令和6年度(2024年度)の神奈川県公立高校選考基準について

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、現中3生からの公立高校の入試制度の変更に関する話です。

 

全校一律での面接廃止

神奈川県の公立高校入試では、およそ10年前から公立高校全校で面接試験を導入してきました。そこで、各高校では、その高校のカラーに合わせて選考対象となる入試での1000点分を【内申(中2学年末と中3後期)と学力検査(英数国理社の入試)と面接】の3つの項目にそれぞれ振り分けて選考を行ってきました

例えば、学力重視の高校であれば【内申2(200点分):学力6(600点分):面接2(200点分)】や【内申3(300点分):学力5(500点分):面接2(200点分)】、バランスを重視する高校であれば【内申4(400点分):学力4(400点分):面接2(200点分)】、内申を重視する高校であれば【内申5(500点分):学力3(300点分):面接2(200点分)】といった具合です。

これに加えて、一部の高校では特色検査と呼ばれるテストがあり、それを100~200点分で選考に使用してきました。特色検査は、主に上位校が実施する「自己表現検査」と、スポーツや美術の専門学科が実施する「実技検査」です。ちなみに「自己表現検査」というと、自己PRの作文などをイメージするかもしれませんが、ほとんどの学校で採用されているものはざっくりと言うとかなり難易度の高い学力検査のことを指します。

例えば、フォルテの近隣の高校では、横浜緑ケ丘高校だと【内申3(300点分):学力5(500点分):面接2(200点分):特色2(200点分)】、光陵高校だと【内申3(300点分):学力5(500点分):面接2(200点分):特色1(100点分)】という具合です。

ただし、最近では多くの高校で面接試験による点数の差があまり付かず、面接試験自体が形骸化したものになっていました。特に偏差値55を超えるような上位校ではそれが顕著でした(例外は川和高校くらい?)。

そして、令和6年度入試(現中3生の入試)からは、全校一律での面接実施はなくなり、実施を希望する高校のみが特色検査として継続して実施できるようになりました。先日発表された各高校の選考基準によると、来年度入試で近隣の高校で面接を実施する高校は以下です。

舞岡高校、上矢部高校、横浜商業[国際]

これらの高校を受験する子は、しっかりとした面接対策が必要でしょう。

 

内申と学力(と特色検査)のそれぞれの比率

そして先日、神奈川県の教育員会から令和6年度入試における、各高校の選考基準が発表されました。主な高校と近隣の高校の一覧は以下です。

※各高校は、以下の基準で定員の9割を選考します(これを1次選考と言います)。

【内申3(300点分):学力7(700点分)】

横浜翠嵐【特色3(300点分)】
柏陽【特色2(200点分)】
横須賀【特色1(100点分)】
神奈川総合(個性)
市立金沢
市立桜丘

→この場合、内申1ポイントは学力検査の1.59点分に相当します。

 

【内申4(400点分):学力6(600点分)】

湘南【特色2(200点分)】
横浜緑ケ丘【特色2(200点分)】
希望ヶ丘【特色1(100点分)】
神奈川総合[国際]【特色2(200点分)】
横浜国際【特色1(100点分)】
追浜
横須賀大津
横浜栄
横浜氷取沢
横浜清陵
横浜商業[スポーツ]【特色3(300点分)】
市立南

→この場合、内申1ポイントは学力検査の2.47点分に相当します。

 

【内申5(500点分):学力5(500点分)】

光陵【特色1(100点分)】
横浜平沼【特色1(100点分)】
戸塚
港北
みなと総合
岸根
横浜商業[商業]
横浜商業[国際]【面接2(200点分)】
舞岡【面接3(300点分)】
横浜立野
横浜南陵
横須賀総合
金沢総合

→この場合、内申1ポイントは学力検査の3.7点分に相当します。

ここで注目なのは、同じくらいの偏差値帯の高校でも、選考基準の比率が大きく異なっていることです。例えば、横須賀高校と光陵高校はどちらも偏差値が65前後(伸学工房のデータより)でともに特色検査を実施している高校ですが、上記の通り横須賀高校は【内申3:学力7:特色1】で、光陵高校は【内申5:学力5:特色1】と比率が全く異なります。

受験生が自分の受ける高校を決めるポイントとしては、各高校を見学したときの印象や高校でやりたいこと(勉強や部活動などなど)や制服などが真っ先に思い浮かぶでしょう。しかし、実際の合否を考えると、今回ご紹介したような各高校の選考基準も無視できません。

