と言えるでしょう。おそらく(ア)と(エ)が比較的正答率が低いでしょう。

 

問題ごとの解説□5

ここでは、公民の経済分野の基本知識と資料の読み取りがメインです。ただし、資料の読み取り問題では選択肢の内容を理解できるかどうかが大きなポイントになりそうです。

(ア)について。これは一定数の受検者がいかにも引っかかりそうな良い問題ですね。ただ、為替相場について知識があれば2020年が円高になっているとわかるので3とすぐにわかります。それ以外だと見た目の数値ですぐわかるのは1ですが、これは明らかに誤りとわかります。2と4はそれぞれ割合なので計算が必要です。ただし、何もそこまで厳密な計算をする必要はありません。2であれば、「労働力人口」に対して「第2次産業の就業者数」が約何分の1かをざっくり計算すると、1964年が約3分の1くらい(=33%前後)で、2020年が約4分の1~5分の1くらい(=20~25%前後)となります。4であれば、「テレビ1台の価格」自体の値段はそこまで大きく変わっていませんが、「世帯の収入」が約10倍に増えているので、その分テレビの価格の占める割合は下がっているとひっ算などを書いて計算するまでもなくわかります。こういったざっくりとした計算の感覚があるかないかは、この手の問題を解く上で大きい差になります。

(イ)について。Xは、表を見ると「1世帯当たりの人員」が減っているので、その分単独世帯が増加したことが予想できるので〇。Yは、2020年の「平均週間就業時間」は39.6時間ですが、労働基準法での上限は40時間なので×。

(ウ)について。ここは日本銀行による金融政策と政府による財政政策、そして価格についての知識が問われるシンプルな問題でした。金融政策と財政政策についての基本は以下です。

このため、1が正解で、2が誤りとすぐわかります。またインフレーションは「継続的に物価が上がること」で、デフレーションは「継続的に物価が下がり続けること」なので、3は希少性が高くなると価格は上がるはずなので誤りです。4は、水道代や電気代のような国や地方公共団体が認可・決定する価格は「公共料金」といいます。この他、需要量や供給量のバランスで決まる価格は「均衡価格」、少数の企業が一方的に決める価格は「独占価格」といいます。

(エ)について。ここは株式会社と金融に関する知識を問う問題です。まず金融は「直接金融」と「間接金融」に分かれます。株式会社が株式を発行し、投資家が証券取引所でそれを購入することを「直接金融」といい、銀行や信用金庫などの金融機関を介したお金のやり取りを「間接金融」と言います。なので[ あ ]と[ い ]は「直接金融」と「証券取引所」とわかります。あとは、株式会社での株主の権利と責任で、「株主総会への出席や利益の一部を配当として受け取る」権利がある一方で、「出資額を失う以上の責任を負う必要はない」ので4が正解とわかります。

(オ)について。Xは、給付額の合計が圧倒的に増えているので、年金の給付を受ける人の数は増えていると思われるので×。Yは、「国民所得に占める給付額の割合」は「給付額」÷「国民所得」×100で求めて、1965年が約6%なのに対して2019年は約30%と高くなっているので、財政上の役割は増していると考えられるので×。Zは、まず前提として「社会保障の負担額」のうちの「公費」に当たる部分が「社会保障の財源に占める税金の割合」であるということがわかるかですが、正直中学生には難しいと思います。ただ、それがわかると1965年が約32%に対して、2019年は約39%と高くなっているので〇。なので7が正解です。

ここはやはり(オ)の正答率が低いのではないかと思います。

 

問題ごとの解説□6

ここでは、公民の政治分野と国際関連の知識を問うのがメインです。

(ア)について。問3同様に時代判別で一発です。Ⅰは「観阿弥・世阿弥」「能楽」とあるので室町時代、Ⅱは「歌舞伎」「近松門左衛門」とあるので江戸時代、Ⅲは「千利休」とあるので安土桃山時代でⅠ→Ⅲ→Ⅱで2が正解とわかります。

(イ)について。大意としては「1人の人物や1つの機関に権力が集中すると自由がない」とのことで三権分立とわかるので4が正解とわかる。

(ウ)について。公共の福祉による人権の制限の例として最も挙げられやすいのは経済活動の自由についてです。これは、一部の職業に資格が必要なことで職業選択自由が制限されたり、感染症による入院や隔離の措置で居住・移転の自由が制限されたり、地域の条例によって財産権が制限されたりします。なので今回は3が正解とわかります。他にも、他人への人権侵害やプライバシー侵害によって表現の自由が制限されたり、公務員が労働基本権の一部が制限されたりというのもあります。