上述の横須賀高校と光陵高校であれば、(高いレベルの中で)内申点にはそこまで自信がないけど入試の点数には自信があるようなタイプの子は横須賀高校、逆に内申点には自信があるけど入試の点数にはそこまで自信がないようなタイプの子は光陵高校をそれぞれ受けた方が、自分の長所を生かすことができるため、その分合格する確率が上がるでしょう。

このように各高校の選考基準は、受験校選びの1つとして参考にしてほしい大切な要素の1つなのです。

ちなみに伸学工房が主催している神奈川全県模試では、次回の7月模試からこの新しい比率に合わせて合格判定を出すとのことです(仕事がはやい!!)。

こちらが県の教育委員会から発表された内容です。

 

2次選考での「主体的に学習に取り組む態度」の採用

全校一律での面接廃止と同じくらい大きなインパクトのある入試制度の変更点は、各高校が定員の1割分を選考する2次選考についての部分です。

今までこの2次選考では、1次選考での合格者の9割分の選考を行った後に、残りの受験者の点数について内申点を除いた「学力検査の点数」「面接の点数」(加えて、実施校では「特色検査の点数」)のみで順位をつけ直し、そこから定員の1割分の合格者を決めていました。実際に大手模試業者から提供される受験者の合否データを見ても、他の合格者に比べて明らかに内申が低いのに合格できている子がいます。これは恐らくこの2次選考での合格者と思われます(合格通知の際に1次選考での合格なのか、2次選考での合格なのかは伝えられないので、あくまで推測ですが)。つまり、どんなに内申が低い子でも、本番の入試で高い点数を取れば、いわゆる「逆転合格」が可能だったわけです。

それが、令和6年度入試(現中3生の入試)からは従来の「学力検査の点数」「面接の点数」(加えて、実施校では「特色検査の点数」)に加えて、中3の調査書(=内申)の各教科の「主体的に学習に取り組む態度」という観点も選考対象となります。この観点が、A○またはAであれば3点、Bであれば2点、C○またはCでれば1点となります。これが9教科分なので27点満点となり、それが高校ごとに200点分~700点分に換算されます(各高校の2次選考の選考順についても、詳しくはこちらをご覧ください)。

そうなると、この観点の評価が1点違うだけで、天と地ほどの差が生まれてしまいます。例えばこの「主体的に学習に取り組む態度」を200点分に設定している高校(この設定の高校が最も多いです!)の場合、9教科すべてがA○またはAの子は200点満点となり、一方で9教科中8教科がA○またはAで、残りの1教科がBの子は192.59点となります。このように1教科分の評価が1つ違うだけで、実際には7点分以上の差になってしまいます。高校入試での合否のボーダーラインは、倍率が高い高校であれば小数点以下での戦いにもなりますから、いかに「主体的に学習に取り組む態度」が合否に及ぼす影響が大きいかがお分かりいただけるかと思います。

ですから、結論としてはどんなに苦手教科であっても「主体的に学習に取り組む態度」については必ずA○またはAを絶対に取るという意識が大切になります。そのためには、「授業中に積極的に手を挙げたり、発言したりしてアピールする」「提出物をただ出すだけでなく、高い評価が得られるように出すこと」「小テストや単元テストでしっかりと点数を取る」などを実践していく必要があります。特に上位校を目指す場合は、ライバルの多くが内申の高い子たちでしょうから、9教科の「主体的に学習に取り組む態度」はすべてA○またはAで普通くらいのレベルでしょう。日々の積み重ねが大切ですよ!

今回は以上です。それではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

令和6年度の公立高校入試日程が発表されました。

こんばんは、フォルテの文系担当の上村です。今回は令和6年度公立高校入試(現中3生の入試)の日程が発表されましたので、それらに関する情報です。

 

入試日程

先日、神奈川県の教育委員会より令和6年度(2024年度)の公立高校入試日程が発表されました。中3生および保護者の方は日程の把握をお願いします。

日程自体は概ねほぼ例年通りと言えます。

教育委員会のホームページはこちら

 

インターネット出願を導入

今年度の大きな変更点としてはインターネット出願が基本となるようです。神奈川県の公立高校入試の場合、元々は受験生が直接高校に願書を提出しに行くスタイルでした。それがコロナ禍になり、昨年までは受験生は中学校に一度願書を提出し、中学校から一括で各高校に願書を郵送する形でした。この場合、中学校側の事務処理の時間があるため、実質の願書提出は期限よりもかなり早い段階でしなければなりませんでした。しかし、今回のインターネット出願によって昨年度以前よりは願書の提出に余裕はもてそうです。

ただし、すでにインターネット出願が一般的になっている大学受験や中学受験では、期限ギリギリに出願しようとしたら、ネット環境やサーバーの問題でなかなか思い通りに進まず、出願が出来なかったという話もあるようです。ですから、多少は期限に対して余裕を持って出願できると良いですね。さらに、インターネット出願ができることで、入試当日に初めて受験校に行くという子も稀にいるかもしれません。その場合、アクセスや交通機関の事前確認をしっかりしておきたいですね(できれば事前に高校まで行っておきましょう)。

 

詳しい要項は7月に発表

志願変更に関してもインターネット上で出来るのかと言うのを神奈川県の教育委員会に問い合わせたところ、そういった細かい部分は7月中に発表されるとのことでした。続報が届き次第、追記していきます。

 

全公立展の開催予定

2020~2022年までコロナ禍で中止となっていた、神奈川全公立展が6月17日(土)に開催予定とのことです。前回2019年開催時には38,000人もの人々が参加しました。人数の面でどういった規制が入るかわかりませんが、以前の開催時には特に午前中は入場まで大混雑していましたので、午後がねらい目かもしれません。また、時期的に学校の定期テストが違い学校もいくつかありますので、そこはちょっと気になるところです。

今回は以上です。今後、情報が入り次第共有いたします。

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

2023年度神奈川公立入試「社会」全問解説

こんにちは、文系担当の上村です。

今回は、先日行われた2023年度(令和5年度)の神奈川県入試「社会」を全問解説します。

問題全体の形式と難易度

まず全体としては大問7つの計33問の構成で、昨年同様すべて記号選択形式でした。ただし、複数の空所の穴埋めが完答で初めて得点になるものが多いため、33問のうち選択肢が8つある問題が7問、6つある問題が7問となっています。ですので、他県の一般的な入試問題に比べると選択問題でありながら、問題によっては正答率がとても低くなるものもあるでしょう。

ちなみにほぼ同様の形式で出題された昨年では、最も正答率が低い問題が歴史の□4の(ウ)で、39.2%でしたが、今年はそれ以上に正答率が低い問題もありそうです。

実際にフォルテの生徒の自己採点の様子を見ていると、昨年度の合格者平均が62.4点に対して5点近く下がって57~58点くらいになるのではないかと思います。

問題はコチラでダウンロードできます。(カナロコさんのページ)

 

問題ごとの解説□1

(ア)について。農作物の生産量ランキングに関する問題です。まずオリーブといえば、ヨーロッパの地中海式農業を頭に浮かべて、ヨーロッパの地中海沿岸のスペインやイタリアがランクインしているYを選びます。次にとうもろこしは、世界一の生産量を誇るのがアメリカというのは覚えておくべき知識ですが、万が一それがわからなければブラジルでのバイオ燃料(バイオエタノール)で さとうきび や とうもろこし が原料として用いられているという知識をヒントにしてXを選びます。また綿花に関しては栽培が盛んな具体的な場所として1位のインドのデカン高原は覚えておくべきで、2位の中国の印象はなかったかもしれませんが、3位のアメリカは南東部でかつて黒人の奴隷による綿花栽培がさかんであったという歴史的な背景も含めて覚えておいてほしいレベルのものなので、そう考えるとZを選べます。なので正解3です。

(イ)について。この手の問題はまず地図中に「赤道」「本初子午線」「日付変更線」を確実に書き込めるようにしましょう。また、問題文に緯線や経線が何度ごとに引かれているのかが書かれているので、そこも正確に把握しましょう。すると、Pの線は赤道から2本分南にあり、今回緯線は45度ごとに引かれているから南緯90度とわかります。また、Qが日付変更線で、日付変更線を東から西にまたいでいるので日付を遅らせます(1日戻します)。なので正解は6です。

(ウ)について。ここはAの国がニュージーランドなので、その先住民であるマオリを選びます。また、以下は覚えておきましょう。なので正解は5です。

(エ)について。Bの国はブラジルです。南アメリカ州はブラジルだけが元々ポルトガルの植民地だったのでポルトガル語を公用語としており、その他の国々は元々スペインの植民地だったのでスペイン語を公用語としています。このようにスペインやポルトガルが世界の中心だったのは大航海時代(15世紀~16世紀=日本の室町時代後半~安土桃山時代)の話です。なので正解は1です。