(エ)について。ここでは選択肢のつくりから、「aとb」「cとd」「eとf」のそれぞれでどちらかが合っているので、明らかな誤りの選択肢を見つけることで消去法でも解けます。また表1では、議員数・解散の有無・被選挙権から議院Aが衆議院、議院Bが参議院とわかります。そのため、aが誤りでbが正しいとわかります。衆議院の任期は4年で、さらに4年経つ前に解散によって総選挙が行われる場合もあります。またcは比例代表制のことを言っているので、衆議院・参議院の両方で採用されてるのでcは正しいとわかります。dは「選挙権」は選挙に要評する権利、「被選挙権」が選挙に立候補する権利なので誤っているとわかります。表2では、「連立政権」は複数の政党が与党として協力して政権を担当すること、「法律案の再可決」が衆議院の3分の2以上の賛成によって可能であることを考えるとeが正しく、fが誤っているとわかります。なので答えは5です。

(オ)について。まず基本知識として「京都議定書(1997年)」は先進国に対して温室効果ガス排出量の削減目標を定めたもので、「パリ協定」はすべての国に対して温室効果ガス排出量の削減目標を定めたものであるということです。あとは、温室効果ガスの排出量について現在は中国が1位ですが、中国が世界1位になったのは2000年代なので、1997年当時の排出量1位はアメリカでした。ですので、答えは1です。

ここでは、正答率で言うと(ア)~(ウ)は高く、(エ)と(オ)が比較的低くなるでしょう。

 

問題ごとの解説□7

(ア)について。[ あ ]は温暖な水辺に見られる常緑広葉樹なので、マングローブとなります。バナナは熱帯地域で栽培され、世界の生産量ベスト3はインド、中国、フィリピンです。なつめやし は乾燥帯地域の植物です。ちなみに一般的にヤシの木とされるココヤシや、パーム油の原料であるアブラヤシは熱帯地域の植物なのでここは区別できるようにしましょう。またサンゴ礁に関しては、沖縄のような温暖な海辺にありますが、これは植物ではありません。また、[ い ]は沖縄が日本で最も台風が襲来する地域であるという知識からすぐわかるでしょう。なので答えは6です。

(イ)について。ここでは第二次世界大戦中の沖縄での様子について問われているので、沖縄では日本で唯一地上戦が行われたので2が正解です。1は、原爆が投下されたのは広島と長崎なので×。3は、終戦時に満州などにいた日本人の話なので×。4は、潜水艦が新兵器として用いられたのは第一次世界大戦のことです。

(ウ)について。線②の内容から、琉球王国が室町時代に行っていた中継貿易の内容とわかるので2が正解とわかります。ちなみに1は日明貿易が行われていたころの明のこと、3は1600年ごろのイギリスやオランダのこと、4の朱印船貿易は17世紀初頭~鎖国が行われるまで(江戸時代の確立期)です。

(エ)について。まず資料3は内容的に日米安全保障条約(1951年)であることをおさえます。それを踏まえてaとbを読むと、aが1945年以降の冷戦の話なので正しいとわかります。ちなみにbについては、領事裁判権の撤廃が日英通商航海条約(1894年)、関税自主権の回復が日米通商航海条約(1911年)です。次にcについて資料4を見ながらいくと、資料中で東アジアの国としては中国、日本、韓国の3カ国があり、その中では中国が最も防衛費が高いので×。dは、資料4から国内総生産額が最も低い国を求める問題です。割合の計算ですが、1つ1つ計算はせずに「防衛費が少なく、国内総生産額に対する割合が高い」国を考えます。そうするとサウジアラビアとわかるので×。またこういった感覚がない場合は、計算を必要とする選択肢はあとに回すというのも解く時間に余裕がない子にとっては有効です。eは、まず核保有国として国際連盟の安全保障理事会での常任理事国(アメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリス)を頭に浮かべます。その上で資料5では中心から500kmごとに円が描かれているので、一番外側が中心から2000kmとなります。そうなると明らかに中国の領土が入っているのでeは正しいとわかります。なので正解は3です。

 

まとめ

今年も地理は難易度が低いので、上位の子たちはほぼノーミスでいけてほしいですね。また、歴史は時代判別と年代暗記(本当に大事!)で取れる問題を確実にとることが大事です。フォルテ生でもこの部分が強い子が社会で崩れることはまずありませんでした(逆に入試直前でもこの辺が甘いとまず高得点は取れません)。このことは中2にも口酸っぱく言い続けています。

そして資料の読み取りは判別のポイントとなるキーワードや内容を正確に読み取って、知識と結び付けて解く必要があります。また資料を読み取る際には注目すべき部分に〇をつけたり、線を引いたりする工夫ができると良いですね。

また、地理と歴史の資料の読み取りは選択肢の文自体が長いので、英語や国語同様に文字数の多さに対する耐性が求められます。なので普段からこういった文字数の多い入試問題に触れておくのが良いと思います。理科に関しても同じようなことが言えます。

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

内容を定着させるための復習方法

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。 今回は、一度受けた授業の内容を定着させるための復習方法についてです。

 

高校時代に通っていた塾

本題に入る前に、私が高校生の時に通っていた塾について簡単にご紹介しようと思います。およそ20年前、私は高校2年生の2月ごろに兄の友人の紹介で「一色塾」という塾に入りました。当時は、私が通っていた金沢文庫校を含めていくつか校舎があったのですが、現在では藤沢校のみになっているようです。どちらかと言うとこじんまりした塾で、そういう空気感とかが個人的には好きでした。また、「担任制」を敷いていて進路などに迷ったときに相談できる先生が明確なのも良かったです。