(オ)について。まずは設問の「適切でないもの」を選ぶというのに注意。あとは、この手の読み取り問題では注目すべき部分が「量や金額自体の数字」なのか「割合」なのかを正確に判断することが必要です。4が正解ですが、これは「工業製品」がどの品目を指すのかを判断する必要があります。エチオピアでは「衣類」で5.5%、ザンビアは「セメント」「機械類」で3.1%、ボツワナは「機械類」「ソーダ灰」で4.3%(ちなみに「ソーダ灰」とは高純度の炭酸ナトリウムのことです)、南アフリカ共和国は「自動車」「機械類」で17.4%です。なので正解は4です。

ここはどれも正答率が高いでしょう。世界地図に関しては、どのような地図が出題されても、見慣れているであろうメルカトル図法でいうとどの部分なのか?という置き換えが出来るようにしましょう。そのために、(繰り返しになりますが)ヒントとなる「赤道」「日付変更線」「本初子午線」を正確に書き込めるようにしましょう。教科書に載っている農作物や鉱産資源の生産量に関する上位国をしっかり押さえておきましょう。

 

問題ごとの解説□2

(ア)について。ここでも「適切でないもの」を選ぶので注意。地形図の読み取りで、答えは3ですが、今回は地形図の下に「2万5千分の1」という縮尺が載っているので、計算すると「2cm×25000=50000cm」となり、単位を変換すると「500m」ですね。1については、このような鍵穴のような形の古墳を前方後円墳と言います。2については、古墳の中に44という数字があるのが分かります。4は「∴」という地図記号と共にいくつかの古墳名が周りにあります。

(イ)について。まずXは、以下のように65歳以上部分に書き込みをすることで、パッと見で2022年の方が割合が高いとわかるので×。次にYも同様に、該当する部分を書き込んで囲むと2012年の15~24歳の方が割合が高いとわかるので×。なので正解は4です。

(ウ)について。今回は「適するもの」を選びます。答えは4です。資料3に注目し、人口密度は「人口÷面積」で求めるので、各区を計算すると「北区」が最も数字が大きくなります。そして、資料4で北区を確認すると地下鉄御堂筋線が通っていることが分かります。1は、人口が12万人未満の区は「中区」と「東区」と「美原区」の3つですが、そのいずれの区もJR阪和線は通っていません。2は、面積が20km²の区は「中区」と「東区」と「北区」と「美原区」で、そのうち「東区」と「中区」は1つの路線しか通っていなく、「美原区」には1つも路線が通っていない。3は、面積が最も小さい区は、「東区」で南海高野線と泉北高速線が通っている。

(エ)について。今回は問われているのが連雲港市(中国)で、温帯の温暖湿潤気候なので、「四季の変化がある」「季節風の影響で夏に降水量が多い」ことが基本。その時点で、1を選べます。ちなみに他は、4が「一年中気温が高く」「APEC首脳会議が開催」からダナン市(ベトナム)、2は「気温は7~8月が低く1~2月に高い」とあるので南半球と判断してウェリントン市(ニュージーランド)、3は「夏に極端に雨が少なく乾燥しており」から地中海性気候のバークレー市(アメリカ合衆国)とわかる。

ここでもそこまで難しい問題はないため、それぞれ正答率は高いでしょう。資料の読み取り問題は、地図同様に直目すべき部分に書き込みをして、視覚で判断できるようにすると時短や正答率アップにつながるでしょう。

 

問題ごとの解説□3

まずここでは、旧石器時代~江戸時代までのことがらの時代判別ができるようにしておくのが大切です。最初の表には以下のような書き込みができると良いですね。

(ア)について。[ あ ]は「農地を増やすため」とあるので墾田永年私財法が入ると判断できます。班田収授法は「6歳以上の男女に口分田を与えること」を定めた法令です。[ い ]は「荘園や公領ごとに」なので地頭が入ります。守護は地頭と同じ時期に「国ごとに」おかれました。[ う ]は太閤検地の内容なので石高(米の収穫量)が入ります。地価は、明治維新の地租改正(1873年)のときに用いられる語句ですね。なので正解は6です。

(イ)について。Aの期間は「奈良時代半ば~平安時代の最後」の内容なので、3を選びます。1は「日蓮」とあるので鎌倉時代、2は「雪舟」とあるので室町時代、4は「最初の仏教文化」とあるので飛鳥時代。

(ウ)について。ここでも各選択肢のキーワードを拾っていって時代判別すればいいだけです。Ⅰは「フランシスコ=ザビエルが、日本にキリスト教と伝えた」とあるので1549年(室町時代末期)、Ⅱは「元軍」とあるので鎌倉時代、Ⅲは「足利義満」とあるので14世紀末(室町時代前半)となります。なので、Ⅱ→Ⅲ→Ⅰで4が正解です。

(エ)について。まずは資料は真ん中の写真が銅鐸で、左のイラストは臼(うす)と杵(きね)で米を付いている様子で、右のイラストは収穫した稲を保管した高床倉庫です。なので、稲作が伝わった弥生時代の内容を選ぶので2とわかります。1は「打製石器」とあるので旧石器時代、3は「海面が上昇し」は氷河時代の終わりを指しているので縄文時代。4は「渡来人」とあるので古墳時代。

(オ)について。まずはグラフが「百姓一揆の発生件数」なのですぐにXは選べます。Yは、1792年にロシア人使節・ラクスマンが根室に来航して以降の話なのでグラフ中の年代としては間違えではないですが、内容的に関係ないです。またa~dに関してはそれぞれの時期を年代で覚えているかどうかなので、ちょっと難易度が高いかもしれません。aは松平定信の政策なので老中在任期間が1787年~1793年なので〇です。bは日本人の海外渡航の禁止は鎖国政策の1つで1635年ですから×です。cは田沼意次の政策なので老中在任期間は1760年~1786年ですから×です。dは日米和親条約の内容なので1854年なので×です。なので答えは1です。ちなみにYに関連して、外国船の接近関連は以下を覚えておきましょう。

ここではほとんどが時代判別と基本的な知識で正解できるのですが、(オ)は江戸時代の中での判別となるので正答率が最も低くなるでしょう。

 

問題ごとの解説□4

ここでは何と言っても幕末以降の出来事の年代暗記が点数を取るカギです。ですから、表に以下のような書き込みができると良いですね。

(ア)について。これは下関条約の内容なので、この条約では遼東半島・台湾・澎湖諸島などが日本の領土になりましたので、[ あ ]は台湾とわかります。また、ワシントン会議の内容は国ごとに海軍の主力艦の保有数を宣言することだったので[ い ]は「海軍の軍備を制限する」とわかり4を選びます。また、年代暗記をしていればワシントン会議は1921年、国際連盟発足は1920年となるので間違えることはありません。

(イ)について。ここでは、「樺太が日本の領土ではなく、千島列島が日本の領土になっている」ことを読み取りましょう。このようなロシアとの国境に関しては日露和親条約(1854年)と樺太・千島交換条約(1875年)が関連して、日露和親条約では「樺太が日本領、千島列島がロシア領」となりましたが、樺太・千島交換条約では「樺太がロシア領、千島列島が日本領」となりました。なので、Yの樺太・千島交換条約の方だとわかります。また、a~cに関しては、aがシベリア出兵(1918年)、bが北海道の開拓のことで明治初期(1868年~1870年代前半)、cは太平洋戦争の最後(1945年8月)なのでbとわかり、答えは5になります。

(ウ)について。資料1中の第1条に注目して2を選びましょう。表の内容からこれがサンフランシスコ平和条約(1951年)とわかっていれば、1は日中共同声明(1972年)、3は小笠原諸島返還(1968年)、4は日ソ共同宣言→日本が国連加盟(1956年)と判断できるので消去法でもいけます。

(エ)について。まず自衛隊の結成は1954年です(1950年警察予備隊→1952年保安隊→1954年自衛隊)。そしてこのころの日本経済は、1950年に起こった朝鮮戦争による特需で1955年~1973年の高度経済成長へとつながります。ですから1とわかります。2は第一次世界大戦中(1914~1918年)の大戦景気、3は第四次中東戦争→石油危機(1973年)、4は世界恐慌の影響(1929年~)となるのでいずれも時期が違います。

(オ)は、1は大正デモクラシーのころで大正時代は1912~1925年、2は犬養毅首相が暗殺された五・一五事件で1932年、3は国家総動員法で1938年、4は戦後初の衆議院選挙で1946年なので、時期が一致しているのは3となります。

□4こそ用語やその内容、前後関係、そして年代暗記ができていないとポロポロと落としてしまう問題ばかりなので、差が出やすい大問と言えるでしょう。おそらく(ア)と(エ)が比較的正答率が低いでしょう。

 