そんな一色塾で受けた最初の日本史の授業は(良い意味で)とにかく衝撃的でした。そして、最初の授業が終わったときには「この先生について行けば、きっと大丈夫だ。」という不思議な感覚になりました。あれから約20年、何の因果か塾講師となった今では、初見の生徒にこのような感覚持たせることができるような授業をしたいと常々思っています。

ちなみに一色塾に入塾した当時の私は、第一志望合格には学力的に全く届いていない状況でした。実際に高校の進路相談でも「志望校をもっと低い大学に考え直せ。」としつこく言われていました。しかし、そこから大学受験まで約1年間、一色塾に通って、私は第一志望の大学・学部に合格することが出来ました。その大きな要因の1つが、最初の日本史の授業で教えてもらった復習方法を愚直に実践したことだと思います。ちなみに合格を報告した際に、日本史の先生とした握手の感覚はいまだに覚えています。それくらい

 

日本史の先生直伝の復習方法

さて、本題です。今回は私が高校生の時に通っていた塾の先生から伝授された、授業内容を定着させるための復習方法(小中学生向けに多少アレンジしています!)についてです。先に結論から言うと、「24時間以内に復習すること」と「十分な演習量をこなすこと」の2点です。

 

24時間以内に復習すること

まずは1点目「24時間以内に復習すること」についてですが、当然のことながら人間は過去のことについて、時間が経過するとどんどん忘れていきます。そこで、授業で扱った内容を24時間以内に復習してみましょう。ここでいう「復習」とは、そこまでたくさんの時間や労力をかけたものでなくてもよいです。例えば、授業中にとったノートやプリントを5~10分見返す程度でも良いです。ただし、そのときのコツとしては「授業中のことを思い出しながら復習すること」です。「この部分の説明をするときに先生が具体例として〇〇を挙げていたな」とか「この問題を解くために、先生が必要な知識を語呂合わせで教えてくれたな」といったことを思い出しながらノートやプリントを見直しましょう。こうすることで、より授業の内容を記憶しやすくなりますので、その分忘れにくくなります。

 

十分な演習量をこなすこと

次に2点目「十分な演習量をこなすこと」についてです。こちらもとても大切です。たとえ知識があっても、それを使いこなせなければ「成果」は出ません。この場合の「成果」は主にテストの点数や学校の成績を指していますが、これらの「成果」を得るための最も良い方法の一つが「演習量をこなすこと(=様々な問題を解くこと)」です。フォルテから出される宿題もその一つです。ですから、「宿題を期限通りにしっかりこなすこと」が最優先です。ちなみにここでの「期限通りに」という部分も非常に大事です。私の経験上、宿題をチェックする際に「すみません、まだ丸付けが終わっていません。」「すみません、まだ半分しか終わっていません。」などということが頻繁にある生徒で、学校の成績が良かったり、模擬試験で高い点数が取れたりする生徒はほぼいません。逆に言うと、学校の成績や模擬試験で良い成績や点数が取れる子はこう言った基本的なところを確実にこなしている子です。宿題は、「内容」「量」「やるタイミング」がすべて適切である場合に最大の効果が出ると思います。そして普段の宿題の「内容」と「量」は出す側が考えますので、皆さんは「やるタイミング」だけを意識しましょう。つまり、期限まで宿題をこなそうということです。

 

最後に

繰り返しになりますが、一度受けた授業の内容を定着させるための復習方法は「24時間以内に復習すること」と「十分な演習量をこなすこと」の2点です。

このように復習のやり方ひとつで、同じ授業を受けていても内容の定着度や実力向上には大きな差が生まれます。せっかく受けた授業に内容がそのまま忘れ去ってしまうのはもったいないので、出来る限り内容を定着させられるように意識して復習に力を入れましょう!

今回は以上です。ではまた。

 

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

3期生ストーリー①

こんにちは、フォルテの文系講師の上村です。

ここでは、3期生の一人ひとりにフォーカスして、我々から見た様子や印象に加え、本人の談話に基づいて志望校合格までの話を書いていきます。

 

今回紹介する女の子について

今回取り上げる3期生の子の印象を一言でいうと、「芯の強さを持ち、目標に向けてひたむきに頑張り続けた子」です。

私は大学生時代から大手塾で塾講師を始めて、もう15年ほどになります。これまでに教えてきた受験生(大手時代の自教室の生徒&フォルテ生)の数はざっくりと言うと500名くらいかなと思うのですが、その中で入試までの1年間の頑張りで言うと、間違いなく彼女はナンバーワンです。それくらい頑張っていました。

また、しっかりとした自分の考えを持っている子で、かといって意地っ張りというわけではなく、こちらからのアドバイスはいつも素直に受け入れる子でした。

 