問題ごとの解説□5

ここでは、公民の経済分野の基本知識と資料の読み取りがメインです。ただし、資料の読み取り問題では選択肢の内容を理解できるかどうかが大きなポイントになりそうです。

(ア)について。これは一定数の受検者がいかにも引っかかりそうな良い問題ですね。ただ、為替相場について知識があれば2020年が円高になっているとわかるので3とすぐにわかります。それ以外だと見た目の数値ですぐわかるのは1ですが、これは明らかに誤りとわかります。2と4はそれぞれ割合なので計算が必要です。ただし、何もそこまで厳密な計算をする必要はありません。2であれば、「労働力人口」に対して「第2次産業の就業者数」が約何分の1かをざっくり計算すると、1964年が約3分の1くらい(=33%前後)で、2020年が約4分の1~5分の1くらい(=20~25%前後)となります。4であれば、「テレビ1台の価格」自体の値段はそこまで大きく変わっていませんが、「世帯の収入」が約10倍に増えているので、その分テレビの価格の占める割合は下がっているとひっ算などを書いて計算するまでもなくわかります。こういったざっくりとした計算の感覚があるかないかは、この手の問題を解く上で大きい差になります。

(イ)について。Xは、表を見ると「1世帯当たりの人員」が減っているので、その分単独世帯が増加したことが予想できるので〇。Yは、2020年の「平均週間就業時間」は39.6時間ですが、労働基準法での上限は40時間なので×。

(ウ)について。ここは日本銀行による金融政策と政府による財政政策、そして価格についての知識が問われるシンプルな問題でした。金融政策と財政政策についての基本は以下です。

このため、1が正解で、2が誤りとすぐわかります。またインフレーションは「継続的に物価が上がること」で、デフレーションは「継続的に物価が下がり続けること」なので、3は希少性が高くなると価格は上がるはずなので誤りです。4は、水道代や電気代のような国や地方公共団体が認可・決定する価格は「公共料金」といいます。この他、需要量や供給量のバランスで決まる価格は「均衡価格」、少数の企業が一方的に決める価格は「独占価格」といいます。

(エ)について。ここは株式会社と金融に関する知識を問う問題です。まず金融は「直接金融」と「間接金融」に分かれます。株式会社が株式を発行し、投資家が証券取引所でそれを購入することを「直接金融」といい、銀行や信用金庫などの金融機関を介したお金のやり取りを「間接金融」と言います。なので[ あ ]と[ い ]は「直接金融」と「証券取引所」とわかります。あとは、株式会社での株主の権利と責任で、「株主総会への出席や利益の一部を配当として受け取る」権利がある一方で、「出資額を失う以上の責任を負う必要はない」ので4が正解とわかります。

(オ)について。Xは、給付額の合計が圧倒的に増えているので、年金の給付を受ける人の数は増えていると思われるので×。Yは、「国民所得に占める給付額の割合」は「給付額」÷「国民所得」×100で求めて、1965年が約6%なのに対して2019年は約30%と高くなっているので、財政上の役割は増していると考えられるので×。Zは、まず前提として「社会保障の負担額」のうちの「公費」に当たる部分が「社会保障の財源に占める税金の割合」であるということがわかるかですが、正直中学生には難しいと思います。ただ、それがわかると1965年が約32%に対して、2019年は約39%と高くなっているので〇。なので7が正解です。

ここはやはり(オ)の正答率が低いのではないかと思います。

 

問題ごとの解説□6

ここでは、公民の政治分野と国際関連の知識を問うのがメインです。

(ア)について。問3同様に時代判別で一発です。Ⅰは「観阿弥・世阿弥」「能楽」とあるので室町時代、Ⅱは「歌舞伎」「近松門左衛門」とあるので江戸時代、Ⅲは「千利休」とあるので安土桃山時代でⅠ→Ⅲ→Ⅱで2が正解とわかります。

(イ)について。大意としては「1人の人物や1つの機関に権力が集中すると自由がない」とのことで三権分立とわかるので4が正解とわかる。

(ウ)について。公共の福祉による人権の制限の例として最も挙げられやすいのは経済活動の自由についてです。これは、一部の職業に資格が必要なことで職業選択自由が制限されたり、感染症による入院や隔離の措置で居住・移転の自由が制限されたり、地域の条例によって財産権が制限されたりします。なので今回は3が正解とわかります。他にも、他人への人権侵害やプライバシー侵害によって表現の自由が制限されたり、公務員が労働基本権の一部が制限されたりというのもあります。

(エ)について。ここでは選択肢のつくりから、「aとb」「cとd」「eとf」のそれぞれでどちらかが合っているので、明らかな誤りの選択肢を見つけることで消去法でも解けます。また表1では、議員数・解散の有無・被選挙権から議院Aが衆議院、議院Bが参議院とわかります。そのため、aが誤りでbが正しいとわかります。衆議院の任期は4年で、さらに4年経つ前に解散によって総選挙が行われる場合もあります。またcは比例代表制のことを言っているので、衆議院・参議院の両方で採用されてるのでcは正しいとわかります。dは「選挙権」は選挙に要評する権利、「被選挙権」が選挙に立候補する権利なので誤っているとわかります。表2では、「連立政権」は複数の政党が与党として協力して政権を担当すること、「法律案の再可決」が衆議院の3分の2以上の賛成によって可能であることを考えるとeが正しく、fが誤っているとわかります。なので答えは5です。

(オ)について。まず基本知識として「京都議定書(1997年)」は先進国に対して温室効果ガス排出量の削減目標を定めたもので、「パリ協定」はすべての国に対して温室効果ガス排出量の削減目標を定めたものであるということです。あとは、温室効果ガスの排出量について現在は中国が1位ですが、中国が世界1位になったのは2000年代なので、1997年当時の排出量1位はアメリカでした。ですので、答えは1です。

ここでは、正答率で言うと(ア)~(ウ)は高く、(エ)と(オ)が比較的低くなるでしょう。

 

問題ごとの解説□7

(ア)について。[ あ ]は温暖な水辺に見られる常緑広葉樹なので、マングローブとなります。バナナは熱帯地域で栽培され、世界の生産量ベスト3はインド、中国、フィリピンです。なつめやし は乾燥帯地域の植物です。ちなみに一般的にヤシの木とされるココヤシや、パーム油の原料であるアブラヤシは熱帯地域の植物なのでここは区別できるようにしましょう。またサンゴ礁に関しては、沖縄のような温暖な海辺にありますが、これは植物ではありません。また、[ い ]は沖縄が日本で最も台風が襲来する地域であるという知識からすぐわかるでしょう。なので答えは6です。

(イ)について。ここでは第二次世界大戦中の沖縄での様子について問われているので、沖縄では日本で唯一地上戦が行われたので2が正解です。1は、原爆が投下されたのは広島と長崎なので×。3は、終戦時に満州などにいた日本人の話なので×。4は、潜水艦が新兵器として用いられたのは第一次世界大戦のことです。

(ウ)について。線②の内容から、琉球王国が室町時代に行っていた中継貿易の内容とわかるので2が正解とわかります。ちなみに1は日明貿易が行われていたころの明のこと、3は1600年ごろのイギリスやオランダのこと、4の朱印船貿易は17世紀初頭~鎖国が行われるまで(江戸時代の確立期)です。

(エ)について。まず資料3は内容的に日米安全保障条約(1951年)であることをおさえます。それを踏まえてaとbを読むと、aが1945年以降の冷戦の話なので正しいとわかります。ちなみにbについては、領事裁判権の撤廃が日英通商航海条約(1894年)、関税自主権の回復が日米通商航海条約(1911年)です。次にcについて資料4を見ながらいくと、資料中で東アジアの国としては中国、日本、韓国の3カ国があり、その中では中国が最も防衛費が高いので×。dは、資料4から国内総生産額が最も低い国を求める問題です。割合の計算ですが、1つ1つ計算はせずに「防衛費が少なく、国内総生産額に対する割合が高い」国を考えます。そうするとサウジアラビアとわかるので×。またこういった感覚がない場合は、計算を必要とする選択肢はあとに回すというのも解く時間に余裕がない子にとっては有効です。eは、まず核保有国として国際連盟の安全保障理事会での常任理事国(アメリカ・フランス・ロシア・中国・イギリス)を頭に浮かべます。その上で資料5では中心から500kmごとに円が描かれているので、一番外側が中心から2000kmとなります。そうなると明らかに中国の領土が入っているのでeは正しいとわかります。なので正解は3です。

 

まとめ

今年も地理は難易度が低いので、上位の子たちはほぼノーミスでいけてほしいですね。また、歴史は時代判別と年代暗記(本当に大事!)で取れる問題を確実にとることが大事です。フォルテ生でもこの部分が強い子が社会で崩れることはまずありませんでした(逆に入試直前でもこの辺が甘いとまず高得点は取れません)。このことは中2にも口酸っぱく言い続けています。

そして資料の読み取りは判別のポイントとなるキーワードや内容を正確に読み取って、知識と結び付けて解く必要があります。また資料を読み取る際には注目すべき部分に〇をつけたり、線を引いたりする工夫ができると良いですね。

また、地理と歴史の資料の読み取りは選択肢の文自体が長いので、英語や国語同様に文字数の多さに対する耐性が求められます。なので普段からこういった文字数の多い入試問題に触れておくのが良いと思います。理科に関しても同じようなことが言えます。

今回は以上です。ではまた!