志望校は県内最高峰の公立高校に決定

彼女が志望校を決めたのは、フォルテ入塾前の中2の1月のこと。

それまで特に行きたい高校がなかったのですが、同じ中学校に通う1学年上の先輩が受験勉強を必死に頑張っている姿に感化されて、自分も高い目標を持って頑張ろうという気持ちになりました。

そこで様々な高校のホームページを閲覧していく中で、彼女はある高校に一目ぼれします。それは、勉強はもちろんのこと、学校の行事や部活など高校生活のすべてに対して全力で頑張ることが校風の湘南高校でした。

ただし湘南高校は、神奈川県内では横浜翠嵐高校と並ぶ最高峰の公立高校です。この時点での彼女の学力からすると、湘南高校に合格するためにはかなりの学力アップが必要な状態でした。

 

中2の3月にフォルテに入塾

湘南高校を志望校にしたことで、流石にこのままでは合格することは難しいと考え、目ぼしい塾を探し始めました。湘南高校に多くの合格者を輩出している大手塾を含めて、様々な塾を検討しました。しかし、彼女の中で「塾」に対して元々良い印象がなかったようで、実際に見学した大手塾の授業(恐らく「the 塾」な雰囲気だったのでしょう。)が気に入らず、そこは体験すらしなかったとのことです。

そこで検討する塾を個人塾にシフトします。そんな中、縁あってフォルテのことをお母さんに知っていただき、フォルテの方針や指導形態などに大いに賛同していただいて、お問い合わせ→入塾となりました。

彼女は他の学校の子たちともすぐに打ち解けていき、フォルテのことを気に入ってくれたようでした。そんな入塾して数カ月たった6月ごろ、彼女のお母さんから頂いたLINEの内容が今でも私の中で印象に残っています。それは「フォルテに通わせてくれてありがとう!フォルテを見つけてくれてありがとう!」と娘から言われたという内容でした。

こう言ってもらえるのは、塾講師冥利に尽きますし、本当に嬉しかったです。

 

志望校への一途な思い

5月から受け始めた全県模試でも、偏差値こそ70を超える回もありましたが、それでも良い合格判定はなかなか出ませんでした。さらに、彼女は部活で部長を務めており、その部活が県大会まで出場したことで引退時期が8月前半にまで延びました。これは受験勉強に本腰を入れる上で少し苦労したところでもありました。

その影響もあってか、8月の模試が散々な結果となってしまい、そこから彼女は目の色を変えて勉強し始めます。元々、一般の中3生の水準からすると頑張ってはいましたが、彼女の目標はあくまで県内最高峰の公立高校。これがきっかけで、その高い目標に見合う努力をし始めたといっても良いかもしれません。

そして、10月には説明会で初めて湘南高校を訪れました。そこでは彼女の目に映るものすべてがキラキラと輝いて見え、「自分が通いたい高校はここしかない!」と強く思いました。一緒に説明会に訪れていた、お母さんもそのときの彼女の様子はとても印象的だったと、後におっしゃっていました。

そんなモチベーションがMAXに上がった中で受けた10月の模試で、やっと湘南高校の合格判定がA判定になりました。さらに、そこからは12月・1月とA判定を続けることができました。

そして、だんだんと入試が近づいてきたころのある日、彼女の志望校への強い思いを感じて個人的にグッと来る出来事がありました。その日は模試実施日で、5教科の模試実施後も彼女を含む何人かの中3生がその日の模試の解き直しをするために教室に残っていました。そこでの休憩時間中に、何気ない雑談の流れで彼女に対して私が「〇〇さんは、スマホの待ち受けとかってどういう画像なの?」と何気なく尋ねました。

すると、彼女は「え?見ますか?」と少しはにかみながらスマホのロック画面を見せてくれました。そこに映っていたのは、彼女の志望校である湘南高校の写真でした。彼女はスマホのロック画面を湘南高校の写真にすることで、モチベーションを高く保っていたのでした。

そのときに私は、彼女の志望校への並々ならぬ強い思いを再確認し、またそれまでひたむきに頑張ってきて彼女の姿が一瞬にしてフラッシュバックしてきて、勝手に胸を熱くしていました。そして、心から「この子を湘南高校に合格させてあげたい。」と思いました。

 

彼女の凄さ、継続力

彼女の凄さや頑張りを語るうえで、「継続力」は外せません。こちらの記事でも紹介したように、3期生は「毎日課題」を始めて学年全体としてルーティン化しました。そして、学校の行事などの関係でどうしても出来なかった時を除いて、彼女は必ずこれらの課題をこなしていました。これは、シンプルでありながら、なかなかできることではありません。

秋以降はさらにルーティンとしての勉強量が増えました。

英語では毎日他県の入試問題の長文をやるほか、リスニング問題も神奈川県の過去問だけでも15年分以上、それに加えて他県の入試問題のものもコツコツと進めました。

国語では苦手としていた古文の問題を必ず毎日1題ずつやっていき、漢字も読み書きの課題も毎日やりました。

理社では、全国入試問題正解(旺文社)を用いて、昨年度のすべての都道府県の入試問題を解き終えており、その過程で確実にレベルアップするのを彼女自身も実感できている様子があり、実際に入試直前の時期になると、解き終わった入試問題の自己採点の結果はどれも確実に9割を超えていました。社会に関しては、昨年度の全県に加えて、フォルテの本棚にある昨年度以前の問題もいくつかの都道府県をこちらでピックアップして、解くように指示しました。

 

入試当日、涙の自己採点会

そして、入試当日。

フォルテでは、入試後の夕方に来てもらって自己採点や面接練習を行います。そこで彼女も他のみんなと同じように自己採点をしに来てもらいました。

年明け以降、様々な入試形式の問題を解く中で、彼女は英語・国語・理科・社会ではどれも点数が9割以上で安定していました。一方で、数学と特色検査には点数に波があり、その点が彼女の不安材料でした。

実際に学力検査を解いていて彼女が感じたのは、「英語は緊張していてふわふわした気分で解いていた」「国語はいつも通りできた」「数学がとにかくヤバイ」「理社が易しく感じて悲しかった」ということでした。

また、コロナ禍でマスク着用ということで、マスクの中が湿気で不快指数が高くなるということもあったようです。しかし、そこは替えのマスクを使用することで乗り切れたとのことです(フォルテでは、入試前日に全中3生に予備のマスクを配布していました!)。

そして自己採点をしてみると、数学以外の教科に関してはほぼ実力通りの点数(4教科で360点以上)がしっかりとれていましたが、数学に関しては事前の不安が的中してしまい、思った以上に低い点数でした。そんな自己採点後に彼女が記入した感想が↓です。

他の子たちの点数も明らかになる中で、彼女は自分の数学の点数が目標としている高校のレベルの割にかなり低い結果であるということを否が応でも自覚し始めます。

こちらも彼女の様子や自己採点の結果を見て、翌日の特色検査に向けた勉強に切り替えるように促しましたが、彼女は段々と込み上げてくる悔しさのあまり、ついに泣き出してしまいました。普段、人前であまり感情をむき出しするタイプではない彼女が人目もはばからず泣きじゃくる姿を見ていると、本当に胸を締め付けられる思いになるのと同時に、彼女にスパッと気持ちを切り替えさせることができる魔法のような言葉をかけられない自分の無力さを痛感しました。それでも彼女は少し経って落ち着いてからは、特色検査に向けての勉強を黙々としていました。

後に聞いた話では、帰宅後に再び落ち込む彼女に対して、お母さんが「しっかりと切り替えなさい!」と強く言ってくれたとのことです。彼女とお母さんは、普段からたくさん会話をしている仲良しなのですが、入試前になると毎日のように夜食を作ってくれたり、遅くまで勉強する自分に合わせるように遅くまで起きていてくれたりしたことが、彼女にとって大きな支えになっていました。

そして、翌日の特色検査後にフォルテに来た時には、すべて出来ることはやり切ったようで、その時の彼女の清々しい表情はとても印象的でした

 

発表日、そして後輩へのアドバイス

そして、合格発表日。

今年も神奈川の公立高校の合格発表は朝9時からWebで確認する形でした。そこで、発表開始直後の9時1分、3期生の中で一番最初に報告をくれたのが彼女でした。

 

面接終了後からの2週間弱、個人的にずっと合否を心配してきた子の一人でしたので、この報告を受けたときは本当に嬉しかったです。その後、高校に書類を取りに行き、中学校に報告をした後にフォルテにも来てもらい、喜びを分かち合いました。

ちなみに開示点を見たところ、数学は自己採点よりも10点近く高い点数でした。ただ一方で、特色検査は思った以上に点数が取れておらず、かなりギリギリでの合格だったと思います。これも彼女の湘南高校への強い思いや執念が紙一重で合格を手繰り寄せたのだと思います。

そして、そこから約1週間後。中2の授業日に来てもらって、今回の入試の体験談や後輩へのアドバイスをしてもらいました。そこでは、本気でやり切った彼女だからこそ語ることができる内容ばかりで、説得力抜群でした。また、内容自体も素晴らしかったのですが、彼女の言葉には力強さがありました。その力強い言葉は彼女の持つ芯の強さの表れで、その芯の強さこそ合格を勝ち取れた大きな要因だったと私は思うのです。後輩たちには是非、彼女の金言やそこから感じた芯の強さを糧にして受験勉強に励んでほしいと思います。

 

最後に

彼女と過ごしたのは、期間としてはほんの1年間だったのですが、そうは思えないくらい濃い時間だったように感じます。現にこの1年間で、彼女がフォルテで勉強していた時間は、間違いなく他の誰よりも長いでしょう。それこそ授業がある日もない日も毎日のようにフォルテに来て、机に向かっていました。

入試前には家で「フォルテはとても居心地が良いから、学校よりも家よりもフォルテにいたい」と言ってくれていたそうで、さらに合格後にお母さんから聞いた話によると、家では「上村先生と佐々木先生に合格を見せたい」と事あるごとに言ってくれていたそうです(感涙!)。