進学塾フォルテ|俺たちが井土ヶ谷・蒔田・弘明寺地域を熱くする!|各学年12名までの少人数制対話型集団授業

令和5年度の公立高校入試日程が発表されました。

先日、神奈川県の教育委員会より令和5年度(2023年度)の公立高校入試日程が発表されました。中3生とおよび保護者の方は日程の把握をお願いします。

昨年度通りであれば、願書の提出は中学校が一括に行う形になるため、実際に中学校に願書を持っていくのは1月18日(水)~1月20日(金)くらいになるかと思います。

また、面接・特色検査は2月14日(火)~2月16日(木)となっていますが、実質2月15日(水)と2月16日(木)で行われるでしょう。さらに特色検査実施校の場合は、例年の流れだと、2月15日(水)に特色検査実施、2月16日(木)に面接実施となる学校がほとんどでしょう。

この他、2月15日の検査がインフルエンザ等の理由で受検できない場合の追検査は2月22日(水)、新型コロナウィルス感染者または濃厚接触者認定によって学力検査等が受検できなかった場合の追加の検査は3月9日(木)に実施すると発表されました。

今後も入試情報がわかり次第、随時更新します。

令和4年度の公立高校入試選考基準が発表されました。

昨日、神奈川県の教育委員会より令和4年度(2022年度)の公立高校入試選考基準が発表されました。中3生とおよび保護者の方は日程の把握をお願いします。

関連記事:入試日程について(こちらをクリック)

 

1次選考の比率について

神奈川県の公立高校では、定員の9割は内申・学力検査・面接および特色検査(一部の学校のみ実施)の総合点で合否が決まります(残りの1割は内申点を含まない評価で決まります)。この9割の選考方法を1次選考と言います(一方、残りの1割の選考方法を2次選考と言います)。その際に、各高校が独自に定めた比率(内申:学力検査:面接:特色検査)に合わせて計算が行われます。以下が教育委員会から発表された一覧です。

令和4年度公立高校1次選考比率一覧(こちらをクリック)

 

前年度から変更があった近隣の高校

上記の1次選考の比率や実施内容について、前年度から変更があった近隣の高校は以下です。

①横浜国際高校(本体)

(令和3年度)4:4:2: 
   ↓
(令和4年度) 4:4:2:1 

→横浜国際は、学力向上進学重点校エントリー校となったことに伴って、特色検査内容が従来の独自の英問英答の実技から他の高校と同じ共通特色検査に変更となります

 

②横浜国際高校(IB)

(令和3年度)4:4:2:
   ↓
(令和4年度)4:4:2:

→本体と同様に共通特色検査になりますが、こちらのコースではそれに加え、自分の考えを150~200語の英文で記述する問題が出題されます。

 

③神奈川総合高校(国際)

(令和3年度)3:5:2:
   ↓
(令和4年度)3:5:2

昨年度まで行われていたグループ討論による特色検査が廃止されます。また、学力検査に関しても従来までの4教科から5教科に変更となります

 

④横浜立野高校

(令和3年度):2
   ↓
(令和4年度):2

内申の比率が下がり、学力検査の比率が上がりました

 

今後も入試情報がわかり次第、随時更新します。

令和4年度の公立高校入試日程が発表されました。

昨日、神奈川県の教育委員会より令和4年度(2022年度)の公立高校入試日程が発表されました。中3生とおよび保護者の方は日程の把握をお願いします。

昨年度通りであれば、願書の提出は中学校が一括に行う形になるでしょう。

また、面接・特色検査は2月15日(火)~2月17日(木)となっていますが、実質2月16日(水)と2月17日で行われるでしょう。さらに特色検査実施校の場合は、例年の流れだと、2月16日(水)に特色検査実施、2月17日(木)に面接実施となる学校がほとんどでしょう。

この他、2月15日の検査がインフルエンザ等の理由で受検できない場合の追検査は2月21日(月)、新型コロナウィルス感染者または濃厚接触者認定によって学力検査等が受検できなかった場合の追加の検査は3月10日(木)に実施すると発表されました。

今後も入試情報がわかり次第、随時更新します。