先にも述べた通り、私は彼女ほどひたむきに頑張った生徒を知りません彼女から伝わってきた「志望校への一途な思い」「執念」は本当に素晴らしかったですし、それが最終的に志望校合格という形で報われたのは本当に嬉しかったです。合格発表時のことを思い出すと、今でも心が熱くなります。逆に、入試前には毎日見ていた彼女が机に向かう後ろ姿が、ここ最近は見られないことには多少寂しさを感じるくらいです笑。

3期生はみんなが一生懸命頑張る最高の学年でした。そして、その中心には彼女がいました。他の3期生の子たちも、模試で常に塾内のトップを走る彼女がさらなる高みを目指して必死に頑張る姿に強い刺激を受けていたに違いありません。それが相乗効果となり、3期生には互いに切磋琢磨し合う良い学習環境が間違いなく出来ていました

また生徒だけでなく、我々講師も彼女の頑張りから大いに刺激を受けていました。彼女の頑張りの度合いは、常に我々の見積もり以上でした。ですから、我々も彼女のような生徒に対して、最高の指導をするために常に自己研鑽や教材作成に励みました。つまり、彼女との日々によって我々講師も次のレベルに行くことができたと思います。

改めて、彼女のような素晴らしい生徒に出会えたことは私にとってはかけがえのない財産です。1年間、フォルテに通ってくれてありがとう、そして憧れだった湘南高校で最高の3年間を過ごしてください!

※↓は彼女の入試後に差し入れとしてくれたものです。こういう気遣いができる部分も最高です。

 

追記(2022年3月22日)

本日、彼女とお母さんが改めてご挨拶に来てくれました。先日の伸学工房さんの入試報告会での合否データに関する話から始まり、フォルテ入塾前のことや、志望校決定までの詳しい流れなど、気が付いたら1時間半くらい時間が経っていました。

お話を聞いている中で、改めて彼女の芯の強さというか、ブレなさを感じましたし、何よりやっぱり彼女のような子は湘南高校にピッタリだと思いました。お土産や手紙までいただき、本当にありがたいです。

また、保護者の方が県外出身ということもあり、神奈川の入試制度についてや塾選びについてなど、保護者視点での話はとても参考になり、自塾の強みやその打ち出し方を再考する良いきっかけにもなりました。

 

追記(2022年4月6日)

本日、彼女が入学式の写真を送ってきてくれました!こういった報告は本当に嬉しいです。

 

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

2022年度の入試を終えて~3期生の奮闘の結果~

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

一昨日の火曜日が神奈川県の公立高校入試の合格発表でした。ということで、今年の中3生について、私自身が感じたことを個人の反省や備忘録も兼ねて記しておきます。

 

3期生合格実績

以下が今年の中3生の合格実績です。

今年は公立合格者10名のうち、4名が公立トップ校に合格、2名が準トップ校に合格などをはじめとして、素晴らしい結果を残してくれました。

今年の中3生(3期生)の特徴は、何といっても今までのどの学年よりも「全員が頑張る学年」ということでした。その中で最も象徴的な存在が湘南高校と横浜緑ケ丘高校に合格した二人だと思います。

中3が5月以降にほぼ毎月、神奈川全県模試を受けるのですが、フォルテではそのたびに塾内ランキングを掲示します。そこでは、常にこの二人が5教科総合のトップを争っていました。それぞれ志望校が違うので、目標とする偏差値や点数は違いますが、お互いの存在が頑張るモチベーションや励みになっていたのは間違いないと思います。そして、この二人は何といっても勉強量が圧倒的に多かったです(まぁ、だからこそ模試でもしっかり点数が取れるのですが…)。その姿は他の中3生に大いに刺激を与えてくれました。「あの二人がこれだけやってるんだから、私(俺)ももっと頑張らなきゃ!」という雰囲気がこの学年には確実にありました。

その結果、中3生全体で大きく実力が伸びました。各生徒が入塾後初めて受けた模擬試験(中1~中2で入塾した子は育伸模試)から最後の全県模試1月号にかけての5教科総合偏差値の平均UP数は11.7でした。昨年の中3生(2期生)が9.5(これでも十分凄いのですが…。)でしたから、如何に3期生が頑張った学年かがわかります。最終的には塾内平均偏差値が60を超えるまでになりました。さらに中3の12月内申の塾内平均(9教科)が39.7でした。

 

たった1名から始まった3期生

2019年3月26日のフォルテ開校時、当時中1だった3期生は1名しかいませんでした。そして、そこから少し経って2人目が入塾し、半年くらいは2名のみでした。

それが秋以降に入塾が続き、中2に上がる段階では5名になりました。その当時の学年全体での模試偏差値は50前後でした。ただ、この初期メンバー全員が公立高校に合格したというのは感慨深かったです。

そして、中2になってから立て続けに「頑張れる子」の入塾が続き、中3になる頃に最終的な3期生メンバーがほぼ全員そろい、そこから1年間を通して苦楽を共にしながら学ぶことで戦う集団になりました。

 

毎日課題のルーティン化

3期生は、2期生の一部の生徒導入していた文系の「毎日〇〇」という課題を学年全体に導入した初めての学年でもありました

具体的には「毎日英語」と「毎日社会」がメインで、毎日英語(詳しくはこちらの記事)は4月から、毎日社会(詳しくはこちらの記事)は7月から始めていきました。合格発表当日に行ったアンケートやインタビューでも受験勉強の中で、「毎日英語」や「毎日社会」とそれに伴う口頭での年代暗記テストや類題のフィードバックが非常に役立ったという声が多かったです

実際に英語と社会の全県模試での塾内平均もコンスタントに偏差値60を超えるくらいに高くなりました。特に社会は最初の全県模試の偏差値は50そこそこでしたので、短期間で大幅な伸びを達成できました

ただ、3期生の中でもこの毎日課題のクオリティに差がありました。毎回欠かさずにやってきて通塾してすぐに提出するという子が多い中で、一部で課題を家に忘れてくる子やこちらから声をかけないと提出しに来ない子もいました。模試や入試での点数を見ると、(当然と言えば当然なのですが)前者と後者の子の安定感や伸びは大きく違いました。後者の子への対応が私自身の今後の課題と思っています。

 

理社の復習を競い合った

すでにこちらの記事でも書いたように、3期生は7月から中1・2の理社の復習を課し、それを競い合いました。結果として、この夏の時期に理社を頑張れる子は、秋以降に理社が大きく伸びました。一方、この復習をあまり頑張れない子(=課題の進み具合が遅い子)は最後まで理社で苦しみました。

この結果は本当に顕著で、現在の中1・2の子たちにも口酸っぱく言い続けたいと思います。

また、特に偏差値の高い高校を目指す場合は、秋以降に他県の入試問題をガンガン解くのは本当に効果的だというのも再確認できました。ただし、これは基礎内容が頭に入っている状態でやって初めて効果があると思うので、その状態までいかに早く持っていけるかが理社の勝負だと思います。

 

3期生の残したもの

3期生は授業のない日に自習に来る生徒も多かったです。また、入試前の授業日には毎回口頭での年代暗記テストを受けている中3生の姿を同じ曜日に授業のある中1や中2もよく見ていたことでしょう。このように、中2以下の学年の子たちも必死に頑張る3期生の姿をよく目にしていました。そして、私たちも積極的に「これが君たちの来年(再来年)の姿だからね。」という言葉を彼ら・彼女らにかけていました

また、合格発表当日の夜からは、3期生が発表直後に答えてくれたアンケートも配布しました。ここでは、「『合格』の文字を見たときの率直な気持ち」、「受験勉強でこれはやっておいて本当に良かったこと」「フォルテとはどんな場所か」などについて答えてくれていて、配布時には多くの子が目を輝かせながら読んでいました。

特に中2の子たちは入試までもう1年を切っています。先輩たちの姿や言葉から何を感じ、これからの1年をどう過ごすのか。受験生としての彼らのこれからの頑張りに期待しています。

昨年のこの記事でも、2期生の取り組みや雰囲気が後輩たちにきっと良い影響を与えるだろう、という旨を書きましたが、実際にその通りになりました。

 

最後に

今回、3期生の頑張りについて書いてきましたが、3期生の中には悔しい思いをした子もいます。フォルテでは、受験指導の方針として、現状を踏まえたプロとしてのアドバイスは十分しますが、最終的な志望校の決定は生徒・保護者の方の考えや決断を最大限に尊重します。そうなると、中にはある程度のリスクを承知の上でのチャレンジ受験もあり、倍率や本番での出来によっては不合格になってしまう場合もあります。

ただ、これは綺麗事や負け惜しみ抜きに、高校受験は合否がすべてではないと思います。極端な例を出すと、「必死に頑張った上で、ギリギリでの不合格」と「大して努力しなかったけど、低倍率や運による合格」では、前者の方が本人にとって良い経験と言えるかもしれません。ですから、不合格になってしまったからって、自分を責めたり卑下したりする必要は全くありません結果よりもその過程で自分の精一杯を出し尽くすことができたかが大切です。もし、精一杯やった上での結果であるならば、結果に関係なくやりきった自分を褒めてあげてください

人生の中では様々な局面でいくつもの勝負の時があると思いますが、それらにすべて勝つことは難しいです。でも、結果に関係なくその時々の経験を今後に生かすことは誰にでもできます。高校受験の結果は長い人生の中で考えると、そこまで重要なものではないかもしれません。もちろん、今は辛い気持ちや悔しい気持ちでいっぱいでしょう。それでも、君が前向きに歩き始めるときは必ず来ます。

3期生11名。間違いなく最高の学年でした。3期生のこれからに幸あれ!

今回は以上です。3月中に3期生個人にフォーカスした記事を2つアップする予定です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

問題演習で意識すべき2つのこと

こんにちは、フォルテの文系担当の上村です。

今回は、問題演習の進め方についてです。この問題演習、効果や成果のあるものにするためには、「やる内容」「やるタイミング」「やる量」「やり方」が重要だと思うのですが、今回はその中の「やり方」について触れていきます。

 

問題演習の2つのパターン

問題演習に関しては、目的に応じてざっくり分けると2つのパターンがあると思います。1つ目は、学校のワークや一般の問題集を用いて単元や分野ごとの力をつけるために問題演習を行うパターン。2つ目は、受験生が行う過去問などを用いた総合的な力を試したり、付けたりするために問題演習を行うパターン。

そして今回お伝えするのは、前者のような目的の問題演習を進める際に意識すべき2つのことについてです。

 

問題演習の目的とは

そもそも問題演習は何のために行うのか?問題演習の最も大きな目的は、該当単元の授業を受けたり、教科書を読んだりしてインプットした内容を、問題演習というアウトプットを通して、「学習内容を定着させること」「自分の不足していた知識を補うこと」です。

一般的には、インプットとアウトプットの理想的な割合は、「インプット3:アウトプット7」と言われています。もちろん、十分な知識のインプットなしに闇雲にアウトプットばかりやっていても効果はありません。ただし、勉強時間の割に成績が伴っていない子の多くが、インプットの時間ばかりが多くなってしまっていて、アウトプットの時間が少なすぎるのではないでしょうか。具体的には、テスト前にノートや教科書を眺める時間が大半で、それを確認するための問題演習の時間・量が圧倒的に足りていないのではないかと思います。

ということで、問題演習はある程度の量をしっかりこなすことが必要です。それを大前提として、その問題演習をより効果的なものにするための進め方を紹介します。

 

意識すべきこと①「小まめに丸付けをする」

まずは丸つけについて。ここでの鉄則は「小まめに丸付けをすること」です。具体的には見開き1ページごと(教科によっては見開きの半ページごと)に丸付けをして、そのページで身につけるべき内容を確認しましょう。

このように小まめに丸付けをすることで、解いたときの感覚を忘れないうちに答えや解き方を確認ができ、その分だけ自分に足りなかったことが実感しやすくなります。これが解いてから長い時間が経ったあとでは、「あれ、これどんな問題だっけ?そして、自分はどう解いたんだっけ?」という確認からしなければならないので、無駄に時間がかかってしまい、非常に効率が悪いです。

また、このように小まめに丸付けをして確認することで、あとのページで同様の知識や解き方が問われる問題が出てきたときに解くことができるようになっています。そのため、自分自身の成長も長も感じやすいです。

 

意識すべきこと②「時間やスピードを意識して解く」

最近、指導要領の改訂によって難化した教科書の影響か、各中学校の定期テストで問題量が多く、なおかつ難易度が高い問題が増えているように感じます。フォルテの近隣の中学校でも、学年平均が100点中で50点前後なんていうことも少なくないです。

そんな中でよくあるのが、「問題が多すぎて時間が足りなかった。」というパターンです。これは模擬試験や入試でも十分起こりうることですし、試験によっては問題の後半の方に実は易しい問題があることも少ないので、そういった問題を解きそびれてしまったという点では非常にもったいないです。こういった事態に陥らないためには、普段から色々と工夫や意識をすることがありますが、まずは「時間や解くスピードを意識すること」が出発点です。

具体的には「ページごとや大問ごとに時間を計って解く」ようにしましょう。そして、

特にこちらの記事でも触れていますが、神奈川県の入試問題は、どの教科も文章が長いため、急いで解くという意識は絶対に必要です。

 

問題演習のダメな進め方

今までたくさんの子どもたちを見てきた中で、効果や成果がほとんど期待できなく、なおかつ中堅下位の学力層の子がやりがちな、「問題演習のダメ進め方」は、上記とは真逆に「ページごとに丸付けをせず、また時間も気にせずにダラダラと解き進めていく」という方法です。

これは「問題を解くこと自体」が目的となってしまっていて、本来の目的である「学習内容を定着させること」「自分の不足していた知識を補うこと」とは程遠いやり方です。ただ、このやり方をやってしまっている子、実はかなり多いです。特にその教科を苦手としている子によく見られます。そして恥ずかしながら、フォルテにもこういう子は(数は少ないですが)実際にいます。塾内で学校のワークの進捗状況を確認しようとしたときに、「あっ、丸付けし忘れていました。」といった具合です。

模擬試験や定期テストで安定して高得点を取るような子には、こういった問題演習の進め方をしている子はほぼいません

 

まとめ

問題演習を進める際には、その本来の目的を常に意識しましょう。それは繰り返しになりますが、問題演習というアウトプットを通して、「学習内容を定着させること」「自分の不足していた知識を補うこと」です。

これを念頭に置いて取り組めば、上記で紹介したようなダメな進め方は絶対にしません。どうせ同じ内容をやるのなら、やり方や意識次第でより効果や成果の出るようにやりましょう。

またこの他、学校で定期テストの際に提出がある教科ごとのワークに関しては、テスト前に慌ててやるのではなく、普段の授業と並行して計画的に進めていき、テスト前に2週目、3週目と解くことを意識しましょう。

今回はここまでです。ではまた!

 

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業